Book~Japanese Identities by Mr. Edagawa

Post date: 2010/02/11 2:07:15

A book on Japanese architectural structures by a retired Mitsubishi architect.

Japanese tradition and esthetics through architecture.

Exploration into Japanese Identities with a lot of photographs.

http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/080812/sty0808120708001-n1.htm

日本建築の粋、欧州に紹介『JAPANESE IDENTITIES』 (1/2ページ)

2008.8.12 07:08

ヨーロッパで本を出版した枝川裕一郎さん

■文化的切り口が関心呼ぶ

日本全国約80カ所の社寺、庭園、街並み、現代建築などの写真に、英語とドイツ語のコメントがついた『JAPANESE IDENTITIES』(JOVIS社)が、5月末にヨーロッパで発売され、ドイツを中心に話題になっている。著者は三菱地所設計大阪支店長の枝川裕一郎さん(60)。「従来のガイドブックと違い、古代から現代までの日本の建築物などを、一歩踏み込んだ文化的な切り口で紹介したことが関心を呼んだ、と出版社から聞いています」と枝川さんは話している。(村田雅裕)

ある日、奈良・興福寺の五重塔を眺めていたときだった。「その形とバランスの美しさ、木材を使った高い技量は素晴らしい」と感じた枝川さん、「こういった古代からの日本の技術は、世界に誇れるもの。ぜひ世界の人々に伝えたい」と強く思った。

そして平成18年、大阪市内の超高層ビルの地鎮祭で、出版界に通じたドイツの女性プロデューサー、シビル・ファネルザさんに再会。彼女に自分の思いを打ち明けると、ファネルザさんは「出版すべきだ。私も全面協力する」といい、順調に話が進展していった。

それから、デジタルカメラなどを携え、仕事の合間をみつけては、北海道から沖縄まで、全国を巡った。

旅行好きな枝川さん、「建築物のほとんどは行ったことがある所。写真としてベストな場所は分かっていました」。写真はアマチュアの域を越えている。

日本建築の粋、欧州に紹介『JAPANESE IDENTITIES』 (2/2ページ)

2008.8.12 07:08

このニュースのトピックス:旅

ヨーロッパで本を出版した枝川裕一郎さん

水面に映る京都・金閣寺、石畳の坂の情緒と一体となった京都・八坂の塔、独特なアーチが特徴の東京・国立代々木競技場、水に浮かぶ十字架が印象的な北海道・水の教会など。写真から、枝川さんの気持ちが伝わってくる。

写真の掲載順も、島根・出雲大社のページをめくると国立代々木競技場の写真があり、その屋根に共通する雰囲気があることを感じてもらう工夫もした。コメントは、海外経験の長い枝川さんが英語で書き、出版社が独訳した。

巻末には、西洋の強烈な文化的影響を受けながらも維持されてきた日本建築の特質を紹介。「自然との共生」「抑制し控えめなエレガントさ(わび)」「見る、かぐ、聞く、味見する、触るの五感による認知」など、7つを挙げた。

そのうえで、「この本で紹介した日本建築が、新しい価値を模索している西洋文化の発展に寄与することを望んでいる」と記した。

ドイツを中心に部数約2万8000部、アート系の本を紹介する冊子『Jam』の最新号でも紹介され、枝川さんのインタビュー記事も掲載された。枝川さんは日本文化の「concept of the void」(虚空という概念)について、「最近は、環境問題への関心から人間の欲望を抑制しようとしている。その中で、日本の虚空という概念は、あらゆる文化に影響を与えるのではないか。虚空という概念は、何もないということではなく、文化的に創造することに、境界線がないということだ」と述べている。

枝川さんは、建築家の隈研吾さんが述べている「負ける建築」という概念に共感している。「西欧の建築と違い、日本の建築は四季を通じた自然の変化と地域の持つ特性に同調することが根底にある。だから自然に負ける建築なんです」という。

そして、「日本人は自国の文化に自信を持つべきでは。自分のバックグラウンドである日本文化への自信がなければ、海外では通用しません」とも話した。

将来は同書のエッセンスを英語&日本語版で出版したいと考えている。