★点字物語「天の尺」

2019年11月10日 実施の模様

東京スカイツリー®天望回廊にて

天望回廊にて女性同士の組が協力して手すりの点字を読むところ。リュックを背負った女性が手すりに触っている。
手すりの点字を読み音読して晴眼者に伝える役割が視覚障害者。
天望回廊にて、女性の視覚障害者が読むところを杖をつきながら見守る晴眼者の男性
晴眼者のほうにも、墨字版(日本語漢字かな混じり文)が渡されていて、読みにくい所をサポート。ただし、ただし、肝心なところは墨字版は虫食いになっていて(伏せられていて)、視覚障害者が読み上げない限り永遠の謎に終わってしまう、という天邪鬼な仕掛けも、あり。【あくまで、点字の特性があったからこそ実現したイベントなので、この発想の原点は映画の試写会と同じで、その点字の読み手である視覚障害者が一番最初に楽しめるという仕組み】
観光地の朝は早い。というか、混まないうちに点字物語「天の尺」を行えたのが良かった。
点字物語「天の尺」の副代表内田勝久が点字を読むところ
点字物語「天の尺」実行委員会の内田勝久副代表。普段は鍼灸師としての精度を誇る指先が、点字物語を読む!
天望回廊の中の様子をイラストで表示。手すりの長さがスロープを上がるごとに3カ所に分かれている。最初が1~6話までの物語がついて26.7メートル、次が7~14話で35.4メートルになる。最後が頂上を過ぎたところに北斎の絵の解説で20メートルのゾーンがある。スロープはフロア445から始まり450の高さまで続く。


朝の集会のシーン。東京スカイツリーのふもとのソラマチひろばにて20人ほどがオブジェの彫刻の前で輪になって立っている。一人が後ろを向いている。
東京スカイツリーを外から見上げた写真。天望回廊はそのてっぺんに近い展望台だが、平たい展望台というよりも斜めに管のように巻き付いている。
当日配布されたチラシの表面。北斎の4つの絵(『冨嶽三十六景』)が出ている。このうちの1作品の絵のイメージから物語が投稿され、手すりに貼りつけられた。
点字の五十音表と、作品の英語版が載っているサイトに飛ぶためのQRコードが載せてある。

点字物語「天の尺」手すりで繋がる北斎の娘と私たち(2019/11/10)


☆☆皆さんのお陰で、11月10日は、とても気持ちのいいイベントになりました! 有難うございました。


点字物語「天の尺」実行委員会

          坂部



→点字物語「天の尺」Facebookより

→当日の記録動画は、こちらより

→朝日新聞デジタル版2019年11月16日


当日の物語の断片は、こちらからご覧ください。

点字物語「天の尺」Facebookより2

英語版物語集はこちらから

点字物語「天の尺」14作品英語版


★点字物語「天の尺」~手すりで繋がる北斎の娘と私たち~の物語のラインナップが発表になり、いよいよ、体験イベントに向けて参加者(晴眼者)の大募集中!。。点字物語「天の尺」東京スカイツリー展望回廊体験イベント



★朝日新聞(9月11日付)夕刊とデジタル版に今回の点字物語「天の尺」のことが採り上げられました。

https://www.asahi.com/articles/ASM995H2BM99UTIL03T.html


★点字物語「天の尺」~手すりで繋がる北斎の娘と私たちの実施日が11月10日(日曜日)と決定致しました。

★東京スカイツリーの展望回廊(の手すり)での、点字物語「天の尺」実施が決定致しました! 8月

すでに、皆様から募集中の500文字以内の短編物語が、この11月に実際に、

東京スカイツリーの最上の展望回廊のスロープにぐるっと貼りつきます!

詳しくは、こちらのホームページか、Facebookページをご覧ください。

さらなる物語の応募をお待ちしております。

★「隅田川 森羅万象 墨に夢」(「すみゆめ」)プロジェクト始動!

点字物語「天の尺」~手すりで繋がる北斎の娘と私たち~の

物語募集期間(8月10日~9月20日)が始まりました。8月

点字物語「天の尺」hpをご覧ください。

★「隅田川 森羅万象 墨に夢」(「すみゆめ」)プロジェクト企画に、

『点字物語「天の尺」~手すりで繋がる北斎の娘と私たち~』が、採択されました。6月

『地域人』44号に映画『道草』の紹介文寄稿 4月

「俳句と超短編」8号に、花田春兆さんの俳句について寄稿(「境涯から、近く遠く。」)12月

「花田春兆―その人と作品展」企画委員として参加 11月

★「社会連帯フォーラム 相模原事件をあなたは覚えていますか?」協力 9月


※ ※ ※


オフィス名の由来:ミレニアム(2000年)に、障害当事者、企業、福祉関係者らと共に、東京タワーを舞台に企画実施したイベント、点字物語「天の尺」(あまのじゃく)から。


点字物語「天の尺」とは。。。

物語で以て天に届くという「尺度」という意味と、ホールなどを借りるのではなく、階段を通るというプロセスだけでイベントが成り立つ天邪鬼であることから。庇を借りて母屋(話題)を頂戴してしまう、ぜいたく可憐なイベント。

2000年に初めて東京タワーで実施。

このイベントでは、東京タワーの足下のビルから展望台までの531段の階段手すりすべてに、公募した短編物語(33編)を、点字化して貼り付け(総延長180m)、そこを約80人の視覚障害者と晴眼者が読み昇った。パソコンで投稿した600文字の物語(バーチャル)が約5mの長さの物語(リアル)になり、そこを楽しんで読み昇る人たちが居るということが話題となり、投稿した人たちの中から実際に当日も駆けつけたり、遠方からの参加者(長野)もあり、また、終わって1か月間ほどは、「まだ、点字物語は楽しめるのか?」などの問い合わせが東京タワーにもあったという。おひざ元の港区からの応援もあり、新聞各紙(朝日、読売、産経、ジャパンタイムス)にも報道された。参加者、投稿者もまた、物語で埋まった東京タワーを実感したことで、”MY東京タワー”になったことの余韻をいつまでも楽しんだ。東京タワーを見上げるたびに、「私が投稿した《まんじゅう花火》がタワーに息づいている」と。あるいは、駅の手すりで点字に触るたびに、ここから物語への飛躍が「創発」されたことを驚きをもって。。。

★点字物語「天の尺」(東京タワー篇)

2000年10月14日 @東京タワー

展望台まで続く外階段
東京タワーを下から臨む
斜めの手すりを読み昇る参加者にサポーターも手を添える。
点字と東京タワーの塗料の凸凹が混じっているところが却って楽しかったと参加者
企画者の一人内田勝久さんと、東京タワーの伝説の鳶、桐生五郎さん
タワービル屋上に約80人の参加者が集合。準備体操

当日は東京タワーを建てた時の鳶(とび)

の桐生五郎さんも手弁当で参加した(左)。

タワービル屋上に約80人の参加者が集合。

準備体操も全員で(右)


朝日新聞2000年4月28日記事「東京タワーの手すりに点字作品」

(朝日新聞2000年4月28日記事「東京タワーの手すりに点字作品」物語を募集した)

イベント翌日のジャパンタイムズ紙 TALL STORYとの見出し。これには「信じられないような話」と「高い所の話」をかけている。

(イベント翌日のジャパンタイムズ紙

見出しは「TALL STORY」

高い所の話、と「信じられない話」をかけている)

翌日の朝日新聞見出しは「東京タワー点字読んで上る」

(朝日新聞が翌日に詳細に紹介)

まさに、天に届く尺度。そこから天の尺。

点字は究極の音の言葉ですから、ひらがな書き以上に、聴こえたままに点字にするため、漢字かな交じり文よりかなり、文字数が増えます。

例えば、

「東京タワーのイベントから20年」を点字にするには、

まず、

「とーきょーたわーでの いべんとから 20ねん」と究極の口語(?!)に近づけて点字に変えていきます。(私も勉強中です。正確なものは点字図書館などを訪ねることをお勧めします)

とーきょーたわーでの
いべんとから

点字にすると↑ご覧のように、文字数が増えます。(点訳はeBrailleを利用)

それを逆手にとったのが、天の尺です。嵩(かさ)張りそうな

点字にしか出来ないこと。それが建物の長さへと対応できる手すりの上の文学の誕生を生みました。

「あまのじゃく」から→天の邪鬼に

もちろん、建物のイベント空間を使うのではなく、誰もが通過点として使う階段(手すり)を使ったイベント。

まさに、「庇(階段)を(ささやかに)借りて母屋(話題)を(大胆に)いただく」イベント。

これって、天の尺=天の邪鬼※なイベントなんです。

そして天邪鬼といえば、この方、花田春兆(しゅんちょう)さん!


2000年当時、このイベントの物語の審査員長をお願いした車イス作家、花田春兆さんの大好きな「天の邪鬼」でもありました。

「春兆さん、階段でのイベントなんですが…」と恐る恐る相談すると、「そんなこと見ればわかるよ、それだって、階段上らずとも、その点字物語の投稿の審査員として車イスでかかわることが出来る。物語の審査員として、一足お先に展望台で待ち受けているから、あとはよろしく~、はっはっは」と春兆さん。お見事です。そしてこう付け加えられました。「われわれ、重度障害者もいい意味で強(したたか)に生きていかないとダメなんだ。どんなことにも興味をもっておじゃま虫をする」と。

物語の投稿者を相手に、起承転結をつけ合って一つの物語を完成させる仕組みだったので、途中で審査員長の春兆さんが何度も「介入」して茶々を入れ、物語があらぬ結末を迎えたことも。これが、参加者皆さんにとても好評でした!

今は本当に、天に昇られ、ぼくらを見守って居てくれています

審査委員長として、イベントの締めくくりに皆に示された俳句は、

塔爽やか眼下祭りの人満ちて 春兆

(当日、東京タワーの展望台に近づくにつれ、階段を昇りつつ下界の音がだんだん小さくなった、という視覚障害参加者の感想と、当日の港区まつりの賑やかさを重ねて、その場で春兆さんが句に仕立て下さった貴重な贈り物)。

在りし日の花田春兆さんと天邪鬼。今は天から様子をうかがってられるらしい。

(在りし日の花田春兆さんと天邪鬼。今は天から様子をうかがってられる)

木もれ陽に紛れて邪鬼の長昼寝


花田春兆さんの業績を語り継いでいきたいという有志が集まり、昨年淑徳大学で展示会が催されました。今につながる障害者文化の礎を築き、障害者運動の当時の若手が育っていった場(『しののめ』)の主幹を60年の長きにわたり務められてもきました。草の根から、国際障害者年の時の推進協議会の副代表まで、縦横無尽の活躍の一端を展示しました。

私も花田春兆さんに30年近く私淑し、晩年には秘書的役割もさせて頂いたお礼に、展示企画委員として参画させていただきました。こちら

また、現在、盲目の琵琶法師の伝記『殿上の杖』も復刻され、ドラマ化に向けて奔走中です。手がかりがあれば、一声おかけください。