オフィス天の尺

     (あまのじゃく)

『聞き書き・関東大震災』の表紙絵は上野の西郷隆盛の銅像。その銅像に尋ね人など、震災当時、たくさんの張り紙が貼られていたことを示す絵。その『聞き書き・関東大震災』の本の各頁にブックマーク(しおり)として挟まれた色とりどりの附箋(ふせん)も目立っている。
『月刊 東京』2024年3月号の表紙の下に、目次と森まゆみさんの『聞き書き・関東大震災』の書評欄(本棚)が開いて重ねられている。

最新情報

現代にこそ、森まゆみさんの最新著書『聞き書き・関東大震災』における教訓やお互い様の気持ちが大切だと痛感致します。私も非力ながら、

『月刊 東京』(2024年3月号、東京自治問題研究所)で、『聞き書き・関東大震災』(2023年9月1日発行、亜紀書房)の本の紹介(書評)をさせて頂きました。

◆『聞き書き・関東大震災』 

 https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=1131

『月刊 東京』(本号目次upはこれからのようですが、各号「自治」の精神で充実しています。)

 https://tokyojichimonken.fc2.net/

本書『聞き書き・関東大震災』の中身の多重多層な充実度にタジタジとなりながら附箋(ふせん)貼り貼りし、附箋の山に!(迫りくる猛火への恐怖、各人の事情、それを何とか食い止めようとする人たち、震災に乗じて殺された人々、震災で変わった運命…。『谷根千』24号を中心に刊行中の26年間の蓄積、さらには、既存の書物からも、現在の台東区、文京区に関する人々の体験談、あるいは文学者や科学者の日記等を引用してできるだけ時系列に並べ替えて掲載。そこに現在の森まゆみさんのコメントが随時入り込んで見事に繋いでくれています。さらには、24号未使用原稿まで数か所に及んで引用されていて、本書企画を思い立たれた22年秋からの森さんや協力者の奮闘ぶりを垣間見ると共に、震災を等身大で受け止めること、「地域の記憶を記録に変える」『谷根千』工房がやるべきことをきっちりやられてきた、その軌跡に思えるのです、あっ附箋、附箋…)。

書評はさておいても『聞き書き・関東大震災』はぜひお買い求め下さい!

※本書は谷根千地域の記憶、記録を中心としつつ、谷根千エリアに限らずお互い様の気持ちで、どのエリアにも通じるヒントが盛りだくさんです。 

多くの方に読まれることを願いつつ、同時に、お互い様の気持ちを忘れずに、このたびの能登半島の復旧、復興を願っていきたいと思います。




・【ご報告】

 「手話noスタンプラリー」

 10/22㈰は、3店の内のcoccia店さんはお休みとなりました。が、予定通り「手話noスタンプラリー」は実施しています! coccia店の正面扉にQRコードのボードを貼って頂きます。cocciaさんの店内を楽しみにされていた方、申し訳ないですが、Instagram(@coccia_yanaka)なども充実していますので、SNSをお楽しみください。


今後の「手話noスタンプラリー」日々の情報は、

こちらFacebookまで。


・今年も芸工展期間中の二日間参加します。

「手話noスタンプラリー」2023

 10月21日㈯~22日㈰ 12時~17時

場所:(ご近所同士の下記、三店へのお客様なら、誰でも簡単に参加可能!)

coccia 台東区谷中6-4-6

(手話による取材動画↓ 筑波技術大学学生さん製作)

https://youtu.be/YoAe31AE-Hg

工房徳元 藍と絹のギャラリー 台東区谷中6-4-6

(手話による取材動画↓ 筑波技術大学学生さん製作)

https://youtu.be/wuOvJNrKkGs

東北基地エール 台東区谷中6-3-12

(回る順番はどこからでもOKですが、記念バッジは東北基地エールで進呈)

(手話による取材動画↓ 筑波技術大学学生さん製作)

 https://youtu.be/dNjXZhDXj1c


 の三か所のお店を「手話が」繋ぎます。

 Facebookはこちら

 「手話noスタンプラリー」の解説はこちら




HAGISOさんのメディア「まちまち眼鏡店」に熱田弘幸さんと私坂部の協同作業で登場!「いろいろ眼鏡」をかけて谷根千エリアを巡りますよ~乞うご期待!↓(初回)

https://machimegane.jp/digging/2023/03/29/3024/

・2023年2月、熱田弘幸さん(「手話noスタンプラリー」の共同企画者)と、地元、谷中小学校で谷中小放課後子供教室の一環として「あつたさんと遊ぼう」を実施させてもらいました。

谷中小放課後子供教室ブログ↓をご覧ください(月が替わると下のほうに、スクロールしないと見えなくなるので、お早めに~)

https://yanaka-houkago.tumblr.com/


   

・「手話noスタンプラリー」の最新の情報はこちら   

【芸工展企画その5Welcome to "no"Stamp Rally around three stores by Sign Language

【芸工展企画その】「手話noスタンプラリー」に参加頂いた三店を手話取材で紹介!!

      coccia手話取材記事はこちら

      工房徳元(藍と絹のギャラリー)手話取材記事はこちら

      東北基地エール手話取材記事はこちら


【芸工展企画その3】「手話noスタンプラリー」のFacebookを作りました。最新情報はこちらをごらんください。


【芸工展企画その2】「手話noスタンプラリー」のことを「谷根千ねっと」情報トピックスコーナーでも取り上げてくださいました。

【芸工展企画その1】「手話noスタンプラリー」(10月中のすべての土日)谷中にて行います。


【お知らせ】一昨年末の労働者協同組合法の成立から、その施行を本年2022年10月に控え、あらたに障碍者を中心としたワーカーズコープを立ち上げるべく活動中です。今しばらくお待ちください。坂部 明浩


【働き方】『TASC MONTHLY』11月号で「ワーカーズコープへの想い」を寄稿しました。

『TASC MONTHLY』11月号表紙の絵。和菓子屋(草もちのメニューが出ている)のおばさんの絵
ワーカーズコープへの想いの一ページ目をちょい見せしている



【谷根千エリア】

3月28日(日)仕事空間「そう」店頭の赤テント下(雨の場合は店内で縮小して)

「駅のそばの、未知の駅」を実施します! 

詳細はこちら

福島のおもいやり「あとりえ」の「さをり織り」作品と態変グッズなども店頭販売

日時:2021年3月28日㈰12時~18時くらいまで

場所:仕事空間「そう」店頭の赤テント下(雨天の場合は縮小して店内)

文京区千駄木3-33-7ニューライフ千駄木壱番館 104 千駄木2番出口すぐ 

【谷根千エリア】

・雑誌『地域人』67号に、地元の知人、関根義雄さんに寄稿頂きました。2021年3月10日発行。

これは、紅茶専門喫茶&ギャラリー「りんごや」での私たちのイベント『スキをカタチに2021』にて、出品された福島のNPOおもいやり「あとりえ」作品のひとつ「とろけるカレー」と関根さんとの出会いがきっかけ。

「とろけるカレー」に描かれたカレーレシピをもとに、関根さんはいつものように、日替わりでやってくる介助者との丁々発止のやりとり(ご本人は”立ち回り”と呼ばれていますが)をしながら、カレーをつくられました。その様子や、日々の介助者との献立決めのこと、調理、着替えなどが綴られています。


 福島の「とろけるカレー」作品をつくった後藤麻美さんへのエール、NPOおもいやり「あとりえ」へのエール、そして、自立生活センターという生活様式の紹介を同時に行って頂いた関根さんに感謝!(福島へのエールを送るために今月号に間に合わせるべく”立ち回ってくれた”地域人編集部ヤマサキさんにも感謝!)


雑誌「地域人」の小タイトル、福島⇔東京 カレーコラボ「立ち回り」
壁面にとろけるカレーと題したバックの後藤作品などが飾られている。その下に実際にとろけるカレーを料理している様子を写真で写している。

紅茶専門喫茶+ギャラリー

りんごや

・営業時間  13:00~19:00

・定休日   木・金曜 休み

・住所     〒113-0031 東京都文京区根津2-22-7

・電話番号  03-5685-2456

・e-mail    info@ringoya-galerie.com

・アクセス  東京メトロ千代田線根津駅 1番出口より徒歩3分

http://ringoya-galerie.com/


【谷根千エリア】

・2021年、1月2日~31日。坂部恵子の日本画をはじめとする個展と、当オフィス天の尺企画の『スキをカタチに2021』を、根津の紅茶専門喫茶&ギャラリー「りんごや」で開催いたします(展示時間、休日はりんごやの営業日時に準じます)。

 『スキをカタチに2021』ですが、10年前からご縁あって応援しております福島県のNPOおもいやり「あとりえ」(当時はSwell-in-Fukushima「あとりえ」と呼称)の作品の数々の展示(「あとりえ」の作家二名も登場!)、そして、『スキをカタチに2007』の時にも登場いただきました俳人、伝記作家(障害者文化の草分け)の花田春兆(しゅんちょう)陶俳画2点をとりあげております。

途中で作品入れ替えや展示状況自体が変更になる場合もございます(こちらのHPでご連絡いたします)。また、私も顔を出すものの常駐は致しておりません。

紅茶専門喫茶でスペースには限りがございます(4人ほど)。感染対策のため、マスクの着用もお願いいたします。また、この状況下ですので、お近くの方以外はご無理をなされずに、遠くから見守りください。今年中にはほかの機会、よりバリアフリーなどの環境を別途設けて地元で企画いたしたいと思います。


期間中(1/2-1/31)の様子はこちらから。


根津の喫茶ギャラリーでの展示風景(2020年12月撮影)

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東京スカイツリーのふもとの広場で点字物語「天の尺」参加者が説明を聞いている後ろ姿
外の石段の三本の手すりに沿って、人々が点字を読んだりサポートしたりしているところ。買い物客とぶつからないように、ロープを持っている人もいる。
不要になった折り畳み傘を再利用して丘と不忍池を表現している。まぼろし谷根千境という看板もあり。
100人近い人たちの点字物語「天の尺」@東京タワーの記念撮影。展望台まで登り終わって首にハワイのレイのようなものをかけてもらっている人も。
住むという字と蛙という字で住み替える。蛙のかわいいぬいぐるみも。




【過去のイベントから】

★点字物語「天の尺」

2019年11月10日   実施の模様

 東京スカイツリー®天望回廊にて

天望回廊にて女性同士の組が協力して手すりの点字を読むところ。リュックを背負った女性が手すりに触っている。
手すりの点字を読み音読して晴眼者に伝える役割が視覚障害者。
天望回廊にて、女性の視覚障害者が読むところを杖をつきながら見守る晴眼者の男性
晴眼者のほうにも、墨字版(日本語漢字かな混じり文)が渡されていて、読みにくい所をサポート。ただし、ただし、肝心なところは墨字版は虫食いになっていて(伏せられていて)、視覚障害者が読み上げない限り永遠の謎に終わってしまう、という天邪鬼な仕掛けも、あり。【あくまで、点字の特性があったからこそ実現したイベントなので、この発想の原点は映画の試写会と同じで、その点字の読み手である視覚障害者が一番最初に楽しめるという仕組み】
観光地の朝は早い。というか、混まないうちに点字物語「天の尺」を行えたのが良かった。
点字物語「天の尺」の副代表内田勝久が点字を読むところ
点字物語「天の尺」実行委員会の内田勝久副代表。普段は鍼灸師としての精度を誇る指先が、点字物語を読む!
天望回廊の中の様子をイラストで表示。手すりの長さがスロープを上がるごとに3カ所に分かれている。最初が1~6話までの物語がついて26.7メートル、次が7~14話で35.4メートルになる。最後が頂上を過ぎたところに北斎の絵の解説で20メートルのゾーンがある。スロープはフロア445から始まり450の高さまで続く。
朝の集会のシーン。東京スカイツリーのふもとのソラマチひろばにて20人ほどがオブジェの彫刻の前で輪になって立っている。一人が後ろを向いている。
東京スカイツリーを外から見上げた写真。天望回廊はそのてっぺんに近い展望台だが、平たい展望台というよりも斜めに管のように巻き付いている。
当日配布されたチラシの表面。北斎の4つの絵(『冨嶽三十六景』)が出ている。このうちの1作品の絵のイメージから物語が投稿され、手すりに貼りつけられた。
点字の五十音表と、作品の英語版が載っているサイトに飛ぶためのQRコードが載せてある。

オフィス天の尺事業内容:

プランニング(企業、協同組合、福祉を繋いで啓く)

執筆、編集他、

イベント企画(点字物語「天の尺」左写真、等)


主宰 坂部 明浩 プロフィール

東京都台東区谷中に生まれ育ち、早稲田大学を卒業後、YKK吉田工業建材部門(現YKKap)に入社。

本社販売企画部において、製造と販売の橋渡し役および販売促進役を6年ほど務めたのち独立、各企業の創成期の社会貢献活動などを取材しつつ、フリースクール系塾スタッフや出版社での編集に従事。

その間、長崎盲学校OBら5人と一軒家を借り切ってのシェアハウス(当時は”共同生活”の名前しか存在せず)で10年ほどを暮らしつつ、プランニングや執筆の仕事に従事(現在に続くアイデアの数々はこのシェアハウス時代に受けた皆からの刺激から生まれたものも多く、貴重な自身の財産になっています)。

今世紀に入って加入したワーカーズコープ(労働者協同組合)では、生活困窮者の仕事において協同で働く現場づくりに6年ほど従事。現在は古巣に戻って障害者介助をしつつ、その経験を生かしたプランニングや執筆活動をオフィス天の尺にて行っています。

以上の経歴からも、谷根千(谷中、根津、千駄木)という地域の境界線を跨(また)いだ自治の町に馴染み、また、社会と障害という、身体の境界線に生じる葛藤と新しい価値に目覚め、雇うー雇われるの働き方の境界線を協同の発見において昇華していく、その一人の経験者として、これからも境界に注目しつつ、全力を注いで行きたいと思っています。

☆2020年12月に「労働者協同組合法」が国会で成立致しました! 地域の仕事おこしがより活性化するこの法律。私も早速障害の仲間を集めてワーカーズコープをみんなでつくって、谷根千という地域の境界線、身体と社会の境界線を相互に「たすき掛け」にしてみたいと思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。


Access

 amanojaku634(@)gmail.com

(添付書類付のメールは不可)



【過去のイベントから】

点字物語「天の尺」手すりで繋がる北斎の娘と私たち(2019/11/10)

☆☆皆さんのお陰で、11月10日は、とても気持ちのいいイベントになりました! 有難うございました。


→点字物語「天の尺」Facebookより

→当日の記録動画は、こちらより

→朝日新聞デジタル版2019年11月16日


当日の物語の断片は、こちらからご覧ください。

点字物語「天の尺」Facebookより2

英語版物語集はこちらから

点字物語「天の尺」14作品英語版


★点字物語「天の尺」~手すりで繋がる北斎の娘と私たち~の物語のラインナップが発表になり、いよいよ、体験イベントに向けて参加者(晴眼者)の大募集中!。。点字物語「天の尺」東京スカイツリー展望回廊体験イベント



★朝日新聞(9月11日付)夕刊とデジタル版に今回の点字物語「天の尺」のことが採り上げられました。

 https://www.asahi.com/articles/ASM995H2BM99UTIL03T.html


★点字物語「天の尺」~手すりで繋がる北斎の娘と私たちの実施日が11月10日(日曜日)と決定致しました。

★東京スカイツリーの展望回廊(の手すり)での、点字物語「天の尺」実施が決定致しました!  8月

 すでに、皆様から募集中の500文字以内の短編物語が、この11月に実際に、

東京スカイツリーの最上の展望回廊のスロープにぐるっと貼りつきます!

詳しくは、こちらのホームページか、Facebookページをご覧ください。

 さらなる物語の応募をお待ちしております。

★「隅田川 森羅万象 墨に夢」(「すみゆめ」)プロジェクト始動!

        点字物語「天の尺」~手すりで繋がる北斎の娘と私たち~の

  物語募集期間(8月10日~9月20日)が始まりました。8月

 点字物語「天の尺」hpをご覧ください。

★「隅田川 森羅万象 墨に夢」(「すみゆめ」)プロジェクト企画に、

『点字物語「天の尺」~手すりで繋がる北斎の娘と私たち~』が、採択されました。6月

『地域人』44号に映画『道草』の紹介文寄稿 4月

「俳句と超短編」8号に、花田春兆さんの俳句について寄稿(「境涯から、近く遠く。」)12月

「花田春兆―その人と作品展」企画委員として参加 11月

★「社会連帯フォーラム 相模原事件をあなたは覚えていますか?」協力 9月


※           ※           ※


オフィス名の由来:ミレニアム(2000年)に、障害当事者、企業、福祉関係者らと共に、東京タワーを舞台に企画実施したイベント、点字物語「天の尺」(あまのじゃく)から。


点字物語「天の尺」とは。。。

物語で以て天に届くという「尺度」という意味と、ホールなどを借りるのではなく、階段を通るというプロセスだけでイベントが成り立つ天邪鬼であることから。庇を借りて母屋(話題)を頂戴してしまう、ぜいたく可憐なイベント。

2000年に初めて東京タワーで実施。

このイベントでは、東京タワーの足下のビルから展望台までの531段の階段手すりすべてに、公募した短編物語(33編)を、点字化して貼り付け(総延長180m)、そこを約80人の視覚障害者と晴眼者が読み昇った。パソコンで投稿した600文字の物語(バーチャル)が約5mの長さの物語(リアル)になり、そこを楽しんで読み昇る人たちが居るということが話題となり、投稿した人たちの中から実際に当日も駆けつけたり、遠方からの参加者(長野)もあり、また、終わって1か月間ほどは、「まだ、点字物語は楽しめるのか?」などの問い合わせが東京タワーにもあったという。おひざ元の港区からの応援もあり、新聞各紙(朝日、読売、産経、ジャパンタイムス)にも報道された。参加者、投稿者もまた、物語で埋まった東京タワーを実感したことで、”MY東京タワー”になったことの余韻をいつまでも楽しんだ。東京タワーを見上げるたびに、「私が投稿した《まんじゅう花火》がタワーに息づいている」と。あるいは、駅の手すりで点字に触るたびに、ここから物語への飛躍が「創発」されたことを驚きをもって。。。

★点字物語「天の尺」(東京タワー篇)

    2000年10月14日 @東京タワー

展望台まで続く外階段
東京タワーを下から臨む
斜めの手すりを読み昇る参加者にサポーターも手を添える。
点字と東京タワーの塗料の凸凹が混じっているところが却って楽しかったと参加者
企画者の一人内田勝久さんと、東京タワーの伝説の鳶、桐生五郎さん
タワービル屋上に約80人の参加者が集合。準備体操

   当日は東京タワーを建てた時の鳶(とび)

の桐生五郎さんも手弁当で参加した(左)。    

 タワービル屋上に約80人の参加者が集合。

準備体操も全員で(右)


朝日新聞2000年4月28日記事「東京タワーの手すりに点字作品」

(朝日新聞2000年4月28日記事「東京タワーの手すりに点字作品」物語を募集した)

イベント翌日のジャパンタイムズ紙 TALL STORYとの見出し。これには「信じられないような話」と「高い所の話」をかけている。

(イベント翌日のジャパンタイムズ紙

見出しは「TALL STORY」

高い所の話、と「信じられない話」をかけている)

翌日の朝日新聞見出しは「東京タワー点字読んで上る」

(朝日新聞が翌日に詳細に紹介)

まさに、天に届く尺度。そこから天の尺。

点字は究極の音の言葉ですから、ひらがな書き以上に、聴こえたままに点字にするため、漢字かな交じり文よりかなり、文字数が増えます。

例えば、

「東京タワーのイベントから20年」を点字にするには、

まず、

「とーきょーたわーでの   いべんとから   20ねん」と究極の口語(?!)に近づけて点字に変えていきます。(私も勉強中です。正確なものは点字図書館などを訪ねることをお勧めします)

とーきょーたわーでの
いべんとから

点字にすると↑ご覧のように、文字数が増えます。(点訳はeBrailleを利用)

それを逆手にとったのが、天の尺です。嵩(かさ)張りそうな

点字にしか出来ないこと。それが建物の長さへと対応できる手すりの上の文学の誕生を生みました。

「あまのじゃく」から→天の邪鬼に

もちろん、建物のイベント空間を使うのではなく、誰もが通過点として使う階段(手すり)を使ったイベント。

まさに、「庇(階段)を(ささやかに)借りて母屋(話題)を(大胆に)いただく」イベント。

これって、天の尺=天の邪鬼※なイベントなんです。

そして天邪鬼といえば、この方、花田春兆(しゅんちょう)さん!


2000年当時、このイベントの物語の審査員長をお願いした車イス作家、花田春兆さんの大好きな「天の邪鬼」でもありました。

「春兆さん、階段でのイベントなんですが…」と恐る恐る相談すると、「そんなこと見ればわかるよ、それだって、階段上らずとも、その点字物語の投稿の審査員として車イスでかかわることが出来る。物語の審査員として、一足お先に展望台で待ち受けているから、あとはよろしく~、はっはっは」と春兆さん。お見事です。そしてこう付け加えられました。「われわれ、重度障害者もいい意味で強(したたか)に生きていかないとダメなんだ。どんなことにも興味をもっておじゃま虫をする」と。

物語の投稿者を相手に、起承転結をつけ合って一つの物語を完成させる仕組みだったので、途中で審査員長の春兆さんが何度も「介入」して茶々を入れ、物語があらぬ結末を迎えたことも。これが、参加者皆さんにとても好評でした!

 今は本当に、天に昇られ、ぼくらを見守って居てくれています

審査委員長として、イベントの締めくくりに皆に示された俳句は、

塔爽やか眼下祭りの人満ちて    春兆

(当日、東京タワーの展望台に近づくにつれ、階段を昇りつつ下界の音がだんだん小さくなった、という視覚障害参加者の感想と、当日の港区まつりの賑やかさを重ねて、その場で春兆さんが句に仕立て下さった貴重な贈り物)。

在りし日の花田春兆さんと天邪鬼。今は天から様子をうかがってられるらしい。

(在りし日の花田春兆さんと天邪鬼。今は天から様子をうかがってられる)

木もれ陽に紛れて邪鬼の長昼寝

花田春兆さんの業績を語り継いでいきたいという有志が集まり、昨年淑徳大学で展示会が催されました。今につながる障害者文化の礎を築き、障害者運動の当時の若手が育っていった場(『しののめ』)の主幹を60年の長きにわたり務められてもきました。草の根から、国際障害者年の時の推進協議会の副代表まで、縦横無尽の活躍の一端を展示しました。

私も花田春兆さんに30年近く私淑し、晩年には秘書的役割もさせて頂いたお礼に、展示企画委員として参画させていただきました。こちら

また、現在、盲目の琵琶法師の伝記『殿上の杖』も復刻され、ドラマ化に向けて奔走中です。手がかりがあれば、一声おかけください。