令和7年8月 「SDGsの視点から見た占冠」を見に来てください
小学校の学習発表会と中学校の学校祭を「合同文化発表会」として占冠中学校を会場に開催する運びとなりました。平成30年度に占冠中央小学校と占冠中学校が施設分離型小中一貫教育を始めました。新型コロナウイルス感染症の流行により、一貫教育はなかなか進みませんでしたが、令和5年度には小中合同運動会を実施することができました。その後小中合同1日防災学校や合同身体測定を実施してきました。小学生は中学生との交流の機会が増え、9年間を見通した教育活動が充実してきました。
令和6年度から開始した「探究」の取組を工夫改善しながら、さらなるパワーアップを目指し、今年度の重点教育目標「夢をもち これからの時代を歩み続ける生徒の育成 ~提案型の探究を通じて~」を設定しました。その実現を目指し、1学期から取り組んできました。発表の場面を3回設けました。1回目の発表は1学期(7月23日)に行いました。そこではお互いに発表を聞いて、よい点、改善点を交流しました。それを元に自分たちの発表を充実させてきました。2回目の発表は7月26日に北海道大学の院生と学部生5人(リモート参加2人を含む)に体育館で生徒の発表を見ていただきました。学生たちも自分たちもプレゼンを作り、発表する機会があるため、内容面、技術面ともに的確なアドバイスをもらうことができました。また、生徒の発表に対しても姿勢や態度、提案内容、質問に対するやりとりについて「(中学生なのに)学生同士のやりとりみたい」等のお褒めの言葉をもらいました。生徒たちは今回のアドバイスを元に発表にさらに改善を加え、いよいよ9月27日の合同文化発表会で発表します。
合同文化発表会ではこの他にも生徒たちが工夫を凝らした自由創作発表(3年前は各学年で3つ、昨年度は2つ、生徒数の減少もあり今年はとうとう1つになってしまいました)もあります。ぜひ、来場いただき、質問や感想をいただければと思います。
本村で探究を進めるにあたり、村の皆様には全面的な協力をいただいています。本村には高校等がありませんので、高校生の年代から20代前半までの年代の人がいません。中学生にとって大人との交流は深いのですが、その年代との交流は十分ではありません。そのため、今回は生徒にとって大変有意義な活動になりました。このような貴重な機会を設けていただいた北海道大学学術研究員の神さんと講師の佐々木さんにお礼申し上げます。さらには、北海道大学との連携協定を結んでいる占冠村ならではの活動だと考えています。
占冠中学校避難所設備改善事業でトイレ改修工事が7月下旬から始まりました。本校の1階と2階のトイレが新しくなる予定です。
1学期にご協力いただいた保護者、生徒アンケートの結果を踏まえ教育活動の改善に取り組んでいきます。2学期は探究をはじめ、小学校と合同の1日防災学校、CS議会、ふるさと授業、清流ふれあい授業、1年生の職業講話、アスペン短期留学生交流等が行われます。占冠ならではの教育活動を積極的に展開していきます。保護者、地域の皆様、中央小学校と占冠中学校の教育活動にご理解とご協力をお願いいたします。
令和7年8月 未来を切り拓くために
令和5年10月、私が初任で勤めた中学校の同窓会に行きました。以前から教え子のお兄さんがある会社の副社長をやっているという話を聞いていました。同窓会で教え子に会って、「お兄さんは今何をしているの」と聞くと、「会社を辞めて、学校を作りました」という答えが返ってきました。彼のお兄さんはある会社の立ち上げに関わり、しばらく副社長をしていましたが、30才で独立したいと考えており、教育分野に目をつけ、社長に会社を辞めて学校を作りたいと申し出たそうです。はじめは全寮制の中高一貫のエリート校を作ろうと考えていたそうですが、自分の子どもを預けようと見学に行った幼稚園の教育方針に共感し、その幼稚園の保育士になったそうです。その後、公募による公立中学校の校長を経験し、幼稚園、小学校、中学校を一つにした12年間で子どもを育てる学校を作る決心をしたそうです。校長の人材を確保し、自分は理事長として運営に関わることにし、私財を投入して、令和2年4月に開校しました。
私は2ヶ月後の12月にその学校を訪問してきました。浅間山を望む場所にその学校はありました。ライブラリー(図書スペース)が学校の中心にあり、子どもの荷物を置く小さい部屋、理科室、技術室、美術室、机のあるホール、じゅうたんが敷いてある部屋などがあり、一般的な普通教室はありません。いろいろな場所で先生方が勉強を教えていました。机がない場所では子どもたちは床に座って授業を受けていました。ライブラリーでは授業に参加していない子どもが一人で本を読んでいました。チャイムはありませんし、昼食の弁当もどこで誰とでも食べてもいいことになっています。各所には子どもたちが調べてまとめた作品や展示物が掲示されていました。
全国各地から先生方が視察に来ていました。某有名私立高校から来ていた先生は「(日本で)探究といえばここでしょう」と言っていました。この学校の特徴の一つは今までの枠にとらわれない教育です。「探究」活動に力を入れており、年に数回発表会があり、調べたことを発表したり、演じたりしています。
視察の中で「自分たちで考え、問いを立て、解決する」ワークショップを行った後、「これから校内を見ることになりますが、我々は案内しません。皆さんが自分たちでテーマを決めて行動してください。一カ所に集中してもいいし、いろいろと見るのもいいと思います。学校のどの場所を見ても、誰に話しかけても、昼食をどこで食べても構いません。」と言われました。私は2人の小学生と話をしました、一人は公立小学校に通っていたが、そこで「○○をしなさい」と言われるのがいやだったのでここに来たと言っていました。また、何か習い事をしているかを聞いたところ「英語」を習っていると教えてくれました。このような特色のある学校に通っていても小学生のうちから英語を習っているんだと感じました。
私立学校ですから、子ども集めなければなりません。その町には公立の小学校が3つ、中学校が1つあります。ターゲットはその自治体に住んでいる子どもたちだけではありません。そのために自分の子どもを通わせたいと思わせる魅力(ブランド)を高める必要があります。この学校ではその一つが「探究」でした。また、この自治体は「別荘地(避暑地)であること」、「自然が豊かであること」等が魅力で移住により人口が増加している日本でも数少ない町です。家族で移住しても、リモートでの在宅勤務が可能になったことや東京まで新幹線通勤が可能(所要時間90分)という利点を持っており、自分の子どもをいい環境で育てたいという保護者を受け入れる条件が整っています。ここで私ははじめて「教育移住」という言葉を知りました。
理事長とお話をしたとき、「うちの校長は昔占冠に行っていたらしいですよ」と教えてくれました。占冠中央小学校は平成27年度から3年間「統合困難な地域における教育環境の充実の取組モデル」として文部科学省指定の「少子化・人口減少に対応した活力ある学校教育推進事業」に取り組んでいました。中央小学校を中心にトマム学校や占冠中学校と連携しながら「占冠大好き教育(今も続くふるさと教育)」や「小学校からの英語教育」に力を入れていました。その当時、英語教育を指導、助言していた東京学芸大学の准教授がこの学校の校長になっていたのです。令和5年度全国学力・学習状況調査の英語において本校の3年生が全国平均を10ポイント以上上回りました。この事業の指定を受けたときの小学校1年生がこのとき中学校3年生になっていたのです。英語力の高さに納得できました。
先日、公立高等学校配置計画地域別検討協議会がありました。上川管内の中学校卒業者数は令和21年には現在より15,000人減少するそうです。高校は地方創生の核にもなる存在で、少子化が加速する地域においては、学校の存続は地域の存続にも関わる重要な課題ともなりうるそうです。そのためには「小規模校ならでは、当該地域ならではの多様な学びを推進することが重要」だそうです。私はこの会議で「高校」を「中学校」に置き換えて聞いていました。
中学校の教職員定数は全学年単式だと9、複式学級だと6(教頭、養護教諭、事務職員が未配置)になります。本校は各学年の生徒数が5人を切り、今後、複式学級になる年が多く、9教科の教科担任を確保することが難しいため、教育環境が充実しているとは言えません。村内に子どもが少ないのですから、村外から子どもを集めるしかありません。つまり本校を「教育移住」をしたい学校にすることが大切です。視察した学校のように最新の施設で子どもたちを集められる環境にはありませんが、「ソフト(教育の内容と質)」では勝負できます。そのための切り札が「探究」と「英語」です。
道外の有名私立中高一貫校では「探究」と「国際」を特色として売り出しているところが多くあります。本校は公立中学校ですから、学習指導要領に基づいた教育をしていくことが求められています。次期学習指導要領について現在中央教育審議会で論議が進んでいます。「探究」がキーワードとして注目されています。
東京大学では気候変動や生物多様性など従来の学問区分では解決が難しい課題に取り組む高度人材やリーダーの育成を目指し、70年ぶりに「カレッジオフデザイン」という新学部を創設、授業はすべて英語で行い、文系、理系の枠にとらわれず、学生自身が学ぶテーマを決めるそうです。
令和7年6月に閣議決定された「地方創生2.0基本構想」では「地域に愛着を持ち、地域で活躍する人材の育成」について触れられています。「AI活用による英語での地域の魅力発信等を進めるとともに、郷土に関する教育の観点を含めて次期学習指導要領に向けた検討を進め、必要な措置を講ずる。」「大学等と地域が連携した、学生のフィールドワーク受け入れ等による、地域課題解決プロジェクトを推進する。」とあります。
本校は恵まれた条件が整っています。①「自然体感占冠」の自然環境②小中一貫教育の充実③個別最適(少人数)・協働的(少子化のため大人とのななめの関係を含む)な学びの充実④北海道大学との連携⑤地域とのつながり⑥アスペン市との交流です。占冠村は東京以北で最大の都市札幌からJRや高速道路を使うと90分の距離です。
以上のことから本校は令和6年度から「探究」を重点に掲げ取り組んできました。昨年10月にはアスペンからの留学生に英語で占冠について伝える機会を、1月にはアスペンホールでミドルスクールの生徒を前に英語でプレゼンする機会を設けました。英語は身に付けることが目的ではありません。英語を使って「何を伝えるか」が大切なのです。多くの学校では、英語のプレゼンをするにしても授業の中でクラスメート(日本人)に伝えています。アメリカで同年代に発表する機会がある中学校は日本でもまれだと思います。
小中一貫教育の利点も生かしています。占冠中央小学校では「考えさせる教育」を推進しています。小学校の総合的な学習の時間での「調べて、まとめ、発表する」活動が中学校での探究の基盤になっています。また、本村の大学連携を生かし、今年度は「地域課題解決の提案型」として2学期は北海道大学の学生にプレゼンを行い、アドバイスをもらう機会も設けました。
これらが占冠中学校をブランド化するために必要なことだと思っています。本校の活動を日本中に発信するため令和6年12月ホームページを開設しました。これからも可能な限り積極的に発信していきます。
占冠中央小学校と占冠中学校の教育目標は「未来を切り拓きたくましく生きるこども」です。両校は学校の未来を切り拓くためにこれからも教育活動を可能な限り充実させていきます。地域の皆様にはこれからも占冠中央小学校、占冠中学校への応援をよろしくお願いします。
令和7年7月 1学期を終えて、これから
全校生徒6人、教員数が1人減った中でのスタートでした。そのため担任を2人体制(1,2年生複式学級と3年生単式学級)にし、4月から1,2年生のすべての教科で複式授業を行っていました。7月からは学級は複式のままですが、前年度通り1、2年生も国語、数学、社会、英語では単式の授業を行っています。また、合同運動会、1年遠足、2年宿泊研修、3年修学旅行で多くのことを学びました。現在は合同文化発表会の準備に取り組んでいます。
本校は昨年度から探究に取り組んでいます。学校祭での発表も一人一人の個性が生かされていました。「興味があることが深掘りできてよかった。(生徒)」「生徒に自由にテーマを決めさせるやり方でよかった(教師)」等の成果があり、課題が3つ見つかりました。
①紹介や調べ学習にとどまっていた。
②発表の仕方をもっと上達させる必要がある。
③発表に対しての聞き手の反応が薄いこと
があげられました。
それらを解決するため
①大学のゼミのように一人一人に担当者(教師)をつける。
②複数回の発表の場(教師を含めた生徒の前でのプレ発表→北海道大学の学生に向けて→合同文化発表会)を設ける。
③「SDGsの視点から考える占冠村」をテーマにし「提案型」にする。
として取り組んでいます。現在生徒は6人しかいませんが、再生可能エネルギー、観光客誘致、災害対策、ゴミ処理問題等のテーマで取り組んでいます。最初に設定したテーマを探究していくうち、提案型にしづらいことや深まりに欠けることに気がつき、テーマを変更した生徒、小学校の総合的な学習の時間の「占冠村をPRしよう」という単元で取り組んだ内容をさらに広げ、深めている生徒、昨年度取り組んだテーマをさらに深掘りしている生徒もいます。地元の課題解決なので役場の農林課、建設課、木質バイオマス生産組合、社会福祉協議会、廃棄物処理業者に取材をしたり、富良野市市役所にメールで問い合わせたりしています。また、村民の意見を聞くため回覧板にアンケートを入れてもらい、役場や支所で回収させていただきました。2学期には北海道大学の学生にプレゼンを行い、指導をもらう予定です。9月27日に小中合同文化発表会で探究の成果を発表します。
1学期を終えますが、占冠村、教育委員会、地域、保護者の皆様には大変お世話になりました。2学期も本校の教育活動にご理解とご協力をお願い申し上げます。
中学校での教育の質を確保するためには、教員の安定的確保と学校で行う教育の質と内容の充実が必要です。
教職員定数
「小学校及び中学校の県費負担教職員定数配置基準」で学校の教職員の数が決まっています。教職員には校長、教頭、教諭が含まれます。
小学校は6学年あるため普通学級が6つの場合定数は8です。校長、教頭、教諭6人の構成です。教諭全員が担任になります。
中学校は3学年あるため普通学級が3つの場合定数は9(中学校の教科が9種類あるからだそうです)です。校長、教頭、教諭7人の構成です。このうち教諭3人が担任になります。小学校は担任が全教科を教えるのに対し中学校は教科担任制をとっているため定数が多くなっています。
また、特別支援学級1つで1人、2つで小学校は2人、中学校は3人です。
養護教諭と事務職員と教頭の配置
養護教諭は4学級以上、または3学級で全校児童生徒が11人以上、事務職員は4学級以上、または3学級で全校児童生徒15人以上の場合配置されます。教頭は3学級(特別支援学級を含む)以上で配置されます。
義務教育学校の定数について
前期課程(小学校)と後期課程(中学校)を別々に計算します。校内で教頭は2人、校長は1人です。前期課程の定数内で校長を置く場合、後期課程の校長の分は教諭を置くことができます。義務教育学校は校長が一人のため、教諭1人を確保できます。
小学校での複式学級
小学校は2つの学級を合わせて16人以下の場合複式学級になります。例えば3年生が10人で4年生が6人の場合で、平均すると各学級8人以下の場合は複式学級になります。ただし、1年生は2年生と合わせて8人以下の場合に編制します。一般的に1、2年と3、4年と5、6年の3学級になります。欠学年の場合は学級をまたいで(4年生と6年生)組む場合もあります。
授業は2つの学年をまとめて一人の先生が担当します。片方の学年を指導している間、一方の学年は担任の指示で自主的に学習します。一般的に実験がある理科や音声が伴う外国語は複式での授業が難しいため、6年生で理科、5年生で社会のように別の教科をセットにして一人の担任が指導することもあります。また、教頭先生などが片方の教科を教えることで複式を解消する場合もあります。
教職員定数は複式の普通学級が3つの場合、4(全校生徒が15人以下)~5(全校生徒が16人以上)です。4の場合は校長、教頭、教諭2人の構成です。教員が2人しかいませんので教頭が担任を持つことになります。もった場合は児童が下校した後に教頭の仕事をすることになります。教頭の負担はかなりのものです。
占冠中央小学校の状況
令和7年度占冠中央小学校(全校児童30人)は複式の普通学級3つで定数が5、特別支援学級が2つなので定数が2の合計7人です。校長、教頭、教諭5人の構成で、全員が担任です。当然空き時間はありません。本村は小中一貫教育校のため相互に教員を派遣しており、令和6年度は中学校から英語と理科の教員を派遣しました。中学校の理科教員は6年生、5,6年担任は5年生の理科を教えたので単式の授業でした。一方中学校の英語の教員は5,6年生で外国語の複式授業を行いました。英語の授業をしているとき、小学校の音楽の先生が中学校に来るため単式の授業ができなかったためです。令和7年度は中学校の定数減のため英語の教員のみの派遣になりました。生徒数の減少が小中一貫教育に少なからず影響を与えています。
小学校においては6学年あるため養護教諭と事務職員が置けなくなる心配はありません。今年度から学校共同事務室制度を使い、事務職員は2人になりました。
中学校での複式学級
中学校は2つの学級を合わせて8人以下の場合(平均4人以下)で複式学級になります。定数は6で、校長、教諭5人構成で、2学級のため教頭は配置されません。小学校は複式学級3の場合定数が4なので担任以外校長しかいないため複式を解消することができません。中学校は複式学級を含めた学級2で定数が6で、教諭が5人いるため、複式を解消し、運用上3学級の単式授業が可能です。また、教員が5人いると国語、数学、社会、理科、英語の教員を確保しやすくなります。ただ、特別支援学級がない場合は2学級編制になり生徒数も小学校の半分なので、養護教諭や事務職員の配置が厳しいのが現状です。
占冠中学校の状況
令和元年度に開校以来初めて複式学級になり、次年度も続きました。令和3年度から4年度は単式学級でした。
令和5年度 校長、教頭、教諭7
全校生徒が17人、複式学級と特別支援学級で教職員定数が9で養護教諭、事務職員がいました。小学校には理科、保健体育の先生を派遣していました。小学校からは音楽の教員を派遣してもらっていました。令和4年度から美術の非常勤講師がいました。
令和6年度 校長、教頭、教諭5
全校生徒が9人、複式学級と特別支援学級で教職員定数が7になり、教頭が授業をもちました。小学校には理科と英語の先生を派遣していました。美術の講師の他に免許外加配制度を利用し、新しく技術教員を確保しました。部活動も野球部とテニス部がありました。養護教員は未配置になりましたが、中央小から応援をもらい、事務職員は未配置のために村の会計任用職員を採用してもらいました。
令和7年度 校長、教頭、教諭4
全校生徒が6人、学級数は前年度と変わりありませんが普通学級の生徒数が5人のため、教職員定数が6(校長、教頭、教諭4)人になりました。教諭が減ったため小学校には英語の教員のみの派遣になりました。免許外加配制度を利用し、美術、技術の他に理科の非常勤講師を確保しました。引き続き養護教諭は中央小学校から応援をもらい、事務職員も引き続き村の会計任用職員を充ててもらっています。部活動は加入生徒がいないので廃止になりました。
令和8年度 校長、教諭5
全校生が7人、複式学級で教職員定数が6になり、教頭が置けない分教員が1名増えます。教員が増えるので授業には昨年度より余裕があります。教頭がいない分校長が教頭の仕事をします。養護教諭、事務職員が引き続き未配置です。
令和9年度以降も年度によって複式学級が生じます、それに伴い教頭、養護教諭、事務職員の配置も流動的です。これでは安定した教育の質の維持が難しくなります。
2019年から2037年までの見通し
*令和9年以降は普通学級のみで予想しています。特別支援学級が増えると教頭が配置できます。
令和元年度 生徒数15 複式 定数7 養護○ 事務○
令和02年度 生徒数15 複式 定数7 養護○ 事務○
令和03年度 生徒数19 単式 定数9 養護○ 事務○
令和04年度 生徒数20 単式 定数10 養護○ 事務○
令和05年度 生徒数17 複式 定数9 養護○ 事務○
令和06年度 生徒数09 複式 定数7 養護× 事務△(村会計任用職員)
令和07年度 生徒数06 複式 定数6 養護× 事務△(村会計任用職員)
令和08年度 生徒数07 複式 定数6 養護× 事務× 教頭×
令和09年度 生徒数14 複式 定数6 養護○ 事務× 教頭×
令和10年度 生徒数19 単式 定数9 養護○ 事務○ 教頭○
令和11年度 生徒数21 単式 定数9 養護○ 事務○ 教頭○
令和12年度 生徒数12 複式 定数6 養護× 事務× 教頭×
令和13年度 生徒数12 複式 定数6 養護× 事務× 教頭×
令和14年度 生徒数15 複式 定数6 養護× 事務× 教頭×
令和15年度 生徒数15 単式 定数9 養護○ 事務○ 教頭○
令和16年度 生徒数13 単式 定数9 養護○ 事務× 教頭○
令和17年度 生徒数13 複式 定数6 養護× 事務× 教頭×
令和18年度 生徒数10 複式 定数6 養護× 事務× 教頭×
令和19年度 生徒数07 複式 定数6 養護× 事務× 教頭×
このように教育の質の確保には単式学級を維持することが重要です。単式学級を維持するには、各学年に5人以上が必要になります。現在本村に5人以上の子どもがいる世代(12才以下)は半分もいません。
トマム学校は義務教育学校なので前期課程と後期課程の先生方がより綿密に連携しながら教育を進めています。ただ、令和7年度前期課程の児童は11人(全4学級、定数5)、後期課程の生徒は2人(全1学級、定数4)です。トマムの後期課程は本校より厳しいです。
先日、神宮外苑、日本橋地区の再開発を行っている三井不動産会長菰田正信氏の講演を聴きました。経営理念の「&」を通して2項対立ではなく共存、共生させることを重視し、ハードからソフトへ、人が主役のコミュニティーづくりを目指しているそうです。不動産開発は建物を立てて終わりではなく、その場所で質のいいサービスを提供することにより、人とのつながりの魅力を感じて、そこで暮らしたいと思ってもらえることが大切だと話していました。
学校に例えると校舎(ハード)だけではなく、教育の内容と質(ソフト)が大切であるということだと思います。高校は「選ばれる」ため、生徒数確保に必死です。2年連続で1年生が20名を切ると募集停止になります。しかし、公立小中学校は基本的に地元の子どもが通うため、私立学校のように選ばれることがありません。
教育の質の確保のために占冠中学校を「占冠村に引っ越してもいいから我が子を通わせたい」と思っていただける学校にしたいと思っています。本校は公立学校であり、私立学校ではないこと、そのため高校で生徒を集めるよりハードルが高いと思っています。そのため、現在高校で取り組んでいる「探究」を中学校で先取りし、北海道大学との連携、アスペンとの交流を生かし、取り組んでいます。
前述の三井不動産菰田会長は日本橋再開発にあたり、東海道の起点である日本橋に青空を取り戻したいと思っていたそうです。しかし実際に撤去するのは非常に難しいと感じていたそうです。開発を進めていく上で、日本橋の上を通過している高速道路を撤去できることになり、「本当に高速道路を撤去できるとは思っていなかった」と話していました。
本校もそうありたいです。
かつてトマム学校と占冠中学校はそれぞれ別々の修学旅行を行っていましたが。生徒数の減少から令和2年度からトマム学校と合同の修学旅行になりました。令和5年度から始まった仙台への修学旅行は今年度3年目を迎えました。
令和5年度、令和6年度の行程は以下の通りでした。
1日目:両校から村のバスを出していただき、千歳空港まで行きます。そこから空路で仙台空港に行き、鉄道を使って、市内のホテルにチェックイン後、再び鉄道で松島海岸に行き遊覧船に乗ります。松島は日本3景の一つです。夕食は仙台市内で牛タン定食です。
2日目:仙台市内の自主研修をします。グループごとで朝9時から夕食を含め19時まで行います。仙台を巡るバス「ループル」を使うグループがほとんどです。仙台地区には松島瑞巌寺、大崎八幡宮の2つがあります。いずれも歴史のある建造物です。また、仙台市の人口は109万人で札幌市195万人に比べ約半分の人口ですが、東北大学の各キャンパスが市内に点在し大学の存在感を感じます。東北大学は東京大学、京都大学を押さえて国大卓越研究大学に指定されています。
3日目:ホテルから仙台うみの杜水族館に行きます。老朽化した松島水族館を引き継いだ水族館で、東日本大震災の津波で被害にあった場所に作られています。その後、バスで仙台空港に向かい、空路で千歳空港に帰ります。そこからは村のバスで占冠村まで帰ってきます。
本校では安全教育として年に2回の避難訓練(火災と地震)と小学校と合同の1日防災学校を行っています。平成30年に北海道胆振東部地震、令和6年に能登半島地震があり、近年、南海トラフ地震や日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震への備えも話題になっています。6月には日本海側の巨大地震で生じる道内市町村別の最大死者数と津波の高さが公表されました。
占冠には地震は来ても津波は来ませんが、将来子どもたちが津波の危険がある場所で生活するかもしれません。そこで実際に津波の被害を受けた場所を見学することによって命の大切さや災害への備えを学ぶ機会を設けました。うみの杜水族館からバスで仙台空港に向かう途中に震災遺稿荒浜小学校(2011年3月11日に発生した東日本大震災において、校舎2階まで津波が押し寄せ、大きな被害を受けました。震災当日、児童や教職員、住民ら320人が避難したその校舎を震災遺構として公開し、東日本大震災の教訓と地域の記憶を、後世へ伝えています。)があります。今までは空港へ向かうバスの車窓から姿を見るだけでした。昨年度、生徒が仙台市内の自主研修をしている時間を利用してバスで現地に行き、見てきました。担当の方ともお話をして訪問する意義が大きいと判断しました。また、移動に利用した貸し切りバスの運転手さんとも話をし、仙台市内から空港に行く途中に立ち寄れること、閖上地区の見学もできること、日程的には水族館との両立は難しいこと等についての情報を得ることができました。そこで、今年度は仙台うみの杜水族館に代えて震災遺構訪問(荒浜地区住宅基礎と荒浜小学校)を取り入れました。
生徒の学び
実際に津波の被害を受けた住宅や校舎を見学し、被災した児童等の話をビデオで聞いたことにより子どもたちは「今過ごしている日常が当たり前ではないこと、家族・友人など身近な人を大切にすること、いつ起こるかわからない災害に普段からしっかり備えること、震災のことを知り見て聞いたことを伝えていくこと、いろいろなことを学び、いろんな気持ちのなった時間でした。(3年学級通信から引用)」という感想を持ったようです。トマム学校でも特に印象に残ったのが震災の影響を受けた地域の見学だったそうです。
教師の学び
先生方も訪問するのは初めてでした。施設内で見た映像の当時の担任の証言では、「子どもを落ち着かせるために大丈夫だよと言っていましたが、自分自身本当に大丈夫かなって思っていました。」等の貴重な情報を得ることができました。
毎年全国の教職員を対象に311被災地視察研修が行われています。3泊4日の日程で被災地を見学する研修会で荒川小学校も訪問することになっています。修学旅行引率とはいえ占冠村の教員が荒浜小学校を実際に訪問することによって子どもの生命を守ることの大切さについて改めて考える機会を持てたこともよかったと考えています。まさに子どもと教師の学びは相似形でした。
5月31日に小中合同運動会を開催しました。小中一貫教育の行事として今年度で3回目を迎え、毎年改善を図り実施しています。令和4年度までは占冠中央小学校は運動会、占冠中学校は体育大会を別々に行っていました。本校の体育大会では綱引きと長縄跳び等を実施しており、令和5年度初めての合同運動会を実施するにあたり、綱引きを廃止して長縄跳びを行いました。長縄跳びはチームワークが重視され、跳んだ回数を競い達成感を味わうことができる種目でした。昨年度、生徒数減少(16人から9人)により長縄跳び実施が難しくなりました。そのため長縄跳びをやめ、中学生の綱引きを例年小学生が行っていた5色綱引きと統合しました。今年度、全校生徒が6人になり、中学生を紅白に分けて競い合うことも難しくなりました。そのため、今まで紅白の応援団長を中心に行っていた応援合戦を1つにして実施しました。応援合戦は体育の授業で学習した「ダンス」を披露し、多くの方から高い評価をいただきました。また、中学生だけのリレーも小学生が行っていた4色リレーと統合し、小中学生が一緒に走る2色リレーを実施しました。紅白に分かれて20名近くの小中学生が一緒にリレーを競い、会場は大いに盛り上がりました。さらに、中学生だけで行っていた種目も保護者を入れたものに変更しました。結果的に小学生と中学生が合同で行う種目が増え、中学生のリーダーシップを発揮する場面も増えました。保護者をはじめとする多くの方の温かい応援、競技や後片付けへのお手伝い等に深く感謝を申し上げます。このように両校は変化に対応しながら小中一貫教育を進めています。
占冠中央小学校と本校の教育目標は「未来を拓き たくましく生きる子ども」です。
教育目標を達成するためにわかりやすく目指す子どもの姿を設定しています。
「義務教育修了段階で目指す子どもの姿」
① 「自分らしさをもち、進んで挑戦する子ども」令和6年度の重点
② 「思いやりをもち、周囲と関わる子ども」
③ 「夢をもち、これからの時代を歩み続ける子ども」令和7年度の重点
本校は教育目標を達成するために①から③の子どもの姿を実現したいと考えており、令和6年度から具体的に取り組んでいます。まず、①「自分らしさをもち、進んで挑戦する子ども」の育成を目指すため、昨年度の重点は「進んで探究する生徒」にしました。「探究」はこの年から新たに取り組みを始めたもので、目指す子ども像を実現するためのステップとしました。学校評価から見ると概ね達成することができました。
令和7年度(今年度の取組)は「思いやりをもち、周囲と関わる子ども」を重点にする予定でした。昨年度行った学校評価の生徒アンケートに「思いやり」に関する項目があります。「思いやりをもって仲間と接していますか」というのがそれにあたります。この質問に「当てはまる」「ほぼ当てはまる」と回答した生徒は100%でした。また、本校では校内だけではなくいろいろな方面(ナナメの関係)で「周囲と関わる」(詳しくは令和7年4月分をご覧ください)機会も多いため、②に関しては概ね達成できていると判断しました。そのため今年度は③「夢をもちこれからの時代を歩み続けるこども」を重点にしました。
令和7年度占冠村教育行政執行方針には「各教科や特別活動の探究的な学習や体験活動を通じて、多様な他者と協働しながら、ふるさとを愛し、持続可能な社会の創り手となることができるよう」「自ら学び、自らが考える力を育てる探究型の授業を充実させてまいります」とあります。
村の方針を達成するため「提案型の探究を通して」をサブタイトルとして掲げました。昨年度から本格的に取り組み始めた「探究」を今年度さらにパワーアップして取り組みます。また、家庭学習の定着とメディア(スマホ、ゲーム等)との付き合い方に関しては家庭と協力しながら取り組んでまいります。
学校の規模に応じた教職員定数~本校の状況~
本校の教職員定数は令和4年度10名、令和5年度9名、令和6年度7名、今年度6名、 → 来年度も6名です。 今年度は校長、教頭、教諭4名、事務職員と養護教諭は未配置です。そのため、美術の非常勤講師(兼特別支援教育支援員)、技術科教諭(本校と樹海学校、南富良野中学校、トマム学校、麓郷中学校兼務)、理科の非常勤講師(兼学習支援員)、占冠中央小学校から音楽科教諭と養護教諭で対応しています。本校の英語科教諭は中央小学校の5,6年生を教えます。道費の事務職員が配置されないため、今年度も村の会計任用職員を配置していただきました。昨年度は本校から6年生に理科を教えに行っていましたが、条件が合わず今年度は行っていません。今年度中央小学校に新たに「占冠村共同学校事務室」が設置され、事務職員が2名配置されました。本村の3校の業務共通化と効率化を図るため、今年度取り組んでいきます。
来年度は教頭も未配置になり、教員定数減少で非常に厳しい現状ですが、時間講師、加配教員を活用し教育の質を落とさないよう、精一杯の努力をしてまいります。今年度も本校の教育活動にご理解とご協力をお願いいたします。
今年度の重点教育目標「進んで探究する生徒」を概ね達成できたと考えております。本校は少人数と小中一貫教育の良さを生かし、一人一人にきめ細かい指導を行ってまいりました。全国学力・学習状況調査では全道、全国平均を上回る結果を出し、英語力の参考となる英検IBAではほとんどの生徒が各学年で求められている基準を上回っております。総合的な学習の時間で行った「探究」では一人一人が興味のあるテーマを深掘りしました。成果を学校祭で発表し、その場の質問にも答えるという大人でさえ難しい高いハードルもクリアしました。学んだことを外に広げる場面も積極的に設定しました。タテ(先輩後輩)、ヨコ(同級生)の関係ではなくナナメの関係と言うそうです。
①小学生と
今年で2回目となる合同運動会では一生懸命に取り組む姿勢で「こんな中学生になりたい」という姿を発揮しました。
②地域の方と
山菜教室では熊や自然との共生、自然の豊かさを学びました。清流大学生やとまーるの方々との交流も行いました。
③議会関係者と
コミュニティースクール議会では仕組みを学び、質問づくりを通して占冠の未来を考えました。議員答弁に再質問するという目標を見事にクリアし、議会関係者の高い評価を得ることができました。
④北大関係者、占冠移住者、星野リゾートトマム従業員と
ふるさと教育では山中教授のSDGsに関わる講義(3年間)聞いたり、占冠に移住した方(昨年度)やリゾート従業員と働く意義について学んだりしました。占冠村への愛着度目標も達成しました。
⑤上川管内小中高校生と
どさんこ☆子ども上川地区会議ではオンラインで生徒会役員がいじめをなくす取り組みについて話し合いました。
⑥旭川・富良野へ
2年生の宿泊研修では旭山動物園訪問、富良野での野菜収穫、ピザ・アイスクリーム作り体験をしました。
⑦帯広へ
1年生の遠足では帯広で農業体験、これからの農業の在り方について学習をしました。
⑧北海道へ
子どもの意見表明推進事業では「環境問題」「人口減少問題」に関して自分の意見を考えました。
⑨仙台へ
修学旅行で仙台に行き歴史等を学びました。
⑩海外(アメリカアスペン)へ
占冠を英語で紹介する機会を設けました。アスペンの生徒が本校を訪問したときには7人を前にして発表、アスペン訪問時は350人以上のアスペンミドルスクールの生徒を前に発表しました。アメリカで英語を使って自分の村を紹介する機会のある学校は日本にもほとんどないと思います。
本校に関心をもっていただき、本村に移住してでも子どもを通わせたいと思ってもらうためには魅力的で実績に裏付けられた教育活動が前提です。その上で「情報発信」を行いました。北海道新聞の富良野版には本校の記事を7回掲載していただきました。おそらく富良野地区の学校では最多だと思います。また、ALTのグレイソンさんはアスペンタイムズで学校祭の記事を掲載してくれました。ホームページでは生き生きとした子どもの姿を紹介しています。
ここまで充実した教育活動ができたのは保護者、地域、占冠村教育委員会や役場の皆様のご理解とご協力があったからです。本当にお世話になりました。この場をお借りしてお礼申し上げます。来年度もよろしくお願い申し上げます。
杉本昌隆さん(藤井聡太さんの師匠)の話を聞く機会がありました。将棋界には師弟制度があり、弟子たちは師匠から将棋を学んで来たそうです。最近はAIが活用されるようになり、弟子たちに「先生が教えてくださった差し手をAIで試してみましたが、勝率が低かったです」と言われることもあるそうです。もし、師匠の役割が弟子に将棋の勝ち方だけを教えることであれば、師匠は必要ないかもしれないと感じました。
2015年に発表されたオックスフォード大学と野村総研のレポートでは小中学校の教員は人工知能やロボット等による代替可能性が低い業種とされていました。2024年の大和総研のレポートでは高等学校の教員の仕事の半分がAIで代替できるとされています。教員の仕事が「知識伝達」だけであれば、教員は必要ないでしょう。
先月号「子どもの学びと大人の学びは相似形」でも触れましたが、今年度から取り組んだ「探究」では「もっとこうすれば、子どもが伸びるのでは」という改善点が見つかりました。来年度は子ども一人一人の学びをさらに引き出し、主体的な学びを支援する伴走者として取り組んでいきます。
「教員の数について」
さて、生徒数の減少に関わる話をしたいと思います。教職員の数(定数)は法律で決められています。中学校は基本1,2,3年生の普通学級3つで定数は9名(校長、教頭、教諭7名)、養護教諭、事務職員です。
しかし、1年生4人、2年生4人、3年生4人の場合は2つの普通学級の人数が合計8人以下のため複式学級になります。1、2年生複式学級と3年生単式学級の2学級になります。その場合定数は6(校長、教諭5名)で教頭は配置されません。特別支援学級1学級ある場合は定数が1加算されます。養護教諭は3学級(特別支援学級を含む)かつ全校生徒が11名以上、事務職員は3学級かつ全校生徒が15名以上で配置されます。
今年度、生徒数が9名のため養護教諭と事務職員が未配置になりました。養護教諭は中央小から兼務発令を出していただき、事務職員は村の会計任用職員を配置していただいています。来年度は生徒数が6名になり養護教諭と事務職員が未配置、1,2年生の複式学級と3年生の単式学級、特別支援学級1の3学級になります。普通学級2学級で定数6ですが、普通学級の生徒数が5名のため定数が5になります。特別支援学級があるので定数は6になります。校長、教頭、教諭4名になります。今まで担任が各学年に配置し、実質4学級で運用していましたが、教員が4名しかいませんので4学級で授業をすると時間割が回らないため、複式学級を導入します。令和8年度は定数6で教諭が5名に戻りますが、2学級のため養護教諭と事務職員に加え教頭も未配置になり、校長が教頭と事務の一部業務を担うことになります。令和9年度以降一時回復する時期もありますが、1学年5名以上を維持するのは難しいようです。本校としては教育の質を落とさぬよう努力します。「探究」を目玉とした学校の魅力化にも全力で取り組んでいきます。
先日、学校運営協議会で今年度の学校評価と来年度の学校経営案を承認していただきました。これからも本校の教育に対してご理解とご協力をお願いします。
3学期が始まりました。3年生は面接試験等が始まり自分の未来を切り拓くため、勉強に一生懸命取り組んでいます。1,2年生も進級に向け目標を立て元気に学校生活を送っています。始業式では1年間の復習を含め勉強を頑張るよう話をしました。
「子どもの学び」
NHKアカデミアという番組の中で国連事務次長・軍縮担当の中満泉氏が「激変している中でこれまで通りでは解決できないことがたくさんある。若い人の新しい知見、視点がそういったものが非常に重要なインプットになる。参加するだけでなく未来の地球の責任者である若者たちが主導して議論を行い、意思決定すべきではないか。」と言っていました。本校の子どもたちは9教科で学習したことを生かし、CS議会やふるさと学習で占冠村に、子どもの意見反映事業では北海道に関わっています。それぞれの取組を通して議論し考え、意見を表明してきました。占冠村ならではの貴重な活動です。
「教職員の学び」
北大学術研究員の神さんは「生徒が探究に取り組むと、まず生徒自身が育ち、それから先生方も育ちます。」と話していました。我々教師は今年度の「探究」の取組を通じ、「子どもの学びとどう伴走するか」を学び、来年度さらに充実させていきます。
「大人の学び」
子ども意見反映事業では「今日、皆さんに意見をもらう人口減少や環境問題は大人がきちんと考えていかなければならないことなんだけどね」と言っていました。中満氏は娘から「お母さんの世代が失敗してこれだけの問題があるのだから、無責任に若者にこれを解決しろとバトンを渡すなんてそれは無責任、そんなことは言わないでほしい」と言われたそうです。学校祭での探究発表、CS議会等で関わっていただいた方々も学んだと考えています。子どもたちと大人が学んで高め合うって素敵なことではないでしょうか。
中央小と本校の教育目標は「未来を切り拓き、たくましく生きる子ども」です。私の役割は「占冠中学校の未来を切り拓き、たくましく生きる」ことです。上川教育局長に本校の探究を紹介した際「京都堀川高校の奇跡」を例に出して、高い評価をいただきました。これらの取組がいつか「占冠中学校の奇跡」につながることを願い、3学期も本校の教育活動にご理解とご協力をお願いいたします。
7月~9月に「探究」、10月に「ふるさと教育」に取り組みました。その後、コミュニティ・スクール議会(11月)では昨年度いただいた助言を元に再質問をすることを目標に参加しました。議会関係者からは「去年に比べ格段にレベルアップしている」「自分たちも勉強になった」「子どもたちが立派だった」いう感想をいただきました。
また、総合的な学習の時間(12月)では1年生が「探究」で取り組んだことを生かせる職業について調べて発表をしました。子どもの意見反映事業(12月)では「人口減少」「環境保護」について意見をまとめました。これらの取組を通じて「進んで探究する生徒(本校の重点)「主体的に地域に関わる生徒(北海道、上川管内の重点)」の育成を行っています。
上川管内どさんこ☆子ども会議では生徒会役員2名が参加し、いじめを防止するために何ができるかを話し合いました。3年生家庭科の保育所実習では、情報端末で作った絵本を読み聞かせしたり、遊びを企画したりして、保育士の方から高い評価をいただきました。清流大学との交流では「あっという間の時間でした。もっともっと一緒に学んでみたかったです」「高齢者の生徒でも自由に親しく会話して頂き、授業をリードして笑いの中で楽しく終わることができました。ありがとう!」という感想をいただきました。小規模校ですが、上川各地の児童生徒たちと村内の方々との関わりも充実させています。
6月に続き2回目のいじめに対する意識アンケートをとりました。「いやな思いをした」「友人がいやな思いをしているのを見たり、聞いたりしたことがある」生徒はいませんでした。いやな思いをした時に「誰にも相談しない」と回答した生徒もいませんでした。今後もいじめの予防と対策に取り組んでいきます。家庭でもなにか気になることがあれば、また、地域での子どもの様子で気になることがあれば連絡をください。
学校経営の改善のために生徒、保護者アンケートを実施しました。冬休み中に分析をして、本校の対策を提案させていただきます。今月中旬より本校の事務職員が産休と育休に入ることになりました。小中一貫校として中央小学校からの応援もいただき子どもへの影響が出ないよう全力を尽くします。今学期も本校の教育活動にご理解とご協力をいただき深く感謝申し上げます。
第2期占冠村まち・ひと・しごと創生総合戦略から
集落の維持・活性化のためには、学校を中心とした地域づくりが重要である。魅力ある地域づくりのためには現在、実践しているコミュニティ・スクールを推進し、若い世代だけではなく元気な高齢者も含めて地域全体での取組を進めることが必要である。
令和6年度教育行政執行方針から
川の学校、森の学校や羊の学校などの体験学習を継続し、ふるさとへの豊かな自然や産業を学び、愛着と誇りを育むため、ふるさと教育を推進してまいります。
地方創生を目的とした「まち・ひと・しごと創生法」を受け、本村は令和2年度に計画を策定しました。計画の「4.時代に合った地域づくり」で「中学生の占冠村への愛着度(令和6年度)を4.6点(5点満点)以上とする」という数値目標を設定しました。このたび最終年度の結果で4.6を達成しました。
ふるさとに関する取組
平成24年(2012) 北大環境大学院・星野リゾートトマムと連携協定締結
平成27年(2015) 中央小が文部科学省「少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業」の指定を受ける。
平成29年(2017) トマム義務教育学校発足
平成30年(2018) 占冠中と中央小が施設分離型小中一貫校になる
令和元年(2019)新型コロナ感染症により2月末から3月中旬まで臨休
令和2年(2020)同様に4月中旬から5月末まで臨休
3月 第2期占冠村まち・ひと・しごと創生総合戦略策定 占冠村への愛着度4.8
令和3年(2021) 占冠村への愛着度4.4
令和4年(2022) ふるさと教育推進授業開始 占冠村への愛着度4.2
令和5年(2023) コロナが5類移行 ふるさと教育授業2年目
アスペン交流30周年 占冠村への愛着度4.4
令和6年(2024) ふるさと教育授業3年目 探究活動開始 占冠村への愛着度4.6
占冠中央小、中学校、トマム学校で取り組んだ占冠を生かした活動の成果といえるのではないでしょうか。子どもたちが11月27日にコミュニティ・スクール議会で一般質問を行い、12月3日には上川管内の中学校の代表として子ども意見反映事業で「人口減少問題」「環境問題」について考えます。占冠の子どもの未来のために、中央小学校と占冠中学校は小中一貫校として質の高い教育に取り組んでいます。今後とも本校の教育活動にご理解とご協力をお願いします。
「ふるさと授業」でお世話になった山中教授に感想をいただきました。教授はSDGs教育や探究活動の第1人者です。高校の総合的な探究の時間の取り組み方を高校教員や高校生に説明したり、道教委高校担当指導主事にも「社会を変える力を身につける」という内容で講演したりしています。中学生に対する授業を行っているのは占冠村だけだそうです。講義も3回目で内容は大分わかりやすくなっていますが、中学生にとって難しい内容でした。山中教授は本村の生徒の理解力や考える力、質問する力は札幌市内の高校生、もしかしたら北大の学生よりもレベルが高いのではないかと褒めてくださいました。
ALTのグレイソンさんが本校学校祭の記事をアメリカコロラド州のアスペンタイムズに寄せています。以下に英語記事のAIの翻訳版(全文ではありません)を紹介します。
「一ヶ月間、生徒たちはプログラムしたビデオゲームの不具合を修正したり、講義に伴うPowerPoint プレゼンテーションを作成したりして忙しくしていました。中学校にはわずか9 人の生徒しかいないため、全員が中心的な役割を果たしました。一連の研究発表では、すべての生徒が視覚的に豊かなスライドを使用していたため、私も内容を追うことができました。占冠村に来て以来、この小さな村の生徒たちが、もっと多くのクラスメートと交流し、もっと多くの課外活動に参加できる大きな学校で、より良い学問的経験を得られるのではないかと考えることがありました。今では若者たちが何を逃しているのかを心配するのではなく、このような「ブティック」教育体験が生徒たちに提供する素晴らしい利点を評価する必要があるのではないかと考えるようになりました。アスペンタイムズリンク先 https://www.aspentimes.com/news/shimukappus-small-school-puts-on-a-big-show/
注:本人に「ブティック」という言葉をどのような意図で使ったのかを聞きました。アスペンにある高級店のことで「少量ではあるが質の高い品物を売る店」という意味で使ったそうです。
旭川の教育大学から実習生が1週間来ていました。小規模校では他の人の意見を聞く機会が少ないことが大規模校と比べ不利なのではと考えていたようです。しかし、小規模校故に発表の機会が多いこと、探究発表で大人からの質問のやりとりを見て、同年齢の横のつながりは少ないかもしれないが、地域の方との縦のつながりがあるという感想を残していました。彼らの高校時代の探究発表はグループ内だけだったそうです。本校生徒は全員に発表が保証されていることに意義を感じていました。
学校祭後何人かの教育委員さんにお会いする機会がありました。「学校祭の探究の発表を見たかった」という話を伺うことができました。11月にある教育委員学校訪問ではその様子について紹介できればと思っております。
「後期の本校の方針について」
アンケートの項目平均では保護者78%、生徒93%の肯定的評価をいただきました。本校の教育活動に概ねご理解をいただいたと感じております。改善点を分析し「家庭学習の習慣化」「学校での安心・安全な学習や生活」「学校でのモラル、マナー、社会のルール」「あいさつや場に応じた言葉遣い」の4点を課題とし、改善方針を立てました。先日の第3回学校運営協議会(占冠中央小学校と占冠中学校合同)で分析結果を説明、後期の方針について承認をいただきました。改善方針に則って重点的に指導してまいります。
「学校祭を終えて」
先日、多くの方をお迎えして学校祭を終えることができました。昨年度は猛暑で活動制限があったり、生徒数減少のため自由創作が各学年の発表から1、2年合同発表になったりしました。今年度は全校合唱と意見発表に代えて「探究」発表を行いました。保護者の皆様にはオンラインによる学校祭のアンケートに協力いただき深く感謝申し上げます。「自由創作」は生徒が脚本をつくり、ユーモアあふれる表現活動になりました。「探究」発表では自分が探究したいものを探し、総合的な学習の時間や国語の時間で16時間追求しました。自分が好きなものや興味を持っていることをテーマにしたことで、生き生きと取り組む様子が見られました。子どもの主体的な学びを重視するため、教師はそのサポート役として寄り添いました。
初めての取組で「教える」ということに慣れている私たちにとっても試行錯誤しながら関わり、新たな発見の連続でした。役場や他校の先生、地域の方に電話や直接取材をした生徒もいました。どなたも親身になって回答をいただいたことで子どもたちの「深い学び」につながりました。本番に備えたリハーサルや総練習では生徒同士でアドバイスをやりとりすることで、発表物の文字の色や大きさを見やすいように変えたり、伝えたいことがたくさんある中で時間内に納めるために、発表原稿を工夫したりして、発表に磨きをかけていきました。家で一生懸命に練習した生徒もいました。当日、保護者や地域の方の前で緊張しながらも楽しそうに、堂々と発表する姿がありました。当日は発表者全員に参加者から質問や感想、アドバイスをいただきました。「予測不可能」なぶっつけ本番の質問にも一生懸命に対応している子どもの姿に「たくましさ」を感じました。
また、会場でのやりとりを聞き、「その部分でつながるんだ」と新たな気づきもありました。この場をお借りして地域、保護者、小学校の先生方のご協力に深く感謝申し上げます。10月は「ふるさと教育推進授業」「清流大学交流」があります。教科で学んだ力をそれぞれの行事を通じて発揮させていきます。今後共本校の教育活動にご理解とご協力をお願いいたします。
31日間の長い夏休みが終わりました。占冠では第50回目を迎えた「ふるさと祭り」に参加するなど、子どもたちは有意義な時間を過ごせたようです。
さて、中学3年生を対象にした全国学力・学習状況調査の結果が先日公表されました。本校は国語、数学とも全体の平均正答率は全国平均より10ポイント以上上回っています。
学校経営の検証改善サイクルを充実するために今年度から保護者と生徒アンケートを1回増やしました。お忙しい中保護者の皆様には協力いただきありがとうございました。生徒、教職員のアンケート結果とともに本校の教育活動を「振り返り」、後期の「見通し」を明らかにしていきます。
2学期には多くの行事があります。学校祭では今年度の重点である「進んで探究する生徒の育成」の集大成として9名の「探究」発表会を一人5分程度で行い、「自分の好きなもの(こと)」の魅力を他者へ伝えます。多くの方に来場いただき、発表を見て質問をいただいたり、アドバイス、感想をいただいたりできればと思います。また、中央小学校の総合的な学習の時間で取り組んでいる「川の学校」「森林教室」「神楽の学校」「占冠村をPR」の学習を踏まえ、中学校では占冠を題材に子どもたちが視点を広げ、自分、そして自分たちの未来やありたい姿を考えるため、ふるさと教育推進授業を行います。
昨年度は北海道大学の山中教授の講義と占冠で起業したVOCKの方の話を聞きました。今年度は占冠で進む「国際化」「多様化」を知るため北海道大学、星野リゾートと連携した授業を予定しています。議会の仕組みを理解するためコミュニティースクール議会、アスペンからの短期留学生受け入れも前回の反省を生かし、改善を加え実施します。
さらに、子どもの意見尊重などを定めた「こども基本法」が昨年4月に制定されたことを踏まえて今年度、北海道では小中高生の意見を道政に反映させるために「こどもの意見反映推進事業」が行われます。各管内の小中高の3校、計42校を協力校に指定し、いくつかあるテーマの中から子どもの意見を集約します。本校は上川管内の中学校に選ばれました。現在テーマを調整しながら準備中です。
このように全校生徒が10名を切る状況ですが、2学期も9年間の小中一貫教育の利点を生かしトマム学校、地域と連携した教育活動を展開していきます。これらの質の高い教育活動を通じて村外から占冠中央小学校と占冠中学校に通わせたい(教育移住したい)と思えるような魅力的な学校にしたいと考えています。今学期も中央小学校と本校の教育活動に対しまして保護者、地域の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
本日で1学期が終わります。9名の生徒達は一生懸命学習や行事に取り組みました。第2回合同運動会は保護者の皆様の感想や「かっこいいと言われて嬉しかった」「最高学年としてみんなを引っ張れた」「小学生のリードができた」等生徒の感想から有意義な活動になりました。また、PTAの皆様に本校グランドのトラック部分の除草をしていただいたことに、この場を借りて深く感謝申し上げます。
「山菜教室」「陶芸教室」「人権の花運動」「認知症防止サポーター養成講座」等の充実した活動を地域の皆様のご協力で実施し、占冠ならではの学びを深めることができました。生徒に関わった役場の方や新聞記者さんからも本校の生徒が真剣に取り組む姿や積極的に自分の意見を発表する態度についてお褒めの言葉をいただきました。
6月の「いじめアンケート(2回目は11月実施予定)」では「冷やかしやからかい、悪口を言われたり、仲間はずれや無視、ぶつかられたり、たたかれたり、蹴られたり、お金や持ち物を隠されたり、いたずらされたり、恥ずかしいことや危険なことをされたり、させられたり、メールやアプリで悪口を書かれたり、仲間はずれにされたりして嫌な思いをした」生徒はいませんでした。また、「友人が嫌な思いをしている」のを見たり聞いたりした生徒もいませんでした。嫌な思いをしたときの相談相手は父や母、学校の先生、兄弟姉妹、友人の順で多く、「誰にも相談しない」生徒はいませんでした。2学期も生徒に寄り添いながら見守っていきます。保護者や地域の皆様にもご協力をお願いいたします。
部活動の地域移行(展開)についてですが、7月の中学校体育連盟(中体連)大会を最後に野球部、テニス部で活動する生徒がいなくなりました。今後の部活動の在り方(廃部、休部にするのか、今後入学してくる生徒の要望にどう応えていくのか)につきましては教育委員会と連携しながら協議してまいります。
今年度の夏休みは、昨年度の猛暑を考慮し、給食を配送してもらっている富良野市と連携して、5日延長し、31日間(冬休みは24日間)にしました。最近気温の高い日が続いていますが、昨年度設置していただいた保健室と1階教室にあるエアコンで暑さをしのいでいます。生徒会が中心となり、ネックリングを準備したり、水筒持参を提案したり、階段前に風鈴等を飾ったりして、学校生活をよりよくする活動をしています。
今学期も保護者・地域の皆様、教育委員会、役場、コミュニティースクールの母体である学校運営協議会、学校支援地域本部、各種団体に支えられ教育活動を行って参りました。来学期もよろしくお願いいたします。
3年前から高校では「探究」に重点が置かれました。その結果、総合的な「学習」の時間が総合的な「探究」の時間に変わり、古典探究、日本史探究、世界史探究、理数探究が新設されました。25年度には岩見沢東高校と西高校が統合されて「文理探究科」が新設されます。軽井沢町の私立幼小中一貫教育校「風越学園」や北海道長沼町の私立「まおい学びのさと小学校」でも探究活動が目玉の一つになっています。東京都三鷹市の学習塾「探究学舎」にも希望者が殺到しているそうです。
今、なぜ「探究」なのか。
総合的な学習の時間では、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うこと通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目標にしていることから、これからの時代においてますます重要な役割を果たすものです。(今、求められる力を高める総合的な学習の時間 中学校編 文科省)
自国の歴史や文化に深い理解を示すとともに、国際的な広い視野を持ち、高度な専門知識を基盤に、問題を発見し、解決する意欲と能力を備え、市民としての公共的な責任を引き受けながら、強靭な開拓者精神を発揮して、自ら考え、行動できる人材の育成(東京大学の学校推薦型選抜の趣旨)
占冠中央小学校と占冠中学校の教育目標は「未来を切り拓き たくましく生きるこども」です。切り拓くべき未来を考えたとき、「私」「あなた」「家族」「学校」「占冠村」「北海道」「日本」「世界」「地球」の未来とたくさん考えられます。本校は今年度、問題を発見し、解決する意欲と能力と自ら考え、行動できる生徒の育成のため「進んで探究する生徒」を重点目標にしました。総合的な学習の時間で従来の「国際」「職業」に加え「創造」分野において、生徒が自ら興味を持ったテーマ(占冠に限らず)で、教科の時間に学習したことを生かしながら「探究」を始めます。学校祭では生徒数の減少で実施が難しくなった全校合唱の代わりに成果発表の場を新設します。テーマによっては地域の方の助けをお借りすることもあると思います。その際には「地域で子どもを育てる」観点でご協力をお願いいたします。
先日「上川南学区公立高等学校配置計画地域別検討協議会」にオンラインで参加しました。公立高等学校配置計画にかかわる会議です。各高校は存続をかけ「地域の子どもたちから選ばれる高校づくり(魅力化)」をしながら生徒集めに努力しています。本校も生徒を増やすために「魅力化」が必要だと思っています。今ある本校の魅力を考えてみました。
「グリーン&ウェルネス(健康)」
去年11月にオープンした東京麻布台ヒルズのテーマです。そこに暮らすことで、人々が健康になれる街づくりのため、敷地全体を緑化、圧倒的な緑に包まれた環境の中で、人々が触れられる緑を目指し、四季ごとに表情を変える多様な植栽を行っているそうです。千歳で建設中の半導体工場ラピダスの完成図も建物が緑に埋まっている姿です。「自然体感占冠」が示すとおり占冠村は森の中にあります。自然一杯の中で学校生活を送ることができます。先日行った山菜教室に関しては「他の学校に見られない取組です。今まで記事になっていなかったので取材に来ました」と道新の記者さんが話していました。「ヨモギ」「ウド」「行者ニンニク」は漫画ゴールデンカムイでも紹介されています。
「連続した9年間の学びを支える小中一貫教育」
義務教育終了後の姿を設定し、小学校からは音楽の教員を迎え、中学校からは理科と英語の教員を送っています。運動会、1日防災学校等の合同行事も行っています。中1ギャップの緩和につなげると共に行事等を通して小学生が間近に中学生の姿に学ぶことができます。
「個別最適・協働的な学び」
「主体的・対話的で深い学び」を実現させるために充実が求められています。本校は一人一人にきめ細かい「個別最適」な指導ができます。「協働的な学び」に対してはトマム学校とのオンライン授業等を通じて行っていますが、さらに充実させていきます。
「SDGsの取組」
昨年度策定された「北海道教育推進計画」施策の柱「子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進」のためにSDGs・ESDの推進が求められています。本校はトマム学校と共に北海道のSDGs取組の第1人者である北海道大学大学院地球環境科学研究院山中教授の授業を「ふるさと授業」という形で受けています。一昨年度はゴミ問題、昨年度は地元に移住した方のお話しを交えて聞き、話し合いをしています。山中教授は道内の高校でも授業をしていますが、高校生に比べてもトマム学校と本校の生徒の話し合いや発表の質は引けをとらないとお褒めの言葉をいただいています。
「主体的に地域にかかわる児童生徒の育成」
中央小学校の総合的な学習の時間のふるさと学習(山の学校、川の学校、石の学校、神楽の学校、占冠村をPR等)で取り組んでいる内容を中学校でも充実、発展させていきます。コミュニティースクール議会では議会の仕組みを理解すると共に、質問を考える際に「ふるさと授業」で学習した内容や村づくり等の視点で考えさせています。
「グローバル人材の育成」
アスペンはアメリカでも富裕層が集まる高級山岳リゾート地です。冬季競技のエックスゲームズが定期開催されます。姉妹都市は「ヴィクトリア王女にふさわしい」という由来のあるニュージーランドのクィーンズタウン、イタリアのアベトーネ、南米のスイスと呼ばれるアルゼンチンのバリローチェ、冬季オリンピックが行われたドイツのガルミッシュ、リゾート地のフランスのシャモニー、ダボス会議が行われるスイスのダボスです。逆に言うと占冠村はアスペンに選ばれた村でもあります。村は30年間にわたりアスペンからの学生を受け入れ、アスペンに短期留学をする事業を行っています。それは全国学力・学習状況調査における英語能力と意識の高さに表れています。
以上のように占冠中学校には魅力がたくさんあります。占冠中学校に通わせてみたいと感じていただければ幸いです。
4月5日には17名の来賓を迎え、新入生2名の入学式を行いました。今年全校生徒は9名になりました。全校生徒が一桁になったのは開校以来初めてです。本校は昭和22(1947)年全校生徒数が72名で始まりました。昭和38(1963)年、村の開基60周年には200名を超えました。石勝線の計画、リゾート構想ができあがった昭和52(1977)年頃には100名を、平成9(1997)年以降には50名を下回るようになりました。2月の時点は、令和6年度の全校生徒数は12名を予定していましたが、結局9名になってしまいました。ちなみに来年度は6名になる予定です。生徒数と学級数の関係で養護教諭と事務職員は今後3年間配置されない予定です。そんな苦しい状況ですが村費で事務職員を確保していただきました。中央小学校とトマム学校から養護教諭を週に1,2回派遣していただけることになりました。今年度から技術科の加配も受けています。教育の質は落とさず、教育活動に邁進させていただきます。
今年度の上川管内の重点と本村の教育行政執行方針の中に「主体的に地域にかかわる児童生徒の育成、学校と地域をつなぐ人材の配置・育成の推進」があります。その方針を受けて本校の重点を「進んで探究する生徒の育成」にしました。北海道大学とのふるさと授業やコミュニティースクール議会と連携する活動を一層充実させながら、少ない時間ですが総合的な学習の時間に占冠を探究する時間を設けます。今年度も保護者の皆様をはじめ地域の皆様の本校の教育にご理解とご協力をお願いいたします。