博物館学プログラム

教育目的

 博物館(Museum)は、人類が共有すべきさまざまな遺産を、将来の世代に確実に継承する責務を有する学術・教育機関です。そのため博物館は扱う資料の分野を問いません。美術館、科学館、文学館から動物園、植物園、水族館、プラネタリウムにいたるまで、名称を問わず、非常に幅広い領域を含む包括的な概念です。

 したがって、博物館学も広い学問領域をカバーしています。博物館学とは、博物館とその隣接領域を対象とする学際的な学問分野であり、博物館資料、教育、経営、展示技術、保存科学、情報技術から、文化遺産、地域文化、まちづくりにいたるまで、多岐にわたる領域を研究対象としています。

 本プログラムでは、教育学、社会学、文化人類学、環境学、経済学、情報科学など、多くの学問分野と密接に関わりながら、博物館の意義や存在そのものを問い、博物館と社会との関係について横断的に学んでいくことを目的としています。その意味で、博物館学は、まさしくリベラルアーツ的な学問ともいえます。また、「もの」を見る視点を獲得することによって、博物館的な物の見方や考え方を身につけることもできます。

 博物館学は、欧米ではMuseum StudiesもしくはMuseum and Curatorial Studiesなどと呼ばれ、多くの大学で専門のコースが開設されていますが、日本ではいくつかの例外を除いてほとんどなく、本プログラムは全国的にも非常にユニークな存在といえます。

 また、博物館に勤める専門職員である「博物館学芸員」の国家資格を取得する「博物館学芸員課程」とも重なる部分が多いため、学芸員の資格を生かして、博物館や文化財にかかわる職業に就く場合に有利です。まちづくりや地域づくり、観光などにかかわるような仕事も、まさに博物館学で培われた知識や経験が活かされる分野です。

カリキュラムの特徴

 本学では、東京国立博物館キャンパスメンバーズおよび国立科学博物館パートナーシップに加入しているため、本学学生はこれらの博物館の常設展示を無料で見学することができます。このような恵まれた博物館利用環境を活用しながら、まず<導入>カテゴリーにおいて「博物館概論」などを履修し、博物館に関する基礎的な知識を修得します。

 次いで<理論・方法>カテゴリーでは、博物館を構成する資料、展示、経営などの専門的・技術的な領域についてより深く学んでいくほか、「文化遺産論」、「文化政策論」などさらに専門的な科目も履修することができます。

 <発展・応用>カテゴリーでは、博物館の機能や社会的役割について、他の学問領域を横断しながらより多角的に学び、応用力を培います。あわせて<トピックス>カテゴリーにおいて、博物館の多様な領域をカバーするため、「日本考古学」、「日本民俗学」、「日本芸術論」など、館種別の個別科学的専門性に対応したさまざまな分野の科目を履修して、実践力を養います。

修了要件

必修または選択必修を含め;

メジャー:合計32単位

マイナー:合計16単位

【Ⅳ 統合領域】7.博物館学プログラム.pdf