ビッグヒストリープログラム

教育目的

 ビッグヒストリーとは、138億年前に発生したといわれるビッグバンによって宇宙が誕生してから、現在、そして未来までを視野に入れた歴史です。21世紀の現在、われわれがこの地球上に存在するまでには、ビッグバンによる宇宙の誕生から、恒星・銀河・太陽系・地球の形成、地球上の生命の創発と進化、人類の誕生と文明の発生、近現代における科学技術の急速な発展など、さまざまな宇宙的イベントがありました。われわれは何者か。われわれはどこからきて、どこへ行くのか。ビッグヒストリーは、この人間にとっての永遠の問いを、138億年の地球宇宙史をたどることによって考察しようというものです。そのためには、宇宙物理学、地球科学、生物学、文化人類学、政治学や経済学、そして哲学や宗教学に至るまで、あらゆる学問が必要となります。その意味でビッグヒストリーは、自然科学・社会科学および人文学を統合する極めて学際的な学問であり、「究極のリベラルアーツ」と言えるものです。

 現在、われわれが生きる時代は、「人新世」(アントロポセン)と言われています。人新世とは、人間が地球の生態系や気候をも変えてしまうような、強大な地質学的な力をもつようになってしまった時代のことです。その結果、われわれはさまざまな地球規模の問題に直面しています。このような時代に大事なのは「宇宙的視点」です。小さなことにとらわれず、宇宙から地球を見つめることによって、国境にとらわれない、人間そして生命のコミュニティの姿が見えてきます。世界や自分が存在する意味について、宇宙的視点から考えることができるようになること、そして地球的問題を宇宙的視点からとらえ、その解決方法を考えることができるようになること。これが、ビッグヒストリーを学ぶ目的です。

カリキュラムの特徴

 本プログラムは、地球宇宙史の展開にしたがって、<宇宙>、<地球>、<生命>、<人間>そして<人新世>の5つのカテゴリーに分かれています。このうち<宇宙・地球・生命>カテゴリーには理系の科目が並んでおり、文系のみなさんには少々ハードルが高いかも知れませんが、文理にまたがる幅広い学びをめざすリベラルアーツ学群の学生としてぜひチャレンジしてください。LA専門基礎では、「物理学概論」と「生物学概論」を履修することが望ましいです。またできれば「化学概論」、「科学論入門」、「環境学入門」なども履修するとよいでしょう。

 <人間>カテゴリーは、歴史学、宗教学、文化人類学、心理学、言語学といった学問を通じて人間とは何かを考えていきます。そして<人新世>カテゴリーでは、温暖化や化学物質などがもたらす環境問題、戦争と平和、社会の情報化・AI化など、現在のわれわれが直面する地球規模の問題について学びます。宇宙・地球・生命・人間についての知識をもとに、ビッグヒストリーの壮大なビジョンを、現在のわれわれが直面する地球的諸問題にぜひ適用してみてください。

修了要件

必修または選択必修を含め;

メジャー:合計32単位

マイナー:合計16単位

【Ⅳ 統合領域】12.ビッグヒストリープログラム.pdf