これまで、顕微鏡観察を主とした実験を行ってきていなかったのですが、現在は共焦点顕微鏡を使用した実験をしています。しかし、きちんと顕微鏡や、光学の事を習ったことが無く、何となく使っていましたが、顕微鏡の基礎的な知識や原理をちゃんと理解したいと思い、このトレーニングコースの受講を希望しました。
トレーニングコースは講義と実習からなり、講義をオンラインで受けて、後日、実習をオンサイトで受講しました。講義は、光の性質(波の性質)、顕微鏡光学の基礎(レンズと結像や分解能と開口数の関係)、カメラやフィルターなどの素子、蛍光・蛍光イメージングの基礎、サンプル調製法など、知っているようで知らない内容が盛りだくさんで大変勉強になりました。ちまたに顕微鏡の参考書はたくさんありますが、知りたい内容が網羅されていなかったり、専門的過ぎて難しすぎたり・・・と、自分にとって“ちょうどいい”と思えるものになかなか出会えていなかったのですが、本講義は、まさに“ちょうどいい”ものでした。講義で難しく感じた部分も沢山ありましたが、実習を通じて自分の手で組立を行うことで納得でき、そして、再び講義資料を見直すことで、より理解が深まりました。経験を通じた納得は、知識の定着に大事なことだと実感しました。 上記のような基本知識の講義の他にも、先端的な顕微鏡法の講義として、二光子、超解像、ライトシート顕微鏡の解説もあり、歴史、原理はもとより、これらの技術でどのようなことができるのかを知ることができました。これらの特殊な顕微鏡は、使用するハードルが高く、なかなか手が出せないイメージでしたが、講義を受けたことで、自身の研究にも活用してみたいと思うようになり、今後の研究の展開の幅が広がった気がしました。また、共同利用やABiSなどの支援制度についても知ることができたので、こちらも活用したいと思います。
実習は、二人一組で設定された課題をクリアしながら顕微鏡を組み立てていくものでした。単に機材を配置するだけでなく、原理や性質をひとつずつ理解しながらの作業だったので、講義ではフォローしきれなかった部分も、手を動かして体感することや、理論による倍率計算と、カメラ画像上の大きさからの実測データからの計算と比較など手と頭を使う実習だったので、「そういうことか!」と納得することができました。また、各組にサポートスタッフの方が付いて補助して下さりましたので、質問もし易すかったです。顕微鏡の勉強のために、顕微鏡を組んでみる、ということはなかなかできないので、こうした経験は非常に貴重だと思います。
トレーニングコース全体を通して、講師の先生方、スタッフの方々が細やかに対応してくださいました。オンライン受講時に理解が追いつかなかった基本的な疑問も、実習の時には気軽に質問できましたし、顕微鏡初心者にもわかるように丁寧に解説してくださったので、大変ありがたかったです。光学顕微鏡について、まだまだ知らないことはありますが、受講前に比べると、かなり理解が進んだと思いますし、何より自分で調べ、理解するための土台ができた気がします。今回学んだことを活かして、今後研究にイメージングを最大限活用して行きたいと思いました。
写真1 座学
現地参加者とオンライン参加者(右手モニターにオンライン受講者)
[主催者の資料写真より]
写真2 顕微鏡光学系の組立実習の様子
カメラ(右側)と対物レンズ(中央)をレールに設置し、さらに、クリティカル照明系用のレンズを追加作業中(左側)
[主催者の資料写真より]