B-1音波の干渉
キンケの干渉管をを用いて同一の音源からの音波を干渉させて、音源の振動数を求める。次に、異なる振動数の波を合成して「うなり」の波形を観察し、振動数の違いを求める。さらにキンケ管を用いて、重畳された2つの波からその一方を取り出すフィルタ(ろ波器)の実験を行う。この実験により波の干渉及び重畳の概念を理解する。
B-2偏光
光学的に一軸性である結晶に直線偏光が入射した場合、透過光は楕円偏光になる。これは、入射光が常光線と異常光線に分かれ、各々が異なる速度で結晶内を進む為である。実験では、2枚の偏光板間にこの結晶板を置き、その結晶軸を回転させて透過光の偏光を観察する。この測定により偏光板,結晶板の性質が明らかになる。さらに偏光の概念について理解する。
B-3分光測定
分光分析は、光と物質との相互作用を測定する現代科学では基本的で必須な手法である。本実験の測定系として、分光器と光検出器を用いる。Na、Cd、Hgランプを光源とした測定から、線スペクトルを観察し、蛍光現象を理解する。また、タングステンランプを光源とした測定から、この測定系の特性を調べる。さらに、光学系フィルターの特性を測定することで、光吸収現象を理解する。
B-4フーリエ解析と波形の合成
フーリエ級数の概念を把握し、任意の時間関数の波形を分析する。はじめに正弦波、三角波などの波形をFFTの手法を利用して調査解析し、スペクトル成分を求め、さらにこれらを再合成して原波形に復元するかどうかを実証する。ここでは、周期をもって繰り返す振動現象における波形の解析と合成を定量的に行う方法として最も基本的なフーリエ解析法について理解を深める。
B-5回路の共振
様々な物理現象に見られる共振の例として、電気回路での直列共振を観測する。直列LCR回路での共振曲線を測定し、回路素子に対する依存性を調べる。また、コンデンサーの静電容量から誘電体の誘電率を求める。この測定より、インピーダンスにおけるリアクタンス及び抵抗成分の振る舞い、Q値の概念が明らかになる。
B-6マイケルソンの干渉計
マイケルソンの干渉計を用いて観察される干渉縞より、光の干渉現象の基本的概念を学習する。さらに、この干渉縞の周期性を利用して、レーザ光の波長と空気の相対屈折率の測定を行う。
B-7核磁気共鳴
ガンの早期発見などに大きな役割を果たしている「核磁気共鳴映像法」(Magnetic Resonance Imaging,MRI)にも応用されている核磁気共鳴の実験技術は、20世紀の半ばごろから発展してきた比較的新しい技術である。ここでは、その根本的な部分の原理を理解し、またそれを基礎実験を通して実際に経験をしてみる。