いま身近なところで「通訳者」の仕事が増加しています。インバウンド市場が拡大の一途をたどり、グローバルビジネスや国際的な交流が全国の自治体や中小の事業者にまで広がっていることが、通訳ニーズを後押ししています。また、リモートによる商談や会議、レクチャーなどが増えていることから、どこにいても通訳業務を提供できる事案が増加しています。
それに従って求められる通訳スキルのレベルや資質の幅も広がっています。「通訳者は長時間の特別な訓練を受けた逐次・同時通訳の技能を修得した人」という従来のイメージとは異なり、「発信したい内容を(学んで)よく知り、海外との橋渡し役を務めてくれる言葉のプロ」、「様々なシーンで発生する通訳やファシリテーター役を、長期に渡り気軽に相談できるプロ」との出会いを求める声が高まっているのです。JVTAの修了生にもそれらのシーンで通訳に係る仕事を受注する人が増えています。また「意外なところから通訳者としての依頼を受けた」という声もよく耳にするようになりました。
日本映像翻訳アカデミー 通訳・人材紹介担当
丸山 雄一郎
AI時代だからこそ「人にしかできない通訳」が求められる
これまで、会議やセミナー、イベントでの同時・逐次通訳、映像の制作現場で海外の出演者と日本の演出側とのコミュニケーションを円滑にするための通訳など、数多くの通訳現場を担当してきました。またインバウンド需要の高まりから、地方自治体でも語学力を必要とする業務のご相談をいただきます。さらに海外からの来客のアテンドや会食などのカジュアルな場での通訳手配のご依頼をいただくもあります。
AI技術の進化により、自動翻訳や音声認識の精度が格段に向上し、日常のコミュニケーションや簡易的な翻訳であれば、もはやAIツールで十分に対応できる場面も少なくありません。しかし、その一方で、AIではなく通訳者や語学人材の需要はむしろ増えてきていることも確かです。
その背景には、人間ならではの「間」や「意図のくみ取り」、その場の雰囲気や文化的背景を踏まえた柔軟な言語運用が、今もなお高く評価されているという事実があります。国際的な会議や映画祭、現場でのリアルなやりとりが求められる案件では、AIでは補えない“温度”のある通訳が求められています。
こうした状況下で、通訳のスキルを学ぶことは、英語を学ぶすべての人にとって大きなプラスになります。 AI時代だからこそ、「人にしかできないスキル」で将来の可能性を大きく広げてください。
動画制作の現場で発生する通訳
インバウンド市場で発生する通訳
展示会・イベントでの通訳
かつてJVTAロサンゼルス校でマネージャーを務めた藤田彩乃さんは、現在、出身地である富山県富山市に戻って英会話スクールを経営。同時に、通訳者と名乗っているわけではないのにもかかわらず、地元の企業や自治体などからの通訳や通訳に準じた仕事の依頼が絶えないとのこと。そうした経験から、「ある程度英語ができるのに<仕事に結びつける>という点で悩んでいる多くの人たち」に向けて、次のようにアドバイスします。
6日間がキャリアの方向性と英語力向上の原動力に!
英語の力を一歩伸ばして仕事の力に変えるためには、『通訳訓練』が大きな突破口になります。ただぼんやりと海外に1年滞在するよりも、英語漬けの環境で1週間、集中的かつ高負荷のトレーニングを受ける方が、圧倒的に英語力は伸びます。今の英語力を「なんとなくわかる」から「使える」、さらに「仕事につながる」レベルへと引き上げることができるのです。
実際、その「もう一歩」を達成すると通訳を求められる機会が視野に入ってきます。私自身フリーランスとして活動する中で、通訳スキルの重要性と価値を日々痛感しています。この1週間の留学が、その後の学習の方向性やアンテナを大きく変え、プログラム終了後も英語力を伸ばし続ける原動力になるはずです。本気で語学を武器にしたいなら、勇気を持って挑戦してみてください。
「新・通訳」分野の主な実績
これまでに、G7富山環境大臣会合(2016年)およびG7富山・金沢教育大臣会合(2023年)のレセプションなど数々の国際会議のバンケットで英語司会を務めたほか、「オリバー・ストーンと考える未来の富山」(2018年)では、オリバー・ストーン監督およびピーター・カズニック氏のアテンド通訳を担当。さらに、富山日米協会主催の特別講演会(2023年)では、リチャード・メイ駐大阪・神戸米国総領事の講演通訳を務め、富山大学開催の「アイルランド・日本交流美術展『怪談』ラフカディオ・ハーンとの邂逅」オープニングセレモニー(2024)でも通訳を担当した。そのほか富山県庁や県内大手企業においても通訳業務を多数務めている。
<最新情報>
大阪・関西万博にて、8月27日(水)〜31日(日)に開催される石川県の特別イベント「石川の日」。初日27日にEXPOアリーナで行われる「Matsuri」ステージの英語&日本語司会を務めることが決定!
<プロフィール>
日本映像翻訳アカデミー(JVTA)東京校修了後、メディア・トランスレーション・センター(MTC)にて映像翻訳者およびディレクターを務める。2008年にはJVTAロサンゼルス校設立のため渡米し、通訳・翻訳の教育および運営に8年間従事した。帰国後は富山市を拠点に、アポロ・イングリッシュ・アカデミーを主宰し英語指導に携わる傍ら、行政・企業・教育・文化など多分野において通訳・翻訳者として活動している。
本プログラムで通訳訓練に加えて、もう1つ大きな目的がロサンゼルスで行われる映画祭「Japan Film Festival Los Angeles 2025」(以下、JFFLA)への参加です。JFFLAは2003年からロサンゼルスで開催され、日本の映画や日系人監督の作品など、日本との繋がりのある様々な作品を上映する映画祭。ロサンゼルスに現地法人を持つJVTAも字幕を始め、様々な形で映画祭をサポートしてきました。開催期間中に行われる上映会やイベントには、ロサンゼルスだけではなく国内外から観客、キャスト、クリエーター、映画関係者などが集結。本プログラム参加者の皆さんには映画祭の裏側に潜入していただき、6日間で学んだスキルを存分に生かしたサポート体験をしていただきます。学んだことを実践することでこのプログラムの効果が発揮されます。