ウクライナ危機とISSJの取り組み
ウクライナへの軍事侵攻が開始されてから早1ヶ月が経過し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、すでに400万人超、ウクライナ人口の1割近くが出国したと言われています。その流出人口の約6割が子どもを持つ女性とも言われます(18歳~60歳の男性は徴兵のため出国できません)。このような悲惨な人道危機を受け、ウクライナの隣国をはじめ、ヨーロッパ諸国や世界各地で、支援の輪が広がっています。
ISSJの難民支援
ISSJでは、インドシナ難民(いわゆるボートピープル)が来日した1979年から、日本での難民支援を行っています。インドシナ難民の後には80年代から日本に逃れたミャンマー、イラン、クルドなどの人々、アフリカの紛争地から個別に逃げてきた人々、最近ではシリアやロヒンギャ、アフガニスタン難民にもコミュニティ支援や個別支援を提供しています。
ウクライナ難民に対しては、以下の支援を実施します。
日本に逃れた難民への個別支援(ソーシャルワーク)
現地(周辺国)で難民支援を行っているISS支部のサポート
International Social Service (ISS)とは
ISSJはISSの日本支部です。ISSはスイス(ジュネーブ)に本部を置く福祉ネットワーク組織で、27の支部を含め、140カ国にネットワークを持ちます。元々は、1924年、第一次世界大戦の後で移動する子どもと家族の支援を行うために結成され、以後100年近く、戦争・紛争・人道危機といった歴史の中で客観性と中立性を保ち、子どもの最善の利益のために行動することを第一の目標として支援を行ってきました。
今回のウクライナ危機では、ヨーロッパを中心とするISS支部は国境を越えて移動してきた家族、および家族のいない未成年など福祉的ニーズの高い人々のために、現地での支援を展開しています。
ドイツの難民施設から
~ISSボランティア・ソーシャルワーカーのタリアのストーリー~
※ISS本部ウェブサイト記載の原文(英語)はこちら
ボランティアの活動(イメージ写真)
私の名前はタリア・コーエンです。ISSのボランティアとしてネットワーク作りを手伝っています。また、私はドイツの南西端の「黒い森」付近にある難民施設でソーシャルワーカーとしても働いています。ここでは、様々な文化的背景を持つ約100人の難民が暮らしています。今のところ、大半はウクライナからの難民です。
ウクライナでの戦争が始まって以来、私たちはフル稼働しています。難民、あるいは「ゲスト」(多くの地元住民がそう呼ぶ)は、自分自身と家族のために安全な場所を求めているのです。住民の皆さんは、自分たちの生活に溶け込み、言葉を学び、医療を受け、子どもたちを学校に通わせたいと、直ちに考えていたようです。そこで、私は難民キャンプのソーシャルワーカーの一人として、住民に必要なサービスを提供したり、相談に乗ったりする役割を担っています。
支援を行う上で、官僚主義、言葉の壁、住居の不足、行き過ぎた既存の社会制度など、いくつかの課題があります。これらはもちろん、相談者だけでなく、ソーシャルワーカーにも影響を与える課題です。福祉手当の受給、学校への入学、すぐ対応可能な診察やメンタル・ヘルスのサービスの利用など、基本的なプロセスをスピードアップするために私たちができることは限られています。もちろん、もちろん、この仕事にはストレスがつきものであり、それに対応することが必要です。トラウマを抱えた人たちと一緒に働くには、職員にとって適切なストレスマネジメントが絶対に必要であり、これは日々の課題として、私たち職員全員が習得に努めています。
幸いなことに、私たちの街には「統合ネットワーク」を形成する素晴らしい仲間がいます。これは、他の町や都市には滅多にない貴重な取り組みです。このグループは、イベントや寄付を企画したり、さらに個人レベルで難民個人をガイドしてくれる地元のボランティアにつないだりしています。例えば、地元民が同行支援を行ったり、活動に招待したり、交通手段を提供したりします。私たちソーシャルワーカーは、ほとんどの場合(実際に支援を行う際の)細かい調整をするための時間がないので、地元民の協力には助かっています。私たちは、多くの人に対応しなければならないので、大抵慌ただしく仕事をしています。ボランティアは家族や個人を受け入れ、多くの場合、彼らが避難所を出た後も生涯のつながりを維持しています。
この施設での経験は類い稀なものです。世界の紛争の影響を直接目にするとともに、自身と子どものための避難先を探す屈強な難民一人ひとりと知り合うことができます。
タリア・コーエン
2022年5月17日
日本からのご寄付について
現地で難民支援を行うISS支部のために寄付金を集めています。ご寄付は送金に必要な経費を除き、全額を現地に直接送ります。
〈ISSモルドバ支部で活用される場合の例〉
5000円で2人分の赤ちゃんの1日分の粉ミルク、食料、衛生用品を購入できます。
1万円で一家の1ヶ月分の食品、医療品、寝具、衛生用品を購入できます。
4万円で心理学者1名が1ヶ月間心のケアが必要な子どもたちの心理的サポートとレクリエーションを行えます。
モルドバ国内にいる家族500人の3ヶ月分の支援に必要な総額:約2500万円(3月21日現在32%達成)
銀行振込(ウクライナ寄付口座)
銀行名:りそな銀行
支店名:中目黒支店
種別:普通口座
口座番号:1111442
口座名義:社会福祉法人 日本国際社会事業団
※振込後、ご連絡フォームにてご住所とお名前、ご連絡先をお知らせください。寄付領収書をお送りいたします。
クレジットカード決済
【ISS本部へ直接寄付する】