死の瞬間は生者である私たちには感じることは難しい。
生者が死を感じるには死者と出会うことが必要であろう。
死者と出会うこととは、生者が死者の残していった痕跡を辿り、死者を想い起こすことである。
本作での死者とは、肉体が存在していた”誰か”である。
存在していたであろう”誰か”は生者という拠り所によってその姿を変えるが、私たち生者の記憶の中にとどまり続ける。
しかし、私たちは”誰か”が去ってしまったことに気づかない。
” 誰か”が何処からか私たちの記憶に訪れることにより「得体の知れないなにか」を受容できるのではなかろうか。
本作品には、存在していたであろう”誰か”の痕跡が映し出されている。
”誰か”が居た場所や使用していたものといった痕跡を生者である作者がなぞることで”誰か”との接触を試みる。
P R O F I L E
赤迫瑠奈 RUNA AKASAKO
1995年生まれ。
2018年 京都精華大学ポピュラーカルチャー学部 卒業
2021年 情報科学芸術大学院大学メディア表現研究科 在学