大越円香 MADOKA OKOSHI
本作は未完成である。
私は、自分の身体のうち、【支える】【動かす】【護る】3つの機能を担っている脊椎がある背面をハンドスキャナーによって撮影した。
感染症拡大以降、オンライン上で完結する展示が増えた。オンラインという形には適性がある。本作はその適性に合わなかった。
また、オンラインで「しなゆ」本質を伝え切れるわけがないだろう
と思う。
本作は私の存在という実体が鑑賞者に確認されたところで、
初めて完成する。
「私はロボットではありません」 Googleでいつも表示されるが、
画面の先の人間が生きているか、死んでいるか、人間であるのか、生物であるのかは不明だ。
きっと「シュレディンガーの猫」が生きているか死んでいるかという二択の観測は、
今日において日常のすぐそばにあるもので、我々の手中にあるデバイスで何かを表示する時にも
同様の現象であるだろう。
「しなゆ」展において、
本作「箱の中の猫〈身体〉を、観測〈表示〉する時」を通して
『私が生きているのか、死んでいるのか』という判断を
鑑賞者に委ねたいと思う。
2021/7/22 大越円香
P R O F I L E
大越円香 MADOKA OKOSHI
1997 秋田県出身
2020 秋田公立美術大学ビジュアルアーツ専攻卒業
主な展示に、アートアワードトーキョー丸の内2020(東京駅行幸ギャラリー)、SHIBUYA STYLE vol.14(西武渋谷店)、個展「Unaccounted for “ “」 (GalleryTURNAROUND/仙台市)、IAG AWARDS 2019 EXHIBITION(東京芸術劇場ギャラリー1)、SHOWREEL~境界を行来するメディアアート~(秋田公立美術大学サテライトセンター/秋田市)、その他グループ展多数
2021年9月にKUNST ARZT(京都市)で個展「表層を観測する Observe the surface」を開催予定。
Twitter:https://twitter.com/lllllzlllg
instagram:https://www.instagram.com/madoka_okoshi