遠隔教育そのものの歴史は長く、古くは19世紀の通信教育から始まります。
オンライン教育は、1990〜2000年代に技術の進歩とともに登場し、急速に発展しました。
今のように世界中で一般的に普及したのは、2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大を受けてのことでしょう。
OERとは、その中でも、インターネットの技術により、より多くの人が無償でアクセス・利用・改変して再利用もできるように共有された、教育資源のことをさします。(文部科学省による UNESCOによる定義 の仮訳を要約。)
大学がOERを公開する活動は2000年前後から始まり、2001年にマサチューセッツ工科大学(以下MIT)が始めた「MIT OpenCourseWare」で本格化、世界にも広がります。
東京大学は、日本の中でも早い時期から賛同し、OERの公開を開始しました。
大学は、「授業料を支払う学生に高度な教育を施して、優秀な卒業生として社会に送り出す」というあり方にとどまらず、「結集された高度な知を機関の外に開放・共有する」という新しい形で、社会に、世界に、資することができるのです。
これらの取り組みは、とても高い理念に支えられて持続しています。
インターネット環境さえあれば、誰であっても・いつでも・どこでも、無償で閲覧することが可能となります。
収入・年齢・さまざまな特性・学習環境・遠隔地など、教育へのアクセスが困難なあらゆる人々に、学習のチャンスを提供できます。
持続的に、多くの人々に知が共有され、さらに循環することによって、新たな知を生むことに繋がってゆきます。
● 社会貢献の一助となります。
ご自身の専門知識や研究知見を、社会に還元することができます。
● コストがかかりません。
オンライン教材作成のプラットフォームとして、スタッフが講義の撮影・動画編集・講義資料の著作権処理などをサポートします。
● 授業のふりかえりの材料となります。
コース・授業の記録を残すことができるため、翌年度の授業準備や、授業の質向上に役立てる方もいらっしゃるようです。
ご退官前に記録として残す方もいらっしゃいます。
● 授業の教材として使用できます。
授業の教材として利用することができます。
例えば...
授業中、動画の一部を流す。
「OCWで昨年度の、この回の動画を見ておいてください」と課題を出す。
反転授業(Flipped-Classroom)の予習素材とする。
ご自身のものでも、他者のものでも、同様に使用可能です。
● 自己紹介・業績紹介に使用できます。
新学期のシラバスや、講演会の登壇時など、著書やメディア出演などと同様に、教育業績としてURLを紹介することができます。
また、ゲスト講師をお招きする際の参考資料となります。
● 学生が履修科目の参考にできます。
履修を検討している授業の難易度や様子を確かめられます。
東京大学のように、教養学部から進学先を検討するカリキュラムの場合にも、OCWが役に立ちます。
● 学生が予復習に利用できます。
履修する予定のあるコースの予習、既に履修したことがあるコースの復習になります。
● 中高生が進学先を検討できます。
中高生がオープンキャンパスのかわりにOERを参考にして、興味範囲を広げたり、進学先を検討したりすることができます。
● 一般視聴者が独自に学習を深める・学習範囲を広げる際の教材にすることができます(生涯学習)。
独自に学習を進めたい人、既に学習している範囲を補強したい人、興味ある分野を開拓したい人など、様々な学習者の教材の一つとなります。
語学を学習したい人が、リスニングのかわりに外国語開講の授業動画を視聴するケースもあるようです。
OERは、多くの場合、再利用・再配布などが可能です。
しかし、「自由に使い放題!」というわけではない点に注意しなければなりません。それぞれの利用規約をお確かめの上、ご活用ください。