Column

 ”課題達成型開発”のイメージや活用について知っていただきたく事例などをご紹介させていただきます。


■誰得?・・ステークホルダー分析


 以前にこのコラムでご紹介させていただきましたが、人や組織の数の増加に伴ってその関係する数(対角線の総数)は急激に増加します。

(n人から2人を選ぶ組み合わせは2人→1・・5人→10・・10人→35・・・)

 

 夫々の人や組織の利益は異なるので利害を調整し自らが望むことを実現するには難しいジレンマや時としてトリレンマ※1のような状況を解決する必要が生じます。

 

その分析手法として専門的には多変量解析※2やコサイン類似度※3といったものが知られていますが実際の課題を解決する手法に用いるにはどのようにベクトル化(妥当な評価基準を決め数値化)するかが難しくAIの発展が待たれます。

 

 例えば費用に課題を有するプロジェクトで参加者A~Eの合意が必須の場合、下記はよく見かけるものではないかと思います。

 

A:発案者(実現したい者)

B:利益が確実であれば参加する

C:新たな利益機会を最小限の投資で得たい

D:参加は必須だが自社の持ち出しを最小限にしたい

E:参加は必須だが自己利益と反する

 

 “課題達成型開発”ではステークホルダーそれぞれの「ありたい姿」を描くことから始めます。

 

このとき参加者の「ありたい姿」は他者の都合を考慮しない自己都合だけを考えます

OSINT※4や日頃のコミュニケーションで得た他者の情報が効果を発揮するのです。


他者が望んでいることをいかに的確に言語化できるかが確度の高い戦略を作り出すことに重要な役割を持つためです。

 

 時間と労力を注ぎ込んで潜在意識の中に形作られる解決策はインスピレーションによって言語化する準備として作られるピース(部品)の品質でほぼ結果が決まることをご体験していただきたいと思います。

 

ご興味をお持ちいただけましたらお気軽にご連絡ください。



※1トリレンマ:https://www.ifinance.ne.jp/glossary/global/glo132.html#gsc.tab=0


※2多変量解析: https://seisinka-eiyousi.com/tahennryou-teigi/


※3 コサイン類似度とは?ベクトルの内積から見る類似度 - nomulog (nomuyu.com)


※4OSINT: オープン・ソース・インテリジェンス - Wikipedia

(2024.07.02




■企業の力・・世界平和という大きな問題の解決

 

 最近の高価格なガソリン代を見て過去のオイルショックを思い出す方もいると思います。

しかしテレビの放送時間が制限されたり物流の大きな障害になったりということはなくネット通販も活発です。

 

この数十年にわたって取り組んできた省エネの効果が目に見える形で発揮されています。

オイルショック当時の自動車の燃費のままであったらLED照明でなかったら平静を装っていられなかったでしょう。

 

企業によるハイブリッドや高効率エンジンの開発がなければ殺伐とした世の中になっていたことは想像に難くありません。

 

石油の輸出を止められたことは前の大戦で大きな要因の一つとなりましたが、エネルギーが高騰する欧州を含め殺気だった空気は世界にありません。

 

農耕文化が生まれて以来、人類は資源をめぐって争い続けてきたと言われていますが原因を冷静に見直すと不足する資源を奪い合ってきました。

有り余る資源をめぐって争う人も国家もいません。

 

企業の製品やサービスが世界平和に貢献しているかという視点が芽生えてもよい時期かもしれません。

 

そんな中、エネルギー需要がピークアウトするのではという興味深いレポートがあります。

(「衣食足りて礼節を知る」になるとよいのですが)

 

“課題達成型開発”は当たり前のそもそもに気付く手法です。

 

※ WEO 2023「2030年までにすべての化石燃料需要はピークアウト」を検証(その1) – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute (ieei.or.jp)

(2024.06.18)



■背景の理解・・見逃されてしまう当たり前のこと

 

 “型式認証不正”について企業ガバナンスや手続きの誤りといった報道とともにテレビでは試験映像が流されています。

 

例えば歩行者との衝突で頭部に加わる衝撃として半球状のものを自動車のボンネットにぶつける試験があります。

 

クッション材と同じくボンネットの変形(沈込み)が大きいほど衝撃は緩和されますが衝突した頭部がさらに内部のエンジンなどにぶつかって致命的な損傷を受けないことまで想定しています。

 

衝突条件は人の平均的な身長や事故時の車速など評価に値する条件が長い研究開発の中で見出されてきました。

 

その結果、可能な限り衝撃を吸収し凹みを抑えボンネット下の空間を確保する設計が施されています。

 

これらの安全性を規程のレベルでクリアしていることを第三者が判断できるように認証試験はあります

 

一方で企業間では高い安全性を日々競い合った開発が行われています。

開発の現場では規定よりも余裕をもった目標が設定され取り組みが行われています。

規程をクリアしていないものなどありえないという感覚が生まれてくるかもしれません。

 

しかし他社の開発に追いつけない企業を配慮なくおいていくトップランナー方式の認証要件は現実的ではありません

 

認証試験の形骸化などと言った意見も一部で見られますが製造者の利便性を考慮した制度であることを思い出して欲しいと思います。

 

背景の理解による取り組みの妥当性の検証にも“課題達成型開発”を活用して頂きたいと思います

(2024.06.08


■盲点・・そもそもの目的の大切さに気づく

 

 危惧していたことが起こってしまいました。

前職OBの集りで誰もがあり得ないだろうと話していた“型式認証不正”の報道がありました。

 

自動車メーカーの言う“不適切な型式認証テスト”について理解するには自動車の開発に関わる知識が求められますが、ざっくり言えば「等価と考えられる試験でよいのではないか」や「より厳しい条件の試験に合格していればよいのではないか」といった「大は小を兼ねるはず」で検証されることなく行われていたのです。

 

 認証制度の重要な目的として自動車完成検査の簡素化があり、国内外いくつもの認証試験を行うコストや時間の大きさに現場の苦労は計り知れないものがあったとしてもその配慮がないがしろにされていました。

 

「大は小を兼ねる」や「良かれと思って」など局所最適の生みだす歪は時として大きな事故 やブランドの崩壊 の原因になってきました。

 

こうして見ると小職を含め多くの関係者が不正などあり得ないだろうと思っていた根拠自体に誤りがあったことに気づきます。

 

 目的として安全性の確保のみならず“認証は企業の生命線であるブランド価値を守る仕事”という認識が持たれれば全ての関係者の判断は的確なものになっていくでしょう。

 

やはり何事も“そもそも”の認識から始まることにあらためて気づかされました。

 

※例えば 東海村JCO 臨界事故  雪印乳業  集団食中毒事件

(2024.06.06


■資料を読み込む・・具体的には何をすればよいのか

 

 「資料を読み込む」よく使われる言葉だと思います。

漠然としていますが具体的には何をすればよいのでしょう。

 

いつものようにAIにきいてみます。

 

You 資料を読み込むとは

 

ChatGPT 一般的に、「資料を読み込む」という用語は、特定の情報や文書を理解し、情報を取得することを指すことがあります。たとえば、研究者が論文を読み込んでその内容を理解する場合や、会議でプレゼンテーションを行うために資料を読み込む場合などが考えられます。つまり、文脈によっては、資料を読み込むことは単に情報やデータを取得するだけでなく、その内容を理解し、必要な情報を抽出することも含まれる場合があります。

 

“課題達成型開発”では案件において自らに生じる疑問点や課題を洗い出すことです。

 

このためまず取り組みの目的や目標が十分に練り上げられていることが必要であり、読み込みによってそれらは修正されより価値あるものにされていきます。

 

「読み込み」にはゴールも必要です。

そもそも何のために行っているかと言えば解決案や取り組みと言った内在する価値を見出すためです。

もし有用な掘り起こしを行っていれば資料の価値評価や自分の取り組みの位置づけの認識検証をすることができます。

 

この方法は技術開発などにも効果があります。

実験はその仕組みを解明し解決策を見出すために行われますが、「n増し(試行回数を増やす)」に説明性を欠くものをよく見かけます

 

試行量を増やすことが必要で行っているのではなく「何をしたらよいか分からない」や「なんとなく」で行われているケースは少なくありません。

説明性のない“n増し”の放置にマネジメントは注意する必要があります。

 

全ては取り組みの価値を掘り起こすことから始まります。

(2024.05.12)



■御社のホームページ・・満足できていますか

 

 多くの企業は自社のホームページを持っています。

信用度のPRや受注窓口など目的は様々だと思いますが十分に役に立っているでしょうか。

 

弊社では起業時に口座開設の審査のためホームページを作り直しました。

 

 起業直後でまだ実績もありませんでしたが事業計画を理解していただくために製作したホームページが功を奏したようで口座開設ができました。

(個人口座と審査基準の違いについて知識もなく開設をお願いしましたが丁寧にご対応いただいた銀行ご担当者様のアドバイスに感謝します)

 

 このように分かり易い目的がある場合はその結果に満足できるでしょう。

 

難しいのは既に長年にわたってホームページを公開し続けている場合です。

 

 リニューアルにあたりどのように役に立つものが欲しいのか不明瞭なままWeb制作会社に発注されているケースを見かけます。

 

 Web製作会社は企業の要望をヒアリングしホームページを製作しますが、その効用が不明なままでは満足できない結果になる場合が多々あります。

 

 発注仕様書に「自社は何をしたいのか」が盛り込まれていなければ満足できないのは当然のことです。

 

 ホームページの価値を掘り起こし自社が何をしたいのか言語化する作業を行うことが出来れば満足な結果が得られます

 

“課題達成型開発”による仕様書の作成を試されてはいかがでしょうか。

(2024.05.02



■マムシに注意・・目的を明確に理解した手段

 

 自然公園などにある「マムシに注意」の立て札をご存じでしょうか。

 

実際に蛇が出るかは不明ですが貴重な植物の保護に役立っているようで人が踏み入った形跡を見ることはほぼありません。

 

もし「立ち入り禁止」「貴重な植物を採らないでください」と書かれていたらどうでしょう。

 

もともと立ち入られて困っている場所に立て札が設置されたのでしょうが残念なことにほぼ踏み荒らされ続けられます。

 

このような人の行動や考え方を意図的にコントロールする方法は心理戦(psychological operations)と言われます。

 

プロジェクト運営ではそもそもの目的が明確なことがなにより重要です。


目的と手段の位置づけが不明確なことに気がつかないと「立ち入り禁止」と書いてしまうのです。

 

「目的のために取り組む」という当たり前のことは以外に難しいものです。

“課題達成型開発”は的確な目的の設定に役立つツールです。

 

<例題>

Q:問題の多い「カラスにゴミを荒らされる被害」どのような注意喚起が有効でしょうか。

 

A:ゴミ出しのルールが決められている場所も多く監視を厳しくするなど悩まれている話をよく聞きます。

住民の人間関係にまで問題が発展してしまうことも少なくありません

ある街でカラスに荒らされたゴミの写真とともに回覧板が回された例があります。

「カラスに荒らされたゴミに個人情報が多く見られますご注意ください」

 


迷惑駐車でよくある「〇〇円頂きます」より有効な方法があったそうですがどのようなものか想像できるでしょうか。

(2024.04.18


■ブランディング・・言語化はインスピレーションから

 

 ブランディングという言葉に触れる機会が多くなっていると思います。

 

ネットで解説や支援ビジネスが無数にヒットしその多くはツールの販売やコンサルの案内です。

 

まずChatGPTに聞いてみます。

 

Q1:ブランディングとは何ですか?            ➡  Answer 1

Q2:ブランディングの目的を教えてください ➡  Answer 2

 

よくまとまった回答ですが本当に知りたいのは “自社がブランディングで何をしたいか”でしょう。

 

“ありたい姿”が分かっていれば要求(開発)仕様書にして社内展開するなり業務委託も出来ます。

 

今回は”課題達成型開発”の立場からブランディングを見てみたいと思います。

 

“自社(自分)が何をしたいか”とは企業の中にある“ありたい姿”を言語化することに他なりません。

企業や人の潜在意識を表の意識として掘り起こし認知する作業です。

 

よく見られるアプローチとして「ブランド名を変更しては?」とか「自社製品を購入してもらえるパッケージは?」また「技術力のある会社をアピールするホームページは?」などいきなり手段に飛びつくケースがあります。

 

なぜブランディングの取り組みを行うのでしょう。

 

営利企業であれば多くの場合、利益をあげ会社を発展させたいと言った答えが返ってくるでしょう。

 

しかし “そこにブランディングという手法があるから”という理由で取り組んでいませんか。

それは高い確率で失敗の約束される“出来たなり”です。

 

成功している企業の例をいくつか見てみましょう。

 

ニトリ・・「適正であるということは何か?」

品質と価格ではなく “満足感を売りたい” という「お値段以上」はよく知られていますがそこに至るストーリーをなぜ発掘できたのかを知りたい人は多いでしょう。

 

スターバックスコーヒー・・「サードプレイス」の提案

多くの飲食サービスが訴求している美味しさや店舗の雰囲気を売るという発想ではありません。

社会インフラとして存在するという考え方を発想(認知)するに至った経緯は誰もが知りたいところです。

 

Apple・・Appleの取り組み

ホームページに経営理念の項目が見当たりません。

これは創業当時から一貫して見られCM(1997年)でも同様です。

(あえて言えば Think Different ですが言語化されたものではありません)

創業者が自己の意識を認知しブランディングに結びついた稀有な例であり天才と称される所以かもしれません。

最近ではEV開発を中断しAIに舵をきるとのことですが今のAppleが何をしたいのかは誰もが興味がもたれるところでしょう。


The De Beers Group of Companies ・・資源採掘からリユース市場まで

ブランディング史上最も成功した例だと思われます。

ダイヤモンドは常温では安定ですが600℃から黒鉛になりはじめ火災などで焼失してしまうことから物質の価値として金などとは異なります。

20世紀がいかにマスメディアでマーケットが作り上げられた時代であったか知ることが出来るよい例だと思います。


 

潜在意識(意識下または無意識)にある“自社(自分)が何をしたいか”を認知するにはインスピレーションが必要です。

 

また意識として認知するスキルやそのシステム化も重要ですがそのリソースを取り込み育てなければ資源のないところからは何も掘り出すことができません。

 

“課題達成型開発”においてインスピレーションの獲得は偶然の産物ではなく重要なプロセスの一つであり多くの場合そのリソースは人そのものです。



<ご参考>

  米国での経営活動や日系企業の支援をはじめとする多くのビジネス経験を有し弊社インスピレーション獲得を助けていただいている方※1をご紹介します

 

※1 米国企業人レベルの高度な支援を日本企業と同じ感覚でサポートいただけます

  商談のセッティング、交渉また工場見学やイベント企画など相談できます

  CEO Maya N. | LinkedIn (MAYA MIKIMOTO & MTL

  My Tidy Life Inc.


  LinkedInとは ➡ LinkedIn - Wikipedia 

(2024.04.02


■インスピレーション・・潜在意識から意識へ

 

 映画「オッペンハイマー」※1が日本でも公開されます。


 20世紀は物理学、特に相対性理論と量子力学によって原子力や電子技術など良くも悪くも大きく世界が変えられた時代ですが21世紀も核融合や情報処理の世界など人間の尊厳に関わる多くの事柄で目が離せません。

 

多少の知識が必要になりますがより“課題達成型開発”のイメージを掴んでいただくお話としてご紹介したいと思います。

 

どのような取り組みにも理論(Theory)と論理(Logic)が必要です。

 

「理論」は特定の現象や領域に対する説明やモデルを指し、「論理」は推論や議論の正当性や妥当性を示すための原理や法則を指します。

 

「光速不変の原理」で有名なアインシュタインですが実は人生最高の思いつき(Die glücklichste Idee meines Lebens)と語ったとされるのが「質量等価の原理」です。

 

相対性理論も量子力学も私たちの日常感覚とは全く異なるものですが“質量等価”は多くの人が不思議に思うことがないかもしれません。

 

分かり易い例は遊園地の落下アトラクション(運動加速度)で手のひらに乗せたものが重さ(重力加速度)がなくなったように見える現象です。

 

まるで“ニュートンのリンゴ”の逸話のように語られることが多いですが、実は難しい話で“光速不変”と同じく説明ができていない原理のまま※2です。

(万有引力は“法則”であり現象を説明したものなので更に踏み込んだものになります)

 

 このような偉大な発見や発明に接するとき私たちは自分もインスピレーションを得る体験がしたいと思うかもしれません。

 

仕事や日常にうれしくなってしまうようなブレークスルーを与えてくれるインスピレーションはどのようにして得ればよいのでしょう。

 

ここで「インスピレーション」※3の意味を調べてみると「ひらめき、思いつき」ですがはっきりとした定義は分かりにくいものです。

 

 Wikipediaでは日本語版英語版ともに詳細の記述がありません。

 

“課題達成型開発”でインスピレーションは潜在意識下に形成された「出来ないことを出来るようにする」アイデアを言語化(または映像化)することです。

 

残念なことですがなんとなく(本人は意識できていません)繰り返しているうち偶然に解決手段が見つかることを期待した“できたなり”の取り組みは少なくありません。

 

このような取り組みにインスピレーションを得る言語化の方法を“課題達成型開発”は提供します

 

 

※1 映画『オッペンハイマー』公式|3月29日(金)公開 (oppenheimermovie.jp)

 

※2 等価原理 - Wikipedia

 

※3 インスピレーション意味とは?正しい使い方や語源・類語、「インスパイア」との違いも紹介 | BizLog (bzlog.net)

(2024.03.16


■次世代エネルギー・・産業にもマルチパスウェイ

 

 次世代エネルギーとして水素が取り上げられる機会が増えています。

水素の課題については資源エネルギー庁のホームページに分かり易い解説※1があります。

 

ここで気になるのが電気と同様に水素も貯蔵が難しいためFC(燃料電池:Fuel Cell)や水素エンジンなど自動車への利用が難しいことです。

 

電気の貯蔵(電池)や運搬(送電)が用いられているEVではAppleが約10年の月日と数十億ドルの巨額投資を行ってきたEV開発から撤退するとの報道がありました。

 

スマートホンやPCなどで成功したリチウムイオン電池は電気を貯蔵し運搬する優れたツールですが、スケールアップ用途としてEVに適用されることで多くの課題が顕在化し万能ではないことが立証される壮大な社会実験になっています。

電池重量がグラムからキログラムへと1,000倍に拡大されています)

 

水素も同様に課題を有しコンパクトな液体(体積:1/800)にすると沸点は常圧で-253℃と極めて低く貯蔵には真空断熱された容器が用いられますが真空を介しても外部壁からの輻射熱を受け次第に蒸発してしまいます。

アルミニウムの中間層など熱線反射材を用いても保冷は容易ではありませんし二重容器にして液体窒素で周囲を冷却するなどの手法ではタンクが巨大化してしまいます。

 

また常温で容易に液化するLPガス(プロパンやブタンなど)と異なり現在のFCV(燃料電池車)では高圧(例:700気圧)の貯蔵が必要になります。

充填には断熱圧縮による温度上昇を抑えるため冷却の必要があり水素ガスの昇圧自体にも大きなエネルギーロスが伴うことで本末転倒なものになってしまう懸念があります。

 

自動車における最適解をマルチパスウェイから適材適所で選択する重要性が注目されていますが、水素の活用でも定置型発電や水素製鋼など各種産業(電力、製鋼、輸送など)を対象に同様の試みが重要と考えられます。

 

RRI(責任ある研究・イノベーション)の実現に“課題達成型開発”を利用してはと思います。

 

※1 次世代エネルギー「水素」、そもそもどうやってつくる?|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)

(2024.03.08)


■RRI・・課題達成型開発そのものでした

 

 RRI※1について知る機会がありました。

Responsible Research and Innovation: 責任ある研究・イノベーションというものです。

 

新たな発見や発明またアイデアを起点として社会が“できたなり”に変わっていくのではなく社会実装されたときの“ありたい姿”をよく考えて取り組みを行うというものです。

 

 身の周りでも再生可能エネルギーや自動車の完全電動化などで生じている問題に同様のものを見かけます。

古くは「沈黙の春」で有名な化学物質への対応※2“四害駆除運動” ※3のような側面があったことなど枚挙に暇がありません。

 

また最近では完全BEV化によるICE(内燃機関)の規制に方向性の変化が見られ分かり易い技術的な解説※4をネットで知ることもできるようになりました。

 

欧州を中心とする政策的な意思によって世界の膨大な資源と費用が費やされてきたことの反省がありたい姿(ゴール)を考え検証する大切さをあらためて知る機会になったことは貴重な経験です。

 

同じく欧州で立ち上がったRRIに注目が集まり後知恵になってしまう状況から貴重な資源や環境を守り経済の発展に寄与して欲しいものです。

 

“課題達成型開発”が求めているものとよく一致する概念であり注目していきたいと思います。

 

 

※1 ELSIからRRIへの展開から考える科学技術・イノベーションの変革 政策・ファンディング・研究開発の横断的取り組みの強化に向けて(—The Beyond Disciplines Collection—)|戦略提案・報告書|研究開発戦略センター(CRDS) (jst.go.jp)

 

※2 物語(マンガ・小説・映画)から学ぶ哲学をあなたの人生にプレゼント! » 「沈黙の春」の批判&問題点は、環境活動家に過度な自然礼賛を与えたことかも (cc-digest.com)

 

※3 スズメの大量駆除が中国で大飢饉を引き起こした理由とは? - GIGAZINE


※4 【ゆっくり解説】EVシフトは幻想だった…2035年にEVが消滅!技術的に不可能だと暴露されEU涙目【海外の反応】 - YouTube

(2024.02.18)


■第四次産業革命・・その目的は人間のためになっていますか

 

今話題のキーワード「第四次産業革命」※1について見てみたいと思います。

 

メディア報道も落ち着きの見えてきたAIですが対話型(GPT:Generative Pre-trained Transformerなので生成と訳されますが)が登場して気が付いたことがあります。

 

多くの人の仕事が奪われると言われていますが産業革命以降に業態が転換した産業は数知れません

 

第一次(農業→工業)、第二次(軽工業→重化学工業)、第三次(アナログ→デジタル)と産業の中心が移行するたびに就業人口の比率も変わってきました。

 

「第四次」(人間の定義が覆る?)で人はどこへ行くのでしょう。

(答えは虚数解のように感覚的には認知が難しいもの※2かもしれません)

 

産業が経済として循環するために必要な残りの部分は“消費”ですが、トマス・モアの“ユートピア” ※3を起源とするベーシックインカムについて多くの賛否論がありデストピアという議論※4も見かけます。

 

AIから得られる答えは質問対象のモデルが明確であるほど満足できる結果になります。

 

倫理のようにモデル化の難しい事項※5に関わる人間の仕事はこれから重要になっていくでしょう。

AI研究にどのような影響をもたらすのかも興味深いです。

 

一方、脳科学からも目が離せません。

 

もし、脳内で量子力学的効果※6がマクロレベルで発現(潜在意識)しておりその信号を抽出できれば人間の脳をデバイスとした新たな発展がみられるかもしれません。

 

AIの提示する事象 → 脳内(人の認識 → 潜在意識)→ 機械(脳から信号抽出→ AIによる認識) → モデル化

 

といったことは可能になるのでしょうか。

 

現在の心理学研究※7は機械と脳の双方向通信に至る日が来るのでしょうか。

ご参考 Amazonで家電?※8として販売されている商品があります

 

 しかし何より驚かされることは “そもそも何をしたいのかという人間の意識(潜在意識の掘り起こし)” をモデル化しようとする手法が何十年も前から“課題達成型開発”として利用されてきたことです。

 

興味深い時代の幕開けとなりました。

 

※1 第四次産業革命 - Wikipedia

 

※2 虚数解は四次元空間に存在する!?数学の不思議な世界 (youtube.com)

 

※3 無条件のベーシックインカム 500年にさかのぼる歴史 - SWI swissinfo.ch

 

※4 「無能は社会に出るな、という時代が来ます」「ベーシックインカムは労働なき奴隷制度」社会実験やシミュレーションから見るベーシックインカムは闇が深すぎた!?【岡田斗司夫/切り抜き/サイコパスおじさん】 - YouTube

 

※5 (参照)本Colum 2023.06.27「価値観・・要件策定で言語化」 Q: Chat GPTはAIの倫理ガイドラインを作成できますか

 

※6 量子脳理論 - Wikipedia

 

※7 心理学ワールド 93号 脳を刺激する tDCSには認知機能を向上させる効果があるのか? | 日本心理学会 (psych.or.jp)

 

※8 Amazon.co.jp: Muse2 ニューロフィードバック・ヘッドバンド世界シェアNo.1 : 家電&カメラ

(2024.02.08)



■寄付

日赤令和6年能登半島 地震災害義援金

30,000円  寄付させて頂きました

弊社方針➡寄付について

(2024.01.18


 ■時間の価値・・定量化された結果

 

自動車の型式認証について是正命令という厳しい措置が報じられています。

(認証制度とは※1

 

今回はここから何を学ぶかという視点で見てみたいと思います。

 

ネット、雑誌などで切り抜きや本題でないと思われる情報も多く見かけますが先ず当該メーカーの第三者委員会報告書※2を読むことをお勧めします。

 

起因として報告書(P.100~)に短期開発の導入や日程厳守が記されています。

 

一方で比較対象として在職していた企業の開発段階を振り返ると自動車メーカーとしては同様に厳しい市場競争の中で知る範囲で類似する問題を思い当たりません。

 

モデルチェンジのサイクルを短くすることで商品魅力の鮮度を保つ開発期間の短縮もありました。

 

また売れないものはどのように経営資源を投入しても損失にしかならないため売れると確信できる企画になるまで限られた期間の中でも次のステップに移らない仕組みに変化していきました。

 

部品点数の多さや複雑なサプライチェーンを抱えて並列進行するのでどのような工程も遅れは許されません。

 

昔は図面を描き金型をおこし幅広いサプライヤーに部品の調達を手配する時間を基準に企画の期限が決められていたと思います。

 

しかし企画に時間を割けば限られた期間で車を製造するため開発から型式認証の取得まで期間はタイトなものになっていきます。

 

今回の件で気が付いたのは在職した企業が「時間を金で買う」という当たり前?ですが驚きの思考を持っていたことです。

 

約40年前に初めて接した時は湯水のごとく開発に投入されるお金が効率的なものとは思えませんでした。

 

レース参戦が影響していたのかもしれませんが現場で感じたのは時間をお金で買うのが当たり前という感覚です。

 

ここで在職していた企業が得ていた貴重なものに「時間の価値を目に見えるお金ではかる技術があったと思います。

 

発案や企画に時間を割けば残りの時間で完成に至るまでの費用は指数関数的に大きくなります

 

 “ 時間 対 費用 ” を定量的に把握できていれば企画など前工程に負荷と費用を移動することが賢明であり後工程へのしわ寄せを小さくしようとする圧力が自然と発生します。

 

 “機能買い” と呼ばれる自動車が部品に求める要件(例:極暑、極寒および塩害地域を含め 〇〇年使用 〇〇km走行にて動作に不具合のないこと)を部品メーカーの保証で購入する開発の効率化も「時間をお金で買っている」のです。

 

この場合、部品メーカーは時間だけではなくリスクも請け負っています。

(リスクは移動できますが消すことはできません)

判断を誤れば大きな痛手となることはエアバッグメーカー※3の例が知られています。

 

企画開発段階に課されるスケジュールの守り切りは大きな負荷ですが、その厳しい業務を支えていた仕組み(要件)は “課題達成型開発” だったとあらためて感じました。

 

 

※1 自動車認証審査部 (ntsel.go.jp)

 

※2 第三者委員会による調査報告書公表のお知らせ(ダイハツ工業株式会社)

 

※3 タカタ (企業) - Wikipedia

(2024.01.18)



■被災されました皆様にお見舞い申し上げます


 令和6年能登半島地震にて被災された皆様にお見舞い申し上げます。

一日も早い普及と復興を心よりお祈り致します。

(2024.01.08)



■OSINT・・情報収集の目的をしっかりと

 

 年初めの話題は昨年、何度もご紹介したOSINT※1です。

今回は実際に分析と予測をしてみたいと思います。

 

「2024電池業界はどこへ向かう」を昨年度に好評いただきましたBEVの話題に続き大胆予測です。

(約半日のネット検索情報です。ご笑覧ください)

 

 年末のコラムにも記させて頂きましたがBEV一色ではない方向に世界の潮流は転換されようとしています。

 

今までのBEV一色を前提としたリチウムイオン電池への投資はどこへ向かうのでしょう。(電池のギガファクトリー建設先送りのニュースが多くなってきました

 

OSINTは何故そこに思い至ったかストーリーをのせるグランドデザインを描くための作業です。

 

歴史から調べてみましょう。

 

現在の開発や投資の情報に加え過熱投資いわゆるバブル(少し前の太陽電池を覚えていますか)に至るまでの製品やサービスの歴史はとても有用です。

 

本格的な自動車の電動化開始※2から現在まで駆動用電池の歴史をほんの少しだけ思い出してください。

 

またマルチパスウェイ戦略※3に加えて電池の状況※4を見ると深く練りこまれた立体的なグランドデザインが見えてきます。


ICE(内燃機関)か電動かという単純な選択だけではないのです。

 

さらにそのライフサイクル(資源取得から再資源化や適正処理※5まで)の情報も役立ちます。

 

では取得情報を周辺に広げてみましょう。

 

例えば設備投資や人事という分かり易いものをネット検索すると

 

・BEV状況変化のタイミングでリチウムイオン電池向けではない設備増設をホームページにアップしている電池材料メーカーがある

 

・(少し前になりますが)電池事業では知らなかったメーカーが電池技術者を多数募集していた

 

 “何を知りたいか” が明確に言語化されている方は「あーっ」と思いついたものがあると思います。

 

AIが代わってくれる日は近いかもしれませんが知りたいことが言語化されている人にしかわからないのです。

 

至極当然のことになりますが以下のように予測します。

 

「世界の潮流がBEV一色からHEVなど多様性に変われば、電池の体積および重量エネルギー密度またコストや求められる安全性への対応についても流れが変わる」

 

ここまでお読みいただいた方で “気づき” を感じられた方はOSINTのイメージを掴んでいただけたのではと思います。

目的(知りたいこと)を言語化する “考える技術” が必要なのです。

 

YouTubeの始まり※6は巨大なマスメディアに遠く及びませんでした。

個人では極めて限定的だったOSINTがAIのサポートによりどのように高度化されるのか期待されます。

 

“課題達成型開発”の考える技術に強力なツール(AI)がまた一つ増えました。

 

 

※1 OSINT(オープンソース・インテリジェンス)とは? その活用法を解説 | サイバーセキュリティ情報局 (canon-its.jp)

 

※2 プリウス誕生20年を振り返り | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト (global.toyota)

 

※3 「クルマの未来を変えていこう」 質疑で深めた2つのテーマ (toyotatimes.jp)

 

※4 今後の選択次第では苦境に立たされる可能性も! トヨタが電動車に「3種の電池」を使う理由 | 自動車情報・ニュース WEB CARTOP insidetoyota_168_7.jpeg (1500×844) (webcartop.jp)

 

※5 ハイブリッド車バッテリーリサイクル | 循環型社会・システム構築チャレンジ | 6つのチャレンジ | ESG(環境・社会・ガバナンス)に基づく取り組み | サステナビリティ | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト (global.toyota)

 

※6 Youtubeが作られた本当の理由。出会い系サイトになる予定だった!? : カラパイア (karapaia.com) 


(2024.01.08



■謹賀新年・・あけましておめでとうございます

 

新春のお喜びを申し上げます。

皆様のご繁栄とご健勝をお祈りいたします。

今年もよろしくお願いいたします。


       Frontier Conceptor 代表社員 小倉新一


 

【お知らせ】

 “課題達成型開発” を学生の方に活用いただくお手伝いを始めます

➡ 課題達成型開発にご興味をお持ちの方へ(社会貢献活動)


(2024.01.01)



■2024年へ向けて・・よいお年をお迎えください

 

 2024年はThe XVI BRICS Summit in the city of Kazan※1がロシアで開催される予定です。


BRICS通貨(非ドル決済)が実現すれば経済の多極化だけでなく地政学的な変動は必須かもしれません。

 

 また今年大きな変化の見られたBEVにおいて日本でBYDをBEV専業メーカーのように伝える傾向がありますが、HEVメーカーとしても成長中です。※2


過去のテレビなど家電メーカーの歴史に学ぶことが必要な時期に来ている可能性もあります。

 

日本の資源や製造の強靭化に関わるお仕事でお手伝いができれば幸いです。

 

※1 Vladimir Putin says Russian city of Kazan will host Brics summit in 2024 (ft.com)


※2 テスラが中国HVに敗北し販売台数17.8%も減少!世界がHVでいいことに気づいてしまう【ゆっくり解説】 (youtube.com) 

 

 

ご挨拶

創業間もない弊社をお支えいただきました皆様に厚くお礼申し上げます。

来年もご期待に添えますよう誠心誠意努力させて頂きます。

変わらぬご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

Frontier Conceptor 代表社員 小倉新一

(2023.12.20



■適材適所・・ハンマー?が目的になっていませんか

 

今回はアメリカのことわざ「ハンマーを持つ人には全てが釘に見える※1です。


 

輸送機器の電動化においては一般に四輪車がイメージされますが二輪車メーカーによる新たな事業展開※2も発表されています。(電動二輪車は期待される市場※3です)

 

またリチウムイオン電池の開発が多く伝えられていますが昔ながらの鉛蓄電池の高性能化※4にも目を見張るものがあります。

 

小規模発電など電力がガソリンの供給よりも都合のよい中国農村部などで以前から鉛電池を搭載した低速EV※5が成功を収めています。

(日本では鉛電池を搭載しマイクロカー※6が販売されています)

 

最近の傾向として電動化の局所だけを見た賛否情報がマスメディアやネットで見られますが全体を俯瞰することも必要でしょう。

 

今年のはじめに人気YouTuberさん※7から取材を受け“EVはありなのか無しなのか”と問われ“適材適所”とお答えしたことがありました。

 

今までに経験し何度も見てきた拘りのハンマーを持つ人の例をご紹介したいと思います。

 

(1)   CFRP(炭素繊維複合材)※8

 

 日本が発明した炭素繊維はFRP(繊維強化樹脂)として航空機などの軽量化や受ける力の方向、温度変化などに対する変形を設計できるなど夢の構造材として注目されています

 

 しかし適用されている製品は決して広範囲ではありません。

その価格が高いこともありますが、FRPの特性そのものにも要因があります。


繊維をまっすぐに伸ばした状態で引っ張ると変形しにくいですが、ふにゃふにゃと曲がった状態では容易に変形することはご理解いただけると思います。

 

 これは樹脂で固められた状態でも同じことで繊維強化の効果を発揮するためには力のかかる方向に引き揃えられ連続(切れていない)していることが重要です。

 

結果として航空機の機体や圧力タンクなどシンプルな形状の製品に用いられた時に最も性能を発揮できるのです。

 

 さらに単純な形状であっても組み合わせて使うと接合部分は連続的に繊維で強化されていないため接着剤や接合材の強度に支配されます。

 

世の中で「軽くて強いCFRP」というハンマーを持つ人がいます。

 

自動車も軽量化が求められる製品であり取り組み例は多いのですがその取り組みを見ると現在主流の複雑なモノコック形状をこのハンマーで叩いている例が多く見受けられます。

 

少し専門的な話になりますが「強度、剛性」が高い材料ではなく「比強度、比剛性」が高いということも広く理解されて欲しいです。

 

(2)   廃プラスチック油化※9

 

プラスチックごみは自然界で分解され難く軽く嵩張って輸送しにくい特性があります。

 

さらに固形物であり多くの場合異物が混入しているため燃料として使うには専用の燃焼炉を要します。

 

こうした問題を解決する手法として“廃プラスチック油化”が取り組まれてきました。

 

 プラスチックは長い炭素鎖によって構成され熱を加えられると鎖が切れ分解されることで液体(ガス)になります。

 

そこでプラスチックを主とする廃棄物を加熱して液体燃料を作る試みがASR(自動車破砕残渣)などにも多く試みられました

 

 確かに油化物は回収できるのですが廃プラスチックだけを理想的に熱分解することは難しく、さらに混入している異物と合わさってさらに処理困難な廃棄物や排ガスを生成するなど困難をともないます。

 

これらの課題解決には廃プラスチックの処理を俯瞰するグランドデザイン上で技術やビジネス競争力を有するブレークスルーが必要です。

 

 「廃プラスチックから油が採れる」というハンマーだけで廃プラスチック処理に取り組む例は後を絶たず一気に大量処理の設備投資を行い操業前に廃業してしまった例などもあります。

 

(3)リチウムイオン電池

 

リチウムイオン電池も優れた技術ですが何でも叩いてみたくなるハンマーかもしれません。

(層間化合物の研究に携わった経験から電池として使う発想には驚かされます)

 

 他にもご紹介したい例は多々あるのですが今回はここまでにしたいと思います。

 

 

 グランドデザインを描てから道具を選ぶ仕組みを組織内に作ることは将来にわたって企業の財産になります。

  

適材適所を見抜く手法として“課題達成型開発”を使ってみてはいかがでしょうか。(課題達成型開発のハンマーにも注意は必要です)


 

※1 ハンマーを持つ人には全てが釘に見える|旅人先生X 【毎日執筆4年目】 (note.com)

 

※2 Honda | 2023 Honda 電動二輪事業説明会 説明概要 (global.honda)

 

※3 日本とケタ違い! 中国の「電動バイク」保有台数3.4億台突破、コスパ抜群&エコ貢献 なぜ爆売れするのか? | Merkmal(メルクマール) (merkmal-biz.jp)

 

※4 “枯れた”鉛蓄電池でリチウム電池超え、古河電工が22年量産へ | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

 

※5 運転免許不要の中国「低速EV」新基準でも残る課題 製品品質に差があることが問題視されていた | 「財新」中国Biz&Tech | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

 

※6 超小型BEV「コムス」:トヨタ車体 (toyotabody.jp)

 

※7 ものづくり太郎チャンネル - YouTube

 

※8 炭素繊維強化プラスチック - Wikipedia

 

※9 令和5年度第44回 廃棄物処理施設技術管理者中央研究集会 (一社)廃棄物処理施設技術管理協会 https://jaem.or.jp/ R5(2023)/11/7

プラスチックの熱分解・油化技術の 現状と今後の動向 宇山 浩 大阪大学大学院工学研究科 スライド 1 (jaem.or.jp)


(2023.12.15



■課題達成型開発のツール・・「なぜなぜ」と「バックキャスティング」

 

 今回は「課題達成型開発のツール」をご紹介したいと思います。

 

組織に於いて担当者は業務指示を受けテーマへの取り組みを開始しますが解決の糸口さえ思いつかない案件もあります。

場合によってはそのまま時間だけが過ぎてしまうことも少なくありません。

 

同時に指示する側も無理を承知の場合があり有耶無耶のうちに取り組みが霧散してしまうこともあります。

 

このようなケースは“そもそも”の目的や指示が適切なものか検証されず取り組みの価値が確立されていない場合が多いものです。

 

担当者が始めに行なわなければいけない作業は目的や目標の妥当性を検証することです。

特に「取り組みの目的と手段が取り違えられていないか」の検証は重要です。

 

ポピュラーな検証方法としては「なぜなぜ※1」と「バックキャスティング※2」があります。

通常「なぜなぜ」は問題の分析手法として用いられますが目的や目標、目標要件の妥当性を検証する場合にも役立ちます。

 

担当者に理由を問う側も「なぜ問うたか」を「なぜなぜ」されることで思考は線から面へそして立体へと次元が上がりマップが形成されます。

これはグランドデザインの構築そのものでもあります。

 

「バックキャスティング」は“ありたい姿”に対して出来ない理由を一旦排除してストーリーを構築することで高い有効性を見ることができます。

 

グランドデザインの上には目的の達成に必須の目標クリアに避けて通れないルート(ブレイクスルー)の存在を認知することができます。

また“思い込みに支配されていた取り組み”から解放される“適正なルートの発見”にも役立ちます。

 

今までこれらの手法を活用するには時間と経験が要されていましたがAIのサポートにより短期間に高度なスキルの獲得が可能になるかもしれません。

実際の業務を題材にしたトレーニングが必要であることに変わりはないでしょう。

 

※1 【事例あり】なぜなぜ分析とは|やり方と失敗しないためのコツ | ”実績班長”|テクノシステム株式会社 (hancho.jp)

 

※2 バックキャスティングとは メリットや注意点、フレームワークを解説:【SDGs ACTION!】朝日新聞デジタル (asahi.com)


(2023.12.03



■会議支援AI・・仕事が失われる?

 

 企業で会議は年間150~430時間※1くらいあるそうです。

(実際はもっとあるかもしれません?)

 

会議の生産物は議事録ですが読み返すと内容が思い出せない場合もあるのではと思います。


なかには発言を文字起こししたものを議事録と称しているケースさえ見受けられます。

 

最近AIの用途として会話の要約※2 (声や言いまわしなどのニュアンスまでくみ取って作成されます)がコールセンターの通話分析などに導入され始めました。

 

容易に推測されるのは”会議支援AI”でしょう。

議事進行から意思決定内容の要約、業務の価値分析や提案さらには議事録を見ながら複数人による同時発言の整理まで行われるようになるかもしれません。

 

出席者の能力査定が行われたり適正人員の選定まで行われたり近い未来にはAIによって会議という仕事を多くの人が失うのでしょうか。

 

しかしモデルが明確なほど能力を発揮するAIによって行われる支援は至極あたりまえの事柄が多いはずです。


“できたなり”になっているものがあれば“当たり前のこと”が行われるようになるだけです。


長年用いられてきた“課題達成型開発”はこの当たり前のことを行う方法を提供するものでありAIと相性がよいと思われます。

 

※1 「ムダな会議」による企業の損失は年間15億円:こんなにも……!(1/3 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

 

※2 AIによる予測分析がビジネス課題を解決する | Prediction One (sony.biz)

(2023.11.19



■調査委託・・情報やアイデアを買う

 

マーケットリサーチなどに多額の予算を付与している企業は多いと思いますが費用対効果にご満足されているでしょうか。

 

一方で費用対効果について妥当な発注であったか評価、査定されないケースさえ見かけることがあります。

 

 どのような調査(テストなど含む)も目的があるはずなのですが、シンクタンクやコンサルが発注者の希望を暗黙のうちにくみ取ってくれることを期待する“できたなり“を見かけることは少なくありません。※1

 

情報収集や事業提案の外注は自ら情報をつなぎ合わせ事業化計画を作り上げるための過程に過ぎません。(OSINT※2の“収集”は手段です)

 

 お金を無駄にせず満足な結果を得るためには適切な“要求(発注)仕様書”が必要です。

 

では満足な“要求仕様書”はどのようにして作られるのでしょうか。

 

最も重要なのは“的確な目的(グランドデザイン)”の上に示される目標です。

(この時点でまだ候補ルートも決まっていません)

 

 発注の価値はグランドデザインの上にのせて初めて分かります。

目標に到達するためのルート策定に必要な情報やアイデアを調査委託で買うのです。

 

要求仕様書やグランドデザインの構築を得意とする“課題達成型開発”を用いた価値ある発注を試されてはいかがでしょう。

 

※1 日本でも“アイデアを買う”ことは身近になっているようです。ご高齢の女将さんと息子さんで営まれている小さな焼き鳥屋さんで耳にしたのは「飲食コンサルにずいぶんと払ったけど役にたたなかった」というものでした。発注する方法を相談できるところが必要だったのかもしれません

 

※2 オープン・ソース・インテリジェンス - Wikipedia

(2023.11.06)



■価値創造・・ユーザーと生み出す新たな価値

 

循環経済への取り組み強化が首相指示※1(2023.10.10)により政府経済対策に盛り込まれ(即月)都市鉱山に関わるビジネスへの注目度がアップしているようです。

 

環境意識の高まりの中で日本の自動車メーカーはブランド力向上のため資源有効利用促進法※2や自動車リサイクル法※3の範疇を超えた取り組みを行ってきました。

 

既に市場にあるものを導入しただけでは訴求力が小さく今までにないリサイクル技術やスキーム開発が探索されました。

 

サプライヤーもビジネスを拡大したいとは思っていますが市場原理で成立しないものを扱うことはできません。

 

このような状況の中で自動車メーカーもサプライヤーも調査を繰り返しては諦めるということが繰り返されました。


これは資源価格の高騰により成立する瞬間があったからで無駄に調査が繰り返されていたわけではありません。

 

循環経済強化に向けた取り組みは資源に関わる新たなビジネスチャンスを予感させるものですが資源価格の動きは悩ましいところです。

 

今回の首相指示も露/ウクライナから中東情勢へと世界の多くの資源を有するグループ(BRICSおよび中東、アフリカなど)と日米豪欧の分極が加速されるのではという危機感によるものかもしれません。

 

しかし市場原理で成立するものを探すという手法(“できたなり”)では難しいことは既に理解されていると思います。

 

“新たな価値”を生み出すためには“価値を認めるユーザー”が必要です。

ユーザーが求める価値観とサプライヤーを結びつけるストーリー作りに課題達成型開発を試されてはいかがでしょう。


※1 岸田首相 循環経済実現に向け産官学連携強化などの支援策検討 | NHK | 環境  


※2 資源有効利用促進法の概要 | 環境再生・資源循環 | 環境省 (env.go.jp) 

 「資源有効利用促進法」改正検討、「循環型社会形成推進計画」数値目標の見直しなどが行われるようです(2023.10.11 読売新聞)


※3 自動車リサイクル法(METI/経済産業省) 

(2023.10.16



■人がたりない問題・・あらためて言語化してみる

 

 紀元前5000年のエジプト遺跡に「今の若いものは」という記述があったそうですが同じくらい使われてきたのではと思うのが「人がたりない」ではないでしょうか。

 

あらためて言語化してみると“人数なのか能力なのか”について考える必要があるでしょう。

1.現在の仕組みを規模拡大するために必要な人数(コスト)

2.新たな製品やサービス開発、課題解決に必要な人(確率)

 

二つの意味で使われますが事業拡大が裏目に出た破綻など、上記の(コスト)も(確率)の影響を受けます。

 

マスメディアが特別な経営者やスタープレーヤーを華々しく取り上げることからもその(確率)は高くないことがわかります。

 

限られた経営資源の中でリスクでもある(確率)はどのように対処されているでしょう。

 

最も単純な方法は“お金で買う”です。

資金の豊富な企業などが利用するヘッドハンティングやコンサルティングなどですが、その選定自体がリスク(確率)そのものでもあります。

 

もう一つは“人を育てる”です。

しかし既に“人を育てる人”がいればそもそも問題はありません。

 

さらに“成功事例に学ぶ”があります。

自動車メーカーではあまりにも有名な“カイゼン”などが知られています。

しかし正しく“学ぶ(導入ではありません)”ことは容易でなく誤った理解による失敗事例も多く見られます。

 

このように「人が足りない問題」も企業体質や運営の仕組みに行き着くようです。

 

ではどのように学べばよいのでしょう。

国内で自動車製造の最後発メーカー※1は優れた創業者の知恵に加え先人に多くのことを学んだはずです。

その中で実際に開発システムとして長年利用されている仕組み※2(A00)あります。

 

“課題達成型開発”をご経験いたくことがこの手法をご理解する役に立つのではと思います。

 

 

※1 KURU KURA(くるくら) - クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

 

※2 Hondaイズム|Honda新卒採用サイト (honda-recruit.jp "13")

(2023.10.09



■後知恵・・当たり前に気付く大切さ

 

“後知恵バイアス”※1は“認知バイアス”※2のひとつであり特許審査においても重要な概念※3になっています。


研究機関も存在しデューク大学の先進後知恵研究センター※4が知られています。

 

 後知恵とは「当たり前のことだったのに」と感じることを言います。

 

・仕入れと費用の合計が売価を超えてはダメ

いわゆる粗利ですがこれが確保できなければ“当たり前ですが”ビジネスを続けることはできません。

 

自動車リサイクル法(2005年1月)の施行により今まで処理事業者の負担だった操業に伴う廃棄物処理費用にユーザーの預託金で賄われるものが指定されました。(新車を購入するときに支払うリサイクル料金)

 

このビジネスチャンスに新規参入する新車ディーラーもありました。

自動車を扱いなれていることに加え新車販売時に使用済みの自動車を確保できるため解体業の運営はとても魅力的でした。

 

程なくして地場販社のオーナーさんから支援の話が舞い込みました。

とてもお世話になっているオーナーさんであり急ぎ調査に入ったのですが損保からの出向者や他メーカーの販社幹部クラス出身など商材としての自動車の扱いに長けたメンバー構成になっていました。

 

しかし同じ自動車に関わる事業ということで手の内で解決しようと運営を続けるうちに損失が膨らんでいました。

 

結論から述べると売り上げを確保するため解体事業者の収益の柱である中古部品販売(これも経験者が不在)を拡大しようと高額な使用済み自動車の仕入が多い状態でした。

 

後知恵をもって見れば成功している本業ではあり得ないことです。

何故見過ごされてしまったのでしょう。

 

多くの人は出身業界の成功体験に基づいた運営を行います。

 

新規事業に取り組むためには“そもそも”必要なスキルの新規取得を計画的に行う必要がありますが経験のない事業への参画が未経験者に任せられていたのです。

 

その後は成功している解体事業者に学ぶことで事業全体を大きく改善し地域を代表する事業者としてご発展を続けられています。

 

課題達成型開発では“後知恵”にならないための“手続き”に時間と労力を十分に費やす習慣を身につけます。

新規や未経験の分野への参入でお役に立てれば幸いです。

 

※1 後知恵バイアス - Wikipedia

 

※2 認知バイアス - Wikipedia

 

※3 後知恵とは(特許出願の)についての用語を詳しく説明します:パテントに関する専門用語詳細ページ(今岡憲特許事務所) (imaokapat.biz)

 

※4 ダン・アリエリー - Wikipedia

(2023.09.18



■価値を見出す・・取り組みを“できたなり”で無駄にしないために

 

 新規事業への取り組みが失敗する原因に“ニーズがなかった”というものがあります。

価値のないものに取り組んでいたのかと不思議に思われるかもしれませんが価値の有無は結果として表れるものです。

 

 今から30年前、話題になった二足歩行ロボット※1がありました。

映画やテレビの中にあったものが世の中に出てくるとビジネスの観点から新たな議論が始まりました。

 

そもそも なぜ二足歩行なのか (車輪などにはない排他的な価値)

 

二足歩行の価値について研究者などによる議論は行われていましたが事業化を目指す多くの人々が加わった価値の議論が始まりました。

 

当時「人間に最適化されている空間をそのままに活用するため(ヒューマンファースト)」という説明を聞いてなるほどと思った記憶があります。

 

その後も多くの研究が行われセンシングや制御に知能化が加わり歩行性能も向上してきました。※2

 

しかし人が担い手の中心にあるエッセンシャルワークでも二足歩行が唯一無二の手段でなく他の手段で実現された優れた例が見られます。※3

 

事業化のストーリーに求められるのは「そもそもの価値」を作り出すことです。

新たな価値を見出すために課題達成型開発がお役にたてればと思います。

 


ChatGPTに聞いてみました。


技術の進歩によって人間の精神活動に関わる(映画などで描かれていた)価値が重要性を増しそうです。

二足歩行の価値の探索は行き着いていないようです。

 

Q 二足歩行の価値は見出されていますか                                                                                                                                   

A 二足歩行の価値は多くの場面で見出されています。以下に、二足歩行の特有の価値をいくつか挙げてみましょう。

 

1. 人間の模倣と共感: 二足歩行は人間の歩行や動作を模倣するため、人々はロボットと共感しやすく、ロボットの行動を理解しやすいです。これにより、人間との協力作業やサポートがより自然に行えます。

<以下略> 


※1 ASIMO - Wikipedia

 

※2 Sick Tricks and Tricky Grips | Boston Dynamics

 

※3 SOMATIC UPDATE: August 2023 (youtube.com) 

(2023.09.06



■異業種協業・・「言葉が通じる」をビジネスに

 

抱えるインフラもサプライチェーンも異なる材料メーカーと自動車メーカーを接続しているSPEC※1表というものがあります。

材料メーカーはSPEC表に記された性能、品質を満足する製品を納入するという取り決めです。

(図面通りの製品を納入することと同様です)

 

両社を接続するこのツールについて十分に相互理解されていないのではと感じられることがあります。

 

自動車メーカーは実際の走行環境で材料のテストを行い要件(例:塩害地域の走行で〇〇年腐食による問題がないことなど)を満たす材料性能を決定します。

(設計によって求められる性能が変化することも忘れてはいけません)

 

当たり前のことでありながら実使用が基準になっていることを忘れられがち、または全く理解されていないことがあるのは残念です。

 

さらに実走行によるダメージを再現し同等の影響を評価する加速試験を開発(例:所定の試験片に加重を加えて塩水噴霧〇〇時間など)して必要な品質基準を決定します。

 

これらの各種試験で合格する値をまとめSPEC表を作成します。

(注:材料メーカーの発行するカタログ値とは異なります

 

材料メーカーが知ることが出来るのがSPEC値でありバックグラウンドにある決定経緯は共有されていないケースも少なくありません。

 

SPEC表を挟んで両者は全く異なる業態を有しているので「言葉が通じる」関係に至るのが難しいことは否めません。

 

ここに現れてきたのが“機能売り”というビジネスを始めた部品メーカーでした。

(自動車メーカーの要件を満たす製品を部品メーカー保証で納入)

 

“両者の言葉を理解”し住み分けと明確化された境界のすり合わせを行うことで大幅に自動車メーカーの開発効率をあげビジネスを拡大してきました。

 

要件の相互理解はその策定背景にまで遡上するスキルが必要です。

課題達成型開発を用いている企業(自動車メーカーなど)との協業のご参考になればと思います。

 

※1 SPEC スペック - Wikipedia 

(2023.08.19



■危機は突然やってくる・・経済の何が変わるのか

 

 昭和のニクソンショックを覚えている方はどれくらいいるでしょうか。

当時友人の父親が経営する会社が破綻するきっかけになったことを鮮明に覚えています。

 

今まで金と兌換できていた米ドルの有する価値が信用だけになってしまいました。

その後の日本もバブル景気などを経て実業は虚業に敵わないなどとも言われてきました。

 

ウクライナ問題と並行した動きで中露による中東和平が推し進められるなど一帯一路に関わる経済圏と西側の乖離(多極化)が進みつつあります。

 

グローバル化により均質になった世界に高低差を生み出し失われた経済の流動性を回復しようとするかのようです。

 

今までの資源危機は価格そのものといってもいいかもしれませんが変動はあっても資源が入手可能な場合でした。

 

西側の金融経済(信用)と中露の資源経済(現物:手持ち)に分かれた場合、デリバティブによって結び付けられていた資源と金融にデカップリングが生じお金では解決のできない世界がくるのでしょうか。

 

小職は全くの素人ですが理論としての先物取引の本※1を興味深く読み返してみました。


アンラーニング※2が必要かもしれません

課題達成型開発の手法を併せて活用されてはと思います。

 

※1 入門 先物市場 | 東洋経済STORE (toyokeizai.net)


2 アンラーニングとは?意味やメリット、導入のステップを解説! JMAM

(2023.08.05



課題達成型開発という手法・・知って頂きたいをお伝えするために

 

 このコラムで課題達成型開発の良さをお伝え出来るだろうかという疑問を持ち続けていました。

 

これは在職中に“開発要件”をクリアするための業務は行われていても“開発要件の意味や策定の方法”が全ての社員に理解されていないのではと感じていたからです。

 

“難しいことを難しいまま伝える方法”という興味深いYouTube動画※1を見つけました。

繰り返し伝えることの大切さが述べられており当コラムを続けるモチベーションを得ることができました。

 

さらに実際のご案件をもとに“体験で理解”を深めていただければと思います。


※1 予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」

難しいことを難しいまま伝える方法@慶應大学  https://www.youtube.com/watch?v=RVlGTQ9R-_Q


(2023.07.18



■思考の言語化・・情報整理の大切さ

 

 “情報の整理”について見てみたいと思います。


 毎日のようにマスメディアやネットでAIが扱われない日はありません。

 対話型AIに関する興味深い記事※1がありました。


前回のコラムでもご紹介しましたがChat GPTは膨大なネット情報をもとに最大公約数としての回答を返しているだけです。

 

 何事も向き不向きがあるのでAIはよりモデルが明確なもの例えばプログラミングでは十分に実用的なソースコードを生成でき、道路のような外乱が少ない無人機では離陸から着陸までを可能にしたりと人の作業に取って代わりつつあります。


Chat GPTでは質問のしかたが重要と言われますが求められるのは”明確なモデルを人の思考で作り出す”です。

 

 ”考える技術”を用いて分かり易いモデルに整理することは新たなコンセプト(アイデア)の創造になります

 

“課題達成型開発”はこの”整理する手法をご提供します。


 

※1 ウソや歪曲話を濫造して米欧を自滅させるAI (tanakanews.com)


田中宇氏は日頃アクセスする機会の少ない情報ソースを多く紹介しています。

国レベルの情報収集も90%以上は新聞・雑誌・テレビ・インターネットなどのメディア情報(OSINT: Open source intelligence)によると言われており資源、エネルギーまた環境など広い分野での考察に役立っています。

同様に日本のマスメディアで扱われることが少なく田中氏と主張の拮抗が多い妙佛など併せて見るのも興味深いかもしれません。

(2023.07.04



■価値観・・要件策定で言語化

 

「人の命は地球より重い」という言葉があります。


かつてのハイジャック事件で超法規的措置として犯人の要求を受け入れるときに当時の首相が発した言葉ですが、多方面に渡ってその後日本における価値観への影響は大きかったのではないでしょうか。

 

技術開発でもある程度の事故が容認されていると思われる国外のニュースを見かけますが日本では受け入れ難いものです。

 

産官学を問わず個別の開発案件に要件として明記されることは少ないですが、これは既に“価値観”として定着しているということでしょう。

 

このように開発要件(開発目標の達成を判断する基準)は自らの価値観そのものになります。

 

また要件の大切さを認識できているかも企業の歴史や文化そのものです。

企業体質とも言われますが何故あの企業は何をやっても上手くいくのだろうと言うヒントになるかもしれません。



【ご参考】

価値観の顕著な例として倫理についてChat GPTに質問したら興味深い回答が返ってきました。

課題達成型開発における開発要件の策定そのものでした。

 

Q:  Chat GPTはAIの倫理ガイドラインを作成できますか

 

A:  Chat GPT自体は倫理ガイドラインを作成することはできません。Chat GPTは、トレーニングデータから学習したパターンや文脈に基づいて応答を生成するため、その応答は与えられた入力に対して統計的に生成されたものです。

倫理ガイドラインの策定やAIの適切な使用には、人間の倫理や価値観を反映した意思決定が必要です。AIシステムの開発者、運用者、および関係者が、AIの設計や運用における倫理的な観点を考慮し、ガイドラインを策定する必要があります。

AIの倫理ガイドラインは、機械学習アルゴリズムやAIシステムの開発者、エンジニア、倫理専門家、社会的なステークホルダーなどの関与を通じて作成されることが一般的です。倫理ガイドラインには、公正性、透明性、プライバシー、セキュリティ、バイアスの排除、社会的な影響への配慮など、さまざまな側面が含まれる場合があります。

倫理ガイドラインの策定は、技術開発者、政府、学術機関、企業、市民社会などの異なる関係者が協力して行うべきです。AIの利用は社会的な影響を持つことが多いため、幅広いステークホルダーの参加と多様な視点の考慮が重要です。 

(2023.06.27



■具体例のご紹介・・課題達成型開発を使ってみませんか

 

 “そもそも”を大切にする“課題達成型開発”を分かり易い例でご紹介してみたいと思います。

 

ブランド名称変更を例にしてみましょう

推進者は早速、候補名称の社内アンケートをとり同時進行でロゴや印刷物の手配などに着手することがあります。

 

ブランドイメージの改善による効果を思い描いた指示を受けているので「名称変更の目的は?」と聞かれれば新たなブランドイメージによるメリットを思いつくままに列挙するでしょう。

 

しかし推進者の目的が“指示された作業をするだけ”になっていることにお気づきでしょうか。


 そもそも何故ブランド名称を変更するのか、後悔するような結果にならないのかといった”思考による価値”を生み出す作業が行われていません。

業務への付加価値の提供がないことは意外に見逃されがちです。

 

 この例によらず業務の推進者が仕事の価値を生み出すために必要なのは提示されたイメージに求められている“そもそもの目的は何なのか”を具体的にすることです。

 

 どのようなお客様も自分が気付いていない価値を見出し提供して欲しいと思っているのですが、そのような要求をあえて提示することは少ないものです。

場合によってはそのような要求を自分が有していることにさえ気がついていないことが多いのです。

 

 満足な結果を得るための“そもそもの目的や目標、要件(達成が必要な基準)”を整理した“要求仕様書”を作成する手法として課題達成型開発をお試しいただければ幸いです。

(2023.06.18



■AI時代にも・・アンラーニングの冒険にコンパスを

 

 久しぶりに紙の書籍を読んでみました。

ベストセラー“冒険の書(孫泰三著)※1厚みのある書籍ですが1日で読めます。

 

 産業革命によって労働力が機械に置き換えられ、ついにはAIによって人間の思考までとって代わられようとしていますが人はこれからどうすればよいのでしょう。

質問の仕方でAIから得られる情報の価値が異なるかもしれませんが、それさえも不要になった世界で何をすることがあるのか漠然とした不安だけが募ります。

 

最近もて囃されていたリスキリング(長い人生の中で必要な学びなおし)もAIによって色あせてしまったようです。

ここで筆者※2から“アンラーニング” ※3(これまでの価値観を捨て新しい価値観や知識を身に付けること)と言う提案です。

内容は濃いですが読みやすいのでご興味のある方はご一読を。

 

 読み進めるうちにどこかで体験したものだと感じました。

それは“そもそも”を求める“課題達成型開発”そのものでした。

焼き直しを捨て全ての状況を正しく受け入れ、何もないところから新しい価値観“ありたい姿”を見出すという長年親しんできた手法でした。

 

 アンラーニングの冒険をする人に課題達成型開発がコンパスとして役立つかもしれません。

 

 

※1 冒険の書 AI時代のアンラーニング | 日経BOOKプラス (nikkei.com)

 

※2 孫泰三(テレ東BIZ https://youtu.be/7Nwh43Owihg )

 

※3 unlearn:捨て去る

(2023.06.07



■ジャパンモデル・・日本だけはいつもガチ

 

 SVB(シリコンバレー銀行)の破綻要因としてESG投資の実態※1が明らかになりました。

ESGとセットで語られるSDGsですがこちらも点検が必要との見方が出てくるかもしれません。

また欧州はEV以外の販売禁止が見直されるなど大きな変化が起こっています。

 

では過去に同じような世界の潮流に向き合ったときの日本の自動車メーカーの対応はどのようなものだったでしょうか。

 

まずはマスキー法(wiki)ですが、日本の自動車メーカー※2が不可能と言われていた排ガス規制をクリアし大きな発展の機会としました。

 

また欧州廃車指令(1990年の欧州理事会決議で確認され2000年10月発効ELV指令(2000/53/EC))※3では約30年が経過しても実効的な規制と実施のスキームが十分でない欧州に対して日本では自動車リサイクル法※4による規制とその実行スキームが整備され世界で唯一の緻密なスキームを構築しました。

 

自動車の生産から販売、廃棄、再資源化まで個々に全ての自動車台毎に預託金や処理費用をオンラインで管理し廃棄物に於いてはキログラム単位で管理する大規模で精緻なスキーム※4は日本の廃車問題を根本的に解決してしましました。

 

自動車の二酸化炭素排出量の削減※5をみても日本が実績を上げてきた事実があります。

 

このように過去の世界の潮流と日本の対応を振り返ってみると目標が定まると真正面から取り組む要件を設定し乗り越えた実績が見えてきます。

 

時として過剰品質やガラパゴスと言われるジャパンモデルですが、目的に対して正しい目標や要件が定まれば大きな成果を達成してきました。

 

SDGsでは目標が定められていますが“目標要件”の設定を正しく行うことが出来れば日本の取り組みはまた優れた成果をあげるかもしれません。

 

※1 「怠惰な」ESGファンド、SVB破綻で露呈-915本がSVBに投資 - Bloomberg

 

※2 https://www.honda.co.jp/50years-history/challenge/1972introducingthecvcc/

 

※3 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32000L0053

 

※4 公益財団法人 自動車リサイクル促進センター (jarc.or.jp)

 

※5 「自動車ユーザーも国民なんですよ」あまりに高くて複雑な自動車税制に自工会の豊田章男会長が記者たちへ伝えた直球ど真ん中 - 自動車情報誌「ベストカー」 (bestcarweb.jp)

(2023.05.25)



■デスマーチ・・人数が増えると始まること

 

H3ロケットの打ち上げが失敗したニュースはまだ記憶に新しいと思いますが、NHKの解説※1で重要な要因に触れられていたので少し考察してみたいと思います。

 

社会を単純化して点(人)と点(人)を線で結んだ対角線で表現するとどうでしょうか。

対角線の数はN個の点(人)から2個の点(人)を選ぶ組み合わせの数になるのでNC2で表されます。

 

C2=1

C2=3

C2=6

 ・

10C2=45

 ・

20C2=190

 ・

 

4人以上になるとコミュニケーション(対角線)の数が急激に増え複雑になることが実感できると思います。

 

デスマーチ(Wiki)に陥る開発の多くはコミュニケーションの失敗が原因と言われています。

もし組織というせっかくのコミュニケーションツールが縦割りや組織の壁といった本末転倒になっているとしたら残念なことです。

 

その複雑な様相に目を奪われてしまい易いですが、“そもそも”は意外とシンプルなものが殆どです。

 

“そもそも”の言語化スキルは組織運営でもお役にたつと思います。

 

※1 H3ロケット打ち上げ失敗の衝撃 危機を乗り越えるには 今何をすべきか解説します NHK解説委員室

(引用)

ただイプシロンロケットの原因究明作業も失敗から5か月たっても終わっていない。

こうした原因究明作業、これまでJAXAと文部科学省がそれぞれ対策本部を設置して行われ、同じ論点が繰り返し議論されるような場面もあり、時間がかかる原因の一つと。

今回はこうした形式的な検証はやめて、技術的な究明はJAXAが、また開発体制の検証は文科省の対策本部が行うなど役割分担をはっきりさせて効率よく作業を進めていかなければ。

(2023.05.15)



■ESG・・誰の意思で取り組まれているのか

 

 ESG(Environment Social Governance)投資に対する見方に変化が起こっているようです。

(ジェトロの海外ニュース※1 キヤノングローバル戦略研究所※2

 

ほぼ天下り的に「環境への取り組みに積極的でない企業は評価が下がり投資されなくなる」と言われ続けてきましたがあらためて考える時期に来たのかもしれません。

 

 世の中の動きに影響を受けるより身近な”事業目的”について見てみたいと思います。

 

事業の目的として「環境問題の改善のため・・」で書きだされているものを見かけることがありますが、営利企業は利益を追求し存続、発展することが第一の目的であることを誰もが知っています。

 

社内事業でも“目的”に世間のお追従(おついしょう)で不明確な文言をいれることは“ありたい姿”を見失う要因になってしまいます。

 

一方「自社の製品、サービスの普及により環境問題の改善に寄与し・・」としている企業があります。

 

企業としての姿を明確に示し社会への責任を果たしたいという意思が見て取れます。

社内事業でも“ありたい姿”と取り組むメンバーの高い“モチベーション”が獲得できそうな文言です。

 

 

※1 米カンザス州、公的資金運用や政府契約でESG要因の考慮を制限・禁止する法が成立(米国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

 

※2 ESG投資は本当に「世界の潮流」か、米フロリダ州知事の叛乱に続々と賛同者 | キヤノングローバル戦略研究所

(2023.05.05)



■企業文化の違い・・言葉が通じ合うとは?

 

 もう随分前になりますがある協力メーカーさんから「いっしょに仕事をするといつも自動車メーカーに都合の良い話ばかりになってしまう」という声を聞いたことがありました。

 

もちろん優越的地位の乱用など覚えはないのだがとも思いましたが、意思疎通が難しい原因が見えた気がしました。

 

新たな仕事に取り掛かる前に目的や目標、目標要件を作りこみ自分たちの“ありたい姿”を言語化してから臨むことが当たり前ではなく、なんとなく打合せに出てくる協力メーカーさんに苦労していたからです。

 

 打ち合わせでは議事録が作成されますが決定された内容ではなく話した内容をそのまま並べても合意形成の証にはならないのでよく議事録を担当していました。

どうもその議事録が自動車メーカー側に都合のよいことばかりと感じられたようです。

 

 議事録(言語化)は文字起こしではありません

その理由や妥当性などを検討し丁寧に文言を選びステークホルダー間の“ありたい姿”を合意するためのツールです。

(2023.04.25



■価値評価・・思い込みをどのようにするか

 

 ビジネスを始めるにあたってアイデアを思いついた本人は周囲のことが見えなくなることがよくあるものです。

 

ビジネス単体の将来性や達成の可否に目が行きがちですが、企業としての収益配分などのなかで重要性や価値がどのくらいあるのかを知らずに推し進めてしまうと自身のみに限らず周囲を含めて労力だけが費やされます。

 

このことに気が付かずビジネスの達成だけに集中すると環境から淘汰されます。

事業の失敗例を見ると事業全体を見ていると思い込んでいたことがより広い世界では局所しか見えていなかったことに気が付きます。

 

アイデアに熱意をもって取り組むことは重要ですが価値がなかったことに気付くのはとても貴重な機会です。

(2023.04.07



■適正価格・・高すぎも低すぎも良くない

 

 コンサルを始めてサービスの適正価格を決める方法を探っていました。

日本で普通にサラリーマンをしていると自分の提供するサービスの価格を考える機会は殆どありません。

 

相場も前例もない取引価格を決めるにあたって双方納得のいく条件はどのように決定すればよいのでしょう

 

サービスの量は何らかの方法で定量化できるので分かり易いですが品質は定量化の難しいものがほとんどです。

 

 検索してみるといかに利益の最大化を図るかに関するテクニカルな解説は多く見かけられましたが数理モデルによる分かり易いものを見つけることが出来ませんでした。

(Chat GPTにも聞いてみました(笑))

 

 買主は安いにこしたことはありませんが、品質リスクとのトレードオフになります。


また過剰な価格は要求されている品質を分からなくし、結果としてモラルハザードを招くため売主のビジネスも崩壊しかねません

売主の成果(能力)と買主の利益(満足)が最大限にWin-Winの関係を築くにはどうしたらよいのでしょうか。

 

価格と価値の関係は一般的にシグモイド(Wiki)[例:ロジスティック曲線(Wiki)]また価格とリスクの関係は指数関数的減少(Wiki)と考えられるようです。

どちらの関係にも価格が入っており指数関数を用いて表されていることが重要です。

 

 難しい話をする必要はなくそれぞれのグラフの形を見ると急激に変化する部分があります。(費用対効果の最大化ポイント)


ここに大きく価値を上げリスクを低減できる適正価格が見て取れるのです。(グラフは直感的に理解するためのツールです)

 

買主がサービスを購入したいと思い続ける期間に価格の改定を行えばよいのです。

短期契約で買主のリスクを小さくしてみてはいかがでしょうか。


 行っていることはAIによる試行と似ていますが結果をより直接的に実感することができるはずです。

(直感とAI学習のテンソルに類似性はあるのでしょうか)

 

売主は買主が欲しいサービスの獲得が完了するまでの期間に希望の合意価格で更新を繰り返すことができモチベーションの最大化が図られます。

 

 ここでは事業者間で提供するサービスの価格について考えていますが、分かり易い例では給与水準は高いが雇用は不安定な外資系の企業がこれにあたります。

(副業により雇用されるリスクの分散を認める企業が増えているようです。解雇せず報酬の適正化を図る形態に変化していくのかもしれません)

 

 Win-LoseやLose-Winは状況に応じるかもしれませんが安かろう悪かろう(Lose-Lose)であればNo Dealを選択した方がよいのは明白です。 

(2023.04.03



■開発計画・・技術論だけでは出来ない

 

 ドイツ政府が欧州連合に対して2035年以降にe-fuel(Wiki)を使う内燃機関を搭載する新車の販売を認めるよう要請(2023年2月27日)したニュースが世の中をにぎわしています。

 

市場にガソリン車が存在しガソリンの販売が禁止されない限り実質的にHEVを含むエンジン車は生き残るのではと感じた人も多いでしょう。

(HEVを含む多くのガソリン車はフレックス燃料車(Wiki)になるのでしょうか?)

 

大義は炭素の削減にありその手法の多様性が認められるべきという現実的な考え方に流れが変わるのかもしれません。

 

しかしそもそも何故e-fuelなのかという点に触れられている記事を見かけません。

e-fuelに利用できる再生可能エネルギー量や生産コストで普及の難易度は決して低いものではないからです。

 

地政学的な状況(生き延びるための選択肢)は地域によって異なり技術開発の取り組みの方向性“ありたい姿”にも影響を与えます。

 

欧州が日本と大きく異なるのはロシアに近く輸送効率は良いですがタンカーと異なり固定されたパイプラインにエネルギーを依存していることです。

 

エネルギー安全保障を図るためには政治的または技術的な解決が必要になりますが、ドイツが欧州で置かれた位置づけを考えると

1. クリーンディーゼルの失敗から欧州自動車産業の優位性を挽回したい(日本優位のHEVガソリン車は認めたくない)

2. 政治的な対抗勢力にエネルギーや資源を依存したくない(中国、ロシアおよびその経済協力国)

でしょう。

 

e-fuelにも複雑な思いを感ぜずにはいられません。

 

中東は第一次石油ショック以降も重要なエネルギー供給国ですが、中国の仲介でイランとの国交を回復したサウジアラビアは西側から中国(/ロシア)側に移っているので日本も欧州と同様なリスクが高まっていますがマスコミで十分に伝えられているとは思えません。

 

 政策は時として恣意的な誤解や無視をすることもあり、その影響は事業や技術開発のゴールを誤らせることがあります。


 事業計画書の作成には広い視野での検討が求められます。

状況整理ツールとしても”課題達成型開発”がお力になれるかもしれません。

(2023.03.25



■踊らない戦略・・なんとなくハイブリッドではなかった

 

 初代プリウスが発売されたとき多くの自動車メーカーでなぜハイブリッドなのだろうと調査が行われた筈ですが、私の記憶がただしければBEV(純粋な電気自動車)やガソリンエンジンの進化を含め比較した結果としてハイブリッドが選択されたことが既にネット上に公開されていたと思います。

 

そもそも”ハイブリッド車”を開発しようと考えるに至った理由はどこにあったのでしょうか。

 

現在のような環境ファーストの風潮が生まれたのは1990年頃ですが、フランクフルトモーターショーで今までなかった“umwelt(環境)”の文字があふれていました。

 

それまでの環境への取り組みが公害など発生してしまったものへの対応だったのに対して気候変動のように予測される危機への対応に世の中は変わりました。

 

同時に政治と複合され金融を含む複雑な環境経済(Wiki)が生まれました。

その後、軍産ならぬ環産複合体の様相を呈する流れはどのような異論をも許さない力を持つに至りました。


BEVだけに絞らない戦略を揶揄する報道も見受けられますが、ハイブリッドでトップを走ってきたメーカーが戦ってきたのは初めから他の自動車メーカーではなく国際経済(金融資本)だったのかもしれません。

 

 自社の“ありたい姿”を描いてきた企業のように深い洞察を得る手段として“課題達成型開発”がお役にたてれば幸いです。

(2023.03.14



■当たり前のこと・・なぜか忘れられてしまう

 

 相変わらずBEV(純粋な電気自動車)以外を規制することに賛否が絶えません。

この記事を書いている最中にBEV以外を規制する議論に動きがあったというニュースを見かけました。( ※1※2

 

 ではBEVが選択される場合を文言にしてみましょう

 

1. 規制により販売される車はBEV以外の選択肢がなくなる

市内への乗り入れ規制など使用に困難をきたす

BEVでなければ入手が困難(中国ではナンバープレート取得が難しいなど)

2. 多額の補助金が魅力的

もともと消極的な意思がなければインセンティブは不要です

3. 高額でも自分のマインドを満足したい

テスラ2022年度131万台でしたが2021年度ポルシェも30万台の市場がありました

おしゃれな生活スタイルを好む高額な車の購入層の嗜好をそのまま全体に拡大することは出来るでしょうか

 

まだまだあるかも知れませんが、一般的なユーザーの判断基準は

同じ価格であれば利便性や快適さが損なわれない又はそれ以上にお得」ではないでしょうか。

 

 あまり遠出をしないのなら航続距離は問題にならないなどデメリットは少ないという話も見かけますが、現在の自動車はそんな不便を強いません。

自家用車の稼働時間は5%に過ぎませんが必要なときにはすぐに使えます。

もし自動運転EVが迎えに来るサブスクが実現されたとしてもサービスの質は低下します。


どれもユーザーが納得できているから高いお金が払われているのです。

 

 当たり前のことを言語化してみると気づくことは多いものです。

BEVが広く市場に受け入れられるための要件は意外と単純なものであることに気付かれるでしょう。


 いつも行われている身の周りの行動や業務を文言(言語化)にしてみてはいかがでしょうか。

 

※1 35年ICE車販売禁止に暗雲 独伊などが反対姿勢=7日採決 - NNA EUROPE・EU・自動車・二輪車


※2 Germany, Italy Protest Strict EU Plan for Combustion-Engine Ban

(2023.03.04



■この道はいつか来た道・・でも同じとは限らない

 

 Appleが苦戦していたiPodの販売でSonyのWalkmanと競った話を聞いたことがあるでしょうか。

 

それまで携帯オーディオプレーヤーはメモリや電池の容量を競っていました。

iPodも同様なPRをしていたのですがSonyの壁は厚く苦戦をしていました。

 

 ここでAppleは気が付きました。

音楽を外に持ち出すユーザーが欲しがっているのは機能なのだろうか

ということでiPodのあるおしゃれな生活スタイルを売ることにしたのです。

その後の携帯プレーヤーやスマートフォンの市場で起こったことは誰もが知るところです。

 

 いまTeslaが同じような手法でBEV(純粋な電気自動車)の販売を伸ばしているというYouTube動画※1をみつけました。

機械の自動車と競うのではなくAppleと同じく“生活スタイルの価値”を売っているようです。

イーロン・マスク氏がソフトウェアファーストと言って自動車をただの手段に位置付けている興味深い動画でした。

 

 国策や補助金、安全性への考え方の違いなど戦う場所をよく選んだうえでリスクへの覚悟が伺える事業展開ですが高価格商品でも売るビジネスはそれだけではないことに気づかせてもらえまえました。

 

 なるほどと思いましたが今までの自動車は生活スタイルを売っていなかったかと言えばそんなことはありません。

モータリゼーションの初期を振り返れば憧れの生活スタイルを生むツールとして夢を売っていました。(映画Back to the Futureなど分かりやすいですね)

 

 もしグレートリセットの世の中で現在は稼働時間が5%程度しかないマイカーを所有するという概念が失われ移動サービスを購入する生活スタイルになれば自動車産業も全く変わってしまうかもしれません。

 

 今後どのような生活スタイルを売るかは世の中の意識にかかっているでしょう。

大切なのは手段と目的を間違えないことなのはいつの時代でも同じです。

目的を言語化するスキルの重要性をあらためて感じました。


※1 日本には伝わっていないテスラの本質的な衝撃と価値の作り方

https://m.youtube.com/watch?v=JsXdtzD9kUk

(2023.02.23



■長年の仕事は何だった?・・離れて見えてきたもの

 

自動車メーカーの外注比率は部品点数の90%以上、価格の70%以上と言われています。

では自らが属していた設計や購買ではない開発部門の仕事は何だったのでしょう?

 

多くの企業は技術実装の場を求めていますが、まだ世の中にない実用化された姿を描くことは難しいものです。

 

売り込み側からは「何か要望していることはありますか?」またユーザー側からは「何かよい技術はないですか?」と聞いているのを見かけることも多々ありました。


しかし聞かれた方は“そんなものがあったらとっくに相談できる企業にお願いしている”と思ったでしょう。

最悪の場合、良かれと思ってしたことで「何も考えていない会社」というイメージを持たれてしまうかもしれません。

 

売り込み側もユーザー側もこの”何をしたいのか”を曖昧にした“できたなり”で行われる取り組みが経営資源を喰いつぶしている例を見ることは少なくありませんでした。

 

何事も一歩はなれると見えてくることは多いものです。

長年の仕事は Fog of War(戦場の霧)のような状況で仲立ちをするサービスの提供だったことに気が付きました。


それぞれの企業様が有する文化の違にもご満足いただける橋渡しをして参りたいと思います

(2023.02.08


■腹落ちしていますか?・・今さら聞けないこと

 

 BEV(純粋な電気自動車)ではない自動車の販売禁止を宣言している欧州でスコットランドが早くもガソリン車の販売期限を延長するという発表がありましたが、慌てて計画に変更はない(誤植だった?)と訂正しました。


そこで何があったのか知る由もありませんが、慣れている人は欧州の方針転換に拘りがないのは普通と驚きもしないでしょう。(そもそもの話、個人主義の欧州で法律は人のためにあるようです)


法律の話 ~なぜ法律が存在するか~|taku/東京大学法学部|note

 

 ところで“腹落ち”という言葉がありますが馴染みはありますでしょうか。

理屈でも感覚でも自分が満足いく納得できたときの表現のようです。

 

世の中には正面切って疑問を呈することが憚られるものがあります。

その一つが二酸化炭素や温暖化いうキーワードで扱われる「産業活動により排出される二酸化炭素によって地球は温暖化し気候変動が発生する」と言うものです。

 

さらに「二酸化炭素の削減には〇〇が必要」も実は多くの人が腹落ち出来ていないものの一つではないでしょうか。

 

学術的な信ぴょう性を確認するのに役に立つ動画※1が昨年末にアップされていていましたのでご紹介します。

温暖化影響予測の妥当性について相関と因果関係についても分かりやすくふれられていています。

 

また気象学の専門家の方に直接お伺いしたところ学術的な知見として「数学のように証明のできるものではなく過去100年の経過からこの先100年を予測した結果」を示しているとのことでした。

 

IPCCの報告書※2を見るとすべて“可能性”で記されていることにあらためて気が付きます。

 

温暖化による気候変動は確実とは言えないまでも分かりやすいモデルを有しますが、二酸化炭素による温暖化は理屈ではなくシミュレーションの結果に基づいています。

 

ステークホルダーのうちシミュレーションの妥当性を判断するのが困難なグループ(ほとんどの人)はこれ以上の検証や考察ができません。

 

これが一つの文の中に混在され話を分かりにくくしています。

温暖化に関わる取り組みの中にもかつてのサブプライムローンのように管理限界を超えた破綻要因が紛れ込んでいるかもしれません。(交絡因子※3のトリックも興味深いです)

 

営利企業はこのような状況のなかでどのようにありたいと思っているのでしょうか。

 

不確実なものに経営資源を投入するリスクを正しく理解できればトレンドを利用して利益機会を獲得できるかもしれません、また上手く受け流すことができるかもしれません。

流れが変わったときに逃げ遅れない準備を整えることもできる(さらに新たなトレンドに乗れる)訳ですが実際に具体的な方策を見出すのは難しいものです。

 

このような不確定性のある事柄への取り組みに“課題達成型開発”を試していただきたいと思います。



※1【ゆっくり解説】『科学』で学ぶ地球温暖化 ~なぜ二酸化炭素は悪者にされるのか? 

https://youtu.be/oT5OqZsLMIE

 

※2 IPCC 特別報告書 政策決定者向け(SPM)要約(2019年8月1日版 環境省仮訳)

https://www.env.go.jp/earth/ipcc/special_reports/sr1-5c_spm.pdf

 

※3 交絡バイアス 交絡因子 | 疫学用語の基礎知識 (jeaweb.jp)

「あるお茶を飲んでいる地方では肥満の人がほとんどいない」も同様で貧困地域で食べるものにも困ってお茶の代替品で空腹を凌いでいたという嘘はないが本当のことは何も語っていないという例はいくらでもあります

(2023.01.25


■長年の疑問・・はやく聞けば良かった

 

 今年は賃上げする企業が多いそうで喜ばれている方もいるでしょう。

政府の賃上げ方針による横並びは日本的な動きが良い方向に進んだ結果かもしれません。


ここでちょっとした疑問がうかびました。

国が賃金に直接の影響を与えるとはどのような仕組みなのでしょう。

 

戦後に生まれ資本主義かつ民主主義の世界で生きてきた訳ですが長らく疑問だったことがありました。


 相反するように見える資本主義と民主主義がなぜセットなのか、共産主義はなぜ独裁が多いのか。

社会学の専門家に聞いてみると答えはあっさりしたものでした

 

ざっくり言うと資本主義は貧富の格差が大きくなる仕組みであり富の独占が起こります。

あまりにも格差が広がると社会不安を招くので安全装置として民主主義は資本家にも都合のよいものだそうです。

 

 一方、共産主義は全ての国民が平等であることを前提としているのでそもそも民主化という考え方が必要のない建前だそうです。


現在の中国が共産主義に管理された資本主義の手法を取り入れている状況も少し理解できた気がします。

 

長年の疑問でしたが何でも聞いてみればよいことは沢山ありそうです。


 企業様と専門家の分かりやすいコミュニケーションのお役に立てればと思います。

(2023.01.12


■和食の美意識・・その力

 

 あけましておめでとうございます。

皆様におかれましては益々のご発展の年となられますことをお祈り申し上げます。

 

新年を迎えお節や正月料理など普段よりも少し贅沢な和のお食事を楽しまれている方も多いのではと思います。

 

和食といえばエンタメ番組で「和の料理の鉄人」として一世を風靡した道場六三郎さんを思い出します。

ネットで調べたところお元気なご様子でYouTubeにてお姿を拝見できるようです。

 

昨年はコンサルティングの仕事を始めたことで多くの気づきを得ることができましたがあの圧倒的な強さの秘訣について思い当たるものがありました。

 

それは調理を始める前の「お品書き」です。

 

料理のテーマに盛り込む季節感などを“言語化”し和ならではの世界観を際立たせていたと思います。

 

多くの勝負はこの時点で決まっていたのかもしれません。

 

皆様のより良いお品書き作りのお手伝いを目指して参りたいと思います。

(2023.01.01


■思いのちがい・・売りたし vs 買いたし


 ユーザーは何を求めているのだろう?

ビジネスをする人や企業がいつも考えていることでしょう。

 

製造、サービスなどの売り手の多くは自社業界でより優れた(性能、コスト、供給可能量・・)ものを売り込もうとしますが、糸口が見つからないことが多々あります。

 

「従来よりも△△△が〇〇%向上しました!」という売り文句をよく見かけますが買い手は何を求めているのでしょうか。


当たり前のことですがユーザーは使い勝手や気持ちも含め満足できるものなら何でもよいのです。

 

優れた技術やサービスが欲しいのではなく何をしたいか(目的)が判断基準でありどのように優れた機能や特性を有していても他業界をも含めて最もお得な選択がなされます。

 

企業は自社製品の優れた部分に目が行きがちですが買い手が求めているものは何かを“言語化”することは“何に取り組めばよいか(経営資源の集中)”を明確にすることです。

 

コンサルティングは社内、企業間など関わる範囲によらず人や組織のやりたいことを分かりやすい言葉に言語化しコミュニケーションのお手伝いをする仕事だと感じた一年でした。

 

寒さが厳しさを増しております、お身体大切に

良いお年をお迎えください。

(2022.12.14


■すり合わせ・・よく聞く言葉ですが

 

自動車産業は構成部品のほとんどを購買に頼る典型的なアウトソーシング型の産業です。

 

 一方、世の中にはアウトソーシングを単に労力の外部化と考えている人も少なくありませんでした。

 

仕様書が十分なものであれば問題はないのですが、満足できる要求仕様書を作り上げる労力はそれなりに大きくスキルも必要です。

 

部品開発だけでなく調査や研究委託などでも“できたなり”の多くが無駄に終わるのをたくさん見てきました。

 

では効率よく手間暇のかからない方法はないのかといえば一つだけあります。

「受託者と一緒に要求仕様書を作る」

日本の自動車産業の発展を支えてきた“すり合わせ”です。

 

何を委託したいのか「ありたい姿」を明確にすることは期待以上の果実を得るために必須ですが意外と見えていないものです。

 

実際、多額の無駄金を費やし続けていたものが予想外の成果までついてきた経験が幾度となくあります。

さらに効率がよく費用も驚くほどコンパクトで済みました。

 

“すり合わせ”の効果を試してみてはいかがでしょう。

(2022.12.01)


■LCAはツール・・役立っていますか


 環境について語られるときLCAを用いて云々・・・

研究者の方には叱られてしまうかもしれませんが、何かのブレークスルーに役立った例をあまり知りません。

 

初めてLCAというツールを知ったのは1993年、もう随分前になります。

きっかけはEPA(United States Environmental Protection Agency)のレポートでした。

それは開発だけでなく経営をも唸らせるものでした。

 

“ Life Cycle Design Guidance Manual ”

 

LCAというツールがあり「ゴールを決める(ありたい姿を見出す)」ことで有用なものになることが語られていたのです。

 

今またSDGsによって原点回帰しているのかもしれません。

 

 Life Cycle Design Guidance Manual-Environmental Requirements and the Product System EPA 1993


(2022.11.16



■市場開拓・・「言語化」の力


 クライアント様とお打ち合わせをして思い出した30年近く前のお話です。

 

大手化学メーカー様との会議で音楽CD原料のポリカーボネート樹脂がヒット曲のおかげで順調とのお話を伺いました。

 

私たちチームからのプレゼンテーションは “材料にとって意匠性とはなにか”というものでした。

 

出席されていた化学メーカーの経営幹部の方々にはオモシロ話と思われたかもしれません。


 そこで次のように自動車の都合ではなく「ありたい姿」で意匠性を言語化した結果をご紹介しました。

 

樹脂バンパーは衝撃に強く、錆びず、軽量など車に求められる性能を満足する製品として開発されました。

しかしすぐに車体色の塗装が求められ、専用グレードの樹脂だけでなく新たな塗装ブースや加熱炉などの設備開発が必要になりました。

 

・・・

車に求められる軽量化や耐衝撃のために開発されたポリカーボネート樹脂のヘッドライトがガラスレンズとほぼ同形状(当時)のままですが何故でしょう。

・・・

 

ポリカーボネート樹脂でなければ現在のようなバルーン形状は困難です。

 


身近なところにブルーオーシャン


同じようなご体験を提供できればと思います。

(2022.11.07



■トレンドの信ぴょう性を読む・・人の行く裏に道あり


第一次オイルショックにより立ち上げられたサンシャイン計画(1974年7月~)以来長年、多岐にわたるエネルギー、環境問題への取り組みが行われてきました。

 

皆様は現在までの成果をどのようにご評価されているでしょうか。

 

ネット社会になり多彩なソースに接することが可能になりましたが、今でもマスメディアの影響は大きく情報は偏りがちです。(AIは解決してくれるのでしょうか)

 

 敢えて方向性の異なるカウンターオピニオンに接することで現在の技術トレンドが本物なのか知見を広げてみるのもよいかもしれません。


有名な格言に「人の行く裏に道あり花の山 いずれを行くも散らぬ間に行け」というのもあります。

 

こちらは私が長年参考にしているものです。

ご参考 田中宇の国際ニュース解説

(2022.10.25


■温故知新・・今一度読んでみたい本

 

 農耕文化が始まって以来、資源をめぐる争いが続いていると言われていますが世界が大きく変わろうとしているいま、あらためて読んでみたい本があります。

 

歴史でも「鉄は国家なり」で有名なビスマルク(プロイセン)のドイツがフランスに勝利し鉄鉱石と石炭を獲得した普仏戦争(1871年)が有名ですが、採掘技術を含めいかに資源の支配が行われるかが産業や経済だけでなく政治や金融、技術などあらゆる事象の要因と言っても過言ではないでしょう。

 

もう20年近く前の書籍ですがご一読されてはいかがでしょうか。

 

入門・資源危機―国益と地球益のジレンマ 谷口正次 新評論(2005-10)

ISBN-10: 4794806809  ISBN-13: 9784794806802

(2022.10.09


■思いつきをアイデアにする・・ボトムアップに必要なこと


 東海村JCOで発生した臨界事故(1999年9月)については詳しく知らなくても聞き覚えのある方は多いと思います。


核分裂物質が臨界量を超えた場合の危険性が認識されていなかったことは大きな問題ですが、作業効率をあげたい現場では至極当たり前の行動により発生してしまった悲惨な事故でした。


世の中では多くの似た事故が繰り返しニュースで伝えられます。

製造、情報、サービスなど業界を問わず開発時も含め工場、現場、外注先などに本来の意図が伝わらず(理解されず)同様の問題は発生します。


定型化した業務の限界を超えることが期待されるボトムアップですが、局所最適による予想外の問題や結果として意味のない取り組みは素人の思いつきの結果です。


思いつきは多くありますが、始まりはピンポイントのものが殆どでありマップ上でその位置づけを確認しなければ価値の有無やリスクは見えません。

思いつきはマップ化の過程を経てアイデア(ありたい姿)に変わることができます。


マップ作製のためにテストを行うなど時間とお金を費やすことは、リスクや資源管理のうえで無駄な投資ではありません。


またマップから何を読み取れるかという価値は、階層化による重みづけがキーとなりこのスキルを身に着けることも重要です。


ボトムアップを最大限に生かすためにはアイデアの検証がストレスなく行われる仕組み作りが大切です。

(2022.09.22)



■「ありたい姿」は作り出すもの

 陶芸家は満足のいかない作品を次々と壊しますが、ひたすら同じものを作って偶然にできる一品を探しているのでしょうか。


企業でも企画書等が時間と労力を費やしたにも関わらず白紙に戻ってしまうことがあります。

落胆してしまう担当者は多いと思いますが、個人と組織の違いはあっても同様な事でありながら一方は活き活きとしているように見えます。


その違いは一方が「ありたい姿」を作り出そうとしているのに対し、もう一方は「ありたい姿」は既にあるもの又は自分のしたいことは分かっていると思い込んでいることにあります。


言語化を含め形のあるものを生み出す作業において、私たちが働きかける対象は潜在意識というブラックボックスになります。


”課題達成型開発”ではいくつかのシンプルな作業ツールを用いてAIのように学習を何度も繰り返しながら「ありたい姿」を見出していきます。


作業の過程で「ありたい姿」に達しない場合、あえて捨てること効果的な手法です。


ご参考動画 AI“深層学習”に関する知識でイメージを掴みやすくなるかもしれません

(2022.09.08)



ご参考書籍

 

 課題達成型開発で重要な”意識”について参考にしている本があります


ペンローズ氏が2020年のノーベル物理学賞を受賞するまで、その名前を知らなかった人も多かったためか、私の周辺では「怪しげな話」扱いされることもありました。今は難解な量子重力理論の話として本を手に取らない人がいることが残念です。


ペンローズの<量子脳>理論 ロジャー・ペンローズ 竹内薫・茂木健一郎 ちくま学芸文庫

ISBN4-480-090006-1

(2022.08.27



■DX流行っていますが・・「デジタル化」の定義とは

 

 物事に取り組むときスタートの方向性を誤るとその後を無駄してしまうことがよくあるのは誰もが知るところです。しかしこの段階での失敗が多いのも事実です。


今でも永久機関の特許出願が絶えないように、厳密に言語化されたものを認識せず取り掛かってしまう事例は絶えません。


 河野デジタル大臣がいいことを言いました。

「何のためにデジタル化をやるのかというゴールを共有するのが大事」

ニュースの見出しがオープンな大臣室といったものだったのが残念です。


 昨今のデジタル化という抽象的な表現で扱われるものにDXがありますがこれも同様の迷走をよく目にします。


 自ら取り組む場合はもちろんですが、アウトソーシングされることの多いDXでは要求仕様書で言語化するスキルが重要です。


これは言語化意識に上らない自らの「ありたい姿」を文字表現」としてデジタル化(符号化)する最初の大切な作業だからです


 デジタル化を時代の流れもふまえて階層分けしてみるとDX > AI > IT > OA > 手作業といったところだと思いますが、それぞれのワードを教科書なり検索なりで「言語化」された内容で認識し取り組むだけでも結果は大きく違ってくるはずです。


 コンサル(システムエンジニアなど)に任せる場合、受託側は案件によらず自社利益の最大化も重要なミッションなるのでなおさらです。

(2022.08.18


 

■道具は何も解決はしてくれない


 最近よく話題にあがるジョブ型の業務ですが過去に流行った成果主義の失敗事例を思い出される方も多いのではないでしょうか。


世界の注目企業で成功した手法はもてはやされますが、自社に導入するときに気を付けなければいけないのは「道具」を手に入れただけの状態だということです。


 これは多くの場合、導入することが目的になってしまい自社が何をしたいのか「目的」が失われている場合が殆どです。

 

日本は古来より異文化を取り入れるときに自分たちの求める生活様式(目的)に合わせて独自の文化を築いてきました。


 グローバル化され国ではなくGAFAのような企業が発信する時代でも文化を吸収するのに難しいことをする必要はなく課題達成型開発の手法が役立つはずです。

(2022.08.14)