近年,農業従事者の減少が問題となっています.その原因の一つに,農業の技術の習得及び継承の難しさから起こる新規就農者の早期離農が挙げられます.そこで,新規就農者を支援するために,植物の育成管理支援に関する研究が行われています.その中でも,樹液流量は植物の水分状態がわかるため注目されています.そこで,本研究では,AIと赤外線サーモグラフィを組み合わせた新しい樹液流量推定法を提案し,その有用性を評価します.本手法は,まず植物の茎にヒータを巻き付けて加熱します.すると,樹液の流れに伴って加熱された熱も移動し,茎表面の温度分布が変化します.温度分布と樹液流量には相関関係があるため,赤外線サーモグラフィで測定した温度分布と樹液流量をAIに学習させることで,温度分布から樹液流量を直接推定します.
衝撃波とは,超音速現象中において発生する圧力波となっています.衝撃波の特性として通過後に圧力,温度,密度を上昇させるため非常に高エネルギーな現象となっています.そのため衝撃波は様々な応用がなされ,さらなる技術の進歩が期待されています.
本研究では衝撃波の応用先として衝撃波閉じ込め現象というものを提案します.衝撃波閉じ込め現象とは衝撃波管より衝撃波および噴流を発生させ,対向する壁面と後方からの噴流の間で衝撃波を複数回反射させる現象になります.そして衝撃波の閉じ込めにより居所的に高エネルギーの領域を生成させることができます.さらに衝撃波管では噴流によって高エネルギーの領域を圧縮しながら閉じ込めを行うことができる.
本研究の問題点として,衝撃波閉じ込め現象の物理的な発生条件が不明である点です.その中でも特に噴流先頭での衝撃波の反射条件が解明されていません.
そこで本研究では二次元の数値解析を用いて衝撃波および噴流,さらに壁面までの距離をパラメータとして衝撃波および噴流の挙動について確認していきます.
本研究では,流体現象の密度変化の可視化方法であるBackground Oriented Schlieren(BOS)法の空間解像度の向上を目指している.BOS法は,流れ場の後ろに周期性を持つ背景画像を配置し,流れ場による密度勾配で生じる光の屈折を利用します.衝撃波を起こす前の密度変化のない参照画像と密度変化によりが光が屈折した計測画像を比較することで定量的な密度勾配および密度の可視化画像を出力できます.背景画像として正弦波状の縞画像を設置し,連続ウェーブレット変換を用いた画像処理を行う方法をWavelet-based BOS (W-BOS)法と言います.
撮影速度(フレームレート)と空間解像度は,カメラの性能に依存し,トレードオフな関係にあります.超音速流れを可視化対象とした場合,高速撮影を行うには空間解像度を下げる必要があります.
我々は,解像度の低い粗い画像の解像度を上げることで滑らかな画像を生成する技術である超解像技術に注目しました.W-BOS法は,正弦波状の周期的な背景画像を撮影するため,超解像技術と相性が良いのではないかと考えています.本研究では,実験で撮影した画像に深層学習を使った超解像技術を適用し,超音速流れを対象としたW-BOS解析画像の空間解像度を向上させることを目的としています.
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本研究は,自動車部品の製造などに用いられるスリーブはんだ付けの不良が少ない基板の設計指針を提案することを目指しています.
スリーブはんだ付けは,加熱した「スリーブ」という円筒を基板に接触させ,スリーブ内に一定量のはんだを投入し,はんだを溶融することではんだ付けを行う手法です.
「スリーブ」を使うことで,はんだ飛散と呼ばれる不良がないことなどから,他のはんだ付け手法よりも信頼性が高く,自動車部品の製造などに用いられています.
環境および安全の要求の高まりから,近年の自動車は目覚ましい進化を遂げています.その進化に伴い,自動車部品に用いられるプリント基板も進化を遂げています.
その結果,スリーブはんだ付け時にプリント基板の温度が十分に上昇しないことから,スリーブはんだ付けの不良が発生しています.
本研究の目的は,このような不良の少ない基板の設計指針を示すことです.
プリント基板の銅箔に注目し,はんだ付け時の熱の流れに影響を与えることが予想されるパラメータを変化させたプリント基板を設計します.
赤外線サーモグラフィを用いて,設計した基板のはんだ付け過程の温度を高い分解能で計測します.基板の設計の違いによる温度の分布の違いを分析することで,不良の少ない設計指針を提案します.
近年,電子機器の高性能化にともない,電子部品は微細化しています.そこで,微小かつ優れた性質を示すナノ粒子の利用が進んでいます.
このナノ粒子の生成手法の中でも,パルスレーザーアブレーションが注目されています.本手法では,固体材料にレーザーを照射し,形成されたプルームからナノ粒子が得られます.この過程で,プルーム前面に衝撃波が形成されています.このように,様々な要素が組み合わさってナノ粒子を形成するため,ナノ粒子の性質を制御可能な手法として期待されています.
そこで,応用技術として,対向して行うダブルパルスレーザーアブレーションが開発されました.プルーム同士が混合することで,ナノ粒子は複合します.すると,さらに性質を変化させることがわかりました.以上より,DPLAに関する研究が活発に取り組まれています.
しかし,プルーム前面に形成された衝撃波が反対方向のプルームと衝突・通過することで,プルームの挙動を変化させてしまうことが確認されました.プルームの挙動もナノ粒子の構造を制御する上で必要な要素であるため,本技術を産業界で活用するためには衝撃波の制御が非常に重要となります.
そこで,本研究では,反対方向から伝播する衝撃波とプルームが衝突する現象を圧縮性流体の観点から解明することを目的としています.そこで,DPLAのプルームの膨張および衝撃波の形成を非定常的な超音速ジェットの噴出によりモデル化します.そして,様々な条件で解析を行い,比較することで衝撃波の強さとジェットの挙動変化の関係を調査します.この結果は,DPLAでナノ粒子の構造を決定する衝撃波制御のための設計指針となります.
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衝撃波は医療や材料加工,航空宇宙といった様々な分野で応用がされています.衝撃波が通過した場所では圧力,密度,温度が上昇する効果が得られます.その衝撃波は反射する性質があり,反射衝撃波が通過した場所ではさらに高い圧力を得ます.狙った圧力を得るために衝撃波がぶつかる反射板を用いて反射衝撃波をコントロールする研究があります.例えば反射板の材質や形状を変えた事例があります.しかし,材質により反射率というものが決まっています.また形状を変えた場合でも,収束と呼ばれる反射衝撃波が一点に集まり衝撃波背後の圧力が高まる現象や,発散と呼ばれる衝撃波が分散して衝撃波背後の圧力が低くなる現象が起きます.このように材質,形状を変えても反射の仕方は決まっています.そのため,今までの反射板で反射衝撃波をコントロールし狙った圧力を出すことは難しいと考えられます.
そこで,反射板の内部構造を積層造形により変更します.積層造形は層を一層ずつ積み上げて造形する方法で,複雑な形状を簡単に造ることが出来ます.内部構造を変えることにより,内部のスカスカな割合(空隙率)が変わります.この研究の目的は空隙率の違う反射板で実験を行い反射衝撃波に与える影響を調査することです.
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