校内実践研究計画

1 教育目標

進んで学び、心豊かで、たくましく生きる生徒

2 主たる学校課題

・学力の向上

 (自ら学ぼうとする意欲の向上、基礎的・基本的な内容の確実な習得)

・自他の尊重

 (自己や他者を尊重し認め合う心の醸成、思いやりの心の醸成)

・心身の健康

 (望ましい生活習慣の定着、心と体の健康管理)

3 実践研究計画

1 研究主題

 生徒が粘り強く取り組む指導法の研究 -わかる授業を通して-(4年目)

 研究主題設定の理由

(1)教育目標から

 本校では、「進んで学び、心豊かで、たくましく生きる生徒」を求める生徒像として掲げ、その達成の努力目標の一つとして「主体的に学びに向かう生徒」の育成を目指している。「学びに向かう生徒」とは、主体的に学習に取り組む姿はもちろん、自分のものの見方や考え方を広げ、深めようとする態度、自己や他者を尊重し認め合う態度、自分の感情をコントロールして学びに向かう態度を実践しようとする生徒である。そうした姿勢を身に付けるためには、「わかる授業」が必須である。生徒が「わかった」「できた」という思いを経験させることで「より学びたい」と思うようになり、「学びに向かう」ものと考える。

 「わかった」「できた」という経験は、自分の力で解決してこそ得られる。そのためには、課題に対し、試行錯誤を重ねながら粘り強く取り組む必要がある。その際、教師側で意図した効果的な指導・支援を与えることで、問題解決に向かえるものと考える。粘り強く取り組む姿勢は、学校経営でも目指す生徒像で示されているものであり、学校経営の大きな基盤となるものと言える。よって、問題解決の場面において効果的な支援を行うこと、わかる授業づくりをすること、学力の定着を目指す振り返りの工夫をすることにより、生徒は進んで学びに向かうものと考える。

(2)これまでの研究の経緯

 令和4年度は「生徒が粘り強く学習に取り組む指導法の研究―わかる授業を通して―」の研究主題の達成のために、授業改善において、①興味・関心を持って授業に取り組めるような学習課題の設定、②教科部会を定期的に開催し、教員同士で指導法の研究やICTの活用について、協議や情報共有を行った。その結果、以下の(3)のような成果と課題が浮かび上がった。

(3)生徒の実態から

 研究成果として、昨年度の学校評価(職員用・生徒用)、浪岡地区学習状況調査、各教科の報告から、生徒の変容として挙げられた代表的なものを取り上げて示す。

令和4年度の成果

・学習規律が身に付いている。(学習用具の準備、3分前着席、提出物など)【学校評価】

・「校内研修は、内容・方法が明確で、全職員の共通理解のもとに進められているか。」の評価値が上昇【学校評価】

・「授業研究や研究協議が実践に生かされ、授業改善や生徒の変容に役立っているか。」の評価値が上昇【学校評価】

・「研究経過を常に評価しながら、目標に即して研究が進められているか。」の評価値が上昇【学校評価】

・「9年間を見通した教育活動を展開できるよう小中学校の連携に努めているか。」の評価値が上昇【学校評価】

・「学習用具を準備し、3分前着席ができている。」の評価値が上昇【浪岡地区学習状況調査7月と2月の比較】

・「あなたは、先生や友達の話を無言で最後まで聞いていますか。」の評価値が上昇(2・3 年生)【浪岡地区学習状況調査7月と2月の比較】

・「わかるまで学習課題に取り組んでいますか。」の評価値が上昇【浪岡地区学習状況調査7月と2月の比較】

・「平日5日間のうち、宿題や一人勉強をやっているのは何日ですか。」(「毎日」の割合が上昇)【浪岡地区学習状況調査7月と2月の比較】

・入試に対応するため、感想文を書く際、字数制限をして繰り返し練習したことで、書くことへの抵抗が少なくなった。【国語】

・学習形態を工夫することで、下位の生徒も言語活動に参加でき、内容の理解を深めることができた。また、言語活動や振り返りなど、1つの型を継続して取り組ませたことが、学習 効果として表れた。【英語】

・ワークシートを活用した授業を行ったことで、計画的かつ効率的に授業を進めることができた。また、ICTを活用して視覚的に生徒に訴えかけることで、学習意欲の向上につながり、内容の理解が深まった。【数学】

・教師側でchromebookを適宜活用し、動画資料や画像資料、ニュースなどを提示して、効果的に授業を展開することができた。生徒も、必要な情報を効率的に収集し、スライド等を 用いて発表できるようになった。【社会】

・ICTとAIドリルを活用することで、生徒に進行状況を知らせることができ、意欲を引き出すことにつながった。【理科】

・Google Classroomで作品の制作工程を動画でアップロードし、生徒がそれを見て自力解決できるようにした。【家庭科】

・Google Formsにより複数回振り返りを行うことで、理解を深めることができた。【技術】

(研究紀要からの抜粋、再構成) 

 以上のことから、学習規律が守られ、落ち着いて授業に取り組もうとする生徒が多いことが分かる。また、どの教科においてもICTの活用が行われ、学習課題の提示や振り返りなど、様々な場面での工夫や実践がなされた。それが生徒の学習意欲につながり、主体的に学習に取り組もうとする生徒の増加につながっている。一方、課題やそれに対する改善策や対応策として報告された事柄の中から、代表的なものを以下に示す。

令和4年度の課題やそれに対する改善策や対応

・「教科部会は、生徒・授業・研修に関わる話題が多く、意欲的な雰囲気になっているか。」の評価が低い【学校評価】

・「家庭学習が基本的な生活習慣として身につくように継続した指導をしているか。」の評価が低い。【学校評価】

・「指導と評価が一体となるように、指導過程と評価項目に一貫性をもたせているか。」の評価がやや低い。【学校評価】

・「あなたは、先生や友達の話を無言で最後まで聞いているか。」(1年生の評価値が低い)

 【浪岡地区学習状況調査7月と2月の比較】

・「自分の考えを分かりやすく話すことができるか。」の評価値が低い。【浪岡地区学習状況調査7月と2月の比較】

・「勉強したことをふり返り、まとめを書くことができるか。」の評価値が低い。【浪岡地区学習状況調査7月と2月の比較】

・文学的文章の読解力が低い。(心情の読み取り・作品の展開の読み取り)【国語】

・振り返りの視点の持たせ方やフィードバックの工夫。【英語】

・問題文を読み、何を問われているのかを理解することに難点がある。問題文が長文化してきた中、問題の読解力を向上させ、粘り強く問題解決に向かう力を育む必要がある。【数学】

・教師側も生徒側も、集めた資料や情報をそのまま提示・活用する場面が多く、発表する資料や、わかりやすい資料として上手に活用できていない場面があった。【社会】

・解答(記号)を暗記し、答えてしまう生徒もおり、学習効果を高めるICTやAIドリルの利用方法を考える必要がある。【理科】

・発表する生徒が限られており、残念ながら内容が乏しいことが多い。【音楽】

・学習内容が生徒の生活に関わりがあると実感できる学習課題を設定する必要がある。【技術】

・振り返りの際、表面的な内容や感想にとどまった内容の生徒がいる。【保健体育】

(研究紀要からの抜粋、再構成)生徒の様子から、自分の考えを分かりやすく書いたり発表したりすること、学習内容を振り返りまとめを書くことなどが苦手であることがわかる。興味・関心を持って授業に参加する生徒が多いものの、長文読解や資料の読み取り、応用問題など、内容の難易度が上がると、あきらめて理解しないまま進んでしまうなど、問題解決能力が低い生徒が多い。また、ICTの活用は便利な反面、安易に答えだけを求めてしまう傾向があり、学習内容の深まりに課題を残している。学力の上位・下位に関係無く、主体的に粘り強く学習に取り組む生徒の育成を目指し、勉強の仕方を学ぶツールとしてICTを活用していけるよう、さらなる研究が必要である。また、学力の定着を図るために、振り返りの充実も求められる。

3 研究目標

 生徒が粘り強く主体的に学びに向かうためには、学習課題に対し、試行錯誤させながら粘り強く解決していく経験をさせること、さらに、生徒がわかった、できたと思える指導の工夫をすることが効果的であることを、実践研究を積み重ねることによって明らかにする。

4 研究仮説

 各教科において、課題解決のために効果的な指導や支援を行い、生徒がわかった、できたと思える指導の工夫をすれば、生徒の学習意欲を高め、主体的に学びに向かう力を身に付けることができるだろう。

5 研究内容・研究計画

(1)授業改善

① 課題解決のための指導方法や支援の工夫

・学習形態や学習方法の工夫や、効果的な個別の支援の仕方、具体的な手立てを研究する。

・総合的な学習の時間をプロジェクト型学習(現実社会に関わる真正で複雑な課題や問題に対し、一定の時間をかけて取り組み探求していくことで、知識やスキルを習得し、課題を発見解決していく学習方法)を取り入れ、実践する。

② 生徒がわかったと思える指導の工夫

・興味・関心を促すICTの活用、教材、教具の精選・開発、課題の明確化

・学習過程の提示や、効果的な指導方法の共有、振り返りの工夫・充実

③「学び方」を育成する指導の工夫

 「主体的・対話的で深い学び」の達成を目指し、一単元や一題材を一斉授業ではなく、自学自習の方法での学習に置き換えて授業を行う。生徒には「学び方」の方法を提示し、選択させ、自分で学ぶ時間とし、教師は支援に徹する。小テストを行い、定着度を確認。定着度に応じて補足し、再テストを行ってから評価する。

(2)学習基盤づくり

① 全教師による「学習のきまり」の指導

② 各教科の特性に応じた授業規律、約束ごとの指導

③ 特別の教科道徳を要とした望ましい生活習慣の育成

④ 小・中連携による学習意欲の向上を目指した取組

(3)学習内容を学力として定着させるための取組

① 学習内容を復習するための週末課題や帰り学習タイムへの取組の指導

② 家庭学習の内容の充実と継続的な取組の指導

③ 定期的な教科部会や見せ合い授業、日常的な校内研修を行い、教員一人一人のスキルアップを図る取組

④ 授業内で学習内容を振り返らせる「振り返り」を毎時間、単元、題材で取り入れる

研修計画

6 評価

 小中連携浪岡地区学習状況調査を年2回(7月・12月)実施する。1回目の結果から生徒の実態 把握に努め、全教員が一体となって授業改善の方向性を明らかにし、さらなる授業改善につなげる。

 そして、2回目の調査でその変容を測る。また、学校評価による質問紙法と教師の観察によって生徒 の変容を記録する観察法の両方を用いて行う。各種学力検査の変容等も参考にしながら、数値で実態把握してくよう努める。