(2012年2月20日厚生労働省に報告済)
長野県看護大学(以下、本学と記す)における研究倫理審査の手順を以下に示す。この文書は、本学の倫理委員会規程、同施行細則、および教授会申し合わせの倫理委員会審査チェックリストに基づいて円滑に審査を行うために作成したものである。
Ⅰ 申請の要件
本学において研究計画の倫理審査を受けるには、次の条件を満たす必要がある。
1)申請は当該研究の実施責任者(他機関との共同研究にあっては本学担当分の実施責任者)が行う。
2)研究を実施する者は、本学が行う研修または本学が指定する研修を受講した者でなければならない。ただし、大学院生は研究方法および研究倫理に関する科目の履修をもってこれに代えることができる。
Ⅱ 審査の手順
本学における倫理審査は次の手順による。
1.申請書類の作成
申請書類は次の文書からなる。各文書には、資料番号と文書の用途や内容を示すヘッダーを欄外に表示すること。なお、以下文中の「承認番号」は、申請時には未交付であるので、2013-xxなど適当な文字列を使用すること。
1) 研究倫理審査申請書(別紙様式第1号)
所定の様式に必要事項を記入する。記入事項には以下の添付書類のリストを含む。
2) 研究計画書(委員会指定様式)
委員会が指定する様式により作成したもの。様式は委員会より電子ファイルとして提供されるものを使用する。様式は随時変更されることがあるので、最新版を使用すること。(ただし、変更後に行う最初の定例審査では、変更前の様式による申請も受け付ける。)
3) 研究計画の詳細(様式は自由)
研究計画について詳しい説明を記したもの。必須ではなく、必要に応じて添付する。
4) 対象者への説明文書および同意書
研究の目的、方法、倫理的配慮に関する事項を解り易く誠実に説明した文書と対象者の研究への同意を示すための文書。説明文書と同意書の写し(または2部作成しその1部)を対象者の手元に残す。説明文には研究のタイトル、研究者の氏名・所属・連絡先、倫理審査の承認番号を記載する。同意書が説明文書と別の用紙の場合は、同意書にも研究のタイトルを記載し、当該の研究への同意であることが分かるようにすること。質問紙調査の場合、同意文書は不要であるが、説明文書が回答者の手元に残るようにすること。
5) 協力依頼の文書(依頼文書作成の手引きを参照のこと)
対象者の紹介、研究場所の提供、その他研究遂行に必要な許可や援助を求めるための文書。被依頼者が倫理的に判断を下すために必要な情報、および協力するために必要な情報を全て含めること。研究のタイトル、研究者の氏名・所属・連絡先、倫理審査の承認番号を記載すること。
6) 調査で使用する文書
質問紙調査の場合は調査で使用する質問紙を、インタビュー調査の場合はインタビューガイドを添付すること。
2.申請書類の提出
上記の申請書類一式を事務局の担当者に提出する。審査は、原則として月一回行われる。
3.審査
倫理委員会の審査では、次のような点について確認し、研究実施の可否を判定する。
1) 審査に必要な文書がすべて添付されているか
①申請書のリストにある添付資料は揃っているか
②対象者や依頼者との交渉や調査に用いる文書はほかにないか
2) 研究目的
①目的の記述は明確か
②何を明らかにしたいのか
③なぜその研究が重要か
3)対象者
①対象者の選定方法は明確か
②脆弱性や意思決定能力の問題はないか
③どこでその対象者にアプローチするか
4)方法
①方法は明瞭に述べられているか
②個人情報を保護する上で、データの保管や取り扱い方法は適切か
5) 説明文書と同意書
①研究のタイトル、研究者の氏名・所属・連絡先、承認番号が記載されているか
②対象者が研究を理解するのに十分な情報を解り易く与えているか
③研究における協力の内容が明記されているか
④予測されるリスクとその対処方法が具体的に解り易く説明されているか
そのリスクを対象者はよく理解できるか。
⑤ 研究で生じる利益は何か。 その利益は誰にもたらされるか
研究者は対象者に何らかの報酬や医療サービス等の便宜を提供するか
⑥協力するかどうかは自由であり、いったん同意しても自由に撤回できる旨が明瞭か
⑦協力を断っても不利益な扱いを受けず、研究者との関係も損なわれない旨が明瞭か
⑧対象者は自由意思で同意できるか
⑨対象者が弱い立場 (患者、 研究者から授業を受けている学生等) の場合
・研究参加に同意するかどうかの意思表示が自由にできるか
・参加の有無により、 研究者との関係は変わらないか
⑩対象者は研究者が提示した情報を十分に理解できるか
⑪研究結果の公表の時期と方法が記載されているか
6)依頼文書
①依頼する相手は適切か(権限があるか、依頼が必要な相手が他にもいないか)
②研究のタイトル、研究者の氏名・所属・連絡先、承認番号が記載されているか
③相手が倫理的に判断するために十分な情報が解り易く伝えられているか
④相手に実行してもらいたい事柄は明瞭にのべられているか
⑤相手に対象者の紹介を求める場合
・対象者の選定基準は明確か
・対象者の自由意思は守られるか
・研究者が対象者に行うことが明瞭にのべられているか
・研究者が対象者に払う倫理的配慮がのべられているか
⑥相手の協力が自由意思によることがのべられているか
⑦文章は依頼文として適切か
7) 質問紙調査
①説明文書が対象者の手元に残る形式になっているか
②回答所要時間の概算が説明文書に記載されているか
③記載された回答時間の概算は、現実的か
④回答者に不要な負担を強いていないか
⑤配布・回収の方法は適切か
・強制力(報酬以外の)が働かないか
・回答したか否かを上司や同僚に知られないか
8)インタビュー調査
①質問紙調査に付随して対象者を募集する場合
・協力に同意しても対象者にならない可能性が説明されているか
・質問紙調査の匿名性が保たれるか
・説明文書にインタビュー調査の説明まで含まれているか
②インタビューガイドの内容は、説明した目的と合っているか
③インタビューの時間と回数について予め伝えてあるか
④インタビューの場所は適切か
・対象者の都合や状況に対する配慮は十分か
・対象者のプライバシーが保護できるか
⑤録音を拒否できることが伝えられているか
⑥匿名化だけでは個人情報が保護できない可能性がある場合
・保管および取り扱いは厳重か
・結果の公表の前に対象者に確認を求め了承を得ることにしているか
⑦質問紙の併用や事前の情報提供など、対象者の負担を減らす工夫をしているか
9)研究計画書(指定様式)
①該当する事項が全て記入されているか
②記載された全ての研究者が申請の要件を満たしているか
③申請された研究計画は審査の必要があるものか
④研究の目的、対象、方法の記載は、具体的で明瞭か
⑤研究期間は合理的か。主要な結果の公表まで含まれているか
⑥対象者の定義と選定方法は明確か
⑦対象者の脆弱性に対する配慮は十分か
⑧対象者は説明を理解して同意を与える能力や法的資格を有するか
⑨個人情報の保護のための対策は十分か
⑩研究によって対象者に危害や過度な負担を与える可能性はないか
⑪対象者の負担が軽い場合でも注意が払われているか
9)委員会としての修正/変更勧告
①倫理上、改善の必要があるか
②改善の方法があるか
③具体的な修正・変更が可能な文書や資料が提出されているか
4. 審査結果の通知(別紙様式第2号)
審査結果は、①承認 ②条件付き承認 ③決定延期 ④不承認 の何れかで表示され、申請者に通知される。承認の場合は承認番号が交付される。条件付き承認の場合は、承認のための条件とともに通知され、修正した文書を提出し、修正が適切に行われたことが確認されれば承認される。
Ⅲ 研究実施後の報告(別紙様式第3号)
研究が終了した後、倫理的配慮の遵守状況、公表の状況等について報告を行う。