Scriptを使おう

Praatで作業をしていると,何度も何度も同じ手順を繰り返さなければいけないようなことがあるかもしれません。そんなとき,スクリプトの機能を使うと,作業のある程度の部分を自動化させることが出来ます。

(1) Praatスクリプトを学ぶ

スクリプトとは,簡単なプログラムのことです。Praatにはそのようなスクリプトを書き,実行する機能が備わっています。もちろん,スクリプトを書くには,Praatスクリプトのコマンドと「文法」を知らないといけません。すでに何かプログラミング言語をかじったことのある人なら,Praatスクリプトを学ぶのはさほど難しくないと思います。プログラミングの経験が全くない人にとってはちょっとハードルが高いかもしれませんが,Praatを使いこなすためには頑張ってでも身に着ける価値はあると思います。(もしかしたら,Praatスクリプトを勉強するうちに,自分の中にプログラミングの隠れた才能を発見するかもしれません。)

Praatのスクリプトについて,本当はここに詳しい説明を書きたいところなのですが,それはちょっとたいへんなので省略します。ただ,幸いPraatのヘルプの中にスクリプトに関する詳しい説明があるので,そちらを読めば読んでみましょう。Praatのオブジェクトウィンドウの右上にHelpというボタンがあります。ここを押し,Scripting tutorialを選択してください。以下のようなマニュアルが現れるはずです。

これを最初からコツコツと読んでいけば,Praatのスクリプトに関する知識が身につきます。(ソフトの使い方を身に着けるために,いちいち説明書は読まないという人が多いかもしれません。確かに,多くのソフトは使っているうちにだんだんと使い方がわかってくるものです。しかし,プログラミングやスクリプティングに関しては,まずはマニュアルを読んで基礎知識を身につけるという過程が不可欠だと思います。その上で実際に書いてみて経験を積むことで,だんだんと慣れてくるものです。)

日本語で情報を得たいという人は,以下のものが参考になります。スクリプトを書くとはどういうことか,それによって何が出来るかの雰囲気がつかめると思います。

  • 北原真冬・田嶋圭一(2008)「Praatで音声を可視化する 〈4〉 音声分析と自動化」『月刊 言語』10月号,pp.90-95.

その他にも,インターネット上には(主に英語ですが)Praatスクリプトの解説があちこちにあります。

(2) 他人の書いたスクリプトを利用する

もっと手っ取り早いのは,誰か他人の書いたスクリプトをダウンロードし,利用するというものです。スクリプトをインターネット上に公開している人はたくさんいますので(日本にはあまりいないかもしれませんが・・・),探してみてもいいでしょう。

ただし,自分の目的にぴったり合うスクリプトがなかなか見つからないということも,よくあります。また,スクリプトをダウンロードして走らせてはみたものの,エラーが出て動かないということもあります。そういう意味でも,Praatをよく使う(あるいは,今後よく使うことになりそう)という人は,Praatスクリプトの知識を多少なりとも持っておくことをお勧めします。