15. インテンシティー,強勢の分析

これまでに長さとピッチ(高さ)に対応する物理的特徴として持続時間とF0をみてきました。今回は,大きさ(loudness)に対応する物理的特徴をみていきます。大きさに対応する物理的特徴は,物理的強度またはインテンシティー(intensity)と呼ばれます。

15.1. Praatによるインテンシティーの分析

まず,以下のサイトから二つの音声ファイルをPraatで読み込んでおきましょう。これらのファイルはpermitという単語を,それぞれ第一音節,第二音節に強勢をおいて発音したものです。

Praatでインテンシティーを分析するには様々な方法があります。最も簡単な方法は,これまでにもよく使ったSoundEditorを用いるものです。先ほど読み込んだSoundオブジェクトについて,SoundEditorを開いてみましょう。インテンシティーは黄色の線で表示されます。もし黄色の線が表示されていなかったら,上部メニューからIntensityを選び,Show Intensityにチェックを入れます。

以下の図のように黄色い線が表示されたでしょうか?

インテンシティーの最高値を知ろうと思ったら,上の図のように黄色い線のピークにカーソルをあてましょう。カーソルをあてた位置のインテンシティーの値は,右側に緑色で表示されています。この場合,83.52dBです。

15.2. 強勢の分析

「強勢」(stress)というのは物理的な概念ではなく,言語学的な概念です。様々な言語に強勢があるとされますが,その物理的な実現の仕方は言語によって様々です。英語の強勢の場合,インテンシティーだけでなく,持続時間,F0,母音の音質も関わると言われています。上のサンプルファイルの持続時間,F0,母音のフォルマントも調べてみましょう。

英語における強勢とF0の関係に関していえば,イントネーションの問題も考慮する必要があります。英語における強勢とイントネーションの関係については,2009年度「音声学概論」第25回の資料を参考にしましょう。