まわし
投稿日: 2009/12/16 15:43:14
まわしは相撲にとってなくてはならないものである。
大事な部分を隠すからではなく、そこに戦略が生じるからである。
野球やラグビーなど点数の積み重ねで勝敗を決するスポーツでは、途中の形勢や力量の違いは点数によりある程度見当づけられる。
相撲は点数制ではないので基本的に勝ちと負けしかなく、何点取った、大差がついた云々ということはない。
では、相撲に形勢や力量の違いがないのかというとそんなことはもちろんなくて、ただの相撲好きでも判断がつく。
相撲の形勢は立ち合いである程度決まり、その後どんな攻め方をして、それにどう応じたかで刻々と変化する。
そういう点で相撲は将棋と似ている。将棋は初めは互角だが、一手一手に重みがあって、両者の手の重みに応じて形勢が変化する。
将棋では玉を詰めるために盤上で有利な形をつくろうとするが、相撲では相手を外に出すか倒すために土俵上で有利な形をつくろうとする。
形勢はどう判断するのか。
一概には言えないが、目安となるのがまわしである。まわしを取っていると一般的には有利な形とされる。
(念のため断わっておくが、まわしを取るとは相手のまわしを取り外してしまうという意味ではない。相手のまわしをつかむことをまわしを取るという。)
まわしを取ると有利なのは、持ち上げて重心を高くする、投げる、外に出そうと寄って行くときに逃げられないようにつかまえておくなどの手が可能になるからである。
ゆえに、飛車や角があればそれを取ろうとしたり守ったりする戦闘が生じるように、そこにまわしがあれば、まわしを取ろうとする、取らせないようにする戦闘が生じる。