Blenderの基本的な使い方を説明します。
まず、マウス操作についてまとめておきます。Blenderのマウス操作は一般的でも直感的でもなく、独特な感じになっている部分があります。環境設定で変更することもできますが、他の資料や参考書を見るとき齟齬が生じる可能性があるので注意が必要です。ここでは、デフォルトの設定を想定して説明していきます。
マウス操作は様々な機能を備えており、状況に応じてその働きが異なります。その使い方は後の具体的な操作で一つ一つ示していきます。ここでは、マウス操作の一般的な使い方を示します。
左クリック
オブジェクトに対して左クリックすれば、そのオブジェクトを選択状態にする。
オブジェクトが選択状態のとき、[g]キーを押すと、マウス・カーソルの動きに応じてオブジェクトが移動する。このとき、左クリックすれば、その移動を確定する。
ツールバーで「カーソル」を選択し、3Dビュー上を左クリックした場合、3Dカーソルの位置を移動する。
メニュー上で何らかの項目を選択し、左クリックすれば、その項目を確定する。
右クリック
メニュー表示を行う。
オブジェクトが選択状態のとき、[g]キーを押すと、マウス・カーソルの動きに応じてオブジェクトが移動する。このとき、右クリックすれば、移動をキャンセルする。[Esc]キーを押しても、同様の操作になる。
左ドラッグ
プロパティの項目にある数値枠を左ドラッグすると、その数値を変更する。
ツールバーの「ボックス選択」のとき、3Dビュー上を左ドラッグすると、矩形の中に入ったオブジェクトを選択状態にする。
ツールバーの「移動」のとき、選択状態のオブジェクトの軸(x軸、y軸、z軸)を左ドラッグすると、その軸に沿った移動になる。
ホイール
原点を中心に、ズーム・インあるいはズーム・アウトする。
ホイール・ドラッグ
原点を中心に、視点を回転する。
[Shift] + ホイール・ドラッグ
視点を平行移動する。
オブジェクトを選択するには、それを左クリックします。オブジェクトが選択されると、そのオブジェクトの輪郭がオレンジ色の線で囲まれます。下の例では、立方体オブジェクトが選択された状態です。
選択を解除するには、3Dビューウィンドウの何もない領域を左クリックします。
カメラを左クリックすれば、カメラ(オブジェクト)が選択されます。
マウスの左ボタンをドラッグすると、マウスカーソルのたどる範囲のオブジェクトが選択されます。
選択してるオブジェクトに、さらにオブジェクトを追加するには、[Shift]+[左クリック]を押します。
[Ctrl]+[右ドラッグ]で、マウスカーソルで描いた範囲を選択できます(投げ縄選択)。
「選択」>「すべて」で、すべてのオブジェクトを選択します。"A"キーを押しても、すべてのオブジェクトを選択できます。"A"キーを素早く2回押すと、全選択は解除されます。
右上のアウトライナーにある「シーンコレクション」のオブジェクトを選んでも、選択はできます。
ナビゲーションは視点を移動します。つまり、オブジェクトを見る方向を変えます。色々な角度から眺めることで、3次元形状がどのような形をしているか、光源との位置関係がどうなっているか、把握することができます。ナビゲーションにも、アイコンやメニューを使う方法と、キーを使う方法とがあります。使いやすい方を使えばよいです。
マウス・ホイールを回すと、視点をオブジェクトに近づけたり遠ざけたりします。結果として、3次元形状にズームインしたりズームアウトしたりします。実際に、3次元形状が拡大したり、縮小したりしているわけではないことに注意します。
同じ機能は、「虫めがね」アイコンを上下に左ドラッグしても行えます。
3次元形状を特定の方向から眺めるには、「ビュー」>「視点」を使います。例えば、「ビュー」>「視点」>「右」で、視点を右側、つまり「+X」方向に置いた見え方になります。
立方体を右側から見た描像は、以下のようになります。3Dビュー右上の座標軸の"X"を押してもよいです。
この3次元形状を反対側から見るには、「ビュー」>「視点の操作」>「反対側」を選択します。これで、視点を逆方向に置いた見え方となります。
先ほどと同じように見えますが、Y軸が反対向きになっています。3Dビュー右上の座標軸で、Y軸が反対向きになっていることを確認して下さい。
視点を回転するには、マウス・ホイールをドラッグします。3Dビュー右上にある座標軸を左ドラッグしてもよいです。
視点を平行移動するには、マウス・ホイールをドラッグするときに[Shift]キーを押します。3D右上の「手のひら」アイコンを左ドラッグして、上下左右に動かしても同じです。
3次元形状の見え方について、透視投影にするのか、平行投影にするのかを切り替えます。「ビュー」メニューで「透視投影/平行投影」を選択すると、両者が切り替わります。3Dビュー右上の「グリッド」アイコンをクリックしても同じです。
透視投影は実際に見たような感じで、遠くのものは小さく、近くの物は大きく表示されます。平行投影は遠くにあるものも、近くにあるものも同じ大きさで表示されます。最終的に2次元の絵にするときは透視投影になりますので、一般には透視投影で作業しますが、3次元形状の寸法をきっちり整える場合などは平行投影を使います。
カメラからどう見えるかは、「ビュー」メニューで「カメラ設定」>「アクティブカメラ」で確認します。3Dビュー右上の「カメラ」アイコンをクリックしてもよいです。
カメラから見た描像は「カメラビュー」ということがあります。
ツールバーとサイドバーの各機能を説明します。ツールバーは、選択やカーソルの指定、移動など、各種機能の操作ができるようになっています。「ボックス選択」は先に説明したように、様々な選択の機能を提供します。
「カーソル」は、赤と白の浮き輪のようなリングの3Dカーソルを操作します。オブジェクトの位置の指定や処理の中心として使われます。ここでは、「移動」「回転」「スケール」「トランスフォーム」の使い方を説明していきます。
まず、ツールバーの中で「移動」を選択します。次に、オブジェクトを選択すると、選択オブジェクトの中心に座標軸が表示されますから、軸の矢印を左ドラッグします。
例えば、Y軸(緑色)の矢印を左ドラッグすれば、選択オブジェクトが移動します。左ドラッグ中に、[Ctrl]キーを押せばマス目ごとに移動し、[Shift]キーを押せばゆっくり移動するので、位置を調整できます。
選択オブジェクト中心の座標軸には小さな正方形が添えられています。その小さな正方形を左ドラッグすると、平面に沿って平行移動できます。
サイドバーを表示します。「ビュー」メニューで「サイドバー」にチェックを入れます。3Dビューの右上の端にある"<"マークをドラッグしてもよいです。
サードバーには「アイテム」タブ、「ツール」タブ、「ビュー」タブがあります。以下は、「アイテム」タブを表示した例です。
「アイテム」タブの「トランスフォーム」の「Y」の数値を、"2 m"に変更します。数値をキーボードで入力してもよいし、マウスで左右に左ドラッグしてもよいです。
次に、「回転」について説明します。まず、ツールバーの「回転」を選択します。その上で、各軸の周りの半円弧を左ドラッグします。
例えば、Z軸を中心に回転するなら、青色の半円弧を左ドラッグします。ドラッグ中に[Ctrl]キーを押すと5度単位で回転し、[Shift]キーを押すとゆっくり回転し調整しやすくなります。
基準点(トランスフォームピボットポイント)を「3Dカーソル」に指定すると、回転の中心を3Dカーソルに設定できます。
先ほどと同じように、青色の半円弧を左ドラッグすると、Z軸を中心に回転します。ただし、Z軸は基準点(この場合、原点)を通っていることに注意します。
つまり、オブジェクトはその場で回転せず、基準点を通るZ軸の周りを回転します。
次に、「スケール」について説明します。まず、ツールバーの「スケール」を選択します。その上で、各軸の矢印(先端は小さな立方体)を左ドラッグします。
例えば、青い軸を左ドラッグすれば、選択オブジェクトが"Z"軸方向に拡大・縮小されます。
白い円の中を左ドラッグすれば、選択オブジェクトが全方向に拡大・縮小されます。ただし、拡大・縮小は3Dカーソルを中心に行われます。以下は、全方向に拡大した様子です。
基準点(トランスフォームピボットポイント)を「中点」に指定すると、拡大・縮小の基準点を選択オブジェクトの中心に移動できます。これで、その場で拡大・縮小できるようになります。
白い円の中を左ドラッグして、立方体オブジェクトを縮小します。縮小は、この選択オブジェクトの中心を基準点として行われます。
次に、「トランスフォーム」について説明します。まず、ツールバーの「トランスフォーム」を選択します。トランスフォームは、移動、回転、スケールのすべての組み合わせに対応します。
基本的な操作の仕方は、先に説明したツールバーの機能「移動」「回転」「スケール」と同様です。各軸の矢印(先端は小さな立方体)を左ドラッグで「スケール」、各軸の矢印(先端は三角)は「移動」、各軸の半円弧は「回転」します。
「ツール」タブの機能と組み合わせると、色んなことができます。例を示しましょう。まず、3Dビュー右側のサイドバーで、「ツール」タブを選択します。次に、「原点」にチェックを入れます。
こうすると、選択オブジェクトのローカル座標系の原点を移動できるようになります。選択オブジェクトの中心にある白い丸の領域を左ドラッグすると、小さめの座標軸が出てきます。これが、ローカル座標系です。
これで、座標系が選択オブジェクトから移動します。これはローカル座標系を表し、選択オブジェクトの外側に置いてあることになります。ここで、「ツール」タブの「原点」のチェックを外します。
緑色の半円弧を左ドラッグします。そうすると、選択オブジェクトがY軸の周りに回転します。
ナビゲーションの操作には、パイメニューという便利なメニューが用意されています。[Shift]+"S"で、パイメニューを表示できます。パイメニューをキャンセルするには、右クリックします。
パイメニューの「選択物->カーソル」を選択すると、選択オブジェクトのローカル座標系の原点が3Dカーソルの位置に移動します。これに伴って、3次元形状のオブジェクトも移動します。