ここで、3DCG作成の基本について、3つの基本要素と基本的な流れとに分けて極簡単に説明します。また、画面構成やツールバーの表示など、基本的な事項を説明します。
Blenderを起動すると、以下のような画面が表示されます。最初から、3つの要素
3次元形状
光源
カメラ
が用意されています。
中央の立方体が3次元形状で、モデリングと言えば、この3次元形状を作成していく操作になります。光源は、この3次元形状を含む3次元空間を照らします。カメラは視点に当たるもので、どこから写真を撮りたいかの位置になります。これら3つの要素は必ず揃っていなければならず、どれか1つでも欠けると3DCGはできません。
3DCGを作成するには、この3つの要素を揃える必要があります。そのために、次の処理を行います。その上で、レンダリングの処理をして、3DCGの画像を出力します。
3次元形状を作る(モデリング)
3次元形状の質感(マテリアル)を作る
3次元形状に光を当てる光源を設定する
カメラを設定する
レンダリングする
次に、Blenderの操作画面の名前を確認しておきましょう。
3Dビュー
3次元形状やカメラ、光源が表示される領域です。
アウトライナー
3次元形状やカメラ、光源など、オブジェクトの一覧が表示される領域です。オブジェクトが階層構造を持っていれば、その構造がわかります。
プロパティ
選択しているオブジェクトの設定を行う領域です。3次元形状なら材質とか、光源なら明るさとかを設定できます。
タイムライン
アニメーションを作るとき、オブジェクトの時間変化を設定する領域です。「**秒から**秒まで、オブジェクトを**から**まで移動する」といった設定ができます。ただ、この演習の中ではアニメーションを扱いません。
3Dビュー・ウィンドウの左上にあるアイコン群はツールバーといいます。選択や移動、回転、3次元形状の追加など、基本的な機能を提供します。ツールバーの表示を、「アイコン」から「アイコン+名称」に変えます。ツールバーの右端にマウスカーソルを移動すると、マウスカーソルのアイコンが「⇔」に変化します。そこで、ドラッグして右にズラすと、アイコンに加えて名称が表示されるようになります。
アウトライナーは、画面の右上に位置しています。アウトライナーの主な機能には、3次元シーンの中にあるオブジェクトを一覧できることがあります。複雑な3次元シーンは一般に階層構造を持つので、この構造がここで把握できます。オブジェクトの名前を左クリックすると、3Dビューで、該当するオブジェクトが選択されますから、3次元シーンが込み入ってきたときに便利です。
オブジェクトの名前は、それをダブルクリックすると編集できます。「目」アイコンは、3Dビューでの表示/非表示を切り替えることができます(非表示にしておくと、表示されない)。「カメラ」アイコンは、レンダリング時に有効/無効を設定できます(無効にしておくと、レンダリングされない)。
プロパティは、画面の右下に位置しています。プロパティは、オブジェクトそれぞれに対する設定を示します。オブジェクトの設定を細かく指定することができます。
プロパティ画面の左側のタブで各種設定を切り替えます。プロパティの設定は、主に以下のように分かれます。「ツール」「3次元シーン」「コレクション」「オブジェクト」「ブラシとテクスチャとマスク」です。プロパティの各タブの名前は、マウスカーソルをそのアイコンのところに持っていくと表示されます。設定項目が多いので、実際に操作しながら操作の方法を学んでいくのがいいでしょう。
視点に関する機能には主に、以下の4つがあります。つまり、視点を操作するにはこれら、4つの機能を使って操作します。アイコンをそれぞれ、切り替えて使います。ただし、同じことがキーの操作でもできますから、そちらの方がやりやすいかも知れません。ナビゲーションの機能については、「Blenderの使い方」のところで詳しく説明します。
ビューのズームイン・ズームアウト
オブジェクトにズームインしたりズームアウトしたりします。
ビューの移動
視点を平行移動します。
カメラビューの切替え
カメラから見た描像に切り替えます。
透視投影・平行投影の切替え
透視投影/平行投影を切り替えます。
Blenderを起動すると、原点に表示されます。オブジェクトから独立した3次元座標の点で、赤と白の浮き輪のようなリングが3Dカーソルです。
下の3Dビューの例では、立方体のところに3Dカーソルのマークがあります。この「3Dカーソル」は、位置の指定や処理の中心として使われます。例えば、オブジェクトを追加すると、この3Dカーソルの位置に配置されます。また、回転や拡大・縮小の中心点として使われます。
3Dカーソルを原点に戻すには、[Shift]+"C"キーを押す(このとき、すべてのオブジェクトが視界に入るように視点が移動する)。
3Dビューでオブジェクトを操作するためのモードが幾つか用意されています。これは作業効率をよくするためもありますが、作業内容に応じて機能を制限していると考えることもできます。
モデリングの作業をするときは、幾つかのモードのうち、オブジェクトモードと編集モードとを頻繁に使います。オブジェクトモード、編集モードにはそれぞれ、以下のような役割があります。
オブジェクトモード
シーン内にオブジェクトを配置したり、その位置や角度、大きさ、プロパティなどを調整したりする。
編集モード
選択されたオブジェクトの頂点や辺、面を編集する。編集モードで新たな形状が追加されると、先にあったオブジェクトに統合されて一つのオブジェクトと見なされる。また、編集するオブジェクトを変更できない(いったん、オブジェクトモードに戻して変更する)。
モデリングのときは両者を頻繁に切り替えるので、[Tab]キーで切り替えられるようになっています。
今やった操作を取り消し、一つ前の状態に戻すには、[Ctrl]+"Z"を押します。
一つ前の状態に戻したものを、再度、元に戻す(取り消さない状態にする)には、[Ctrl]+[Shift]+"Z"を押します。
オブジェクトの配置や3Dビューの向きなど、設定の状態を、Blenderをインストールしたときの状態に戻します。作業していて、何が何やらわからなくなってしまったときに使います。ただし、この操作を行うと、日本語の設定やツールバーの設定もリセットされますから、もう一度やり直す必要があります。そして、何よりも、今編集していた作業内容は消えてなくなりますから、必ず「名前を付けて保存」をしておくのを忘れずに!!!
ポップアップ画面が出たら、ここでは「キャンセル」をクリックします。本当に初期化したいなら、「読み込み」をクリックします。
※注意:現在編集している内容も消去されます。
Blenderで作業をするときは、保存しながら進めます。折角時間をかけて作成した3次元形状も、ファイルに保存しておかなければ消えてしまいます。名前を付けて保存するには、メニュー「ファイル」から「名前をつけて保存」を選択します。
そうすると、以下のようなポップアップ画面が出てきますので、まず、ファイルを保存するフォルダを選択します。次に、下の方にあるファイル名欄にファイル名を打ち込みます。そして、その横にある「名前をつけて保存」ボタンをクリックします。
これで、Blenderファイルが保存されました。ファイル名には、Blenderのファイルであることを示す"blend"という拡張子が付いています。
レンダリングは、3Dビューの3次元形状をカメラの視点で写真を撮り、2次元の画像として出力する処理です。ここでは、とにかくレンダリングする方法とレンダリングの結果を見ることにしましょう。以下のようなBlenderファイルを用意したので、それを使うことを想定します。
Blenderが適切にインストールされていれば、このファイルを開くと以下のようになります。
「ファイル」メニューの右側にあるワークスペースの「Rendering」を選択します。すると、以下のような画面が表示されます。
「レンダー」メニューから「画像をレンダリング」を選択します。選択すると、すぐにレンダリングが始まります。別途説明しますが、ここではレンダリング・エンジンとして"Cycles"というソフトウェアを使っています。綺麗にレンダリングできますが、結果を得るのに少し時間がかかります。
レンダリング中…
画像全体が描画されて、レンダリングが終了したら、画像として保存します。「画像」メニューから「名前をつけて保存」を選択します。
以下のようなポップアップ画面が表示されるので、ファイルを保存するフォルダを選択した上で、ファイル名を下の欄に打ち込みます。右下にある「画像を別名保存」をクリックすれば、レンダリング結果が画像として保存されます。
以下がレンダリング結果です。