自助会・当事者会の運営方法についてまとめてみました!
自助会・当事者会の運営方法については、これまで体系化に解説された資料がなく、個々の主催者が見様見真似で運営していたというのが実態だったと思います。そのため、主催者の属人性が高く、内容のバラつきが多い傾向にあったと思います。
そこで、これから会を立ち上げたい方のために、運営方法のパターンをいくつかここで挙げておきたいと思います。
また、自助会においては、ASDとADHDの特性は真逆に作用します。
そのため、運営方法もそれぞれ向き/不向きがあります。その点についても挙げておきました。
特に混成型の会をされる場合は、どちらかに偏らず、できるだけ双方に配慮した運営が求められると思います。それぞれの特性の方が、どういった環境を好み、逆にどういった環境を苦手とするのか、そして、それらをどのようにして調整していけば良いのかを、ぜひ個々の主催者で考えていただければと思います。
★自助会の大まかな進行方法(標準的なパターン)
①主催者の開始あいさつ
②自己紹介(ハンドルネーム、診断名)・・・診断名を話すことが慣習になっているが、再検討の余地あり
③セッション開始 ・だいたい1時間に5~10分程度の休憩を入れる
・「言いっぱなし・聞きっぱなし」とフリートークの大きく分けて2通りの方法がある(それぞれの詳細については後述)
④他会の告知
⑤主催者の終了あいさつと次回の告知
★セッション部分の運営方法 運営方法は大きく3通りになります。
どの方法が正しいとか間違っているとかはなく、それぞれにメリット/デメリットがあります。
無理なく続けられる方法を選ぶことが最も大切です。
自分に合った運営方法を検討してみてください。
①言いっぱなし・聞きっぱなし
<スタイル>
・順番に一人ずつ話し、他の方は傾聴する
一部の発達障害自助会や12step系(依存症自助会)で採用されている
<特性>
・ASD向き
・ADHDには向いていない(話したいタイミングで話せない、他の参加者の話を聞き続けるのがストレスになる)
<メリット>
・全員が話せるので、消極的な人や、自分から発言ができない人も参加できる
・順番に回るだけなので、司会者に高度なファシリテーション力が要求されない
・↑の理由から、司会者の属人性が少なく、誰がやっても一定水準以上の質が担保される
・落ち着いた雰囲気が好きな人に向いている
<デメリット>
・時間がかかる(10人で一人5分ずつと仮定すると単純計算で1周50分)
・フリートークのような盛り上がり感がない
・発言時間の制限を設けない場合、いつまでもダラダラ話し続ける人がいる
・主催者の個性やカラーが出にくい
・4~5人以上の参加者がいないと運営が難しい
<デメリットを回避する方法>
・大人数の場合少人数のグループに分ける
・予め発言時間の制限を設け、タイマー計測し、時間が来たらアラームが鳴るようにする
※「言いっぱなし・聞きっぱなし」の具体的トークスクリプトは、当会が公開している「今日の分かち合い」のものがあります。
②フリートーク
<スタイル>
・順番を決めず、話したい人がそれぞれのタイミングで話す
発達障害の自助会ではこちらの形式を採用する会が多い。
<特性>
・ADHD向き
・ASDには向いていない(会話に入れなかったり入るタイミングが掴めない)
<メリット>
・会話のラリーが続くと盛り上がる
・少人数~多少人数が多くても対応できる
・主催者の個性やキャラクターで人気の会も
・にぎやかな雰囲気が好きな人に向いている
<デメリット>
・特定の2~3人の間で会話が続き、他の参加者は置いてけぼりの状況になりがち
・消極的な人は↑に圧倒されたりタイミングが掴めず話に入れない
・司会者にある程度のファシリテーション能力が求められる
・主催者の属人性が強く、ものすごく合うか全く合わないかの二極化しがち
<デメリットの回避方法>
・司会者が介入し、発言が少ない人、消極的な人も発言に入れるよう配慮する
・司会者のファシリテーションスキルを高める
・主催者の個性やキャラクターについては、人によってメリットにもデメリットにもなる
※「言いっぱなし・聞きっぱなし」の具体的トークスクリプトは、当会が公開している「今日の分かち合い」のものがあります。
3 プレゼン&意見交換型
・参加者一人ずつ順番に話したいことを話してもらった(プレゼン)後、その内容をもとに他の参加者が意見を述べる(順番・フリートークどちらもOK)
・一人目のプレゼンが終わったら二人目のプレゼン&意見交換に移り、以後3人目、4人目と続く
<メリット>
・参加者全員がもれなく話せる点で「言いっぱなし・聞きっぱなし」同様のメリットがある
・聞き手側も一方的に傾聴を強いられることなく、議論に参加できる
・主催者にある程度のファシリテーション力が求められる
<デメリット>
・とにかく時間がかかる
・プレゼンが苦手な人にはハードルが高い
・関心のない話題が出てパスする参加者が多数出る可能性があったり、反対意見を話す参加者が出て場が荒れる可能性がある
<デメリットの回避方法>
・参加人数を少人数限定する。
・「反対意見はNG」のルール設定をし、それを徹底する。
ここから先は20名前後以上の大型の会向けです
4 挙手自由発言型
・挙手した人だけが発言できる
<メリット>
・多人数に向いている
・発言はしたくないが聴くだけで参加したい人のニーズに合う
<デメリット>
・全員が話せない
・消極的な人は話せない
5 大部屋グループ分け型
・4~5名程度の小グループに分ける
・席移動や固定の場合もあれば自由の場合もある
・テーマごとにグループ分けする方法もある
・各グループにファシリテーターを配置することが多い