Ortho4XPでリアルな地形・航空写真を作成する
Ortho4XPとは
X-Plane 11ではOrtho4XPという無料のツールを使うことで、非常にリアルな地形・地表画像・地表オブジェクトのデータを作成し、Custom Sceneryとして読み込むことが可能です。
地表画像のソースとしてGoogle EarthやBing Mapの航空写真を用いることができグラフィックが向上する反面、大量のHDD容量を消費したりビデオカードのVRAMを圧迫したりとPCには優しくありません。お使いのPCスペックと相談しながら導入を検討してください。
参考までにヨーロッパ全域と日本列島を作成している私の場合、Ortho4XPのデータ(ダウンロードキャッシュなど)で400GB、X-Planeに導入しているタイル・オーバーレイデータが1.3TB程度です。
ツールのダウンロード
作者のOscar Pilote氏の署名に含まれるリンクから最新版をダウンロードするのがおすすめです。
2020年4月26日現在ではVersion 1.30が最新で、X-Plane.orgのフォーラムにアップロードされている1.15は旧バージョンなので注意が必要です。
Oscar Pilote氏のプロフィールページ
https://forums.x-plane.org/index.php?/profile/461408-oscar-pilote/
こちらを開いてSee their activityをクリックし、Oscar Pilote氏の投稿一覧を表示するしたら、適当な投稿をクリックして開きます。
すると投稿の末尾、署名欄にWindows binary packageというリンクがあるため、ここをクリックして7zファイルをダウンロードします。
※ X-Plane.orgにログインていないと表示されません。画面右上のメニューからサインインしてください。
ダウンロードされるファイルは7z形式の圧縮ファイルなので、7-zipなどで解凍します。
インストールは必要なく解凍したフォルダから直接起動できますが、解凍したフォルダの中にダウンロードした航空写真などが保存されるため非常に多くの容量を消費します。
ヨーロッパ全域と日本列島全域を作成している私の場合、Ortho4XPフォルダーだけで400GBほど使っています。
※ X-Planeに読み込ませる「タイル」を作成するための中間データなので、作成完了後に削除しても問題はありませんが、消さずに置けば次回作り直す時などに時間を短縮できます
※ これとは別に作成したタイルを保存するための容量も必要です
基本的な操作方法
Ortho4XP > Binary > Ortho4XP_v130.exe をダブルクリックして起動します
ツール本体(真っ黒のコマンドウィンドウ)と、操作用のGUIの2ウィンドウが起動します。
まずはフォルダアイコンをクリックして、作成される「タイル」データを保存するフォルダを指定します。ここに X-Plane > Custom Scenery フォルダを指定すれば作成されたデータをそのままX-Planeで読み込めますが、前述の通り非常に容量が大きいため、私はX-PlaneをインストールしているSSDではなく別のHDDにフォルダを作って指定しています。
次に使用する航空写真の取得先と、ズームレベルと呼ばれる航空写真の画質を指定します。
取得先はGO2 (Google Earth) が高画質でおすすめですが、ギリシャなど一部の国では空港にモザイクがかけられているため、場所によってBI (Bing Map)を使い分けると良いと思います。
ズームレベルは航空写真の画質、タイルの容量、作成にかかる時間に直結する重要な設定です。主にジェット機で高高度を飛ぶ方は16を、限られたエリアをVFRで低空飛行する方は17が良いかもしれません。(ズームレベルが高いほど高画質・大容量)
次にスパナマークを押してコンフィグ画面を開きます。この画面ではOrtho4XPの詳細な設定をいじれますが、基本的に初期状態で問題ないと思います。
私の設定は以下の通りで、custom_overlay_srcに X-Plane 11 HD Mesh Scenery v4 を指定して、オーバーレイと呼ばれる建物などの地表オブジェクトデータとして使用しています。
参考までにHD Meshのフォルダー構造はこんな感じ
設定を変更した場合はWrite App Cfgを押して保存して、Applyを押して適用し、Exitを押して画面を閉じます(めんどい)
次に地球のアイコンをクリックしてTiles collection and management画面を開きます。
すでに作成済みのエリアは「GO2 16」のように使用したソースとズームレベルが表示されるので、新たに作成したいエリアを Shift を押しながらクリックして赤色の網掛け状態にします。
左のメニューでBatch build tilesの上5つにチェックを入れ、Batch Buildをクリックすればタイルの作成が始まります。
タイルの作成はStep1, Step2, Step2.5, Step3, Extract overlaysの5段階に分かれており、航空写真データをダウンロードするStep3が特に時間がかかります。1つのタイルを作成するのにかかる時間は15分~30分ほどだと思います。
このとき5つ目のチェック「Extact overlays」は地表オブジェクト(建物など)を作成する工程ですが、X-EUROPE 4など、他に地表オブジェクトを表示させるシーナリーを導入している場合は不要なので、ご自身の環境に合わせて省略してください。
作成が完了すると
・Base Folderで指定したフォルダにタイルが
・Ortho4XP > Ortho4XP_Overlays にオーバレイが
それぞれ保存されます。
この「zOrtho4XP_+00+000」というフォルダたちと、「Ortho4XP_Overlays」フォルダを X-Plane 11 > Custom Scenery にコピーするか、ショートカットを作成します。
私の場合はX-PlaneフォルダがSSDで容量が足りないため、HDDに作成されたタイルへのショートカットを使用しています。作り方は簡単で、エクスプローラーでCustom Sceneryフォルダとタイルフォルダを並べて開き、タイルを全選択して右クリックしながらCustom Sceneryフォルダの空きスペースにドラッグ・アンド・ドロップします。マウス右ボタンを離すと「ショートカットをここに作成 (S)」というメニューが表示されるので選択すれば、一括でショートカットが作成されます。Overlaysの場合も同様です。
重要!
ここまで出来たら一旦X-Planeを起動して、メインメニューが表示されたら終了する。
するとX-Plane 11 > Custom Scenery > scenery_packs.ini が更新されてOrtho4XPのファイルが追記されているはずなので、以下の記事に従って順番を並び替える。
以上がOrtho4XPの基本的な使い方です。
空港の周りを高画質で作成する
上記の手順で広いエリアのタイルを作成した後、空港の周りやお気に入りのエリアなど低い高度で飛ぶことが多い場所については、範囲を指定して高画質なデータを作成することが可能です。基本的に上記のバッチビルドでエリア全体を作成しておき、その日飛ぶ空港を決めた後に、その空港だけ以下の手順で高画質化するのがおすすめです。
先ほどと同じ手順でTiles collection and management(世界地図の画面)を開き、高画質化したいエリアが含まれるタイルをダブルクリックします(先程はShift + クリック)
黄色い枠がついたことを確認したら一旦地図の画面を閉じ、Preview / Custom zoomlevels画面を開きます。
SourceでGO2、Zoomlevelは13を選択してPreviewをクリックします。
しばらくするとタイルの航空写真が表示されるので、右クリックでドラッグして目的の場所を見つけます。(Google Mapで地形を確認するとヒントになるかも)
左のメニューで黄色の「ZL17」ボタンを選択した後、画像をCtrl + 左クリックしてズームレベル17にしたいエリアを選択します。間違えてしまった場合はCtrl + 右クリックで取り消せます。
次にオレンジ色の「ZL18」に切り替えて、同じ要領で指定します。
最後に「ZL19」で、最も高画質にしたいエリアを選択します。非常に容量が大きいので、範囲が広くなりすぎないよう気をつけましょう。
選択し終えたら、Save zone、Apply、Exitの順にクリックして画面を閉じます。
メインウィンドウで All in one をクリックするとタイルの作成が始まります。バッチビルドでタイルを作成した際のキャッシュ(Ortho4XP > Orthophotosフォルダなど)が残っていれば、Step3のダウンロードは時間が短く済むはずです。
作成が完了したら、必要に応じてX-Plane 11 > Custom Scenery フォルダに反映させましょう。直接Custom Sceneryに作成している場合や、ショートカットを貼っている場合は不要だと思います。
おまけ:地上オブジェクト オーバーレイ (overlay) を作成する
Ortho4XPではOSM(Open Street Map)をベースにした、地上オブジェクトのオーバーレイシーナリーを作成することも可能です。
これにより航空写真に合わせて建物や木が表示されるようになりますが、Sim Haven X-Europe 等のNon-Airportシーナリー(空港以外のエリアシーナリー)を別に導入している場合は競合を起こすので、導入するかはそれぞれの環境に合わせて判断してください。X-EuropeやJapan Proでカバーされていない地域に限って、Ortho4XPのオーバーレイを作成するのもありだと思います。
オーバーレイ作成 (Step4) のバグ修正
Ortho4XPの2021/01/23時点の最新版 (1.3) ではオーバーレイ作成の工程にバグがあるため、エラーが発生して途中で止まってしまいます。そのためGithubから最新のファイルをダウンロードしてきて、修正を適用してやりましょう。
まずGithubのOrtho4XPリポジトリにアクセスして、masterブランチの最新版をダウンロードします。
https://github.com/oscarpilote/Ortho4XP
Download ZIPをクリックしてダウンロードするか、Gitを導入している方はCloneします。
ZIPでダウンロードする場合
GitでCloneする場合 (Github DesktopやSourceTreeなどでももちろんOK)
ダウンロード / Cloneしてきたフォルダから
Extents
Filters
Providers
src
Utils
community_server.txt
Ortho4xp_v130.py
を導入済みのOrtho4XPフォルダに上書きコピーします。※事前にバックアップを取っておくことをおすすめ
WinMargeを使える方は、差分比較・自動バックアップしながらマージしてあげると尚良です。
オーバーレイの作成手順
修正が出来たらいよいよオーバーレイの作成です。
念のため、Ortho4XP > tmp フォルダが空になっているかを確認します。もし何かファイルが入っていたら、すべて消去してください。
Ortho4XPを起動したら、世界地図の画面 (Tiles collection and management) を開きます。
タイルを作成したときのように ①Shift + 左クリックで作成したいタイルを選択して赤い網掛け状態にして、②Extract overlaysにチェックを入れ、③Batch Buildをクリックします。
メインウィンドウで Step 4がCompletedになれば完了です。PCのスペックによりますが数分はかかるので、待ちましょう。
作成されたオーバーレイは、Ortho4XP > yOrtho4XP_Overlays > Earth nav data 以下に保存されます。タイルと違って保存先は指定できないようです。
X-PlaneのCustom Sceneryフォルダには、yOrtho4XP_Overlaysフォルダをコピーするか、ショートカットを作成します。
作成されたオーバーレイは緯度経度ごとにフォルダ分けされて保存される
Custom Sceneryフォルダに yOrtho4XP_Overlaysフォルダをコピー or ショートカット作成
タイルを導入した後と同様に一度X-Planeを起動した後終了して、scenery_packs.ini を更新します。
scenery_packs.iniの記載順について にある通り、yOrtho4XP_Overlaysを空港やライブラリより下、Ortho4XPのタイルより上に移動します。
以上、Ortho4XPの基本的な使い方でした。ご不明点等あれば、ページ下部のDiscordやTwitterで聞いていただければ、お答えできるかもしれません...(?)