ご近所
ご近所
ヒースとネイサンは寂れたスラム街にある格安の部屋を借りて住んでいた。
それぞれ向かい側の部屋を借りており、声を大きく出せば聞こえるほど距離は近かった。
「おーい、ネイサン!!醤油貸して!!」
ヒースが扉を開けて大声を出すと、少し間をおいてからネイサンが無言で顔を出す。
彼はどうやら朝飯を食べている途中だったらしく、口に箸をくわえたまま出てきた。
その手には作ったばかりの味噌汁が入ったお椀もかかえられていた。
「悪いなー!ってお前味噌汁作ったの?」
相変わらず人懐っこい笑みを浮かべて話しかけてくるヒースに対し、
ネイサンは鋭い目つきを浮かべながら
「今日は絶対分けてやらねえからな」
と低く唸るような声でこたえた。
それから醤油を手渡した後、ネイサンは逃げるように急いで扉を閉めた。