迷子
迷子
この辺では珍しく首輪をした犬がさまよっていた。
それも中々毛並みの良い犬だった。
「よぉ、お前どっから来たの?」
ヒースが明るく話しかけるも、犬は返事をしない。
ただ純粋無垢なその瞳にヒースを映すだけであった。
「よく見りゃその首輪にタグついてんな?」
ネイサンの視線の先にあるタグをよく見ると、住所と飼い主と思しき名前が書いてあった。
「家まで送ってやろう。礼でももらえるかもしれん」
ネイサンの言葉にヒースは目を輝かせ、嫌がる犬を無理やり抱きかかえて「お礼はどこだ!?」とあたりを忙しなく走り回っていた。