Dark-inducible BGH2 suppresses GLK transcription factors and maintains plastid homeostasis to promote light adaptation
Tachibana, R., Akema, R., Yoshihara, A., Ujihara, C., Nishida, K., Ri, S., ..., Nakano, T.
The Plant Cell, 37(8), koaf180, 2025
https://doi.org/10.1093/plcell/koaf180
Anionic lipids facilitate membrane development and protochlorophyllide biosynthesis in etioplasts
A Yoshihara, K Kobayashi, N Nagata, S Fujii, H Wada, K Kobayashi.
Plant Physiology. 194(3): 1692-1704, 2024
https://doi.org/10.1093/plphys/kiad604
円滑な葉緑体の形成に必要とされている、葉緑体前駆体の内膜系の形成や光合成色素の合成において、その膜を構成する酸性脂質が重要な役割を担うことを明らかにしました。
(日本語総説のページで解説を紹介しています。)
Evolutionary implications from lipids in membrane bilayers and photosynthetic complexes in cyanobacteria and chloroplasts
K Kobayashi, A Yoshihara, H Kubota-Kawai.
The Journal of Biochemistry, 174(5):399-408, 2023
https://doi.org/10.1093/jb/mvad058
2022年の総説の内容をさらに更新しました。新たに報告された光合成複合体内の脂質分子や、脂質分子が結合しているアミノ酸配列の保存性や、脂質分子がどのように光合成複合体にアセンブルされるのか?などについて議論しています。
Aerial roots of the leafless epiphytic orchid Taeniophyllum are specialized for performing crassulacean acid metabolism photosynthesis
K Suetsugu, R Sugita, A Yoshihara, H Okada, K Akita, N Nagata, K Tanoi and K Kobayashi.
New Phytologist. 238(3): 932-937, 2023.
https://doi.org/10.1111/nph.18812
樹上にいる着生ランの「クモラン」は葉が退化しており、緑色の根を持ちます。クモランの根は光合成を行っているのか?という謎について、クモランの根と、近縁種のカヤランの葉と根の光合成を解析・比較しました。その結果、クモランの根はカヤランの葉に匹敵する光合成活性をもつことや、気孔ではなく特殊な通気組織をもつこと、カヤランの葉と同様で夜に二酸化炭素を取り込み、昼にそれを光合成に使うこと(CAM型光合成)などが明らかとなりました。クモランでは根が光合成に特化するように進化したことが示唆され、ランの生態と進化や、植物の多様な光合成についての理解につながる発見となりました。本研究では主に光合成解析や通気組織の観察を担当させて頂きましたが、クモランが大変可愛かったです。
Lipids in photosynthetic protein complexes in the thylakoid membrane of plants, algae, and cyanobacteria
A Yoshihara, K Kobayashi
Journal of Experimental Botany 73 (9), 2735-2750, 2022
https://doi.org/10.1093/jxb/erac017
近年の解析技術の向上により、光合成電子伝達複合体の構造が様々な生物種において次々と明らかにされており、複合体中に多くの脂質分子が含まれることが分かってきています。この総説論文では、シアノバクテリアから植物にわたって多様な種から報告されている光合成電子伝達複合体の構造を脂質分子に着目して網羅的に調べることで、各複合体に含まれる脂質分子の数や配置が異なる生物間でどのように保存され、どのように異なっているのかを明らかにしました。特に、光化学系IIや光化学系Iの反応中心近傍にある脂質分子は、シアノバクテリアから陸上植物に至るまで全般的に高度に保存されている一方、LHCアンテナに含まれる脂質は藻類と陸上植物では多様性が認められることが分かりました。この結果は、反応中心の機能は厳密に保ちつつ、アンテナの多様性を広げることで多様な環境に適応してきたことが、複合体に含まれる脂質レベルでも起こっていることを示唆しています。
Photosynthesis and cell growth trigger degradation of phycobilisomes during nitrogen limitation
A Yoshihara, K Kobayashi
Plant Cell Physiol. 63 (2), 189-199, 2022
https://doi.org/10.1093/pcp/pcab159
窒素固定を行わないタイプのシアノバクテリアは、窒素を欠乏すると「フィコビリソーム」とよばれる巨大な光合成アンテナタンパク質複合体を分解します。窒素欠乏時のフィコビリソーム分解の生理的意義は、主に光合成と細胞増殖の点から、次の二つが考えられています。一つ目は、光を集めるアンテナを縮小して窒素欠乏下で必要以上の光エネルギーを吸収してしまうことを防ぐことです。二つ目は、巨大な有機窒素源であるフィコビリソームを別の必要な窒素化合物にリサイクルすることです。しかしながら、窒素欠乏時のフィコビリソーム分解と光合成、細胞成長の三者の関係性についてはあまり注目されず、ほとんどわかっていませんでした。そこで、本研究では、シアノバクテリアの一種であるSynechocystis sp. PCC 6803を用いて、窒素欠乏時のフィコビリソームの分解と光合成、細胞増殖との関係について調べました。まず、フィコビリソーム分解と光合成の関係を明らかにするために、窒素欠乏下で光合成活性を薬剤や弱光処理によりに低下させたところ、フィコビリソームの分解が抑制されることを見出しました。一方で、光合成の阻害は細胞増殖も同時に抑制したことから、次に、細胞増殖がフィコビリソーム分解に与える影響を調べました。阻害剤や低温処理、リン欠乏条件により細胞増殖を抑制すると、窒素欠乏時のフィコビリソームの分解が抑制されましたが、同時に、光合成活性も低下することが分かりました。以上の結果から、窒素欠乏時のフィコビリソーム分解が、細胞を取り巻く窒素源の濃度だけでなく、光合成や増殖の活発さに応じて引き起こされること、さらに、光合成と細胞増殖は互いに密接に関連し合い、フィコビリソームの分解量を決めていることが明らかになりました。
Plastid anionic lipids are essential for the development of both photosynthetic and non-photosynthetic organs in Arabidopsis thaliana
A Yoshihara, N Nagata, H Wada, K Kobayashi
Int. J. Mol. Sci. 22 (9), 4860, 2021
https://doi.org/10.3390/ijms22094860
リン脂質の「ホスファチジルグリセロール(PG)」と糖脂質の「スルフォキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)」は、極性頭部に負電荷をもつ「酸性脂質」であり、チラコイド膜を構成する脂質の約2割を占めます。これまでに調べられてきた全ての光合成生物において、PGは光合成に必須である一方、SQDGの必要性は種によってさまざまであることがわかっています。植物では、PGとSQDGが光合成を行わない色素体にも含まれていることが知られていましたが、それらが「非光合成器官」の生育や機能に必要なのかどうかは不明のままでした。また、植物がリン欠乏条件で合成するもう一種類の酸性脂質「グルクロノシルジアシルグリセロール(GlcADG)」の役割もよくわかっていませんでした。そこで、本研究では、PG、SQDG、GlcADGの機能的な関係を明らかにするために、これら脂質の合成を欠損したシロイヌナズナの変異体を詳細に解析しました。その結果、PGとSQDGの色素体での合成を両方とも完全に欠損した変異体では、光合成とは独立に、根、胚軸、胚の発達が阻害され、これらの脂質が光合成器官だけでなく非光合成器官の発達にも必要とされることが見出されました。さらに、リン欠乏で生じるようなPGの欠乏条件において、SQDGはPGの光合成での役割の相補に必須だが、GlcADGは必須ではないことが明らかになりました。
Relationship between glycerolipids and photosynthetic components during recovery of thylakoid membranes from nitrogen starvation-induced attenuation in Synechocystis sp. PCC 6803
K Kobayashi, Y Osawa, A Yoshihara, M Shimojima and K Awai
Front. Plant Sci. 15 (11), 432, 2020
https://doi.org/10.3389/fpls.2020.00432
窒素固定を行わないタイプのシアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803では、窒素欠乏条件でチラコイド膜のサイズや機能を縮小しますが、窒素源を与えると速やかに回復します。本研究では、Synechocystis sp. PCC 6803のチラコイド膜の機能がどのように窒素条件に応じて調節されるのかを理解するために、窒素欠乏および回復過程のチラコイド膜構成要素や光合成活性の変化を調べました。窒素欠乏の細胞では、フィコビリソーム含量、光化学系IIタンパク質レベル、光合成活性が、窒素十分条件の細胞に比べてかなり減少しました。また窒素欠乏条件では、クロロフィルa含量、総タンパク質量、総ガラクト脂質量も、細胞密度を反映するOD730当たりでは減少した一方で、溶液量当たりとなると、クロロフィルa含量と総タンパク質量はほとんど一定に維持され、さらに総ガラクト脂質量は増加すらしたため、窒素欠乏条件でこのようなチラコイド膜構成要素が細胞レベルで減少するは、細胞増殖による希釈が主な原因だと示唆されました。窒素を与えると光合成活性が速やかに回復し、光合成色素と光合成タンパク質レベルも完全に回復しました。光化学系IとIIの両方の構成に必須とされる脂質であるホスファチジルグリセロール(PG)の含量は、窒素添加後、クロロフィルa含量よりも速く増加した一方で、チラコイド膜の脂質二重層の主成分である糖脂質の含量はゆっくりと回復したため、光合成機構の構築やチラコイド膜の再構成におけるPGと糖脂質の異なる調節が示唆されました。注目すべきことに、窒素添加で回復するときにPGを生育培地に与えると、野生株の細胞でクロロフィルaの蓄積がわずかに加速しました。PGがクロロフィルaの生合成と機能的な光化学系複合体の形成に必要とされたので、窒素源獲得に応じた急速なPGの生合成は、チラコイド再生時の光合成機構の急速な構築に必要なのだろうと見出されました。