10月7日の証言は、イスラエル軍がイスラエル国民を戦車やミサイルで「砲撃」したことを明らかにしている

マックス・ブルメンタール 2023.10.27

(ヤスミン植月千春・やぎさん共訳)

October 7 testimonies reveal Israels military shelling Israeli citizens with tanks, missiles

MAX BLUMENTHAL·OCTOBER 27, 2023

10月7日にハマスの武装勢力に制圧されたイスラエル軍は、イスラエルの住宅や自国の基地さえも砲撃するようにとの命令を受けた。「生きたまま焼かれた」と言われているイスラエル人のうちの何人が、実際に味方の攻撃で死亡したのであろうか。

10月7日のイスラエル南部に対するハマスの奇襲攻撃に関するイスラエル人の証人によるいくつかの新たな証言は、イスラエル軍がパレスチナ人の武装勢力を無力化するために戦った際に自国民を殺害したという証拠をさらに強めている。

キブツ・ベエリの警備チームのメンバーであるトゥバル・エスカパさんは、キブツ住民とイスラエル軍の間を調整するホットラインを設置した。 同氏はイスラエルの新聞ハアレツ紙に対し、絶望感が深まるにつれ、「現場の指揮官らは、テロリストと人質を排除するために占拠者に砲撃を行うなど、難しい決断を下した」と語った。

ハアレツ紙に掲載された別の報告書は、イスラエル軍が、支配権を掌握した「テロリストを撃退するために」ガザへのエレズ検問所内の自国の施設に対して「空爆を要請せざるを得なくなった」と記した。 その基地は当時、イスラエル民政局の職員と兵士でいっぱいだった。

これらの報告は、多くのイスラエル人の命を犠牲にしても、イスラエル国内の住宅やその他の地域を攻撃するよう軍最高司令部から命令が出されたことを示している。

ヤスミン・ポラットというイスラエル人女性はイスラエル・ラジオのインタビューで、10月7日のハマス武装勢力との銃撃戦で軍が「間違いなく」多数のイスラエル人非戦闘員を殺害したということを認めた。「彼らは人質を含む全員を抹殺した」とイスラエルの特殊部隊に触れながら述べた。

デビッド・シーンとアリ・アブニマがエレクトロニック・インティファーダで報じたように、ポラットは「非常に激しい集中砲火」とイスラエル軍の戦車砲撃によりイスラエル人に多くの死傷者が出たと述べた。

ハマスの武装集団に拘束されている間のことを、回想してポラットさんは「彼らは私たちを虐待しなかった。 私たちはとても人道的に扱われました…誰も私たちを暴力的に扱うことはありませんでした。」と語った。

彼女はさらに、「その目的は私たちをガザに拉致することであり、殺害することではなかった」と付け加えた。

ハアレツによれば、軍は捕虜となったイスラエル人の家々を「砲撃」したことを認めてからようやくベエリの支配を回復することができたという。 「その代償は恐ろしいものだった。少なくとも112人のベエリの住民が殺害された」と同紙は報じた。 「他の人達は誘拐された。 虐殺から11日後の昨日、破壊された家の1つから母親と息子の遺体が発見された。 瓦礫の中にはさらに多くの遺体が横たわっていると考えられている。」

ベエリでの砲撃の多くはイスラエル戦車兵によって行われた。 イスラエル外務省が後援する報道機関i24の記者がベエリ訪問中に述べたように、「小さくて古風な家々が爆撃されたり破壊されたり」、「手入れの行き届いた芝生が装甲車両の跡で引き裂かれたりしていた、おそらく戦車だろう。」

アパッチ攻撃ヘリコプターも、10月7日のイスラエル軍の反撃に大きく関わった。パイロットらはイスラエルのメディアに対し、何の情報も持たずに戦場に緊急発進し、ハマスの戦闘員とイスラエルの非戦闘員を区別できず、それでも彼らの戦争機械の「腹を空にする」決意をしたと語った。 「あまりにもたくさん居るので、どれを撃てばいいのかジレンマに陥っている」と、あるアパッチパイロットはコメントした。

ハマスの制服を着た武装集団が撮影したビデオは、ハマスの武装集団が10月7日にカラシニコフ銃で多くのイスラエル人に意図的に発砲したことを明らかにしている。しかし、イスラエル政府は検証済みのビデオ証拠に満足していない。 それどころか、戦闘員たちが捕虜をサディスティックに焼き殺し、生きたまま放火する前に強姦したと主張するために「見分けがつかないほど焼かれた遺体」の写真を配布しながら、「首を切られた赤ん坊」という信用できない主張をし続けている。

テルアビブでの残虐行為の展示の背景にある目的は明らかである。ハマスを「ISISよりも悪い」と描きながら、イスラエル軍が継続的に行っているガザ地区への砲撃への支持を集めることであるが、発表時点で少なくとも2500人の子供を含む7000人以上の死者が出ている。 ガザでは何百人もの負傷した子供たちが、新型兵器によって引き起こされた「4度の熱傷」と外科医が診断したものの治療を受けているが、西側メディアは依然として10月7日に「生きたまま焼かれた」とされるイスラエル人に焦点を当て続けている。

しかし、イスラエル軍司令官が下した味方への射撃命令の証拠が増えていることは、西側メディアに提示された、黒焦げのイスラエル人の死体、瓦礫と化したイスラエルの家々、焼け落ちた車両の塊などの最も不快な画像の少なくとも一部が、実際には、戦車兵とヘリコプターのパイロットの仕業による、砲弾、大砲の射撃、ヘルファイア・ミサイルがイスラエル領土を覆い尽くしたものだったということを強く示唆している。

実際、10月7日、イスラエル軍はガザ地区の民間人に対して行ったのと同じ戦術に訴え、重火器を無差別に使用することによって自国民の死者数を増やしたのだ。


イスラエル、ガザ包囲の中枢である自国の基地を爆撃

ハマスとパレスチナ・イスラム聖戦(PIJ)は10月7日午前6時にアル・アクサ洪水作戦を開始し、イスラエルがガザ地区の包囲を司っている軍事基地を迅速に制圧した。 ハマスとPIJが描いた主な目的は、イスラエルによって投獄されているパレスチナ人の解放であって、現在、罪状もなく拘留されている1264人のパレスチナ人に加え、年間700人もこの刑務所に入出させられている子供がいる。

2011年のギラッド・シャリットとの交換は、その5年前に捕らえられたイスラエル兵、ギラッド・シャリットが1027人の捕虜と引き換えに釈放されたものであり、アル・アクサ洪水に明確なインスピレーションを与えた。 パレスチナ武装勢力は軍事基地やキブツを襲撃することで、できるだけ多くのイスラエル兵と民間人を捕らえ、生きたままガザに連れ戻すことを目指していたのである。

電撃的な襲撃は瞬くうちにイスラエルのガザ担当部隊を圧倒した。 パレスチナ戦闘員のヘルメットに取り付けられたGoProカメラから記録されたビデオには、イスラエル兵が次々と斬り殺され、多くはまだ下着姿で不意を突かれている様子が映っている。 10月7日には少なくとも340人の現役兵士と諜報員が殺害され、確認されたイスラエル人の死亡者の50%近くの数を占めた。 犠牲者には、イスラエルのナハル旅団司令官ジョナサン・スタインバーグ大佐のような高級将校も含まれていた。 (多くの初期対応者と武装したイスラエル民間人も死亡した)。

エレズ検問所は、イスラエルによるガザ包囲の中枢として機能する大規模な軍隊と、[占領]地域におけるCOGAT(訳注:政府活動調整)施設の本拠地である。 それが10月7日にパレスチナ戦闘員に制圧され、中には陸軍官僚が大勢いたため、イスラエル軍はパニックに陥った。

ハアレツ紙によれば、ガザ地区師団の司令官 アヴィ・ローゼンフェルド准将は、「数人の男女兵士とともに師団の地下作戦室に陣取り、攻撃を受けている部門を救出して組織化しようと必死に努めた。 兵士の多くは、そのほとんどが戦闘要員ではなかったが、屋外で死傷した。 師団はテロリストを撃退するために、[エレズ検問所の]基地そのものに対する空爆を要求せざるを得なくなった。」

 戦闘とイスラエル軍の空爆から10日後にイスラエルのCOGATが公開したビデオには、エレズ検問所の施設の屋根に深刻な構造的損傷があったことが示されている。 

イスラエル当局者は今日、戦争勃発以来とりあえず、ガザとのイスラエル国境にあるエレズ検問所に戻った
ハマスのテロリストによる検問所のインフラへの被害を国防省職員が検証した

イスラエルのアパッチヘリコプターがイスラエル国内を攻撃:「何を撃てばいいのか、ジレンマに陥っている」

軍がイスラエル報道機関であるMAKOに説明したところによると、午前10時30分までに、「最初に押し寄せた侵攻の(パレスチナ)部隊のほとんどはすでにガザに向けてその地域を去った」という。 しかし、イスラエル軍のガザ対応師団が急速に崩壊すると、必ずしもハマスの指揮下にあるとは限らない略奪者、一般の野次馬、下級ゲリラが自由にイスラエルに流入した。

この時点までに、イスラエルの2つのアパッチヘリコプター飛行隊は8機のヘリコプターを出発させており、「運命の決定を下すのに役立つ情報はほとんどなかった」とMAKOは報告している。 戦隊は正午までには最大の戦力に達しなかった。

ガザからの侵入者の波が地上を混乱に陥れる中、混乱したイスラエルのパイロットたちは、狂乱のミサイルと機関銃の一斉射撃を繰り出した。「アパッチヘリのパイロットたちは、大量の弾薬を発射し、数分で「ヘリコプターの腹」を空にし、再充填するために飛んで戻って、またその空域に戻るということを繰り返したと証言した。 しかし、それは効果がなく、彼らにもそれが解った」とMAKOは報告した。

アパッチのヘリコプターは、ノヴァ電子音楽祭とその近くのキブツからガザに戻ってくる車両に照準を定めていたとみられ、車内にイスラエル人の捕虜がいる可能性があることを明らかに知りながら車両を攻撃したようだ。 また、ガザ周辺の地域を車から降りたり徒歩で歩いたりする非武装の人々にも発砲した。

イスラエルのAH-64アパッチが大砲とミサイルでハマスの戦闘員を攻撃。

(https://thegrayzone.com/2023/10/27/israels-military-shelled-burning-tanks-helicopters/)

イスラエルの報道機関MAKOとのインタビューで、アパッチのパイロットの一人は、ガザに帰還する人々や車を撃つべきかどうか揺れるジレンマについて振り返った。 彼は、それらの車両の多くにイスラエル人の捕虜が乗っていた可能性があることを知っていた。 しかし、彼はとにかく発砲することを選択した。 「私はそのようにして標的を選んだ。ここで人質を撃つ可能性は低いと自分に言い聞かせて。」とパイロットは回想した。 しかし、彼は自分の判断が「100%ではなかった」と認めた。

「ここで迅速に発射しなければならないと理解していた」とアパッチ部隊の指揮官E中佐は別の報告書でMAKOに語った。 「私たちの領土内で人々を撃つことになるとは自分でも思ってもみなかった。」

同じ部隊の予備パイロットであるA中佐は、「何を撃てばいいのか、ジレンマに陥っていた。なぜなら、あまりにも数が多かったからだ」と意識が混乱していたことを語った。

イスラエルの報道機関イェディオット・アハラノトによるアパッチ飛行隊に関する報告書は、「パイロットたちは、占領された前哨基地や居住地内で誰がテロリストで誰が兵士か民間人かを区別するのが非常に困難であると知った…。数千人のテロリストに対する射撃量は最初すさまじいものだったが、ある時点になって初めてパイロットは攻撃を緩めて、標的を慎重に選択し始めた。」と語っている。

 飛行中隊の司令官はMAKOに、ハマス武装勢力に占拠されているイスラエル人家族の家を攻撃しそうになり、緊張のあまりその隣に大砲の砲弾を発射してしまった経緯を説明した。 「私たちの部隊にはまだこの入植地に到着する時間がなかった」とパイロットは回想した。「そして、より正確な兵器であるミサイルはすでに使い果たしていた。」

厳重に爆弾攻撃から守られて立てこもっている家族については、パイロットは「その家から 30 メートル離れたところを狙って大砲を撃とうと決めたが、これは非常に厳しい決断だった。 もし彼らが今そこにいるのであれば、私が撃てば家の中に爆弾の音が聞こえるのだから、彼らがそこにいることを知られていることが彼らにはわかって彼らがその家から離れてくれることを願ったのです。 実を言うと、私は家を撃ったのではないかということが脳裏をよぎりました。」

最終的に、イスラエルのヘリコプター操縦士らは、武装勢力とイスラエルの非戦闘員を区別できなかったのはハマスの巧妙な戦術のせいだと非難した。 「ハマス軍は、ヘリコプターのパイロットと無人飛行機の操縦者を意図的に困難にさせたことが判明した」とイェディオット・アハラノス氏は主張した。

イスラエル紙によると、「最近の会見で、侵略軍は、パイロットたちに自分たちがイスラエル人だと思わせるため、入植地や前哨基地、あるいはその内部にゆっくりと歩き、どんな状況でも走ってはいけないと求められていたことが明らかになった。」 この擬装は、Apache パイロットがすべての制限を無視する必要があると気づくまでに、かなりの時間にわたって効果があった。彼らの一部が上官の許可を得ずにテロリストたちに勝手に大砲を噴射し始めたのは、すでに午前9時頃であった。」

そういうわけで、パレスチナ人とイスラエル人を区別する情報や能力もないまま、パイロットたちは眼下のイスラエル地域に向かって大砲とミサイルの猛烈な射撃を行った。

重火器で砲撃されたとみられるキブツ・ベエリにある多くの家のうちの1つ

イスラエル軍は、キブツの家々に戦車の砲弾を撃ち込み「人質を含む全員を殲滅した」

ベエリなどのキブツ内での戦闘の跡や、これらのコミュニティに対するイスラエル軍の砲撃の写真には、ガザ地区内でのイスラエル軍の戦車や大砲の砲撃直後に似た瓦礫や黒焦げの家が写っている。 キブツ・ベエリの治安調整官トゥバル・エスカパ氏がハアレツに語ったところによると、イスラエル軍司令官らは「テロリストと人質を抹殺するため、彼らに占拠されている住宅への砲撃」を命令したという。

ノヴァ音楽祭の参加者でキブツ・ベエリに逃げ込んだヤスミン・ポラットさんはイスラエル・ラジオに対し、人質がとられてにらみ合いになっているところにイスラエル特殊部隊が到着したとき「非常に激しい銃撃戦があったため、彼らは人質を含む全員を殲滅した」と語った。

 

「常軌を逸した集中砲火の後、戦車の砲弾2発がその家に撃ち込まれました。」とポラットは続けた。 小さなキブツの家です、大きなものではありません。」 

10月7日にキブツ・ベエリで戦闘の末、イスラエル軍戦車による砲撃に巻き込まれて破壊された住宅

イスラエルのサウス・レスポンダーズのテレグラムアカウントが投稿したビデオには、激しい爆発によって破壊された住宅の瓦礫の下からイスラエル人の遺体が発見される様子が映されている(おそらく戦車の砲弾だろう)。 右派のニューヨーク・ポスト紙は、ベエリの彼の自宅跡の下で焼け焦げた少年の遺体が発見されたという同様の事件について報道した。

手と足首を縛られた黒焦げの死体が多数、破壊された家屋の瓦礫の下で発見されたという状況も、「味方に向けた」戦車の砲撃ではないかという疑惑を引き起こしている。

ベエリでのにらみ合いから生き残った人質のヤスミン・ポラットさんは、ハマスの武装勢力が連れ合いの手を後ろ手に縛った様子を語った。 ある戦闘員指揮官が降伏し、彼女を人間の盾として自分の安全を確保した後、彼女は自分の連れ合いが地面に横たわっているのを見たが、まだ生きていたと。 彼女は、イスラエル治安部隊が戦車の砲弾などで中に残っていた戦闘員たちに発砲し、彼と他の人質を「疑いなく」殺害したと述べた。

イスラエル治安部隊はハマスの武装勢力と間違えて逃げるイスラエル人にも発砲した。 アシュケロン在住のダニエル・ラキエルさんは、ガザの武装勢力に襲撃されたノヴァ音楽祭から逃げ出した後、危うく殺されそうになったと語った。 「[キブツの]そのあたりに着くと、イスラエル治安部隊が見えたのです!」 とラキエルは回想した。「私たちは頭を下げました。[なぜなら]、ボロボロの小さな車に乗って…テロリストが来るのと同じ方向から来ているので、私たちを疑っているだろうと無意識にわかっていたからです。 私たちの軍隊は私たちに向かって発砲し始めました!」

「私たちの軍隊が私たちに発砲した時、窓は粉々になりました」と彼女は続けた。彼らはヘブライ語で「我々はイスラエル人だ!」と叫び、ようやく銃撃が止み、そして、彼らは安全に連れて行かれたとのことであった。

10月7日のダニエル・ラキエルのビデオ証言より

イスラエル人の中にはラキエルほど運がよくなかった人もいる。 アディ・オハナさんはパレスチナゲリラと間違われ、自宅近くでイスラエル警察に射殺された。 「無実の人が、考えられる限り最も不注意な方法で殺された」と彼の姪は苦情を述べた。 イスラエルのメディアは現在、パレスチナ人の武装集団から家を守っていたにもかかわらず、軍が同胞イスラエル人を銃撃したという報道で埋め尽くされている。

今は消滅しているイスラエルの「ハマスの残虐行為」写真には、死亡したハマスの戦闘員が写っていたのだろうか?

同じくSouth RespondersのTelegramアカウントで公開されている10月7日の直後の最も悲惨なビデオの中には、キブツ・ベエリの入り口にある黒焦げの死体(写真)に満ちた車が映っている。 イスラエル政府は、これらの犠牲者をサディスティックなハマスの暴力によるイスラエルの犠牲者だと描いている。 しかしながら、溶けた鋼鉄の車体と倒壊した車の屋根、そして車内の全体的に焦げた死体は、ヘルファイア・ミサイルによる直撃を証拠立てるものだ。

車の男性乗員は柵を破ってなだれ込んできたハマスの活動家だった可能性もある。 あるいはまた、彼らはイスラエル人捕虜を車に乗せてガザに戻っていた可能性もあるのだ。

イスラエルのギラド・エルダン国連大使は、10月26日の国連で、死亡したハマスの戦闘員を写した写真を宣伝したようだ。 エルダン氏は壇上で怒りの身振り手振りをし、「われわれは動物と戦っている」と叫び、その後「ハマスの残虐行為を見るにはスキャン」とキャプションが書かれたQRコードが表示された紙を取り出した。

私が、その日の正午にコードをスキャンしてみたところ、焼け焦げた遺体や黒ずんだ体の部分などの凄惨な画像が8枚ほどあった。 そのうちの1つは、完全に黒焦げになった男性の死体がゴミ箱に山積みされているものであった。 イスラエルの救助隊員や医療関係者は、死亡しているのがユダヤ系イスラエル人であっても、そのように積んだだろうか?

10月7日に殺害されたイスラエル人は全員、個別の遺体袋に集められ、遺体安置所に移送されたようだ。 一方、イスラエル人が録画した多数のビデオには、イスラエル人が、治安部隊に殺害されたハマスの戦闘員の死体を裸にし、その上に放尿し、遺体を切り裂く様子が映っていた。 遺体をゴミ箱に捨てることは、事実上の死体虐待罪に触れると思われる。

エルダン大使が国連でハマスの残虐行為とされる写真を宣伝してからわずか12時間余り後、Googleドライブのファイルには短いビデオが1本しか残っていなかった。 不可解にも無くなっていた写真の中には、焼死体が満載されたゴミ箱の画像も含まれていた。 削除された理由は、ハマスによって「焼き殺された」のはイスラエル人ではなく、ヘルファイア・ミサイルで焼かれたハマスの戦闘員が描かれていたからではないのか?

10月26日、国連でのギラッド・エルダンイスラエル大使。彼が表示したQRコードは現在404通知(訳注:ファイルが見つからない)につながっている。 

イスラエルに攻撃されたガザを思わせる破壊

10月7日以降にイスラエル南部における大虐殺現場に到着した何人かの救助隊員らは、これほどの破壊は見たことがないと語った。 しかし、イスラエルによるガザ地区への爆撃を目撃した人にとっては、爆撃された家々や焼け落ちた車の映像は見慣れたものであるはずだ。

2014年、イスラエルによる51日間にわたるガザ攻撃について報じていたとき、私はガザ市中心部でファデル・アラワンという若いタクシー運転手所有の破壊された車両に出会わせた。アラワンは負傷したハマスの戦闘員をそれと知らずに近くの病院で降ろした後、イスラエルの無人機によって暗殺されたのであった。 車内には、アラワンのサンダルの残骸がアクセルペダルに溶けたまま残っていた。

ファデル・アラワさんは負傷した男性を、戦闘員であることを知らずに病院へ車で送った。 これが、ドローンが彼の車にしたことです。

イスラエル政府は味方による射撃による犠牲者の写真をばら撒いているのだろうか?

今年10月23日、イスラエル政府は国際報道関係者を集めて非公開の宣伝会を開いた。 タイムズ・オブ・イスラエル紙によると、閉鎖された軍事基地内で、当局者らは、殺人の様子を撮影した映像と「10月7日のハマスの猛攻撃による殺人、拷問、斬首の悲惨な現場」に関する一連の卑劣な主張を報道陣に浴びせかけた。


本日、世界中のメディア企業から数百人のジャーナリストやカメラマンが、ハマスが犯した恐怖の程度を示すさまざまな映像のフィルム上映会に出席した。映像は、テロリストが装着したボディカメラ、車載カメラ、緊急救助隊員、イスラエルの治安サービスのカメラなど、数多くの情報源から撮影されたもの。多くの記者は、これを見て、明らかにショックを受け、嫌悪感を抱いた

イスラエルで最も人気のある民間ニュースブロガーのダニエル・アムラム氏は、女性の焼死体の動画をツイートし、「彼女は強姦され、生きたまま焼かれた」と主張した。

強姦されて生きたまま焼かれた妹を発見したこの家族を見てください。彼らは彼女を認識することさえできません。 自分たちの妹。彼らは「パレスチナを解放せよ」の名の下にそれを行っていますが、今日、我々は彼らに(訳注:爆撃を?)継続する理由と正当性を与えました。 誇りに思おう。

 実際のところ、その若い女性は強力な爆発によって即死させられたように見えた。 そして、彼女は座っていた車から取り外されたようだが、その車はガザから捕まえに来た者のものだったのかもしれない。 アパッチヘリコプターによって攻撃された他の多くの車両と同様に、その車両は完全に破壊され、未舗装の原野に置かれていた。 彼女は肌もあらわで足が広げられていた。

彼女はノヴァ音楽祭に参加していた。そこでは多くの女性参加者が露出度の高い服装をしており、彼女の曲がった手足は死後硬直後で車に座っていた典型的な身体だったにもかかわらず、イスラエルの権威筋や当局者は彼女が強姦されたのだと主張した。

しかし、性的暴行の申し立てはこれまでのところ根拠がないことが証明されている。 イスラエル軍報道官のミッキー・エーデルスタイン氏は、10月23日の記者会見で記者団に対し、強姦の「証拠はある」と主張したが、証拠を求められると「見せられない」とタイムズ・オブ・イスラエルに答えた。

この若い女性もイスラエル軍の味方への射撃命令による新たな犠牲者だったのだろうか?真実を決定できるのは、不偏独立した調査のみだ。

イスラエル軍がガザ地区内のイスラエル人捕虜を殺害、捕虜の解放については不満

ガザ地区では約200人のイスラエル人が人質に取られているが、誰が捕虜を殺害しているかについては疑いをはさむ余地がない。 10月26日、アル・カッサム旅団として知られるハマスの武装組織は、イスラエルがミサイル攻撃で「ほぼ50人の捕虜」を殺害したと発表した。

もしイスラエル軍が捕虜が拘束されているとわかっている地域を意図的に標的にしていたとしたら、その行動はイスラエルのハンニバル指令に沿ったものであっただろう。 この軍事手続きは、イスラエルが1150人のパレスチナ人捕虜と3人のイスラエル兵を交換する協定であるジブリール協定を受けて1986年に制定されたものである。 政治的な激しい反発を受けて、イスラエル軍は将来の誘拐を防ぐための秘密の現場指令を起草した。 提案された作戦の名前は、敵に捕虜になるよりもむしろ自ら毒を飲むことを選んだカルタゴの将軍にちなんでいる。

ハンニバル指令の適用が最後に確認されたのは2014年8月1日、ガザ地区ラファで行われたもので、ハマスの戦闘員がイスラエル将校ハダル・ゴールディン中尉を捕らえ、軍がその地域に2000発以上の爆弾、ミサイル、砲弾を発射し、その将校と100人以上のパレスチナ民間人を殺害した。

イスラエルがガザ地区で捕虜となった国民を意図的に殺害しているかどうかにかかわらず、彼らを即時解放することに対しては、奇妙なことにアレルギーを持っていることが判明した。 10月22日、イスラエルは燃料と引き換えに人質50人を解放するというハマスからの提案を拒否した後、85歳のイスラエル人平和活動家ヨチェベド・リフシッツとその友人のヌリット・クーパーさん(79)を解放するというハマスからの提案を拒否した。

翌日イスラエルが釈放に同意したとき、ビデオにはリフシッツさんがハマスの武装勢力と手を握り、ガザから彼女を護送する際に「シャローム」と言っている様子が映っていた。 その日の記者会見で、彼女は捕虜から受けた人道的な扱いについて語った。 

リフシッツさんの釈放の光景はイスラエル政府のスポークスマンらによってプロパガンダの惨事として扱われ、当局者らは彼女に公けの場で発言することを許可したのは重大な「間違い」だったと不満を漏らした。

イスラエル軍も同様に彼女の突然の解放に不満を抱いた。 タイムズ・オブ・イスラエル紙が報じているが、「軍は、ハマスによるさらなる人質解放により、政治指導部が地上侵攻を遅らせたり、あるいは途中で中止したりする可能性があることを懸念している」と。

マックス・ブルメンタール(MAX BLUMENTHAL)

『グレイゾーン』の編集長で、受賞歴のあるジャーナリスト。ベストセラーの『共和党ゴモラ』、『ゴリアテ』、『五十一日戦争』、『野蛮の管理』など数冊の本の著者。一連の出版物への記事、多くのビデオレポート、また『ガザ殺戮(Killing Gaza)』を含むいくつかのドキュメンタリーを制作。アメリカの永続的な戦争状態とその危険な国内への影響にジャーナリズムの光を当てるために、2015年にグレイゾーンを設立