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ときどき起こる変なこと
2025/01/27
M9 最少培地が黄色になりました。
ふつうは 核酸溶液 + リン酸溶液 を混ぜた後に 金属溶液 を加えるのですが、今回は、核酸溶液 に 金属溶液 を先に加えてしまったそうです。
鉄イオンが関係していると思いますが、Fe2+ から Fe3+ への空気酸化は pH が高いほど起こりやすいとのことです。リン酸溶液が混じっていないので、変な pH なのかも。30 年間で初めての出来事です。
いろいろ調べた結果、Fe(OH)3 ではないかと見ています(もしかすると、Fe2(SO4)3 ?)。しかし、いまこの Fe(OH)3 は間違えているとのことで、高校教科書から削除されたらしいです。
このような培地ですが、途中まではシュワネラ菌が育ったそうです。さすが鉄還元菌!
2025/03/26
ヨーグルト作りに失敗してしまいました。
シュワネラ菌は乳酸を食べます。今、シュワネラ菌に光合成で機能する蛋白質を作らせることには成功したのですが、あいにく 13C での標識が上手く行きません。それは [13C]-乳酸がとても買えるような価格ではないためです。であれば、[13C]-乳酸を作ってしまえ!と思うのは当然です。ところが、乳酸菌は [15N, 13C] 最少培地では育たないのです。自分でアミノ酸を合成できないのですね。でも、また後日に紹介するような方法により、そこは克服できるのではないかと。。。。いずれにせよ、まずはトライです。まあ桜の咲く季節にもなったし、室温でも大丈夫では?と思ったのが間違い。2日後に食べてみましたが、ちょうど飲むヨーグルトを 1/3 ぐらいに薄めたような感じ。しかし、しっかりと種菌の製品と同じ味がしました。ちゃんと培養するには 40 度ぐらいが必要なようです。お腹の調子ですか?いたって健康です。後日、カスピ海ヨーグルトに挑戦してみました。4-5月ですが、部屋に出し放しの状態で一晩で、きれいなヨーグルトができあがっていました。しかし、この種の乳酸菌は乳酸をあまり作らないそうです。仕方がないので、食べてしまいました。あまりに美味しいので、現在 4 リットル目です。
先日 9:30 pm 頃に鶴見小野駅に向かう途中で見つけました。写真のフォーカスが合っていなかったので、ChatGPT で補正した写真が左です。後で、これはアライグマ/ラスカルか、それとも単なる(失礼)狸か?が論争になりました。さて結論は?
https://wurstchirp.blogspot.com/2025/05/blog-post.html
可愛く見えたら → ラスカル
根暗に見えたら → 狸
だそうです。
また、ラスカルが姿を現したようです。坂倉先生がその帰路で 9:30 pm 頃、しっかりと尻尾を捕らえました!もう一匹、草むらに隠れていたそうです。誰かがノラ猫用にキャットフードを置いており、それを食べているせいか栄養は足りているように見えます。右図は、スナップショットを水彩画に変換したものです。(動画は 30 MB ありますので、スマホの容量にご注意。)
この道路には、時々、牛カエルやザリガニが歩いています。草むらの中に池があるのかもしれません。なので、シーフードの栄養もたっぷりです。
培養用の M9 最少培地には buffer 成分が入っており、バクテリアが成長の最中に乳酸を放出しても、培地の pH が下がらないような仕組みになっています。その buffer 成分としては、第一リン酸と第二リン酸をある比率で混ぜるのですが、昔から、Na2HPO4 と KH2PO4 を入れます。ここで後者は NaH2PO4 ではありません。培養には Na+ だけでなく K+ も必要なのです。では、これを NaH2PO4 に換えたら、本当にバクテリアは育ってこないのでしょうか?こんな愚かな実験をそうとは知らずに 1.5 か月にわたって調べてくれたのが T.H. 君です。その結果、OD600 が 0.3 ぐらいで増殖が止まってしまうことが分かりました。やはりバクテリアにとって、K+ なしは苦しいのでしょう。なお、調べた当人は、KH2PO4 は(本来は Na と書くべきところを間違えて K と誰かが書き写してしまったに違いない)誤植だろうと判断したそうです。これで、何兆匹というシュワネラ菌が犠牲になってしまいました。実験室は、成仏できなかった、かわいそうなシュワネラの死骸で溢れています。。。
昨日の今日で T.H. 君は再び酒の肴を作り出してしまった。今日は Ca2+ イオンを 20 倍も多く入れてしまった。今回はこれまでとは異なり、シュワネラ菌が重水の中でも元気に育つかどうかを調べる実験。これが成功すれば、2H, 13C, 15N 均一標識のヘム蛋白質が大量にとれることになる。ところが、これを作るためのはカルシウムのストック溶液も重水で作らないといけない。そこで何をどう間違えたか詳細は分からないが、とにかく 20 倍量の Ca2+ を入れてしまい、とたんに培地が真っ白になってしまった。当初は、「これは重水だから pH (pD) が軽水よりも 0.4 高いので、水酸化カルシウムができてしまい....」など、白濁の原因をいろいろと "理論的に" 考えたものだが、なんてことはない、単に入れ間違えただけだった。とはいえ、重水を捨てるのはもったいないので、とにかく育ててみることにした。腐った重水でも飲めるほどに精製して 95% を回収してくれる Y.F. さんがバックにいるので心強いと思ったようである。Ca2+ 飽和培地でもシュワネラ菌は元気かどうか?
← (培養前の)培地
培養してみました。
翌朝 ....
シュワネラ菌は OD (濁度のこと、菌がいっぱいになると黄色く濁る) が 0.3 ぐらいまで成長したものの、その後は OD が下がり続け、溶菌して全滅してしまったそうです。
さっそく、重水リサイクル精製に提供します。
カルシウムがいくら体に良いといっても、摂り過ぎには注意しましょう。
3月末に「ガセリ菌入りヨーグルト」でヨーグルトを作ってみましたが、気温が低く失敗でした。しかし、カスピ海ヨーグルトは低温で増殖する乳酸菌が使われていますので、何の問題もなく(発酵を助けるための温熱器も不要)で、毎日 200 cc のヨーグルトを楽しむことができました。今は8月。部屋の温度もだいぶ上がってきたので、そろそろ普通の乳酸菌でも大丈夫かなと思い、左図のような要領でトライしてみました。牛乳 1L にヨーグルト(LB81)を 150 g ほど入れました。時々、お湯を足してできるだけ温めてみましたが、忘れてただの水風呂になっている時間もかなりありました。とはいえ、10 時間後、ちゃんと(既製品と比べるとちょっと牛乳っぽい?)ヨーグルトが完成!美味。ただし、長らくカスピ海に慣れていたせいか、酸っぱく感じました。乳酸菌は乳酸を出すので、酸っぱくなるのは当然なのですが。