声優・ナレーター(2013年文化構想学部卒)
在学中はSeiren Musical Project とアナウンス研究会の2つのサークルを掛け持ちするかたわら、第4回声優アワード新人発掘オーディションに合格し声優デビュー。『ウマ娘プリティーダービー』のメジロライアン役で知られるほか、12月24日から放送が始まる『きかんしゃトーマス』にカーリー役でレギュラー出演予定。またYouTuberとしても活動し取材直前に登録者数が1万人を突破した。
アニメ・ナレーション・ライブ。
それぞれ楽しさも難しさも違うけれど、すべてにやりがいがある
―まず、ご自身のお仕事について教えてください。
ゲーム『ウマ娘プリティーダービー』のメジロライアン役が一番皆様に知っていただいていますが、12月24日から新しく始まる『きかんしゃトーマス』に出演しています。この冬からデザインが一新されて新シリーズが始まるのですが、その中でクレーン車のカーリーという役を演じています!ぜひ見てください!
他にも、Eテレで放送している『マチスコープ』という番組で、マチスコープの声と、出てくる少年少女の声を担当しています。あと旅チャンネルで放送している『旅猫ロマン』という、旅先で猫を見守り、愛でる番組のナレーションも担当しています。他にも教材やゲームなど、多岐にわたってお仕事をさせていただいています。
―アニメやゲーム、吹替作品だけでなく、ナレーションやラジオパーソナリティ、さらにはキャラソンやライブ出演まで幅広く活躍されていますが、それぞれにどういった楽しさがありますか?
根っこにある「声を使う表現」というところは同じだけど、それぞれが全部、違う仕事だと思ってやっています。
アニメは役者として他の役者さんと掛け合いをしたり役を演じたりする楽しさがありますし、ナレーションはいかにその映像や物語にあった表現をし、かつ尺に収めるかなど探求してもしきれない楽しさがあると思います。アニメの現場もナレーションの現場も全然雰囲気が違って、アニメはスタッフさんも出演者もいっぱいいらっしゃるけど、ナレーションは私一人でブースにこもっている感じ。
あとやっぱり、ライブ出演はまた全然違います!キャラクターとしての表現をしながら歌って踊って、目の前のお客さんと目線を合わせたり…ベルーナドームでのライブ、楽しかったなー!なかなか難しい質問ですけど、それぞれ全部楽しさも違うし、難しさも違うし、だけど、すべてにやりがいがあると感じています。
―アニメや吹替での役を演じる表現と違って、ナレーションは何をどう表現するのでしょうか?
私、ナレーションが一番好きで声優業界に入ったんです。国語の授業の音読とか、元々文章を読むのが好きだったんですよ。
それから、大学に入ってアナウンス研究会で活動していた時に「ナレーションが楽しい!」「好きなものはこれだ!」って改めて気づいて。役を演じるときは「自分はほぼ0で役が100」という感じに対して、ナレーションは視点が変わっていて、「土師亜文」として存在しつつ視聴者に寄り添うみたいな感覚です。内容をいかに分かりやすく、聞きやすく、心地よく伝えるかを考えながら声にしています。
―「伝える」という仕事だとアナウンサーという道もありますが、それとの違いは?
番組ナレーションだとアナウンサーさんがやることも多くて、ナレーターという立場ではあまり違いはないのかなと思いますが、声優がやるナレーションはちょっと色がついているようなキャラクターナレーションもあったりします。教材や子供向け番組なんかはまさにそれで、セリフだけど「〇〇はね」と詳しく説明し始めるみたいなものも多いです。そういう部分ではやっぱりアナウンサーさんとは性質が少し違うと思います。
ちなみに、幼少期に一度アナウンサーさんを志したことがあったのですが、自分のキャラクターは違うかなと思ったのと、英語が喋れないとダメなんだと思い込んで、早々に諦めました!(笑)
このキャラはまさに私だ!メジロライアン役との出会い
―キャリア10年の中で、自分の中で大きかった仕事はなんですか?
やっぱり、ウマ娘だと思います。とても注目を集めた作品ですし、お陰様でたくさんの方に応援していただけるきっかけになりました。ずっと夢だった、ライブのステージに立つという目標も叶えることができました。
あとはNetflixの『シーラとプリンセス戦士』という吹替アニメです。メインキャストで、初めてクレジットの2番目に名前があって、収録期間も長かったしとても印象に残っている作品ですね。
―オーディションでウマ娘の役を勝ち取るまでのエピソードなどはありますか?
ずっと「アイドルみたいな歌って踊るコンテンツやりたいです」と言っていました。どの役を受けるかもマネージャーさん次第なので、「すごくやりたいです」ってアピールして。結構いろんな作品を受けていたんですけど、何回かオーディションして最後まで行ってダメで、みたいなことを繰り返していました。色々迷ってちょっと委縮している時期みたいなのもあり…。
その矢先にあるオーディションで、昔お世話になったスタッフさんから「オーラなくなったよ、もっと土師さんらしくしなきゃダメだよ」って言われて、「確かに!」と思っていたタイミングで頂いたのが、ウマ娘のオーディションだったんです。キャラ設定を見て「この役出来なかったら、この世に他に演じられる役なくない?」って思うぐらい運命を感じて、もうこれにすべてを懸けようと。必死にセリフの練習をして、当日も自分本来のテンション全開でオーディションに臨めたし、終わってからも、受かったつもりで毎日鏡に向かって「メジロライアン役の土師亜文です」って言って過ごしていました。懸けた思いは相当強かったので、受かって本当に嬉しかったです。
―憧れている声優さんや目標としている声優さんはいますか?
元々は竹内順子さんが一番憧れでした。かわいい女の子もかっこいい男の子もできる方で、私もいつか少年アニメの主役をやるという目標があるので、今でもずっと憧れです。でも活躍されている方はどの方もすごくて、憧れの人は増えました。実際にお会いしてもみんな素敵で、だから活躍しているんだなって思う方ばかりですね。
―働いている中で辛いことややりがいはありますか?
辛いと思えば、毎日ツライです(笑)。お仕事を待つ時間が辛い。「来週、仕事あるかな」とか「来年はどうなっているんだろう」とか、先が全く分からないので。
あとは、どの現場に行っても、常にオーディションの気持ちです。日々戦いです。でも、辛いこともあるけれど、やっぱりお仕事は楽しいです。好きなことをお仕事にできていて、なんて幸せなんだろうと思います。
やりがいはやっぱり、応援してくれている方の声ですね。作品やキャラクターのファンの方から色々な反応を頂けることがありがたいですし、家族や友達が喜んでくれることもすごく嬉しいです。