会員活動紹介

5 月 31 日(金)、関西学院大学博物館で開催中の写真家・桃井一至氏のヴォーリズ建築写真展に合わせて文学部チャペルで「ヴォーリズさんと建物の物語~光と風と バンザイなこっちゃ!~」と題した対談講演会が行われた。講師は写真家・桃井一至氏(左写真)とヴォーリズ記念館館長の薮秀実氏(右)。

 ヴォーリズはジョーク好きであったことや嬉しいこと・うまくいったことがあると「バンザイなこっちゃ」と言っていたという解説から始まり、関東、関西、九州のヴォーリズ建築が紹介された。

 ヴォーリズの建物設計は光と風が流れ込む健康によい環境を考え、設計の順番は台所、寝室、リビングの順で、家をつくる目的は家庭をつくること、住む人、使う人の健康が第一であった。

 ヴォーリズは学生時代に参加した海外学生キリスト教伝道大会でキリスト教布教を決意し、YMCA の紹介により近江八幡で英語教師をしたあと建築家としての道を歩むことになる。その中で関西学院第 4 代院長ベーツとの出会いがあり、お互いが同じ海外学生キリスト教伝道大会に出席していたことを知る。

 2 人の志がまさに関西学院のキャンパスを生むことになる。ヴォーリズとベーツの親交を示す資料が残っている。元関西学院職員の池田裕子氏の著書「関西学院のエスプリを追って」の中で書かれているが、池田氏がカナダでベーツの孫と面会した際、1947 年にヴォーリズがベーツに宛てた7 ページの書簡データを入手し、現在、関西学院大学建築学部のヴォーリズ研究センターで日本語訳が進められている。

 ヴォーリズの考え方(志)の根本は、近江八幡が世界の中心、神の国(よい国)を住みやすいところにしたいという思いがあった。その意味とはあなたが行く場所が地球の中心であり、ご縁があって遣わされている自分のいるところが世界の中心だということ。

 日本に帰化したヴォーリズの日本名は一柳米来留(めれる)。米国から来て日本に留まる。サインにはG、N、Sも書かれるが、Gは神 GOD、Nは隣人NEIGHBOR、S は我 SELF で、役に立つ仕事(貢献)をする人間になることを誓った。

 近江兄弟社の仕事の考え方は、同じ志を持つ同志が共同生活の中で社会の課題に取り組むというもの。ヴォーリズたちのすべての働きが「神の国」(よい国)のデモンストレーション(実演)なのである。

 ヴォーリズ記念館の薮館長の巧みな話術と近江兄妹社学園で幼稚園から高校まで過ごした写真家・桃井氏との息の合った対談は 200 名を超える参加者を魅了した。その中に熱心に聴講する関西学院高等部の生徒 10 数名もいた。若い人達にもヴォーリズの志やヴォーリズ建築すばらしさが広がっていくことを願う。

財団法人 近江兄弟社

10月中旬より、旧近江療養院本館(ツッカーハウス)、五葉館、旧ヴォーリズ記念病院礼拝堂の公開をはじめています。機会を見つけて是非ともお運びください

神戸女学院が9月11日マスコミ取材会を開催

<神戸女学院がキャンパス再整備マスタープラン実施へ>

重要文化財の校舎群で知られる神戸女学院は、日建設計提案による「キャンパス再整備マスタープラン」の最初の一歩となる「理学館西側地域再整備計画」に着手しました。ヴォーリズによるオリジナルのキャンパスが備えている完全な美と学校としての実用性を活かし、これと調和し、新しい時代の開かれた神戸女学院を具現化する新棟の設計が進められています。

<9月11日メディアを前にトークセッションを実施>

設計チーフの大澤智様(日建設計)による新棟デザインのポイント説明の後、近代建築の保存改修デザインをリードするプロフェッサー・アーキテクト・田原幸夫様、ヴォーリズ建築研究の第一人者・山形政昭様(共に神戸女学院文化財保存活用委員会委員)、神戸女学院の理事・総務部長(一級建築士)の北條敦子が加わり、「理学館西側地域再整備計画」と新棟建設の意義や、美しい建築の社会的重要性が縦横に話し合われました。

その後行われたキャンパスツアーで、参加メディアの皆さんはヴォーリズのオリジナル建築群の持つ「本物の価値」を満喫しました。

 

<トークセッションで話し合われたこと>

 

左から:長谷川MC (大学事務長)、北條、山形様、田原様、大澤様

北條

建学の精神、そして美が校舎として「成った」(beauty becomes a college)のが神戸女学院のキャンパスです。そこで学ぶことにより人格を涵養し、美的感性を高めることができます。このキャンパスの価値は、ここを訪れて体感しないと理解できません。この取材会を機会に、90年間西宮の地に静かに佇んできた神戸女学院を再発見して下さい。そして、このキャンパスの建築が持つ力を体験して下さい。宜しくお願いします。

大澤様

ヴォーリズの基本的アイデアである中庭、建物間の軸線を合わせること、回廊で建物を繋ぐこと、を活かし、地上部分にラウンジを設けてこれまで裏側であった理学館西側地域を新たなエントランスとする。ラウンジは豊かな緑に臨み、周りに巡らした回廊は、人々の出会いの場となる。そして、低く抑えた建物は重要文化財の理学館と社交館を引き立て、一方で、理学館はラウンジの借景として活かされる。

田原様

群としての重要文化財はここにしかなく、今回の再整備は都市計画として構成されていて素晴らしい。日本の街にはフェイクが溢れているが、ここには本物がある。フェイクに慣れると本物を見分ける力が失われる。神戸女学院という本物の中で教育を受けること、そこで生活することの価値は極めて高い。

山形様

数あるヴォーリズ建築の中でも美しさにおいては間違いなく神戸女学院が一番である。現在では入手できない貴重な素材もよく残っており、建築のディテールも実用的でありながら美しく、入念な設計による見所が沢山ある。キャンパスグリーンも素晴らしいし、旧櫻井家別邸の庭園に由来する植栽が、そのまま残されてキャンパスの一部になっていることも特色で


ヴォーリズ建築関係 各位

お世話になります。明日(2023年7月11日)NHKおはよう関西 7時45分~ 「ヴォーリズ建築 使って残す市民の取り組み」としたレポートが5分の予定で放映されます。主にツッカーハウス、ウォーターハウスのことが紹介されます。お知らせいたします。

公益財団法人近江兄弟社 本部事務局 藪 秀実

関西学院大学ヴォーリズ研究センター

センター開設企画「ヴォーリズ研究の地平」

7月22日(土)

神戸女学院

第5代院長 C.B.デフォレスト展

C.B.デフォレストは神戸女学院岡田山キャンパス完成時の院長、

父ジョンはヴォーリズを近江八幡に招聘したYMCA委員のひとり