2日目 ポスターセッション
(13:00~15:00)

Dブロック

D1:VR空間

コアタイム13:00-13:30

p28-D1:VR技術とドローンを用いた空き家調査の効率化

発表者名:sai

キーワード:VR、空き家、ドローン、SfM

近年、日本において空き家の増加が社会問題となっており、2018年時点での空き家数は約846万戸、空き家率は13.6%にも達している。この増加は倒壊や防犯性低下、景観への影響など様々な問題を引き起こしている。対策として「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されたが、現状の空き家調査手法は非効率的であり、プライバシー問題や調査員の主観による影響も問題となっている。本研究は、この課題を解決する新たな手法として、ドローンとVR(仮想現実)技術を用いた空き家調査の効率化に焦点を当てる。ドローンで収集した可視画像を基に高精細な3Dモデルを作成し、それをVR空間で展開。複数の被験者によるVR空間での空き家調査を実施することで、その有用性と課題を明らかにする。被験者12人分のVR空間における調査結果では総合精度が78.8%となり、調査に要する時間を約85%縮減できたことが分かった。

p45-D1:SNS上のバーチャルフォトデータを活用したマッピングワールドの作成

発表者名:みずほコリ

キーワード:バーチャルフォトグラフィ、VR空間、バーチャル空間、ワールド、ヒートマップ

clusterやVRChatなどのメタバースでは、ワールドと呼ばれるバーチャル空間内で写真を撮影することができる。このバーチャルフォトはSNSに数多く投稿されており、共有や拡散が活発に行われている。しかし、それらの写真データをワールド制作に活用した事例は少ない。本研究では、SNS上のバーチャルフォトデータを利用し、ワールドの分析や新しい体験提供の可能性について検討した。clusterに公開されているワールド「ほっこりパーク動物園」をモデルに、SNSに投稿されたバーチャルフォトを分析し、撮影地点をワールド内にマッピングした。そして、人気撮影スポットやワールド表現への応用について考察する。

p49-D1:現実から仮想へ:八幡宮神社のデジタル変革

発表者名:佐々木 翔

キーワード:デジタル変革, 仮想現実,文化遺産

八幡宮神社は日本の文化遺産と歴史的な重要性を持つ神社の一つです。この研究は、八幡宮神社を現実から仮想の世界に移すデジタル変革に焦点を当てています。我々の目標は、伝統的な建造物と文化遺産を保存し、世界中の人々にアクセス可能にすることです。このプロジェクトでは、最新の3Dスキャン技術、仮想現実(VR)などの技術を活用し、八幡宮神社をデジタルで再構築します。訪問者は、遠くにいるにもかかわらず、神社の美しさと歴史的な価値を体験できるでしょう。また、この仮想体験は、神社の歴史や文化に関する教育的な情報も提供し、文化を守り、伝える手段としても役立ちます。八幡宮神社のデジタル変革は、伝統と現代技術の融合を象徴しており、文化遺産の保存と普及に新たな可能性を提供しています。この研究は、文化遺産保護とテクノロジーの進化の素晴らしい結びつきを示し、将来のプロジェクトや文化遺産の保存への貴重な示唆を提供します。

p68-D1:ワールド創作支援のための撮影スポット探索機

発表者名:かた湯

キーワード:深層学習、CV、強化学習、VR

ワールド制作において、適切な導線やホットスポットを設定することはクオリティ向上に繋がります。ワールドを体験したプレイヤーからのフィードバックは有益ですが、大量に得ることは難しいです。そこで、プラットフォームに溜まった大量の写真撮影座標データを用いて、ワールド内での撮影スポットを事前推測する探索機を研究しました。

 この探索機は写真を評価するニューラルネットワーク評価機の訓練と、ワールド内を探索する強化学習エージェントの組み合わせです。評価機の学習において、写真評価のためのデータセット準備が重要です。人間は写真を取る際に暗黙的に背景を選択しているという仮説に基づき、背景のみからなる大規模教師付き学習用データセットを用いました。大規模データで学習された評価機のおかげで、探索時にはワールド内のプレイヤーの行動データが必要なく、ワールド公開前にワールド評価を行うことができます。

p73-D1:ScaniverseとVRChatを利用した生きられた空間の調査手法

発表者名:林佑樹

キーワード:ソーシャルVR、3Dスキャン

本研究では複数人が同時接続可能なオンライン空間であり、ユーザー生成コンテンツ主導であるソーシャルVRに注目し、著者の自宅内装のモデリングデータ、著者が所有する物品の3Dスキャンデータ約200点で構成された仮装空間をVRChatにアップロードすることで、生きられた空間を非侵襲的に調査・考察することを可能にした。当空間で行われたワークショップでは、参加者は居住者の行為の軌跡の推論を元に、当事者の認識とは異なる人物像を作り上げることが可能であることが示唆された。本研究は3Dスキャンと仮装空間の制作・体験が民主化しつつある現代における、生きられた空間に対する新たな質的調査方法として示唆を与える。

D2:感覚・知覚

コアタイム13:30-14:00

p11-D2:キャラクターの「香り」のパブリシティ-VTuberイメージアロマ嗅ぎ分け実験-

発表者名:原田伸一朗

キーワード:キャラクター、VTuber、香り、香水、アロマ、パブリシティ

アニメやゲームに登場する特定のキャラクターをイメージしたとされる香りを配合した香水やアロマオイルが,ファンらによって,そのキャラクターの「香り」であると識別できるものかどうかを検証するため,VTuberグループ「ホロライブ」に所属するメンバーの「香り」をイメージしたとされる市販商品を用いて,嗅ぎ分け実験をおこなった.本実験は,キャラクターの「香り」の商品化・権利化を法理論的に検討する上で,その前提として,キャラクターの「香り」には,他と識別できるだけの個性・顧客吸引力(パブリシティ)が認められるかどうかを確認する目的でおこなった.結果,あるキャラクターのファンであっても,必ずしもその「香り」を嗅ぎ当てることはできず,キャラクターの名称や姿に比べても,キャラクターの「香り」は,権利化する前提としての識別性が弱いことが分かった.

p36-D2:VR酔い訓練集会参加者の特徴

発表者名:楓ヒナギク

キーワード:VR、VR酔い、VRChat、cluster

 近年、多くの企業がVR業界に参入し、一般ユーザーにとってVR体験が身近になってきている。一方、デスクトップモードかVRモードかを問わず、VR酔いがユーザーのVR体験を制限している。

 さらに、VR酔いは嘔気や倦怠感などの症状を伴うことから、VR体験がトラウマとなることも少なくない。3人に1人がVR酔いを起こす体質を持つとされており、我々はこれをVR体験への参加を躊躇させる大きな問題と考えている。

 そこで、この問題を解決するため、平衡機能を鍛えるためのトレーニングを個人のペースで行える機能を備えた訓練ワールドが制作された。このワールドで制作者や常連ユーザーから案内を受けることができるVR酔い訓練集会を月曜日の23時から開催している。今回、我々はこの集会の参加者から得られた情報から、VR酔いの症状が発生する状況の特性をまとめた結果を報告する。

p51-D2:VR空間における恐怖推定の試み

発表者名:おうむどり

キーワード:VR、生体指標、脳波、情動推定、恐怖推定

近年では、様々な生体指標を使った情動の推定が試みられている。情動の推定が可能になれば、環境・体験に対する印象を客観的に評価するといった応用が期待できる。

その中でも""恐怖""は生物が危険から身を守るために必要な情動として考えられ、例えばfight-or-flight反応といった生理的な変化を誘発することがよく知られている。しかし、何がどの程度の恐怖を誘発するのか?は文化的・社会的・個人的差異が存在している。特に過度な恐怖や所謂恐怖症といった状態は日常生活において問題を生じることもあり、刺激と恐怖の有無・程度の関係性を理解することは、学術的な観点からだけでなく、個人の生活の質的向上の面からも利益があると考えられる。

本研究では一般消費者向けの機器で取得可能な脳波などの生体指標を用い、筆者個人の”恐怖”を推定することで、”何”が”どの程度”の恐怖を誘発するのかを明らかにすることを試みた。

p63-D2:眼電位センサーによるVR体験評価の試み

発表者名:鈴懸リノア

キーワード:アイトラッキング、眼科、VR

バイタルデータを測定可能なコンシューマ向けのウェアラブルデバイスは、様々な活動のパフォーマンス評価や健康の管理などへの応用が期待されている。アイトラッキングによって測定される視線とまばたきは認知的負荷、覚醒度の指標として活用されている。眼科分野では高い認知負荷時に起きる瞬き回数の低下はドライアイの原因となることから医療的にも健康管理上の指標として着目されている。

今回、6軸モーションセンサーと眼電位センサーにより頭部姿勢、視線、まばたきのリアルタイム測定が可能なメガネ”JINS MEME”を用いて、実質的に同等と考えられる活動を現実、ディスプレイ、VR空間で行った際のバイタルデータの変化を比較し、VR体験の評価指標としての活用可能性を検討した。

p15-D2VRChatのイベントにおける参加アバター構成の分析

発表者名:en129

キーワード:ソーシャルVR、VRChat、アバター、量的調査

ソーシャルVRにおけるアバター利用の実態についての調査は、個人が実施するには有意抽出法に頼らざるをえない状況にあり、SNSを利用した募集法・スノーボール法がよく使われていた。しかし、調査の精度を上げるためには他の手法による調査と比較検討することが必要であると考えられる。そこで筆者は、VRChatイベントカレンダーに掲載されているイベントのうち、そのイベントの集合写真がSNSにアップロードされているものからランダムに写真を選び、映り込んでいるアバターを分析する方法を実施してみた。結果として、性別や種族などの比率とともに、イベント規模と種別毎のアバターの人数に相関があるかなどを調べることが出来た。したがって、新たな手法を活用するができ、まだ他にも様々な手段が実施できる可能性を示すことができた。また、イベントの規模が大きくなったからといってケモの参加人数は必ずしも増えないことがわかった。

D3:ソーシャルVR・コミュニティ①

コアタイム14:00-14:30

p19-D3:ソーシャルVRにおける経済活動の実態(ソーシャルVRライフスタイル調査2023)

発表者名:バーチャル美少女ねむ

キーワード:社会、経済、ソーシャルVR

ソーシャルVR住人対象にした大規模アンケート調査により、人口拡大により急速に拡大しつつあるソーシャルVR内の経済活動の実態を明らかにする

p33-D3:clusterワールドの長期的な傾向ーアクセス数、いいね数、ワールドカテゴリー、SDKの種類から

発表者名:法月ロイ

キーワード:cluster、ソーシャルVR、ワールド、VR

本研究では、clusterのワールド利用における長期的傾向を分析した。数少ない人気ワールドを除き、1年以上前のワールドは訪れるユーザーが減少し忘れ去られがちである。そこで我々は、2023年4月から全8回のイベント「でぃぐでぃぐでぃぐらん」を実施している。このイベントでは過去の埋もれたワールドを掘り起こし、参加者が訪れることで再注目を集めることを目的としている。

 本分析では、2023年5月1日時点の全ワールドデータを用い、ワールドの公開からの経過時間とアクセス数、いいね数などの関係性を可視化、及び分析した。結果、ワールドのカテゴリー、SDKの種類がアクセス数といいね数との関係に影響することが示された。

 本研究が、VRコンテンツの設計や運用に何らかの示唆を与えられることを期待する。

p34-D3:​​ソーシャルVR-SNS環境下における哲学カフェのテキストマイニング

発表者名:DOVETY/ディー

キーワード:哲学カフェ、哲学対話、テキストマイニング

哲学カフェに対するテキストマイニングの可能性を探ることが本研究の目的である。ソーシャルVR-SNS(VRChat)で開催された哲学カフェオルタの発言を文字起こししたテキストデータをKH Coderで分析した。テーマへの主張と、それを説明するための例示に分かれる構造を確認し、テーマと関連性の強い語から対話を特徴づける語を特定した。また、共起ネットワークにより開催報告の文章に定量的な裏付けを付与できることを示した。

p50-D3:技術系イベントで雑談を促進する施策の紹介(ポスター + 口頭発表)

発表者名:慕狼ゆに

キーワード:VR コミュニケーション イベント

VRSNSに限らずイベントを開催したい主催者にとっては「どのようにイベントのコンテンツを用意するか」が大きな悩みになることが多い。その中で一番運用コストが低く、誰でも実施しやすいコンテンツは「参加者との雑談」である。しかし、雑談しやすい空間を意図的に作ることは、難しく、結果的に集まってきてくれた人の相性やイベント主催者のパーソナリティといった、運やイベント主催者の性格的特性にどうしても依存してしまう。

この発表では、「どうすれば雑談しやすい空間を仕組み的に作ることができるか?」をテーマに、いくつか実施してみた施策とその結果を共有をする。

D4:ソーシャルVRコミュニティ②

コアタイム14:30-15:00

p20-D4:ソーシャルVRにおけるコミュニティの実態(ソーシャルVRライフスタイル調査2023)

発表者名:リュドミラ・ブレディキナ

キーワード:社会、コミュニティ、ソーシャルVR

ソーシャルVR住人対象にした大規模アンケート調査により、人口拡大により急速に拡大しつつあるソーシャルVR内のコミュニティ活動の実態を明らかにする

p31-D4:理系集会の来場者アンケートから見るソーシャルVRにおける学際交流の方向性

発表者名:Kuroly

キーワード:VR、学際交流、異分野融合

ソーシャルVRにおける交流が現実と比較して特異な性質を見せることは多くの先行研究において明らかにされており、教育や学習での活用にも注目が集まっている。他方で、ソーシャルVR特有のユーザーの匿名性や偶発的出会いが学術的交流に及ぼす影響を分析した研究は現状多くない。2023年9月時点で、ソーシャルVRの一種である「VRChat」ではユーザーコミュニティから生まれた「学術系イベント(不特定多数のユーザーが一堂に会し、学術的なテーマを取り扱いながら自由な交流を行うイベントの形態)」が多数存在しており、多くのユーザーが参加している。本研究では、2021年8月から2年間以上にわたり開催している学術イベント「理系集会」がこれまで収集してきたアンケート結果を基に、ソーシャルVRが学際交流に及ぼす影響等を考察することを目的とする。

p32-D4:オープンデータを用いたVRChatにおける大規模イベントの定量評価

発表者名:Kuretan

キーワード:VRChat,データ解析

近年日本ではVRChatやClusterなどのメタバース空問で企業がイベントを開催することが増えている。その中でもVketは VRChat上で開催される世界最大のメタバース空間上のイベントである。メタバース空問におけるイベント開催のメリットの一つには、現実で開催されるイベントでは取得困難であるようなユーザーの行動を取得できることがあげられる。しかしながら、そうした研究事例はほとんど知られていない。本研究では、 VRChatが公開しているオープンデータを基に、 Vket 2023 Summerにおけるユーザーの各ワールドに対する挙動を定量的に分析した。Visit回数はワールドの設置順序の影響が大きく反映されることが明らかになった。一方Favorite率はワールドの設置順序の影響をあまり受けないため、ユーザーのワールドに対する評価を測定するのにある程度有効であることが分かった。

p39-D4:自作メタバースプラットフォームの開発 

発表者名:鈴木雅人

キーワード:メタバース、VR、コミュニケーション、アバター

仮想的に作られた空間では現実ではできない体験ができ、それによって現実世界とは異なるアイデンティティや文化が形成されることがある。コミュニケーションの場として使用される場合アバター、現実とは違った空間、プラットフォームの機能によって社会的相互作用にも変化があると考えられる。このことから、独自のメタバースプラットフォームを開発することで場面に応じて必要な機能やどのような空間が適切かを調査する。

p72-D4:「clusterワールドたちはどう伸びるか」観察結果

発表者名:みっつ

キーワード:cluster、ソーシャルVR、ワールド、VR、データ解析

メタバースプラットフォーム「cluster」には日々多くのワールドが公開されている。
誰もが気軽にワールドを制作・公開できる一方で、長くにわたって多くの人を集めるワールドと、そうではないものが存在するのが現状である。
そのような中で我々は、今は人が訪れることが少なくなった名作ワールドを紹介するべく、2023年4月からワールドツアーイベント「でぃぐでぃぐでぃぐらん」を実施している。

本イベント運営の過程で、これまで公開されたワールドについてのデータを収集してきた。
今回の発表では、本データを改めて分析した結果を報告する。本研究では特に、いいね率(=いいね数 / 訪問数)という指標について、ワールド公開初期の推移に注目した。
2023年4月から8月にかけて複数回データを収集した結果をもとに、「伸びた」ワールドとそうでないワールドの挙動にどのような違いがあるのかについて紹介する予定である。