2日目 ポスターセッション
(13:00~15:00)

Cブロック

C1:社会(実社会)

コアタイム13:00-13:30

p6-C1:人口減少により崩壊するインフラを補完するためのVRの活用

発表者名:akitoクアンム 

キーワード:人口減少、都市のスポンジ化、国土の保全、VR

政府や地方公共団体などが様々な施策を実施しているが、少子高齢化を原因とした人口減少が止めどなく続く可能性がある。この結果、現在でも空き家・空き地が問題となっているが、今後都市は多数の何もない空間を抱えたスポンジのような状態になり活力を失うと考えられる。郊外や村落は更に悲惨で、家屋は複数あるにもかかわらず、大半が無人という状況が現に国土のあちこちで発生しつつある。

人口と密度の低下は、税収の減少や経済活動の停滞、利用者数の低下などを引き起こし、学校や病院、商業施設、上下水道、ごみ処理、道路、トンネル、橋、鉄道、空港などを維持することができなくなる可能性がある。

回避できればそれに越したことはないが、万が一でも上記のような状況が数十年後の日本に生じる可能性があるならば、何らかの対策を講じておく必要がある。その一本の柱となるものがVRではないかと考えている。

p54-C1:仮想現実による死の拡張及び、自己改竄の楽しみ

発表者名:カゲキン

キーワード:哲学,死,VR,人格

人間にとっての「死」はすでに物理的な死からは切り離され、SNSや仮想現実の発展によって凄まじいまでの多様性を持ち始めています。

今回は新たな時代の死について考え、バーチャルリアリティを用いることによってどのように死を拡張できるのかについて語ります。

p66-C1:アバター活動の社会実装における個人証明の手法

発表者名:もでっち

キーワード:VR、アバター、メタバース、ムーンショット、オンライン学習、個人認証

2020年に内閣府が発表したムーンショット目標1では、誰もが多様な社会活動に参画できるサイバネティック・アバター基盤を構築することがターゲットとなっており、総務省をはじめとして、このムーンショット1に対する各種調査、検討が進められている.しかしこれらの調査・検討でも常に問題になる事項の一つに、なりすましと認証に関する懸念事項である.本稿は、とくにオンライン授業でのアバター導入時に起こりうる問題としてのなりすましに関してのシステム提案を行うことを目的とする.

p69-C1:SNS運用における炎上対策 -公人/企業 価値を損なわない手順-

発表者名:ナカノ ヒトシ

キーワード:SNS 炎上対策 リスクマネジメント SNS運用

インターネットは1967年に米国で始まり、90年代から00年代に日本で広がり、今や欠かせないものとなりました。SNSが普及し、誰もが情報を発信できるようになったが、炎上などの問題も生じています。公人や企業は、昨今の厳しい社会で価値やブランドを守るために、どのように情報を発信するかのルールを模索しています。今回は、炎上を避ける基本的な方法や認識に焦点を当て、良い情報発信の土台を探ることを目的としています。

p71-C1:VRSNS(ソーシャルVR)内における労働の特殊性 -ゲーミフィケーションされた財・サービスの生産-

発表者名:さくらまゆ/中尾優奈

キーワード:VRSNS, 労働, ゲーミフィケーション, ブルシット・ジョブ

本稿では、VRSNSにおける労働の特殊性を論じることとなる。一般的に労働は、前期近代・後期近代を問わず、労働者に苦痛を強いるものと論じられている。一方で、K.マルクスやK.ポランニーによると本来、労働は人間の社会活動の一環であり、娯楽性さえあったといわれている。本稿では、ブルシット・ジョブ、ゲーミフィケーションの2つの概念を用いて、代表的なVRSNSであるVRChatの日本語圏における「労働」形態を分析した。結果、VRChatではユーザー同士の対等性、「人気」というフィードバックというものが、「人気をより得て多くの友人を作る」というゲーミフィケーションを構成し、所謂マネージャー層でも「プレイング・マネージャー」の側面が強く現れている。VRChatでは、ブルシット・ジョブを効果的に回避できる、後期近代としては特殊性を持つ労働形態がシステムとして成立していることを見て取れる。 

C2:応用数理・経済学

コアタイム13:30-14:00

p10-C2:日本株式銘柄セミ自動トレードシステムの開発

発表者名:TAK1123

キーワード:株式投資、自動トレード、自動化

東証プライム市場上場銘柄(約1900銘柄)を対象に、銘柄のスクリーニング、銘柄の新規買い注文、保有銘柄の管理、銘柄の決済売り注文をセミオートメーション化した一連のトレーディングシステムを筆者は開発した。本稿では、まず自動トレードシステムの先行事例を紹介した上、開発をスタートしたモチベーションと本トレードシステムの運用時に得られるであろう当初の想定効果について述べる。次に本トレードシステムの設計コンセプトを合わせて紹介する。さらに、本トレードシステムの実装方法を説明し、最後に本トレードシステムを5か月間運用した実績考察結果を報告する。

p27-C2:日本における個人投資家と資産格差の関係性について

発表者名:柚木葵

キーワード:資産格差、個人投資、金融教育

近年株式投資及び投資信託等を行う個人投資が増加している。しかし、個人投資家は非合理的な投資行動を行う傾向にあり、損失を被るリスクが大きい。また、「1億総株主」といった政府による投資促進政策の影響から、投資を行う個人が増加している傾向にある。日本国内における個人投資家には相対的貧困に分類される程度の低所得者も含まれているため、投資で被った損失により生活水準が大きく損なわれてしまう可能性がある。さらに、個人投資家が増加することで、資産が少なく少額投資を行う個人投資家から、機関投資家等の資金力を豊富に有する企業及び個人に株式市場を通して資産が流出する事態がより深刻化するリスクもある。本研究では、それらの個人投資家の増加による市場変化ないし影響について分析し、個人投資家の増加による個人投資と資産縮小の関係性について実証分析を行う。

p42-C2:処理水放出にともなう中国の水産貿易停止が日本経済に与える影響 -都道府県別・産業別の分析-

発表者名:岡倉太一

キーワード:産業連関分析、輸出規制、

On August 24, 2023, the process of discharging treated water that accumulates at the TEPCO's Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant into the Pacific Ocean began. After August 24 of the same year, China tentatively suspended all imports of marine products (including edible aquatic animals) whose place of origin is Japan. The suspension of exports to China, a major destination for Japanese marine products, would have a very significant impact on the Japanese economy. In this study, data from trade statistics and prefectural input-output tables will be used to estimate the impact of the decrease in marine product exports to China on each prefecture by industry.

p57-C2:pythonによる数理最適化モデルの構築とその実施例の紹介
~蓄電池による電力ピークカット効果の検証~

発表者名:まっきー

キーワード:数理最適化 線形計画法 プログラミング 電力 蓄電池

本発表ではpythonを用いて数理最適化(線形計画法)を解く手法と、実際にどのような事例に活用できるのかについて紹介する。

数理最適化は現実の諸問題を数式に置き換え、制約条件を満たしつつ目的の値を最大(最小)化するような変数を求める手法のことである。

上記について最急降下法やニュートンラプソン法に代表されるような数学的アルゴリズムの専門知識が無い場合でも、

PythonやMATLAB等のソルバーを用いれば膨大な量のデータや変数、制約条件を一括で処理・計算することが可能である。

今回は工場における蓄電池設備導入時の電力ピークカットによる電気代削減量の試算評価を例に

現実の問題の定式化、および人力では難しい計算量の大きい最適化問題をプログラミングで解く手法について紹介する。

p64-C2:美少女場の量子論2―擬人化キャラクター論とメディアペルソナ論の交点

発表者名:ソーサツ・チエカ

キーワード:キャラクター、場の量子論、メディア

美少女場の量子論は、ソーシャルVRを含む現代文化において頻出する美少女表現の機能と性質を、場の量子論の形式を借りることで、人間の性別から独立した形で数理的に理解するための試みである。本研究では、表現者と受け手のメディア論的相互作用によって成立するという美少女の性質を、場の量子論におけるニュートリノ振動のアナロジーによって記述する。いわゆる美少女と呼ばれる状態とそうでない状態との間に遷移振幅を定義し、それぞれの状態として観測される確率を与える数理モデルを提案する。このモデル化を通じて、対象を美少女とみなすことにおける観測者問題を定式化することを試みる。

C3:数学・生物学

コアタイム14:00-14:30

p18-C3:社会性昆虫における自己組織的建築の数理的研究

発表者名:中久喜玲

キーワード:自己組織化、社会性昆虫、数理モデル、エージェントモデル

アリやハチなどの群れで生活する昆虫を社会性昆虫と呼ぶ。彼らの作る巣の形状は周知であるが、巣の持つ機能はあまり知られていない。彼ら作る巣は、外敵や天候から身を守るだけでなく、巣の内部の温度や湿度、酸素量などを安定させる役割を持つ。また、巣の内部では常に空気が循環し、十分な酸素が彼らの元に供給される。ところで、彼らは餌集め・巣作り・女王の世話など生きるための仕事を分業している。各仕事の担当が入れ替わることはあるが、仕事は絶えず行われる。すなわち巣作りも絶えず行われるため、巣の構造は変動的である。しかし、巣の持つ機能は不変的なものである必要がある。我々の研究目的は、不変的な機能を持つ変動的な構造がどの様に生まれるかを数理的に理解することである。そこで、先行研究のモデルからアリ巣作りの際の行動の要因を探る。今回は、アリの土を拾う・落とすの2つの行動が構造にどのような影響を与えているのかを考察した。

p30-C3:中型哺乳類3種における糞内の種子組成の比較

発表者名:井上輝紀

キーワード:動物被食散布、生物間相互作用、競争

動物被食散布は地球上の約半数の樹種がおこなう種子散布様式であり、散布者による果実に含有された種子の採食、移動、排泄によって達成される。散布者によって排泄された糞には複数の種子が含まれ、糞内の種子の組み合わせ(以下、種子組成)は、発芽した実生の競争環境を反映しているだろう。本研究では、「糞内の種子組成は散布者種によって異なる」という仮説を検証した。

p37-C3:距離行列からグラフを構築するアルゴリズムを用いた鳥の飛行スタイルに関する系統解析

発表者名:久田 竜也

キーワード:鳥、距離行列、アルゴリズム、系統ネットワーク、分子系統解析、グラフ理論

鳥の飛行には、翼の上下運動により飛行するはばたき型と、風を利用し飛行するソアリング型の2種類のスタイルが存在する。どちらの飛行スタイルをとるかは鳥の種類ごとに決まっているが、はばたき型とソアリング型の違いを生み出した要因はまだ十分に解明されていない。そこで我々は、鳥類の形態や生態などに関する量的データや、鳥類の特定の遺伝子の配列データを用いて様々な鳥同士の非類似度(距離)を計算し、進化の系統解析において生物間の非類似度を表す距離行列からグラフを構築するために使われる手法の1つであるNeighbor-Netアルゴリズムを用いて距離情報を可視化した。結果として、飛行スタイルの違いを決定づける可能性のあるいくつかの遺伝子を発見した。本研究は、塩見こずえ氏(東北大学)との共同研究である。

p59-C3:系統ネットワークを用いたHIVのDNA配列組み換えの解明と地理的影響の分析

発表者名:伊藤綾香

キーワード:系統ネットワーク、HIV、遺伝子組換え

HIVは感染症の主要な原因の一つであり、その進化メカニズムの理解は感染症管理において極めて重要である。本研究の目的はHIVのDNA配列の組み換えに焦点を当てウイルスの進化過程を詳細に解析することである。HIVは高い変異性により遺伝子座間でリコンビネーションが頻繁に起こる。これにより新たなウイルスバリアントが生成され、感染症の進化と拡散に影響を与える。この研究では、HIVのDNA配列を重要な遺伝子領域に分割し、系統ネットワークを構築してリコンビネーションイベントを追跡する。さらに、HIVは異なるサブタイプに分類され、これらのサブタイプは地理的領域と関連している。本研究では地理的データを組み込み、特定の地域でのリコンビネーションのパターンを分析し、地理的要因との相互作用を調査する。この研究の成果はHIVの進化メカニズムに関する深い洞察を提供し、感染症の管理、予防戦略に貢献することが期待される。

p99-C3:組織ネットワーク分析における新しい情報伝達効率の定義とその理論解析

発表者名:アイシア=ソリッド

キーワード:組織ネットワーク分析, ネットワーク科学, Organizational Network Analysis

組織のコミュニケーションを分析し、効率的な組織運営を目指す組織ネットワーク分析(Organizational Network Analysis / ONA)における新しい情報伝達効率を定義し、その理論解析を行った。この情報伝達効率は、情報の受信者を固定した際に、どの発信者からの情報を最もよく受信するかを表す指標である。ハイパーパラメーターの調整により、ネットワークの中心人物の発信を重視する指標と、ネットワークにて近接する人の発信を重視する指標を行き来することが出来る。そのため、目的に応じた調整により、「誰に話しかけてもらうべきか」の最適な選択が可能になる。

C4:実験生物学・実験物理学

コアタイム14:30-15:00

p12-C4:分光学を体験的に学ぶための、身の回りの物品で容易に組立可能で定量性のある吸光光度計の試作

発表者名:片柳英樹

キーワード:物理化学、分光器、科学コミュニケーション、体験学習

物理化学において分光実験は本質的である。科学コミュニケーションにおいても、研究用の吸光光度計を用いた体験学習や、ボール紙等で簡単な分光器を製作するイベントはよく行われている。しかし前者では内容の理解まで至りにくく、後者では「虹を見る体験」以上の発展性に乏しい。そこで、容易に手に入る物品で、現場で組立可能、かつ吸光度、波長共に定量性のある吸光光度計の製作を試みた。光源、分光素子、検出器、および波長校正法について最適な選択肢を探した。各構成要素の製作は比較的容易であったが、全体として「使える分光器」を作るのは困難で、現時点では未完成である。一方で自ら光学素子を並べて、分光器を作る体験は分光実験の本質の理解に有意義であることも実感できた。今後は吸光光度計全体の完成を目指すと共に、一部でも体験学習などに取り入れて参加者の意見を伺い、VRとの併用も視野に入れて、授業計画の面からも検討を行いたい。

p13-C4:業務効率向上のためのバイアル排液器の製作および持続可能な設計

発表者名:Ojiman

キーワード:HPLC バイアル 業務効率化 3Dプリンタ 持続可能

試験で廃棄されるバイアル瓶の廃棄に作業時間が圧迫されていたため、業務効率向上を目指して新しい器具を設計・製作した。

【目的】

工場内の技術と部材でメンテナンスが可能な、作業時間の短縮と作業の簡略化が可能な器具の製作とした。

また、整備性と持続性を考慮し、部材と加工技術は工場内に存在するものとした。

【製作の経緯】

バイアル瓶からの廃液は、注射針を蓋の中心のシリコン膜に刺して吸い出す方式とした。

瓶に刺す針は2本とし、片方の針は外気に、もう片方の針はバキューム管に繋ぐ構造とした。誤吸入防止のため、トラップも設けた。

これらに必要な部品を3DCGソフトで設計、3Dプリンタで出力し試作機を製作した。

これにより作業時間は30秒から4秒に短縮され、手順も刺して抜くだけと簡略化も達成した。この構造を引き継ぎ、工場内に存在する部材と簡易な工作技術で製作可能にし、高い整備性と持続性を達成した。

p52-C4:pHの違いが電気泳動に与える影響

発表者名:有賀伸行

キーワード:DNA、pH、電気泳動

本研究ではゲノムDNAのpH感受性および時間経過による変化を調査した。一般にゲノムDNAは中性付近で最も安定であり、強酸・強塩基環境下では分解が起こることが知られている。しかし、時間変化によりどのような割合で状態変化が生じるのかはあまり知られていない。生命科学の研究では、様々な場面でDNAを取り扱う。この際ゲノムDNAの状態を損なわずに取り扱うことが求められる為、その基本的な性質を詳しく知ることが不可欠とされている。また、研究用途以外でもこの知識はバイオテクノロジーの産業分野でも活用されることが多い。そこで本研究では、異なるpH値と時間帯でのゲノムDNAの状態変化を電気泳動を用いて解析した。今回の実験データを元により最適なDNAの保存や取り扱いを行うことを目指すと共に今後は、この知見を元に温度や塩濃度などDNAの状態に影響を与えるとさせている要素に関しても研究を進めて行きたいと考えている。

p55-C4:食品由来の抗菌物質に対する酵母の耐性評価法の考察

発表者名:kitasato-bio

キーワード:酵母、微生物、食品

酵母は酒造,製パンなどの食品産業,また酵母エキスとして調味料や健康食品,さらには生命科学の領域でも広く利用されている.また細菌と異なり真核生物であるため抗生物質に対する感受性や耐性が細菌とは異なることは知られている.ショウガのようないわゆる薬味として親しまれている植物の中には抗菌作用があると知られている,またされているものがある.本研究ではこのような植物に含まれる抗菌物質の簡便な抽出法,およびその物質が酵母の増殖に対し与える影響の測定法の検討を行った.今回の研究により抗菌活性物質の抗菌作用測定とその経時的変化の評価法について新たな知見を供することができたと考えられる.今後は今回の実験で行うことのできなかった酵母以外の真菌,細菌に対する抗菌作用の測定や,抗菌物質の抽出法を試行することで,食品由来成分を用いた高い選択性のある酵母の培養法を検討したいと考える.

p56-C4:PCRにおける水の性質による結果への影響

発表者名:生物研究会

キーワード:遺伝子研究、分子生物学、PCR、金属イオン

生物に備わる様々な仕組みや機構、発生を理解していくうえで、遺伝情報というものは非常に意味のあるものである。生物学は、この遺伝情報の元となるDNA という物質の配列情報の解明とともに発展してきた。PCRという方法は特定のDNAのコピーを短時間で大量に合成することが可能であり、様々な実験系に組み込まれてきた。本研究で、我々はPCRにおいてTaq polymeraseと日常的に手に入るような市販の水や水道水を用いてPCRを行った。結果、硬度が高い水でPCRが正常に行われないことが分かった。我々は具体的にどのような金属イオンがPCRに影響を及ぼすのかを調べた。金属イオンによっては、少量であっても電気泳動のバンドにスメアが検出される場合や、バンドが全く検出されない場合があった。本研究で明らかになったPCR効率の変動を基に、用途に応じて水の選択を行うことで、実験の手軽さやアクセス性の向上が期待される。