9月も後半に入り、だいぶ涼しくなってきました。10月は皆さんお待ちかね、八幡社大祭(お祭り)が10月13日(月)に開催されます。回覧板でもご案内していますが、今年も多くの催し物を予定しています。町民の皆さん、ぜひ八幡社に足をお運び、大祭にご参加ください。
<創建> 社伝
今から約800年前の鎌倉時代初期に牛田町湯山の地に城を築き、源頼朝の弟 義円がここを拠点としていた。
このとき源氏の守護神たる八幡大神の神札を鶴岡八幡宮より勧請(かんじょう)し、この地に祀ったのが牛田八幡社といわれています。
牛田八幡社の本殿、覆殿、中殿及び袖廊、拝殿が、令和6年3月6日に登録有形文化財(建造物)として国の文化財登録簿へ登録されました。
登録証(写し)
「牛田八幡社」
牛田八幡社の概要
愛知県知立市牛田町に位置し、旧東海道の南に位置する神社。
境内の南北線上に南から、拝殿(はいでん)(神楽殿(かぐらでん))、中殿(ちゅうでん)及び袖廊(そでろう)、本殿とそれを安置する覆殿(おおいでん)が一列に並んだ類(たぐい)まれな社とされています。
築地塀(ついじべい)が、拝殿脇から北に向かって延び、中殿及び袖廊、覆殿を取り囲む独自の形式は特に貴重とされており、拝殿と中殿の間には、白石敷きの中庭が設けられています。
江戸中期から明治後期に建立された類似の社殿において、牛田八幡社の建物群構成は他に類例がなく独創的であり、各社殿それぞれの建築的な質も高く、当地域を代表する神社建築といえます。
こうしたことが認められ、本殿、覆殿、中殿及び袖廊、拝殿の四つの社殿が、令和6年(2024年)3月、「国登録有形文化財」に登録されました。
社殿の全景写真
社殿の建築年代
現存する八幡社の建築物は、本殿が江戸時代中期(1750年頃)、覆殿が安政3 年(1856年)、築地塀(土塀)が文久3年(1863年)、拝殿(神楽殿)が明治15 年(1882年)、手水舎(てみずや)が明治32年(1899年)、中殿が明治42年(1909年)、社務所が大正15年(1926年)の建立となっています。
更に、境内社として享和3 年(1803 年)再建の稲荷社も以前には存在したといわれています。
このように江戸時代中期から明治・大正時代にかけて、社殿群の再興がなされました。
また、七柱の末社(山ノ神3社、稲荷社2社、社口社1社、祇園社1社)を合祀した境内社(昭和58年建立)、清霊社(せいれいしゃ)(昭和37年建立)も敷地内に建立されています。
そして、これらの諸殿を社叢(しゃそう)(鎮守(ちんじゅ)の森)が取り囲んでいます。
主祭神
誉田別尊(ほんたわけのみこと)(応神天皇(おうじんてんのう)=八幡さま)
社格
旧社格 村社 11等級
北西方向から見た社殿の写真(築地塀に取り囲まれた覆殿、中殿と袖廊、拝殿)
本殿
中規模な一間社流造(いっけんしゃながれづくり)、杮葺(こけらぶき)、正面には、「松と鳩」の彫刻があります。
本殿は朱塗りを基調としており、保存状態も良好で、江戸中期における当地の建築文化を知ることができる極めて貴重なものであり、知立市内最古の神社本殿建築となっています。
正面から見た本殿
本殿(覆殿の中に安置されております)
側面から見た本殿
本殿正面の彫刻(鳩は八幡神の使い)
覆殿(おおいでん)
安政3年(1856年)の建立と伝えられ、入母屋造(いりもやづくり)、桟瓦葺(さんかわらぶき)、平入(ひらいり)、一間向拝(いっけんこうはい)付(つ)きです。
本殿を風雨から守るために建てられた覆殿は、西三河の神社では比較的多くありますが、本殿形式を採用する神社は少数です。
この覆殿は、規模の大きい三間社(さんげんしゃ)の本殿建築様式となっています。
幕末期の建造ではありますが、近世に遡(さかのぼ)る遺構として貴重なものと評価されています。
覆殿の正面
彫刻
彫刻
中殿(ちゅうでん)と袖廊(そでろう)
中殿及び袖廊は、明治42年(1909 年)建立され、両脇に袖廊(そでろう)を付属した入母屋造(いりもやづくり)、桁行三間(けたゆきさんけん)、梁間一間(はりまいっけん)、妻入(つまいり)、桟瓦葺(さんかわらぶき)にて飾り付けられています。
覆殿と拝殿の間に中殿を設ける社殿配置は極めて稀であり、正面には彫刻を多用して見せ場を作っています。
また、中殿内部では床板を張らず、土間とし、格天井が張られています。
そして、中殿両脇には袖廊を配して神饌所(しんせんじょ)と神具庫を備えており、当神社独特の社殿配置を構成する建築として極めて重要な遺構。
こうした形式の中殿を有する神社は稀有であると言われています。
なお、正面の東側に「波と龍」、西側には「竹と虎」の彫刻を付して、龍虎相克を表しています。
また、正面妻面の破風(はふ)の拝みには蕪懸魚(かぶらげぎょ)を吊る。妻虹梁上に「雲と鶴」、下に「波と龍」の彫刻が配されています。
中殿正面
妻面の彫刻
正面虹梁上の彫刻 竹と虎
正面虹梁上の彫刻 波と龍
袖廊(西側)
袖廊(東側)
中殿(内部)
拝殿(はいでん)(神楽殿(かぐらでん))
棟札(むなふだ)によって、明治15年(1882年)の再建であることが明らかとなっています。
拝殿は、桁行三間(けたゆきさんけん)、梁間三間(はりまさんけん)、入母屋造(いりもやづくり)、桟瓦葺(さんかわらぶき)、平入(ひらいり)。
柱は全て粽(ちまき)のない円柱で、延石(のべいし)上に土台を置いて柱を立てられています。
正面と側面には、「竹や牡丹と獅子」の彫刻、各間には波の彫刻を、正面中央間では虹梁(こうりょう)上に「雲と双龍」の彫刻を配しています。
近代初期の伝統的技術と意匠を伝える建築であり、装飾に使われている彫刻も質が高いと評価されました。
拝殿
側面の彫刻
正面中央間の彫刻
境内の配置図
年中行事
1月新年祭、3月祈年祭、5月清霊社祭、7月末社祭、10月例大祭、12月新嘗祭、12月31日厄払祈願祭
月次祭 毎月第2土曜日
周辺の地図及び交通アクセス・駐車場
牛田八幡社 〒472-0007 愛知県知立市牛田町宮本14番地
<周辺地図>
<交通アクセス>
電 車:名鉄名古屋本線 牛田駅下車 徒歩10分。
自動車:国道1号線知立団地入口の交差点から北へ400m。旧東海道から南へ 200m。
高速道路 東海環状自動車道豊田南インターを降りて10分。
<駐車場>
10台(駐車場は泉蔵寺(せんぞうじ)と共用)