IFYA神戸'93

建築士会での活動を通して、参加した国際交流です。この後、韓国釜山での建築家交流も行いました。

IFYA

THE INTERNATIONAL FORUM OF YOUNG ARCHITECTS

A IAA STRUCTURE, HAS THE OBJECTIVE TO STIMULATE YOUNG TALENTED ARCHITECTS FROM DIFFERENT COUNTRIES IN THEIR EFFORTS TO FIND NEW ARCHITECTURAL CONCEPTIONS AND IDEAS FOR THE DEVELOPMENT OF THE CONTEMPORARY ARCHITECTURE. IFYA ORGANIZE UNDER THE LEADERSHIP OF IAA INTERNATIONAL WORKSHOPS AND MEETINGS.

新しい建築の概念および対抗する建築の開発のためのアイデアを見つけるために、異なる国、異なる建築から、新しい建築を構築することを目的としています。 IFYAは、IAA国際ワークショップおよび会議の下で組織されています。

IFYA93神戸の記録

コンベンションKOBE1993年8月号 No142


テーマは「ウォーターフロントゾーンの開発」IFYAI若手建築家の国際7ォーラムーは、オ能があり近い将来活躍するであろうと思われる若手建築家が世界中から集まり、世界的に著名な建築家の指導・講義を受けながら、その開催地に応じたテーマに対し、建築に提案を行おうというもので、IAA(国際建築アカデミー)の主催より、数年ごとに開催されている。 前回は、1989年パリで開催され、「都市と大学」をテーマに行われた。今回は、アーパンリゾートフェア神戸'93の中核イベントである、アーキテクチュア・フェアKOBEの一環行事として、「ウォーターフロントゾーンの開発」をテーマに、8月16日(月)~24日(火)の9日間、神戸を舞台にフォーラムが展開される。 海外から約30名、国内から約30名が参加し、講師としてジョージ・ストイロフ氏(lAA会長)、ジョン・クレーバン氏(ハワイ大学名誉教授)、菊竹清訓氏(建築家)、伊藤滋氏(慶応義塾大学教授)等が指導・審査にあたる。 近年、建築設計界は、国際的な広がりをみせてきており、このIFYA神戸'93の開催により、一層の国際交流や協力が図られることが期待されている。 また、会期の最終日24日には、IFYA神戸'93にあわせてIAAエコポリス・フォーラム(仮称)が神戸国際会議楊において開催される。丹下健三氏、ストイロフ氏、菊竹清訓氏らのIAA会員により、自然との共存・省エネ・省資源型のエコ・ポリス都市(共存都市)についての討議が行われ、最後にエコ・ポリスに関する「神戸宣言」がアピールされる予定。

開催にあたって菊竹清訓 IFYA神戸'93組織委員長このたび神戸市のご協力で、IFYAフォーラムを、神戸市で開催することができますことは、大いなる喜びです。 時あたかもアーバンリゾートフェアの時期でもあり、この機会に五つのことにつき述べて、開催の意義を表したいと思います。(1)まず主催する国際建築アカデミーは、国連の下部機関で、本部はソフィアにあり、建築家の活動を支援してきています。その一つが、今回の若手建築家の国際フォーラムで、世界の都市で開催されてきました。(2)これを後援するのが建設省であり、建築家協会であり、建築士会です。日本の建築士会は、目下世界最大の建築関連分野の専門技術者集団です。(3)次にこれが何で国際フォーラムをやるか、といえば、建築関係専門技術者の間で、相互交流をはかり、世界共通の問題をさぐり、建築の課題に迫ろうというものです。(4)ではここで、どういうテーマをとりあげようとしているかといえば、それは「ウォーター・フロントの開発」です。 何故か、世界的には臨海都市の活動が活発で、人口の移動がみられ、ウォーター・フロントの開発がめざましいからです。しかし、ウォーター・フロントの開発は、これをより好ましいものとする余地が、極めて大きいにもかかわらず、開発のモデルとして、まだ世界に通用するようなレベルの日本の理想は実現していません。それにはいろんな理由がハード・ソフトともにあると思われますが、その克服をどうすればいいか。(5)問題はそれだけに留まりません。今日重要となってきた海岸都市の課題は、実は、自然との共存・調和にあり、省エネ・省資源型の地球環境時代にかなわしいエコ・ポリス(共存都市)をめざすことです。 最後に、この若手建築家の交際フォーラムが開催できるようになったのは、神戸市の特別なご配慮と建築関係ゼネコン各社の資産的協力があったからで、協賛を頂いた、清水・大成・竹中・鹿島・大林・熊谷・戸田各社に対し、心から深く感謝し、組織委員長として国際フォーラムの成功を願っています。

ストイロフ氏記念講演会IFYA神戸'93の開催を記念して、来神予定のジョージ・ストイロフIAA(国際建築アカデミー)会長による市民公開講座が開催される。 IAAは各国の代表的な建築家で構成される国際的団体で、日本では、丹下健三氏、菊竹清訓氏が会員。ジョージス・トイロフ氏は、ブルガリア在住で'85~'88年にかけてUIA(国際建築家協会)会長をつとめるなど世界的に活躍されている。 「建築の真価」をテーマに、市民向けに分かりやすく解説。同時通訳あり。(入場無料)▽日時 平成5年8月24日(火)18時~▽場所 神戸国際会議場▽申し込み・問い合わせ先(財)神戸国際交流協会

新建築1993年10月号p134


はじめに去る8月16日から24日まで、兵庫県・神戸市においてIAA(International Academy of Architecture=国際建築アカデミー)が主催するIFYA(International Forum of Young Architects-次世代を担う若手建築家のための国際フォーラム)が、組織委員長菊竹清訓氏のもとで開催された。海外31名、日本30名の合計61名が世界19ヵ国から参加した。また、諸外国から指導的立場の8名の参加を得ることができた。フォーラムは、神戸市を具体例に取り上げ、ウォーターフロントの将来像について自由に提案し、ワークショップを通して、幅広い研修と交流を行うことを目標とした。IFYAはIAAが世界の各地で開催しており、10年もすれば指導的建築家になるであろう概ね40歳以下の若手建築家を対象に、IAA会員が中心になって指導するワークショップである。IAAは建築家の国際団体で、ブルガリアのソフィアに事務局があり、会長は前UIA会長のブルガリア人ジョージ・ストイロフ氏である。日本では丹下健三、菊竹清訓、槇文彦各氏が会員で、世界的に著名な建築家54名で構成されている。
ワークショップワークショップの課題は、神戸市のウォーターフロントを代表する4地区が選ばれた。第1は大規模工場跡地で、産業構造の変化の中で遊休化した跡地の活用の仕方と既成市街地との融合。第2は神戸港の中心だったメリケンパークで、将来の港の新たな中心地区の創造。第3は、老朽住宅が密集し、運河沿いに小さな町工場が多く、住工が混在し、文化施設の不足などから若年人口が流出、それに伴う高齢化の問題に対応しながらの地区の活性化。第4は、神戸市の地理的特性から港湾機能の強化と総合的都市づくりのため、ポートアイランド、六甲アイランドの人工島を建設、成功を収めたが、ドリームプランとしての人工島の新たな提案。参加者は、敷地見学のうえで自ら敷地を選び、各敷地ごとに日本人と外国人からなる7〜8名程度の2チームを組織、合計8チームの共同作業とした。1週間にわたるハードな徹夜作業の結果、各チームから力作が提案され、先生方へのプレゼンテーションの後、審査が行われた。敷地ごとにIAA賞が4作品に授与され、さらにその中から構想力と実現性のバランスのよさ、表現力の点が評価され、住工混在運河地区のチームに神戸市長賞という特別賞が授与された。
案の特徴案を見るといくつか特徴的なことがいえる。まず課題の読み方であるが、4つのタイプが見られた。第1に神戸市は山・陸・海がリニアに構成されているという都市構造をとらえ、そこから新たな都市軸を提案しようとする地形的な面からの分析。第2に、神戸港の過去の海岸線や過去の都市のパターンを発見しようとする歴史的な文脈からの分析。第3は、都市から海へ、海から都市へという都市構造の動きからウォーターフロント構造の分析。第4は、神戸市を国際都市という面からとらえ、その特徴を生かすためにすべきことは何か、という分析である。また、提案された案の特徴を見ると、ドリームプランと高い現実性の両極の中で各案が位置づけられ、さらに、デザイン的には西欧的な幾何学的パターンのスマートさとアジアに代表されるカオス的なものの両極の中で各案が成立していた。
エコポリスフォーラム&神戸宣言IFYAのワークショップの結果をふまえ、地球環境時代の都市と建築のあり方についてIAA主催によるエコポリスフォーラムが開かれた。出席者は菊竹清訓、G・ストイロフ、J・ホーホシュタット(IAA会員/オランダ)、月尾嘉男(東京大学教授)の4氏に、さらにブルーノ・ゼビ(IAA会員/イタリア)がビデオによりエコポリスのプレゼンテーションと今後の建築のあり方について自説を述べられ、特にポストモダニズムについて痛烈な批判をし、氏の健在ぶりを見せた。フォーラムの最後に、菊竹・ストイロフ両氏から「世界海岸都市宣言神戸‘93」がアピールされた。
文化的な背景の異なる若い建築家同士が、議論をしながらある種の結論をまとめるに至った;プロセスについて、参加者はたいへん満足したようである。国際的に認知された団体がワークショップを開催するのは日本ではじめてのことであり、今後世界の中で日本の立場を考えると、ますますこのような建築家の国際交流の必要性が高まるものと思われる。 原田敬美(IFYA日本事務局)