顔がわかる写真は難しいのでほとんど撮りませんでしたが皆さん楽しんでもらえたと思います。我々もとても楽しかったです。
おおむね良い匂い、悪い匂いの評価結果が一致しています。中には人によって感じ方が違う場合がありますね
実は実験準備には数週間を要しました!
まず、各々の分子に対する参加してくださった皆さんの感覚を「好き/嫌い」(分数の形)で表しました!
好き、嫌い各々について、一人5つまでの匂い物質について評価をしていただきましたね。その結果について、ざっくり数字を読んでいきましょう。
まず、共通して特に好評であったのは「13」と「15」で、これらを嫌いであるとの評価はありませんでした。また、酪酸の系列とエタノールの系列は試した物質においては全て好ましいとの評価となりました。
次に嫌いな匂いについて見てみましょう。右下の方の組み合わせ、すなわち乳酸、桂皮酸、サリチル酸とアミルアルコール、オクタノールベンジルアルコールのエステルに嫌いな匂いが固まっていました。
最後に、興味深いのは好き嫌いの評価が分かれる物質があるということです。例えば、酪酸メチル、酪酸ベンジル、また、乳酸ペンチルといった物質はほぼ半々で評価が分かれました。
次は、個別に見ていきましょう。
「13」はバナナのような香りででしたね。「15」はジャスミンや香水で有名なイランイランなど多くの花の香りの成分として知られています。ですから、おそらく誰もが共通して良い香りと認識できるようになっているのでしょう。また、酪酸からなるエステルとエタノールからなるエステルはほとんどがフルーツの香りで、特に酪酸とエタノールのエステルはパイナップルの香りです。なるほど納得でしたね
桂皮酸のエステルの右の方の物質は洋酒のような匂い(香り)がすると言われていますが、好きというより嫌いとの評価でした。一部の「おとなの嗜み」でしょうかね、好きな人は好きなのですが。
乳酸のエステル化合物の匂いはあまり知られていませんが、香水に使われているものが多いようです。乳酸は動物の生合成経路にも出てきますね。動物の感覚器としての嗅覚と関係があってもおかしくはありません。一方、今回は行っていませんが乳酸には「光学異性体」が存在します。全く異なる匂いがする可能性があります。
どうですか?面白いですね!
2023年3月20日