More is different (by P. W. Anderson) という有名な言葉があります。要素還元主義への偏重に警鐘を鳴らすシンプルな言葉です。例えば、液体の水を冷やすと0℃で固体の氷に相転移するという不思議な現象は、水や氷の構成要素である水分子1つ1つを観察するだけでは理解できません。このように、たとえ構成要素はよく分かっていても、それらが多数集まると(多体系)思いがけない多様な現象が起こり得ます。
物理学の偉人たちによって相転移のMore is differentについては多くのことが解明されました。しかしこれは物質の一番おとなしい平衡状態についての話。急熱・急冷したり、レーザーを照射したりするなどして、物質の状態が激しく変化する非平衡状態についてはまだまだ分からないことがたくさんあります。とても複雑なので答えがあるのかさえ不明ですが、未開拓な研究領域が広がっている点に魅力を感じ、理論とシミュレーションを使って研究を行っています。
以下では自分が取り組んでいるいくつかのテーマを紹介します。どれも原子や電子あるいはスピンというミクロな構成要素を多数集めて、新しいDifferentを見つけようとする試みです。さらに詳しく知りたい方は、お気軽にご連絡ください。一緒に研究して下さる研究者・学生の方も歓迎です。
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