石野智子  薬学・医学博士

Tomoko Ishino, Ph. D (Pharmaceutical & Medical sciences)

2021年8月1日付で、寄生虫学・熱帯医学分野の教授に着任いたしました。私は、1996年に東京大学薬学部を卒業後、同大学院に進学し、ツメガエルを用いた再生の研究により学位を取得しました。その後、発展途上国の子供達の未来に貢献をしたいという想いをサイエンスの手法で具現化する方法を探り、寄生虫学の領域へと足を踏み入れました。三重大学での博士研究員生活を経て、2006年には、日本学術振興会/パスツール協会のご支援により、感染症研究者として憧れの地であるフランスのパスツール研究所に留学する機会を得ました。出会った世界中の研究者たちと切磋琢磨しながら、マラリア原虫の巧妙な感染機構を紐解くために努力しています。愛媛大学在職中は、タイ王国の感染流行地に赴き、蚊による媒介を抑制する「伝搬阻止ワクチン開発」の研究にも着手しました。感染流行地のニーズを体感し、国際的なチームで研究を推進する経験になりました。

 今後は、マラリア原虫と宿主細胞の相互作用に着目することで、特に蚊から哺乳類への効率の良い感染戦略の解明に向けて引き続き尽力いたします。さらに、基礎研究で得られた成果を基盤とし、未だ実用化されていないマラリアワクチン等の感染阻止法開発に向けた展開を目指します。加えて、感染流行地のシーズを端緒として独創的な基礎研究に発展させることで、フィールドとラボを双方向に繋ぎたいと考えます。これらの多面的な研究を若い研究者・学生と共に進めていく過程で、世界をフィールドとした基礎研究の魅力を伝えてまいります。また、世界では多くの国々で未だ大きな問題であり、さらに移動・輸送手段の発達により再び日本でも症例が増えつつある寄生虫疾患について、臨床例を交え体系的に教授いたします。多様な寄生虫の生き様を学ぶことが、多様性について思考する契機になれば、とも願います。これらの教育・研究を通じて、世界が直面する感染症等の新たな問題に対して、論理的・積極的に挑戦し、また世界中でチームを率いられる次世代の医療者・研究者の育成に誠意を持って取り組む所存です。(2021年 8月医科歯科大学HP掲載より)

略歴

1995年 東京大学大学院 薬学系研究科 進学 (発生生物学/微生物学)

1997年 東京大学 医科学研究所 熱帯病学研修 ディプロマ取得

2001年 東京大学大学院 薬学系研究科 薬学博士

2001年 三重大学医学部 医動物学研究室 博士研究員・助手

2006年 三重大学大学院 医学系研究科 医学博士

2006年 フランス パスツール研究所(日本学術振興会海外特別研究員/フランス政府奨学生)

2009年  愛媛大学大学院 医学系研究科 寄生病原体学講座 准教授

2011-2013年 文部科学省 学術調査官(兼任)

2013年 愛媛大学 プロテオサイエンスセンター 寄生病原体学部門 准教授

2021年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 寄生虫学・熱帯医学分野 教授

担当講義

医学部医学科 2年生 医動物学 講義・実習

医学部医学科 1年生 匠講和

医学部保健衛生学科 2年生 病原体検査学実習(I)

歯学部 3年生 感染と免疫概論

大学院 疾患予防パブリックヘルス医学概論


非常勤講師

東京大学 2022-

東京外国語大学 2022-

山形大学 2023-

京都大学 2023-

2006年 フランス パスツール研究所(日本学術振興会海外特別研究員/フランス政府奨学生)

2009年  愛媛大学大学院 医学系研究科 寄生病原体学講座 准教授

2011-2013年 文部科学省 学術調査官(兼任)

2013年 愛媛大学 プロテオサイエンスセンター 寄生病原体学部門 准教授

2021年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 寄生虫学・熱帯医学分野 教授