Until 2020

Past seminars

2020年度

1/6(Wed)15:00-16:00

Shunsuke Kano狩野隼輔 )氏 (東工大, ToKoDai)

Title: A characterization of pseudo-Anosov mapping classes by tropical cluster transformations

Abstract:

点付き曲面の写像類は、その曲面の理想三角形分割に付随した箙の変異ループと看做すことができる。本講演では、写像類が擬Anosovであることと、対応する変異ループが符号安定と呼ばれる性質を満たすことが同値であることを解説する。また時間が許せば、可約写像類のmulticurveに沿ったrecutionのクラスター代数的な記述し、その応用として境界成分を持つ曲面の写像類の擬Anosov性と弱い符号安定性の同値性を解説する。本講演は数理解析研究所の石橋典氏との共同研究に基づく。


2020年12月18日(金)16:30 - 18:00(通常と曜日、時間が異なりますのでご注意ください)

ZOOM Seminar:幾何セミナーと合同開催。参加方法は幾何セミナーのページをご覧ください。

Mayuko Yamashita ( RIMS, 京都大学)

Title:トポロジカルとは限らない invertible quantum field theoryの分類問題と, Anderson双対の”differentialな”モデル

Abstract:  FreedとHopkinsは, トポロジカルとは限らないinvertible QFTの変形同値類が, ボルディズムのAnderson双対と呼ばれる一般コホモロジー理論で分類される, と予想した.「場の理論」というのは定義されていないため, それを分類せよという問題は数学的にきちんと問題になっていない, というところにそもそもの困難がある. また, 興味のある「多様体上の構造」(例えばスピン構造や主G-束など)を固定した上で, その「構造」付き多様体上のQFTの分類を考えるので, 様々な「構造」に対応してその分様々な問題設定を考える必要がある. この講演では, この予想へのひとつのアプローチを与えようという, 物理学者である米倉和也氏(東北大学)と数学者である森田陽介氏(京都大学)と講演者との現在進行中の共同研究について説明する. 物理学者が想定する「invertible QFTとはどういうものであるべきか」という性質を抽象化してつくった群が, ボルディズムのAnderson双対の”differentialな”モデルを与える, という結果を, いくつかのクラスの「構造」に対して示すことができた. このクラスとは, 接束の構造群の制限で与えられるようなものや, 主G-束, ある多様体Xへの写像, などである. 分類問題のモチベーションからはじめて, 問題の定式化と今のところ得られた結果, 今後の展望について説明する.

10/21(Wed)15:00-16:00

Mitsuaki Kimura ( Univ. of Tokyo, 東京大学)

Title:有界コホモロジー上のGambaudo-Ghys構成

Abstract:

1982年のGromovの論文以降、有界コホモロジーは盛んに研究されてきたが、その計算は一般に難しい。特に3次以上は殆ど手付かずであったが、ここ数年は3次での計算の結果が出始めている。本講演では、円板の面積保存微分同相群について、3次有界コホモロジーが非可算無限次元となることを示す。手法としては、GambaudoとGhysによる擬準同型(≒2次有界コホモロジー)の構成法を高次に一般化したものを用いる。時間が許せば、他の曲面の場合についても述べる。


7/29(Wed)15:00-16:00(幾何セミナーと合同開催)

Shunsuke Ichiki(一木 俊助 )氏 (東工大, ToKoDai)

Title:横断性定理の精密化とその応用 

Abstract:

パラメーター付けられた写像族に対する横断性に関する結果は,ジェネリックな写像の性質を調べる為の基本的道具であり,これまでに,ジョン・マザー (1942 – 2017) による改良(1973年)や,講演者によるその更なる改良(2019年)がある.しかしながら,これらの既存の諸結果では,パラメーター空間内の,横断性に関する性質を満たさないようなパラメーター全体の集合の次元的な情報までは知る事ができない.そこで本講演では,そのような集合の次元的な情報(ハウスドルフ次元)も評価できるような横断性定理と,その応用例をご紹介する.もし時間が許せば,産業との親和性の高い多目的最適化への応用もご紹介させて頂く.


7/15(Wed)15:00-16:00

Shinpei Baba(馬場 伸平)氏 (大阪大学, Osaka University)

Title: On Thurston’s parameterization of CP^1-structures. 

Abstract:

A CP^1-structure on a surface is a locally homogeneous structure modeled on CP^1. Thurston gave a parametrization of the deformation space of CP^1-structures on a closed surface using three-dimensional hyperbolic geometry.  In this talk, we summarize his construction of the parameterization, and then give independent proofs of some well-known theorems on CP^1-structures, using the parametrization. 


7/1(Wed)15:00-16:00

Gye-Seon Lee 氏 (成均館大学校, Sungkyunkwan University

Title: Convex real projective Dehn fillin

Abstract: Hyperbolic Dehn filling theorem proven by Thurston is a fundamental theorem of hyperbolic 3-manifold theory, but it is not true anymore in dimension > 3. Since hyperbolic geometry is a sub-geometry of convex real projective geometry, it is natural to ask whether Thurston’s Dehn filling theory for hyperbolic 3-manifolds can generalize to convex real projective manifolds in any dimension. In this talk, I will give an evidence towards a positive answer to the question.  Joint work with Suhyoung Choi and Ludovic Marquis


6/24(Wed)15:00-16:00

Wataru Yuasa(湯淺亘)氏 (数理解析研究所, RIMS, 日本学術振興会特別研究員PD

Title: Zero stability for the one-row colored sl(3) Jones polynomia

Abstract

交代絡み目を含む adequate link というクラスの絡み目に対して, 色付きジョーンズ多項式 (の族) がある係数の安定性を持つことが Armon よって示されている. この係数の安定性から色付きジョーンズ多項式の極限である tail と呼ばれる q-series の存在がわかる. 本講演では, 一行のヤング図形で色付けされた sl(3) ジョーンズ多項式に対して, 同様の安定性が示される事を紹介する


6/17(Wed)15:00-16:00

Shun Wakatsuki(若月駿)氏 (信州大学, Shinshu Uni. 日本学術振興会特別研究員PD)

Title: Vanishing of some cup products on mapping spaces from spheres

Abstract:

写像空間は無限次元の空間であるために取り扱いが難しいが,有理ホモトピー論などの代数的な手法はそのような対象に対しても有効である.特に Sullivan モデルを用いることで写像空間のコホモロジーを具体的に記述することができる.本講演では,球面からのある種の多様体への写像空間のコホモロジーにおいて,一方が Euler 類であるようなカップ積が常に消えていることを示す.その証明の鍵となるのは,Poincaré 双対性と(可換環論における)正則列の関係である.また,時間が許せばブレーン余積との関係についても説明したい.


6/3(Wed)15:00-16:00

Ingrid Irmer 氏 (南方科技大学, SUSTech)

Title : Genericity and a topology on groups.

Abstract:

In low dimensional topology, many properties of “generic” group elements or manifolds have been established. There are variations in the way generic is defined, however the definitions previously in use were probabilistic in nature. As noted by R. Detcherry, a topological definition for genericity in groups is also possible. When applied to mapping class groups, statements about 3-manifolds obtained as Heegaard splittings with generic gluing maps can be obtained. This talk is a survey of the so-called twist-cofinite topology on mapping class groups and the related notion of genericity. 


5/27(Wed)15:00-16:00

Hyungryul Baik 氏 (韓国科学技術院, KAIST)

Title: Normal generators for mapping class groups are abundant in the fibered cone

Abstract: We show that for almost all primitive integral cohomology classes in the fibered cone of a closed fibered hyperbolic 3-manifold, the monodromy normally generates the mapping class group of the fiber. The key idea of the proof is to use Fried’s theory of suspension flow and dynamic blow-up of Mosher. If the time permits, we also discuss the non-existence of the analog of Fried’s continuous extension of the normalized entropy over the fibered face in the case of asymptotic translation lengths on the curve complex. 


5/20(Wed)15:00-16:00

Tsukasa Ishibashi (石橋 典 氏)   (数理解析研究所, RIMS)

Title:Algebraic entropy of sign-stable mutation loops

Abstract:

Fomin-Zelevinsky, Fock-Goncharovらにより導入されたクラスター代数は, Pennerによるdecorated Teichmuller theoryのある種の一般化とみなすことができる. クラスター代数における変異ループは写像類の一般化であり, 2種のクラスター変換を通していくつかの離散力学系を定める. これらは写像類のTeichmuller空間や測度付き葉層の空間への自然な作用の一般化である. 本講演では写像類の擬Anosov性に対応する性質として変異ループの「符号安定性」を導入し, その力学系的性質を調べる. 特に, 符号安定な変異ループが誘導する2種のクラスター変換の代数的エントロピーを計算し, それらが「クラスター伸縮因子」と呼ばれる特徴量の対数を用いて上下から評価できることを示す. この結果は擬Anosov写像の曲面への作用の位相的エントロピーを伸縮因子の対数で与えるThurstonの定理のクラスター代数における類似である. 本講演は東京工業大学の狩野隼輔氏との共同研究に基づく.


4月28日(火) 15:00〜16:00

ZOOM セミナー:終了しました。ありがとうございました!

高津 飛鳥 氏(東京都立大学)

タイトル:Convergence of combinatorial Ricci flows to degenerate circle patterns

アブストラクト:

ChowとLuo(JDG, 2003)はコンパクトな曲面上のCombinatorial Ricci Flow(CRF)を導入し、 オイラー数が非正の曲面において、Circle Pattern(CP)をCRFの極限として捉えることに成功した。 ここでCPが存在するための必要十分条件とCRFが収束するための必要十分条件は同値であり、 位相的な真の不等式で記述される。 本講演では、位相的な不等式が成り立つオイラー数が非正の曲面におけるCRFは 退化したCPに収束することを説明する。


3月30日(月) 15:00〜16:00

ZOOM セミナー:終了しました。ご参加くださった方どうもありがとうございました。

正井 秀俊(東工大)

本セミナーの一番の目的はZoom を実際に使用して、問題点などを把握することです。PCで黒板を撮影しながらの講演の予定です。今回は「最低限の環境」でどれくらい問題があるかを探るためのセミナーです。あらかじめご承知おきください。皆様の積極的な参加による問題の洗い出しを歓迎いたします。

・録画します(参加時のカメラはオフになっているはずですのでご安心ください。途中入退室も歓迎します)

タイトル:写像類群上のランダムウォーク(Zoom の実験セミナー)

アブストラクト:

写像類群の上でランダムウォークを考えることにより、曲面と様々な曲面由来の空間の上でランダムな力学系を考えることができる。本講演では、写像類の反復による力学系とランダム力学系の類似について考える。時間が許せばランダムな3次元多様体との関連も説明する。


1月29日(水) 15:30〜16:30

会場:西8号館W1101セミナー室

野崎 雄太 氏 (明治大学)

タイトル:LMO 関手を用いたホモロジーシリンダーの Abel 商

アブストラクト:

ホモロジーシリンダーの成すモノイド上にはクラスパー手術によるフィルトレーションが存在し,Torelli 群の降中心列と関係する.本講演では,このフィルトレーション上の準同型を LMO 関手を用いて構成する.この準同型を Torelli 群の降中心列に制限したものは,Johnson準同型とは異なる情報を捉えていることが分かる.応用として,閉曲面の Johnson 核の Abel 化にトーションが存在することを示した.本研究は佐藤正寿氏と鈴木正明氏との共同研究である.

1月22日(水) 15:30〜16:30

会場:本館2階230セミナー室

嘉藤 桂樹 氏 (東工大)

タイトル:Interior polynomial for signed bipartite graph and the HOMFLY polynomial

アブストラクト:

結び目の2変数多項式不変量である、HOMFLY多項式は結び目図式からスケイン関係式を利用して、帰納的に計算できる不変量である。A.Postnikov氏、村上斉氏、T.Kalman氏らにより、特殊交代結び目のHOMFLY多項式の一部分は、そのザイフェルトグラフの内部多項式の係数に一致することを証明した。内部多項式は二部グラフの多項式不変量である。本講演では、二部グラフの内部多項式を定義するにあたって、その二部グラフの根多面体やそのEhrhart多項式を紹介し、符号付き二部グラフの内部多項式を定義する。さらに、任意の結び目図式に対してHOMFLY多項式の一部分がそのザイフェルトグラフの内部多項式の係数と一致することを証明する。また、時間が許せば、根多面体やEhrhart多項式の性質から得られるHOMFLY多項式の性質の紹介を行う。

12月4日(水) 15:30〜16:30

会場:本館2階230セミナー室

Hsueh-Yung Lin 氏(IPMU)

タイトル:  On the fundamental groups of compact Kähler threefolds

アブストラクト:

From a Hodge-theoretic and a deformation-theoretic point of view, compact Kähler manifolds are natural generalizations of projective manifolds. Whether the fundamental group of a compact Kähler manifold can always be realized as the fundamental group of a projective manifold is still an open problem. In this talk, we will explain our solution to this problem in dimension 3. (Joint work with B. Claudon and A. Höring.)

11月20日(水) 15:30〜16:30

会場:西8号館W1101セミナー室

Robert Tang 氏(OIST)

Title:Affine diffeomorphism groups are undistorted

Abstract: In this talk, I will introduce half-translation surfaces and their affine diffeomorphism groups. These groups coincide with the stabiliser of the associated Teichmüller disc under the action of the mapping class group on Teichmüller space. The main result is that any finitely generated subgroup of the affine diffeomorphism group is undistorted as a subgroup of the mapping class group. I will sketch the main idea of the proof and discuss some of the tools used, such as the curve complex and the marking complex.

11月13日(水) 15:30〜16:30

会場:本館2階230セミナー室

五味 清紀  氏(東工大)

タイトル:Crystallographic T-duality

アブストラクト:

位相的T双対とは, 位相空間上の二つのトーラス束のねじれコホモロジーが同型になる, という数学的な現象である. 背景には超弦理論におけるT双対があり,  P. Bouwkneght, J. EvslinおよびV.Mathaiの仕事においてはじめて現れた. 今日では, 位相的T双対の様々な一般化が知られている. 講演では,  新たな一般化として結晶群の点群作用を持つトーラスの同変ねじれK理論に対する位相的T双対を説明したい. この結果は, Guo Chuan Thiang氏および窪田陽介氏との共同研究で得られたものである.

10月16日(水) 15:30〜16:30

会場:本館2階230セミナー室

雪田 友成 氏(早稲田大学)

タイトル:双曲離散鏡映群の増大度とスペクトル半径について

アブストラクト:有限表示群のCayleyグラフに対して、増大度とスペクトル半径と呼ばれる異なる2つの量が定義される。増大度とは、単位元中心の距離球が半径に関してどのくらいの早さで拡がるかを表す量であり、スペクトル半径とは、単位元を出発した単純ランダムウォークがもう一度単位元に戻る確率がどのくらいの早さで減少するかを表した量である。自由群については、共に明示式が与えられているが、一般の場合には未だに知られていない。本講演では、双曲離散鏡映群の増大度とスペクトル半径について、講演者が現在までに得られている計算について紹介したい。