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研究生活のQOLを爆上げする21世紀のパスタ入門講座
楽しいことばかりではない研究生活のなかで、食事を日々の楽しみにしている人は決して少なくないでしょう。一方で、外食ばかり行くのは食費がかさむし、かと言って自炊しても一人暮らしだと食材のやりくりが面倒だし、なんなら結果的に外食のほうが安いし、でも料理のレパートリーも多くないし、、など、いろいろ悩ましいのも事実です。「食費を考慮して自炊してるけど、あんまり料理は上手じゃない、食べれたらOKかな」と言う人もいるでしょう。
ここで紹介するパスタ入門講座は、パスタのレシピとかではないです。むしろ、いろんな面倒臭さをできる限り削減しつつ、できる限り安くて豊かでおいしい食事をする方法です。1食200円前後でかなりクオリティの高い食事ができるようになるはずです。この方法でパスタを作っていると発見が多くて料理することも楽しくなると思います。
以下、ステップ①〜⑦に分けてご紹介します。食材を買いに行く前の段階から始まります。
① 次のYouTube動画を視聴しましょう。
「小倉知巳のイタリアンプロ養成講座」というYouTubeチャンネルで公開されている、アラビアータの作り方に関する動画です。この動画はいつ視聴し直しても、美味しそうで、自分で作ってみたくなります。作り方やコツをとても丁寧に教えてくれているので、「自分でも作ってみたい!」と思えるはずです(*トマトが苦手な方は、同じシェフによるペペロンチーノの動画でも要領は同じです)。
これが作れるようになったら、あとは応用で何でも作れるようになると言っても過言ではありません。
②「自分で作ってみたい!」と思ったら、まずカルディに行きましょう。
小倉シェフの動画で紹介されている食材はそこそこ値段の張るものが多く、ちょっと手を出しづらいなあというところです。かと言って、スーパーで安いものをテキトーに買い揃えてもあまり美味しく作れません。そんなときはカルディです。カルディに行きましょう。以下、アラビアータ(orペペロンチーノ)を作るのに必要な食材のうち、カルディで買うとお得でおいしいものをリストアップします。
エキストラヴァージンオリーヴオイル(ラニエリ/Ranieri)←カルディのHPに飛べます
値段の高いイメージのあるオリーヴオイルですが、カルディで売っている「ラニエリ」というオリーヴオイルが安くておいしいです。店頭だと小瓶500円強(中瓶1000円強)くらいの値段で売っていることもあります。普通のスーパーでこれと同じ品質のものを買おうと思ったら倍の値段するだろうなという印象です。鷹の爪(唐辛子)
カルディのスパイスコーナーに置いてある鷹の爪です。香りと辛味がちゃんとあっておいしいです。100円強です。普通のスーパーでよく売ってるような鷹の爪よりずっとおいしいです。乾燥パセリ
小倉シェフの動画ではよくイタリアンパセリが食材として使われていますが、基本的に高価です。なので、乾燥パセリで代用しましょう。なお、上述の鷹の爪を含め、カルディのスパイスや乾燥ハーブのラインナップは基本的に信頼できます(*後述しますが、イタリアンパセリの代わりに春菊もおすすめです)。トマト缶(ホール/カット)
100円くらいです。一度に作るパスタの量にもよりますが、1缶でだいたい3〜4人前のパスタを作ることができます。かなりお得です。アンチョビ
上で紹介した動画では使われていませんが、いろんなパスタを作っていくなかで必要になる調味料です。500円以下で買えます。また、少しずつしか使わないので、買って冷蔵庫に入れておけばしばらく使えますし、パスタがぐっと美味しくなるので買っておきましょう。「ペコリーノロマーナ」という固まりチーズ
1000円弱で少し高いので、なくてもいいです。ただし、粉チーズ(300〜500円)を買って使うよりは、ずっとおいしいですし、長く使えるので、コスパは最強です。削ったものをパスタにかけたりします。
*最初に食材を買い揃えるのに少し値段が張るかもしれませんが、基本的にどれもずっと使えるものばかりですし、買い揃えておいたほうがトータル安くなるので、買ってしまいましょう!
③ カルディに行った帰りに、スーパーに行きましょう。
先にスーパーに行くとスーパーでそろえたくなるので、あくまでカルディに行った帰りにスーパーに行きましょう。以下、スーパーで買うものリストです。
パスタ(スパゲティ)
パスタは基本的に何でもOKです。ただし、安すぎるとアルデンテの時間が短かったり歯応えがなかったりするので、あまりおすすめしません。ちなみに、小倉さんの動画でオススメされているガロファロは高級パスタです。表面がツルツルの乾麺(テフロン)とザラザラの乾麺(ブロンズ)がありますが、最初のうちはツルツルの乾麺を買ったほうが失敗しにくいです。ちなみに、テキトーに高価な乾麺を買うと、ザラザラのやつにぶち当たる可能性が高いので気をつけましょう。ニンニク
理想は青森県産のニンニクですが、1玉300〜500円くらいなので、毎日使うのはしんどいと思います。代わりに、スペイン産のニンニク(1玉100円強)が大きくておいしいのでオススメです。3玉100円(中国産の場合が多い)のニンニクは柔らかい香りが出にくいのでパスタ料理には合いません。チューブのニンニクは禁止です。タマネギ
あってもなくてもいいです。
④ 帰宅したら、小倉シェフの動画のとおりに作ってみましょう。
カルディ&スーパーから帰宅したら、先に挙げた小倉シェフの動画をもう一度視聴しましょう。そして、スポンジのように素直になって、できるだけ小倉シェフが言うとおりに作ってみましょう。
とくに気をつけたいのは、刻んだニンニクと唐辛子の香りをオリーヴオイルにしっかり移すところ、オリーヴオイルでトマトソースをフリットする際の色合いの変化やタイミングです。めんどくさがらず、動画を少しずつ見直しながら、小倉シェフの言うとおりにやってみましょう。そうすると、「たったこれだけのことでこんなにおいしくなるのか!」と驚くと思います。
⑤ 美味しくできたら、何度も作って食べたくなります。
この時点ですでにほぼパスタ中毒です(実績として私は3人以上ほぼ中毒にしてきました)。
⑥ 具を入れてトマトベースやオイルベースのパスタを作ってみる。
アラビアータとペペロンチーノを覚えたら、具(最初は多くて2種類)を入れてトマトベースやオイルベースのパスタを作ってみましょう。具をフライパンに入れるタイミングさえ間違えなければ、基本的にアラビアータやペペロンチーノを作るのと同じ要領で、かなりおいしいパスタが作れるようになっているはずです。
例えば、個人的なオススメとしては、春菊とエビのオイルパスタ(ペペロンチーノ)は失敗しにくくて、自然と味が複雑になるので、美味しく作れたときの驚きが大きいと思います。
ペペロンチーノの作り方を少し応用するだけなのでレシピは細かく書きませんが、以下のような感じです。
エビは軽く包丁で叩いておきます。軽く包丁で叩くのは、安い冷凍のエビを使った場合に身が固くなって美味しくなくなるのを防ぐためです。また、飾り包丁を入れたようになって面白い食感になります。
エビは、ニンニクをオイルに投入した後、オイルが温まってきたくらいのタイミングで投入し、ニンニクと一緒にじっくりじわじわ火を通します(大きめに切ったニンニクとオイルの中を泳がせて、エビの香りをオイルに移しつつニンニクの香りでエビの臭み消しをするようなイメージです)。
春菊は、小さめにぶつ切りにしたものを、エビとニンニクに火が通ったあと(フライパンの火を消したあと)に、フライパンに投入する感じです。油の余熱とパスタをフライパンに移して仕上げるときの火力でさっと火を通す感じです(春菊を天ぷらにしたときの独特の香りを引き出せると最高です)。
レモン汁(安い)やレモンの皮(少し高い)で少しレモン風味をつけても美味しいです。
どういう具の組み合わせがありうるのか、具をどれくらいのタイミングでフライパンに投入すればいいのか、具はどれくらい火を通せば美味しくなるのか、ということについては、YouTubeで探して追求するのみです。
個人的には、次の5つのYouTubeチャンネルがオススメです。
小倉知巳のイタリアンプロ養成講座
https://www.youtube.com/@regalo_ogura
味の組み立て方をロジックとイメージで教えてくれるので理解度が深い。季節の野菜についての情報も。きょう何たべよ / Marco Macri
https://www.youtube.com/@kyo.nani.tabeyoo
具の組み合わせのレパートリーが豊富なので、食材に困ったときに役立ちます。ぼなぺTV Bonapetv(トシさんシリーズ)
https://www.youtube.com/@tvbonapetv1035/featured
イタリア独特のパスタ料理が登場するので驚きが多い。トシさんが紹介しているブロッコリーのパスタとナスのパスタが最高。日高良実のACQUAPAZZAチャンネル
https://www.youtube.com/@acquapazza4863
パスタの勉強になるのはもちろんですが、紹介されているアクアパッツァの作り方を覚えるとオリーヴオイルに魚介のおいしい味や香りをつける感覚がつかめるので、パスタを作ることにも応用できます。ファビオ飯 /イタリア料理人の世界
https://www.youtube.com/@chef_Fabio
ペペロンチーノ系はこのチャンネルで紹介されている作り方が一番好き。ニンニクの香りを優しく出す!
⑦ スーパーの野菜売り場が楽しくなる。
私は、パスタを作り始めて、季節の野菜を使うだけでパスタ全体がこんなに美味しくなるのかということに気づきました(きっと魚介もそうなのでしょうが、値段的にも手間のかかり具合としてもあまり手が出せていません)。スーパーに行き、野菜売り場を探索し、季節のおいしい野菜を安く買い、野菜を中心にパスタのレシピを探したり考えたりすると、食費も抑えられますし、健康にもよく、何よりパスタがおいしくなります。
まとめ
使う食材にもよりますが、一食200円前後で作れるレパートリーのなかではダントツでレベルの高い料理になるのが、パスタです。日替わりでいろんな野菜も取れるので、健康にもよいです。研究者の皆さんであれば「今日はこの食材とこの食材を組み合わせてムフフ、、、」という感じで、いろんな化学反応の実験も楽しめると思います(うまく食材を組み合わせて調理すると足し算ではなく掛け算になるので、その組み合わせを発見したときが最高です)。これまであまりパスタを作ってこなかった人やレトルトのパスタソースをかけて食べていた人は、このページで紹介したようにパスタの作り方を覚えれば、驚くほど美味しいパスタが作れるようになると思います。「これまで食べてきたパスタは何だったんだ!」と叫びたくなるはずです。
次の休みはカルディに直行ですね。以下は、少し応用編ですが、そのほかのオススメをまとめました。
*その他のおすすめ*
普通のフライパンで十分おいしく作れます(*アルミパンはパスタ中毒になってから買いましょう笑)
イタリアンパセリ(高価!)の代わりは、乾燥パセリでもOKですが、春菊もオススメです(上に書いたエビ&春菊のスペゲティ以外でも汎用性が高いです)。
運営の一人は、ワケアリの青森県産ニンニク(バラ500gで1000円前後)をオンラインショップで購入して使っているようです。コスパもよいですし、ちゃんと美味しいニンニクでした。
イタリア産の唐辛子(日本のとけっこう違う)もオンラインで安くまとめ買いできるようです。
個人的に発見した法則としては、香りの強い魚介と香りの強い野菜を組み合わせると、味が複雑になって美味しくなりやすいと思います。先に紹介したエビ&春菊はこれです。
先に紹介したファビオさんの動画では、アンチョビの代わりに鮎の魚醤が使われていることがあります。魚醤は、アンチョビより保存や調理に便利ですし、アンチョビとは風味の異なる味わいが出るので、アンチョビと併せて準備しておいて損はありません。ただ鮎の魚醤はけっこう高価です。イタリア産の魚醤も高価なものが多いです。安い魚醤でも使ってみると、いろんな香りや旨味のパスタが味わえるので面白いです。要するに、オリーヴオイル+ニンニクの柔らかい香り+魚介等の旨味(+唐辛子)の組み合わせでイタリアンらしい味わいになるので、例えばチャンジャもパスタに使えるんじゃないかな〜と最近は考えています。
「コン・ポモドーロ(with tomato)」を覚えると旨味と美味しさの幅が広がります。「コン・ポモドーロ」はトマトベースのパスタではなく、オイルベースのパスタにほんの少しだけトマトやトマトソースを入れて、トマトの旨味だけを借りる、というような手法です。小倉シェフの動画に出てくる表現を借りれば「旨味を底上げする」感じです。
全般的に、野菜の旨味を意識して作ると、美味しいパスタになります。野菜の旨味の出し方については、先にご紹介した動画で様々に紹介されていますので、研究しましょう(研究しがいがあります)。例えば、夏野菜のオイルベースパスタは上手に作るとコンソメなしでコンソメを使ったような味わいになりますし、ナスのパスタはナスをトロトロにして作ると天下一品のポタージュスープみたいな味わいになります。
*随時、更新していきます。
*おすすめレシピ(?)*
ツナ編
「ツナのスパゲティとか懐かしの味かよ」と、かつての私は少しバカにしていましたが、この動画を観ながら実際に作ってみて世界が変わりました。ツナマヨ以上のツナ缶のポテンシャルに出会えます。
ツナ&トマトのパスタ
この動画では、ケッパー(ケイパー)が使われていますが、なくても十分おいしく作れます。
業務スーパーなどで安く買ったオリーヴの実を4分の1サイズにカットしてケッパーの代わりに入れても美味しいです(業務スーパーなどならケッパーも安価ですが)。
要するに、作り方さえこの動画に従って作れば、具はツナ&トマト(orホールトマト)だけでかなり美味しく作れます。*ニンニクや唐辛子、オリーヴオイルは必須です。
ブロッコリーソースのパスタ(ツナver.)
まずもって、この動画で紹介されているブロッコリーソースのパスタは天才です。
味はもちろん、コスパ的にも栄養価的にも天才です。
皮は剥くけど、太い芯のところも美味しく食べれます。
クリームのようなブロッコリーソースに出会えます。
茹でるのが面倒な場合は、少し水を加えた耐熱容器に荒く刻んだブロッコリーを入れてラップ&レンチンでいけます。
個人的にアンチョビの旨味が強すぎる気がするので、代わりにツナ缶を入れてみたら、完全に整いました。
ツナの扱い方はツナ&トマトのパスタの動画に準じます。