京大からタテ看が消える日
そんな日が来るのでしょうか?
落ちたりんごが枝に戻り
月が落下する日。
アインシュタインならきっと言うでしょう
時計台のあるところ必ず時空はゆがむ。
トイレで盗撮があったんですって?
そこいらじゅうに貼り紙があります。
ぼくも娘ふたりを持つ身です。
厳罰をもとめます。
でもぼくたちこのキャンパスで
何台ものカメラによって四六時中写されているのですね。
キャンパスは学生の思いの丈を映すカンバスだと
遠いむかし、亡くなった友人は語っていましたが……
何か重苦しい不安にぼくは駆り立てられています。
不正論文の発覚ではありません。
入試の出題ミスでもありません。
原子力研究所の爆発事故でもありません。
ほんとうにそんな日がやって来るのでしょうか?
鳥が空を飛ばなくなる日、
魚が海を泳がなくなる日、
学生も教員も声をあげなくなる日、
京大からタテ看が消える日。
反歌
四月。山際の、川沿いの、桜は満開。
我がキャンパスは枯れ葉でいっぱい。