ねらい:近年、会員数の減少とともに若手会員の定着が大きな課題となっている。この状況を受けて、2019 年の東京総会を機に「若手シンポジウム」が創設された。本シンポジウムは、若手主体の世話人によって企画・運営され、若手会員の現状を共有する中で、ベテランとの「縦」のつながりや若手同士の「横」のつながりの強化に取り組んできた。今年はこれまでの取り組みを継承しつつ、若手をはじめ、会員・非会員を含む幅広い層を対象に、地団研の強みであるフィールドに根ざした調査・研究を軸とした交流を深めたい。蓮華帯の地下構造を題材とした巡検および講演を通じて現地調査の魅力と意義をあらためて共有し、世代を超えた交流と学びの場を創出することで、フィールド科学の精神と実践を次世代へ引き継ぎ地団研の活性化を図る。
◆<1日目> 8月29日(金)【野外観察】
時間:午後1時〜午後5時(予定)
場所:新潟県糸魚川市内
日程:巡検中はマイクロバスで移動します。(参加者の動きは下記参照。)
◆<2日目> 8月30日(土)【発表討論会】
時間:午前9時30分〜正午
会場:ミュゼ雪小町・ギャラリー
プログラム:
【若手発表】
9:30〜9:40「野外観察の振り返りと趣旨説明」佐藤ひかる(新潟支部)
9:40 〜 10:00「糸魚川のヒスイ輝石岩と蓮華帯の変成作用 」小河原孝彦(新潟支部)
10:00 〜 10:20「新潟県糸魚川市山之坊~長野県小谷村横川流域を中心とした曹長岩の起源とひすい輝石岩との成因関係の検討」西澤ひなた(新潟大学大学院生)
10:20 〜 10:40「糸魚川市山之坊地域における角閃石岩類の起源とコスモクロア輝石との成因関係についての研究」岡田 花(新潟大学大学院生)
10:40 〜 10:50 休憩
【産状を制約条件に位置付けた先端研究】
10:50 〜 11:10「蛇紋岩メランジュ中の花崗岩質岩が意味するもの−青海川の転石の例−」加々島慎一(山形大学)
11:10 〜 11:30「野外調査は地質研究の前菜か?」植田勇人(新潟大学)
11:30 〜 12:00 総合討論
世話人:佐藤ひかる・竹之内 耕・大河内 誠・小河原孝彦・茨木洋介・香取拓馬(以上新潟支部)・金子翔平・相澤雄流(以上福島支部)・高野華純(長野支部)
シンポジウムⅠ(8/29 野外観察)参加者の動き
ねらい:これまで80 年近くにわたって全国の会員や団研が進めてきた「三位一体の科学運動の歴史」に学び、「これからの地団研の活動」について討論するシンポを企画しました。今回のシンポでは、大きな柱を二つ立てました。一つは「災害・原発・科学的特性マップ問題と科学運動」で、災害・原発問題などの活動の取り組み、もう一つは「団研・大学・博物館と科学運動」で、長期にわたって活動を続けてきた団研・研究グループ・大学・博物館の報告です。4月のプレシンポでは多くの話題提供がありましたが、時間の関係で充分な討論ができませんでした。総合討論「地団研の科学運動のこれから」では、充分な時間を確保しましたので、全国からの実践もコメントしていただき、長らく懸案となっている若手育成・後継者問題に切りこみたいと考えています。
日時:8月31日(日)午前9時〜午前11時55分、午後1時30分〜午後3時20分
会場:ミュゼ雪小町・ギャラリー
プログラム:
【地団研と科学運動】
9:00〜 9:20「シンポジウムⅡ『私たちの科学運動の現状とこれから』を開催するにあたって」竹越 智(新潟支部)・シンポジウムⅡ世話人会
【災害・原発・科学的特性マップ問題と科学運動】
9:20〜 9:45「発⾜して10 年の原発団研の活動と課題」柴崎直明(福島支部)・福島第一原発地質・地下水問題団体研究グループ(原発団研)
9:45〜10:10「『科学的特性マップ』を考える会の活動と今後の課題」松本俊幸(東京支部)・「科学的特性マップ」を考える会
10:10〜10:20 休憩
10:20〜10:45「新潟10 万年を考える会と科学運動 ―科学的特性マップの地質学的検証に向けて」久保田喜裕(新潟支部)・新潟10 万年を考える会
10:45〜11:00 コメント「現場に学び,現場に返す」桑原加代子(新潟県災害対策連絡会世話人)
【団研・大学・博物館と科学運動】
11:00〜11:25「野尻湖発掘の60 年」近藤洋一(長野支部)
11:25〜11:40 コメント「野尻湖発掘の魅力」都築宙記(信州大学教職大学院生)
11:40〜11:55「地団研の科学運動と大学の現状・今後:地学事典編集などを手がかりに」赤井純治(新潟支部)
11:55〜13:30 休憩
13:30〜13:45「博物館・ジオパークが担う地学教育の普及活動」香取拓馬(新潟支部)
13:45〜14:00「米山団研のおいたちと現状」大野隆一郎(新潟支部)・米山団研
14:00〜14:15「学生層の継続活動-新潟大学地質科学プログラムの事例」大河内 誠(新潟支部)
14:15〜14:25 休憩
【地団研の科学運動のこれから】
14:25〜15:20 総合討論
参考文献:
1)地球のなぞを追って−私たちの科学運動(2006)地学団体研究会編 大月書店刊
2)わたしたちが取り組んだ災害調査−新潟をおそった地震と豪雨−(2015)『地学教育と科学運動』特別号
3)三位一体の科学運動の歴史・現状・これから−下仁田総会「科学運動シンポジウム」のまとめ−(2010)金井克明 地学教育と科学運動63号
世話人:竹越 智・久保田喜裕・金井克明・飯川健勝・佐藤和平・赤井純治・山田雅晴・香取拓馬(以上新潟支部)・正田浩司(埼玉支部)
4 月20 日(日)上越市高田の上越高校で、高田総会シンポジウムⅡ「私たちの科学運動の現状とこれから」のプレシンポが開かれ、55 名(内対面22 名)の参加でした。はじめに、世話人会の竹越智会員から、「地団研活動の基本となってきた『創造・普及・条件づくりの三位一体の科学運動』をふり返り、今後どのように科学運動を進めていくかについて討論し、本シンポにつなげ
たい」との趣旨説明がありました。
プレシンポの話題提供(演題は一部簡略化)は以下の通りでした。「野尻湖発掘の60 年」、「原発団研の活動と課題」、「『科学的特性マップ』を考える会の活動と課題」、「『新潟10 万年を考える会』と科学運動」、「能登半島地震での表面波の進行方向」、「能登半島地震後の富山県から新潟県にかけての隆起について」、「2024 年能登半島地震による新潟市西区での液状化被害アンケー
ト」、「地学事典編集に科学運動の視点で取り組んで」、「高田(新潟)支部の歴史に学ぶ」、「米山団研のあゆみ」、「地域の学校教育に必要とされる博物館・ジオパークを目指して」、「学生層の継続活動-新潟大学の事例」。
総合討論では、補足コメントとして、「新潟支部の災害調査と科学運動」、「現場に学び、現場に返す」があり、引き続いて討論が行われました。その中で、長く続いている活動には、魅力的なテーマがあること、活動が次の世代に育ち引き継がれていること、地域との連携が地団研外にも拡がっていることなどが話された。また、原発高田総会プレシンポジウムの報告「私たちの科学運動の現状とこれから」問題では、社会的な問題に直接かかわるようなテーマに取り組み、市民への普及活動を行っています。国が推し進めている原発政策などの問題点などを明らかにして、地元の認識を高めることに取り組んできたことも確認されました。市民とともに実施した被災地調査やアンケート調査、地学事典の執筆については会員外の専門家とも連携して完成させたこと、地域の小中学校と博物館との連携や大学生との連携、能登半島地震に関連したデータなど、どれも興味深い内容でした。
今回のプレシンポでは、三位一体の科学運動に関する多くのヒントが出され、これから世話人会では、プレシンポの結果を整理し、本シンポに向けた準備をすすめていきます。高田総会への対面参加をどうぞよろしくお願
いします。
(新潟支部 山田雅晴)
⽇時:4⽉20 ⽇(⽇) 午前9時30分〜午後3時
会場:上越⾼校物理・地学室(対⾯+オンラインZoom 併⽤)
⽬的:本総会のシンポへ向けて課題を抽出する
プログラム:
9:30-9:35 趣旨説明 ⽵越 智(新潟支部)
9:35-10:05 「野尻湖発掘の60 年」近藤洋⼀(長野支部)
10:05-10:25 「発⾜して10 年の原発団研の活動と課題」柴崎直明(福島⽀部)
10:25-10:45 「『科学的特性マップ』を考える会の活動の整理と今後の課題」松本俊幸(東京支部)
〜休 憩〜
10:55-11:25: 「『新潟10 万年を考える会』と科学運動−越後平野周辺の第四紀地殻変動と地震」久保⽥喜裕(新潟支部)
11:25-11:35 「能登半島地震での表⾯波の進⾏⽅向−越後平野と内灘町の場合」神蔵勝明(新潟支部)
11:35-11:50 「能登半島地震後の富⼭県から新潟県にかけての隆起について」⼩林和宏(長野支部)
11:50-12:00 「2024 年能登半島地震による新潟市⻄区での液状化被害アンケート」⼘部厚志(新潟⽀部)・⻄区地震被害アンケートの会
〜昼 ⾷・休 憩〜
12:40-13:00 「地学事典編集に科学運動の視点で取り組んで」⾚井純治(新潟⽀部)
13:00-13:10 「⾼⽥(新潟)⽀部の歴史に学ぶ」豊岡明⼦(新潟⽀部)
13:10-13:25 「⽶⼭団研のあゆみ」⼤野隆⼀郎(新潟⽀部)
13:25-13:35 「地域の学校教育に必要とされる博物館・ジオパークを⽬指して」⾹取拓⾺(新潟⽀部)
13:35-13:50 「学⽣層の継続活動−新潟⼤学の事例」⼤河内 誠(新潟⽀部)
〜休憩〜
14:00-15:00 総合討論−本シンポの⽅向性について
コメント:新潟⽀部の災害調査と科学運動
「私たちが取り組んだ災害調査と科学運動−災害は市⺠の最⼤の関⼼事」飯川健勝(新潟⽀部)
「現場に学び,現場に返す−研究調査結果は地域住⺠へ」桑原加代⼦(⾮会員, 新潟県災害対策連絡会)
<参考⽂献>
1)地球のなぞを追って−私たちの科学運動(2006)地学団体研究会編 ⼤⽉書店刊
2)わたしたちが取り組んだ災害調査−新潟をおそった地震と豪⾬−(2015)『地学教育と科学運動』特別号
3)三位⼀体の科学運動の歴史・現状・これから : 下仁⽥総会「科学運動シンポジウム」のまとめ(2010)⾦井克明 地学教育と科学運動63 号