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台湾茶の市場では、今、「高山茶」が絶対的なブランド力を持ち、価格も高騰しています。しかし、本当に標高が高いお茶が、無条件に最高の価値を持つのでしょうか?
茶葉の広告では、決まって「海抜X千メートルの原生林」「昼夜の大きな温度差」「年中絶えない雲霧」といったフレーズが並びます。確かに、山地の環境が茶の生育に影響を与えることは事実です。
しかし、立ち止まって考えてみてください。「最適な海抜は具体的に何メートルか?」「昼夜の温度差は何度あれば適切か?」といった具体的な数値を、科学的・定量的に示せる専門家はほとんどいません。 私たちが目にするのは、数値で証明できない「産地の優越性」という曖昧な神話であり、この「海抜信仰」こそが、現在の市場価格を不当に吊り上げているのです。
台湾の茶園は、世界の主要産地と比べても、驚くほど高い場所にあります。この「超高所」での生産はコストが高いだけでなく、深刻なリスクが伴います。
まず、製茶技術の壁です。台湾茶の主流である半発酵茶(烏龍茶)の製法では、茶葉を揉む前の萎凋や静置回潤といった工程が非常に重要です。しかし、標高が高く気温が低すぎる環境では、この工程が思うように進みません。低温は発酵を妨げ、せっかくの伝統的な半発酵茶の技術が活かせない、製茶に不向きな環境なのです。その結果、茶葉は発酵が極めて少ない「緑茶風味」の方向へと進みがちになります。
次に、環境破壊と自然災害の脅威です。高山での無節操な開墾は土砂流出を引き起こし、深刻な環境破壊につながっています。さらに、地球温暖化の影響で極端な気候変動に見舞われる中、水源の保持という観点からも、高山茶園の無制限な開発は、持続可能性を欠いた愚かな行為と言わざるを得ません。
「産地は最も重要な点ではなく、海抜の高さは参考程度」
これこそが、半発酵茶である台湾茶に向き合う適切な姿勢でしょう。
海抜ばかりが評価される風潮は、台湾茶本来の価値である「製造技術」を軽視することに繋がります。中国で半発酵茶の製茶技術が「無形文化遺産」として保護され、学術資源が投入されているのに対し、台湾では技術的な深みが失われつつある現状が懸念されます。
ドイツの工業製品が高く評価されるのは、その「実事求是(事実を重んじる)」で「几帳面な仕事熱心さ」という技術力によるものです。台湾茶もまた、曖昧な産地の優越性を誇るのではなく、熟練の技が生み出す付加価値に立ち返るべきです。
この「海抜信仰」を巧妙に利用したのが、「高山茶」と「高冷茶」という言葉です。
まず、高山茶とは、地理学的に海抜1000m以上の茶園で栽培された茶を指します。これは地理的な裏付けがあり、茶商の売り口上を改良場が追認したことで、「標高が高い」という付加価値を与えるブランドとなりました。
問題は、近年登場した高冷茶です。この言葉に正式な定義はありません。茶商は、一般的な高山茶を上回る「最高級」の価値を持たせるため、この言葉を創造しました。販売者は、1600m以上、1800m以上、あるいは2000m以上と、売りたい価格帯に応じて海抜基準を勝手に変動させているのが実態です。高冷茶とは、高山茶をさらに上回る価値を捏造するための、ご都合主義の悪質な売り口上に他なりません。
私たち消費者は、無責任な商業的な売り口上に惑わされてはいけません。
標高の高さはあくまで参考情報と捉え、「高冷茶」という言葉を耳にしても「高山茶」と読み替えて認識することが、市場の混乱を防ぐ上で大切です。
そして、「高冷茶は〇〇mから」と紹介されたら、「この販売者は、この標高以上の商品を高く売りたいのだな」と冷静に見抜く。海抜で茶の価値を決める愚から解放され、その茶葉に込められた技術と情熱こそを正しく評価できる、図太く賢明な愛好家が増えることを心から願っています。
台湾の高山茶の中でも、大禹嶺茶と梨山茶は特に高い評価を受け、その希少性から高値で取引されています。しかし、その人気の高さゆえに、市場には真贋が入り乱れており、「本物」を見極めることは非常に困難です。缶や袋に産地名が書かれているからといって、それが本物であるとは限らず、自己満足や贈答の箔付けのために利用されているケースも少なくありません。
消費者が直面する疑問の一つに、価格の大きな差があります。テレビショッピングなどで大禹嶺茶が2斤(約1.2kg)2千~3千元という破格で販売される一方で、茶専門店では1斤(約600g)が6千~8千元、時には万元を超えることがあります。この極端な価格差は、流通する茶葉の品質や真贋を強く示唆しています。
また、本物らしさを装うために、茶葉包装店では福寿山農場そっくりの缶や、あらゆる産地名が印刷された袋が販売されており、誰でもそれらを購入し、出所の不明な茶葉を詰めて「本物」として販売することができてしまうのが現状です。
大禹嶺茶は海抜2,200~2,600mの非常に厳しい環境で育まれ、その特殊な香気成分が最大の特徴とされます。茶農家たちが本物と見なす基準は、茶を淹れた際に高温で「ネギを切ってこすり合わせた時の香り」や「松ヤニのような刺激臭」があるかどうかです。この強烈な香気が出ないものは、いくら大禹嶺と表示されていても本物とは呼べないとされます。ただし、この刺激臭は日本人の間では好みが大きく分かれ、苦手とする人も少なくありません。
この茶区の元祖であった105K茶園をはじめ、本来の産地である100k~105kの茶園の多くが地目違反などを理由に政府によって伐採・撤去されており、狭義の「本物」は激減し、入手が極めて困難な状況です。本物を購入する際には、キロポストや生産者名が明確にされているかを確認することが一つの重要な手がかりとなります。
梨山茶は海抜が高く、昼夜の気温差が激しい場所で育ち、茶水が非常に柔らかく、煎が続き、回甘(戻ってくる甘さ)が強いのが特徴です。大禹嶺と比べると近代的な製茶設備を持つ中規模工場が多く、ブランド化も進んでいるため、入手難度はやや低いとされます。ただし、「天府農場」のように道路すらなく、地目違反や密造工場を含む不明瞭な茶園のものが、そのインパクトを利用されて流通しているケースも多いため、注意が必要です。
福寿山農場茶は、半官半民の農場で栽培され、なだらかな丘陵地でゆっくりと育てられることから、葉が大きく厚く、成熟した茶葉の味が魅力です。この茶は歴代の台湾総統が外国賓客をもてなす際に用いられることでも知られ、偽造防止のため独特の缶で販売されています。市場ではあまり見かけられませんが、これは定価が明確で缶で密封販売されるため、茶荘が付加価値をつける余地が少ないためです。福寿山農場茶を購入する際は、偽造防止のために数年ごとに変更される缶のデザインを公式ページで確認することが重要です。
1. 生産履歴証明・産地証明標章の限界 「証明章がない茶は偽物」という考えがありますが、実際には地目違反の茶園が多く、証明書の申請自体ができない農家が少なくありません。また、これらの標章は茶農家による直接販売時にのみ有効で、茶商が精製作業をすると無効になってしまうため、都市部の茶商での使用率は低くなります。証明章の有無だけで真贋を判断するのは早計です。
2. 「産地直行」は必ずしも最善ではない 「産地に直接行けば安く買える」と思われがちですが、製茶のピーク時には都市部の茶商がすでに現地で待ち構えており、良質な茶葉は当日に粒(約18kg)単位で売約されます。一般の消費者が後から山に登って買えるのは、茶商に売れ残った茶である可能性が高く、品質が良いとは限りません。
本物の梨山茶や大禹嶺茶を手に入れるためには、単に缶の表示や価格の安さに惑わされるのではなく、産地の現状と茶葉の特徴を理解し、信頼できる情報源と取引相手を見つけることが最も重要です。特に大禹嶺茶の場合は、その特殊な香気成分を実際に感じられるかどうかが大きな判断材料となります。高価な珍しい茶であっても、自分の好みに合わないものを無理に求める必要はありません。一度本物を飲んでみて、その特徴や香りが好みに合うかどうかを判断し、賢明に茶選びをすることをお勧めします。
茶行の基本的なミッションは、生産者と消費者の間の信頼できる橋渡し役となり、茶の品質の安定と知識の普及を通じて、長期的な「生産と消費」の健全なサイクルを構築し、産業の発展に貢献することにあります。
茶は、コーヒーやワインなどと比較しても天候の影響を受けやすく、同じ生産区であっても採取時期や山の斜面の向きなどによって品質が大きく変動する農産物加工品です。消費者が毎回一定の品質保証を求める中で、茶行は最も適切な購買ルートでなければなりません。
茶行は、この品質の不安定さという生産現場に起因するリスクを管理する重い責任を負っています。多くの茶農家と消費者のために、長期的な生産と消費の循環を構築することがミッションであり、単なる商品の仕入れや包装で付加価値をつけるだけの簡単な仕事ではありません。
茶行は、品種、産地、季節、天候、加工技術など、品質に影響を与えるあらゆる要素を正確に判断する高度な専門知識と長年の経験が求められます。天文や地理の知識に加え、茶樹の生理、茶園の生態、茶の加工技術といった分野を研究し、さらに十分な資金と大量仕入れ能力を持つことで、優れた販売モデルを構築できます。これにより、特定の生産者の品質のブレや不作といったリスクを回避し、消費者に一定の品質を保証して提供するとともに、茶農家の報酬を確保し、長期的な協力関係を維持することが可能となります。販売する茶葉に責任を持ち、消費者に正しい知識を伝え、自分に合うお茶を選ぶ手助けをすることが、茶行本来の仕事です。
多くの消費者が「茶行ではなく、直接農家から買えば安く良いものが手に入る」と考えますが、実際には、品質の不安定さから前述のようなリスクが発生し、結果として良い茶を買えず、農家も多くの利益を上げられないという事態に陥りがちです。茶行は、この不安定さを吸収し、品質をコントロールする「門番」の役割を果たすことで、生産者と消費者の双方に安定をもたらす不可欠な存在です。
特に若い世代の台湾の愛好家は、茶行に対して「自分の好きな茶の種類を伝えられない」「経験豊富な店主に品質と価格の釣り合わない製品を購入させられる」といった恐怖感や警戒心を持つ人が多く、茶行に距離感を感じています。
茶行は、消費者との間のこの距離感を縮め、信頼関係を築く役割を担います。観光地や産地での購入と異なり、近所の茶行であれば試飲が可能であり、後で湿気や味の疑問が生じた際のアフターサービスも期待できます。茶行は、消費者にとって茶葉を探し、茶の知識を学習し、質問をするのに最も適した相手でなければなりません。
バーがアルコールに関する知識を消費者と結びつける架け橋であるように、茶行は愛好家が品質の安定した茶葉を買い、茶の知識を吸収して学ぶ場所となるべきです。包装の精巧さだけを追求したり、似非の知識で消費者を混乱させたりする店は、一時的な利益を得られても、産業の健全な発展には寄与せず、淘汰されるべきです。茶行が品質と教育の機能を維持することは、茶産業の発展において不可欠です。
台湾の茶の包装は、四角い紙包みから、湿気を効果的に遮断するビニールやアルミガゼット袋、さらには窒素充填技術へと、主に機能性を追求する形で進化してきました。この進化は、発酵度を抑えた緑茶化が進むなど、短期間で変質しやすい現代の製茶形態に対応するために必要とされました。
一方で、文化創意産業の支援のもと、茶葉包装のデザインが盛んに発展し、視覚美学やブランド性が重視されるようになりました。消費者はネットなどのルートを通じて、デザイン性の高い茶を購入するようになっています。
茶行にとっての試練は、この包装が時代の流れに合わせて変わった時、「茶葉の中身が追いついているか」という点です。茶行は、精巧な包装に頼るのではなく、包装の進歩と技術革新を茶葉の鮮度保持のために活用しつつ、中身の品質を絶えず追求しなければなりません。消費者が「茶」を買っているのか、それとも「包装」を買っているのかという問いは、茶行が常に自問すべき本質的な問題です。
日本の一部の茶葉販売店には、知識と仕入れルートの欠如が課題として指摘されます。特定の「茶師」や「凄腕バイヤー」に仕入れを依存する販売店は、その仕入れ先が失敗したり、引退したりした場合に、顧客に良質な製品を安定的に届けられなくなるリスクを抱えています。これは、顧客に悲劇をもたらすお粗末なビジネス構造です。
また、仕入れルートが細い販売店ほど、「今年の産況は悪い」といった言葉で、自身の仕入れルートの茶の出来の悪さや、良品を探し出せない能力の欠如を産況のせいにしがちです。真にプロフェッショナルな茶行は、気候条件が悪くとも、他の産地や農家から良品を探し出し、顧客に届ける責任を負うべきです。
知識の面でも、自社商品を賛美するために事実を歪曲したり、詭弁や伝聞、事実と異なる情報を詳細に記述したりするネットショップが存在し、消費者の混乱を招いています。茶行は、正確で専門的な知識に基づいた情報提供を行い、真の教育者としての役割を果たすことが強く求められます。
茶葉の品質を劣化させ、お茶の味を悪くする主な条件は、水分、光線、酸素、温度、匂いの五つです。
まず、水分についてです。お茶は乾燥食品であり、台湾の精良な製茶の含水量は通常4〜5%、精製焙煎を経たものは2%程度と非常に低く保たれています。茶葉の含水量が7%以上になると、風味に良くない化学作用が加速し品質が急速に劣化します。さらに12%を超えるとカビが生え始め、食品衛生上飲用できなくなります。水分量が高いと淹れたお茶の味が「スカスカ」になるなど、品質に直接関わるため、消費者は茶葉が極端に低い含水量の状態にあることを保つために水分を遮断しなければなりません。茶盤の上やポットの近くなど水分に近い場所への放置、また急激な温度変化による結露の発生には特に注意が必要です。
次に、光線も茶葉の品質を損なう重要な要素です。茶葉中の葉緑素、カテキン、香気成分などは光に対して敏感で、長期にわたって光にさらされると、乾燥茶の色が本来の緑色から次第に褐色に変わり、外観と風味が劣化します。そのため、光を遮断することがお茶を保存する重要な任務となります。アルミガゼット袋でも光を通すことがあるため、遮光の徹底が必要です。
酸素も劣化の要因となります。空気中の酸素と空気中に存在する微生物は、保存中の茶葉の酸化作用を促し、カテキンや香気物質の酸化によって、茶の香り、味、水色などの劣化をもたらします。特に香りを重視する軽発酵烏龍茶では、酸化が進むと本来の清新な花の香りが変質し、ガスの匂いや陳茶の味などに変わってしまいます。脱酸素剤は密閉環境での酸素除去に有効ですが、酸素を吸着する際に熱と水分を発生させるため、密閉されていない茶葉に大量に使用すると急速な劣化を招く危険性があります。
温度も品質劣化の速度に正比例します。温度が高ければ高いほど、茶の劣化速度は速くなります。緑茶や軽発酵の烏龍茶では、高温によって茶葉の外観の褐色化が加速し、香りと新鮮さが急速に失われます。理論上は低い温度で保存するほど良いとされ、0〜5°Cでの冷蔵保存が推奨されますが、家庭用冷蔵庫では温度変化や結露、異臭吸着のリスクがあるため注意が必要です。
最後に、匂い(異臭)です。茶葉は環境中のにおいを吸着しやすい特性があります。この特性はジャスミン茶の製造などに活用されますが、貯蔵する際に容器や空間に雑臭があると、それが茶葉に吸着され、飲んだ時に雑味となって現れ、興ざめしてしまいます。ビニール袋などの匂いのする素材での保管は、茶葉の急速な劣化を招く一因となります。
加えて、茶葉は小分けにすると急速に劣化が進むため、ある程度まとまって置いておく方が保存がきく、という性質があります。したがって、茶葉を保存する際は、これらの五つの要因を避けつつ、密閉できて吸湿性の良い箱に入れ、匂いのない温度変化の少ない場所に保管し、必要分だけを小分けにして残りはすぐに密閉することが、家庭での適切な保存に繋がります。
台湾の茶市場は今、輸入茶葉、特にベトナムや中国などから流入する「境外茶」によって、その根幹を揺るがされています。台湾の代名詞とも言える烏龍茶や高山茶のブランドイメージと、国内農家の生活基盤は、巧妙な流通経路と法律の抜け道によって危機に瀕しているのです。
台湾では年間約3万7千トン(2018年)の茶葉が消費されていますが、国内生産量は約1万4千トンに過ぎません。この不足分を補うのが輸入茶葉であり、ベトナム、中国、スリランカ、インドネシア、インドが主な供給源です。中でもベトナムは、年間数千トンものウーロン茶や緑茶を台湾へ輸出していますが、消費者が店舗で「ベトナム産」と表示された茶葉を目にすることは稀です。
この膨大な輸入茶の多くは、法の抜け道を潜り抜けて「台湾茶」として市場に送り出されています。現行の法規では、輸入茶葉を台湾国内でティーバッグや茶飲料に加工したり、ブレンドしたりするだけで、製品の物理的性質が変化したと見なされ、原産地を「台湾」と表記できる解釈が存在します。特にシェイクティーやペットボトル飲料、飲食店で提供される茶葉飲料においては、輸入茶葉が合法的に台湾茶とブレンドされ、台湾産と表示されている現状があります。かつて立法委員が「販売されているお茶の中に1%の台湾茶葉が混ざっていれば、台湾産と言える」と発言したとされるように、この「ブレンド」が産地偽装の温床となっているのです。
さらに、中国で台湾の品種と技術を用いて生産された「台式烏龍茶」が、第三国を経由することで法規制を回避し、台湾へ転入している実態も指摘されています。観光地の土産物店などで見かける、台湾産茶葉のコストを遥かに下回る価格で売られる「高山茶」などは、この種の輸入茶葉が「台湾茶」の看板を掲げて販売されている典型的な例と考えられています。
「境外茶は粗悪品」という批判は、必ずしも正しくありません。ベトナムやタイなどで生産される台式烏龍茶には、台湾から資金、設備、技術が投入されており、台湾の製茶技術者が現地で指導を行うケースも多々あります。その結果、完成品の品質は台湾産と遜色なく、茶業改良場の担当者でさえ「専門家でも見分けられるとは限らない」と認めるレベルに達しています。
この品質の高さは、台湾各地の茶のコンテストでも問題を引き起こしました。輸入茶がコンテストで高評価を得て入選したことが判明し、地元農家の間で「鹿谷のコンテストの上位の多くが輸入茶ではないか」と囁かれた事件が起こったこともあります。この問題が表面化した後、コンテストの審査基準が変更された事実は、輸入茶の品質が本場の台湾茶と競合するレベルにあることを裏付けています。
境外茶の真の問題は、その品質そのものではなく、安い経営コストという優位性によって台湾市場を席巻し、適正価格で高品質な茶を生産している台湾本土の茶農家の生存を脅かしている点にあります。輸入茶は、産地表示の不実と低価格で市場に浸透し、台湾茶のブランド価値と国内農家の収益を同時に圧迫しているのです。
「ベトナム茶は毒がある」といった根拠のない中傷も見られますが、国際貿易と食品衛生検査を経ている以上、これは不当な非難です。境外茶の脅威は、品質の危険性ではなく、産地偽装による消費者の欺瞞と、台湾茶産業の発展空間の圧迫にあります。
この状況に対抗し、台湾茶のブランドを守る手段として、機械摘み茶の大量生産への注力が注目されています。南投県名間郷などで可能な品質の良い機械摘み茶を主力製品とすることで、コスト面で優位性を持つ境外茶に対抗し、市場の回復を図るという戦略です。
しかし、最も重要なのは、政府機関が連携し、産地表示に関する法規制を強化することです。消費者が見知らぬうちに海外の台式茶を飲まされる現状を改め、罪のない消費者が騙されないようにすること、そして台湾茶のブランドを守り育てていく責任が関係機関にはあると言えるでしょう。この産地偽装の問題がいつ正視され、根本的な解決が図られるのか、その行方は未だ見えていません。
お茶の本場、台湾。治安も安定し親日的なこの地で、自分だけのお茶を見つけたいと考える方は多いでしょう。しかし、数多くの茶荘の中から「本当に欲しい台湾茶」を見つけ出すためには、事前の準備と戦略が必要です。ここでは、そのための具体的なステップと、台北の茶荘の賢い選び方、そして応用的な購入経路を解説します。
台湾茶の購入で失敗しないためには、まずご自身の状況を客観的に把握することが重要です。
自分のレベルを把握する: 自分が台湾茶についてどの程度の知識を持っているかを知ることが重要です。知識がないのにいきなりマニアックな店に飛び込むと、場の雰囲気に流されて「よくわからないお茶」を高額で購入してしまうことになりかねません。もし知識が浅い、または旅行のついでに立ち寄る程度であれば、大手チェーン店や駐在員向け土産店など、分かりやすい商品構成の店を選ぶのが賢明です。
自分の好みを明確にする: どのようなタイプのお茶が好きなのかを具体的にしておくことは、欲しい茶を手に入れる上で極めて重要です。発酵度、品種(例:金萱、青心烏龍)、焙煎の有無、よく飲む産地など、事前に好みを整理しておきましょう。ただし、好みに固執しすぎるのは禁物です。信頼できるお店であれば、ぜひ「おすすめのお茶」を試飲してみてください。自分のイメージを覆す、新しいタイプのお茶との出会いがあるかもしれません。
自分のコミュニケーションスキルを知る: 語学スキルよりも、「自分の意志を伝える能力」が重要です。たとえ言葉がほとんど話せなくても、筆談、ボディーランゲージ、そして表情を駆使して、自分の求めているものや、飲んだお茶の感想をハッキリと主張できるかどうかが鍵になります。何を出されても無反応な人には、お店側も「良いお茶」を出しにくくなるのは自然なことです。コミュニケーションに自信がない場合は、誰かと一緒に行くのも良いでしょう。
台北の茶荘は、その成り立ちや主要顧客によっていくつかのカテゴリーに分類でき、それぞれ得意とする茶葉や価格帯が異なります。お店の特性を理解することで、効率的に目的のお茶にたどり着くことができます。
常に情報収集と更新を怠らない: インターネットやSNS、口コミなどを活用し、「今年のコンテストの受賞者」「各産地の概況」「最近注目されている農家や産地」などの情報を常にアップデートしておきましょう。これらの情報は、お店の店主との会話をスムーズにし、より深い情報や良いお茶を引き出す手助けになります。
大稻埕の老舗茶荘:もともと茶の輸出商社の名残で、安価で安定した茶葉の供給がミッションです。ブレンドと焙煎技術が高いため、普及価格帯の安定した品質の茶(特に包種茶)の購入におすすめです。あまり高額なシングルオリジンの購入は非推奨です。
輸出業者の拠点:欧米や中国への輸出がメインでありながら店舗を構えている店です。玉石混交ですが、非常に高品質な茶を安価に販売している場合もあります。訪問できない産地の茶を探したい時などに活用できます。
大手チェーン:天仁茗茶など百貨店や商業施設にあるお店です。商品が分かりやすいため初心者向きですが、本店や社長のいる旗艦店を選ぶことで、通常の説明では得られない特別な情報や商品に出会える可能性があります。
観光客向け土産店:この中で比較的おすすめできるのは、適正な価格でラインナップを揃えている駐在員向け土産店です。初心者がふらっと立ち寄っても購入しやすいでしょう。一方、旅行会社のツアーに組み込まれている土産物店は、バックマージンが組み込まれて割高になる上、外国産茶葉のブレンドや着香・着味をしているものもあるため、購入は勧められません。空港の免税店は近年品質が向上傾向にありますが、試飲ができない点や保存環境には注意が必要です。
茶芸師、茶文化関係者の店:紫藤廬、冶堂など有名店が多く、そこにしかないレアな商品や、火入れ(焙煎)した熟茶が得意です。価格は高めですが、特別な少量のお茶、または加工技術に価値を見出す人向けです。ただし、主人の不在時には話が進まないことも多々あります。
デザイン系コンセプトショップ:若者向けにデザインを強く意識させ、新しい喫茶体験を提供しようという店です(狼茶など)。お茶の知識よりも、おしゃれな茶器や茶文化全体の体験を重視する人には良いかもしれませんが、オーナーがいないと茶葉の話が全くできないアルバイトが対応することがあるため注意が必要です。
ネットショプの拠点やスポットバイヤー:ネット販売がメインで、店舗は倉庫代わりに営業しているケースが多く、台北の中でも辺鄙な場所にあることが多いです。産地から買い付けた非常に良質な生茶が手に入る可能性もありますが、事前に営業しているか、店主がいるかを確認することがおすすめです。数回台湾に来ており、好みが明確な中級者以上に向いています。
生産者の直営店:地方の生産者が都市部に設けた「支店」です。本業の都合で突然閉店するなど継続性には疑問符がつく店もありますが、都市部では通常流通しないクラスの茶が買えることもありますので、事前に連絡してから訪問してみると良いでしょう。
農民市集(ファーマーズマーケット):毎週土曜日、日曜日に都市部で行われる催事です(臺北花博農民市集など)。生産者や農会が農産品の展示即売会を行っており、台湾滞在中に土日が含まれているなら、生産者から直接購入する機会として検討してみる価値があります。
販売店には、それぞれのお店の由来や顧客層に合わせた商品ラインナップがあります。当然、店ごとに得意、不得意があるため、自分の欲しい茶をすべて一軒で満足いく形で揃えるのは困難です。茶を購入する際は、お店の特性に合わせて得意な商品を入手するように動くことで、より良質な台湾茶を手に入れることができるでしょう。
初めての場合や短期滞在では難しいかもしれませんが、台湾に一週間程度滞在するリピーターならば以下の購入方法も候補に上がります。
地方都市で茶を購入する: 台北以外の街(例:嘉義や台中)では、生産者が支店を出しているケースがあり、テナントの賃料が安いため、台北より安価で茶葉が手に入るケースが多いです。台北のような露骨な観光客向け土産物店に当たる可能性も少なくなります。
思い切って産地へ行ってみる: 時間をかけて山奥の農家へ行っても、コネクションや語学力がなければ、そう簡単に良いお茶が買えるわけではありません。また、公共交通機関での移動が難しいため、バイクやレンタカーなどの移動手段がないと合理的に回ることはできません。しかし、生産者と直接話をし、納得できる茶が買いたいという熱意があるなら、産地に行ってみることはおすすめです。通い続けることで、手に入る茶の質は確実に向上していきます。
ネットショッピングを活用する: 台湾楽天、博客来、フリマサイトの蝦皮購物(Shopee)などで茶葉や茶器を購入し、コンビニでの受け取り・決済が可能です。特に蝦皮購物では、有名な生産者やネット販売業者が多数出店しているため、良質な商品を見つけられる可能性が高まります。
ホテルのフロント経由で購入する: 宿泊ホテル(日本語が通じる比較的良いクラス)にお願いし、ネットで見つけた生産者に連絡を取ってもらい、商品を着払いでホテルに送ってもらう方法です。代金はホテルに預けて決済できるため、その旅行中に行くことができない産地の面白いお茶を取り寄せるのに非常に有効です。
展示会、博覧会で買う: 台北、台中、高雄などの大都市で年に2回大きな茶の展示会が行われます。また、10月初旬には南投市で南投茶博が開催され、南投県の生産者が軒を並べて試飲販売をしています。新しい生産者を探したり、顔つなぎの場として活用できますが、情報がないと欲しい茶を買うのはなかなか難しいかもしれません。
台湾の茶荘で最高のお茶に出会うためには、事前の準備から購入後のフォローまで、いくつかの重要なステップを踏むことが大切です。
良いお茶は、心身ともに余裕があるときにこそ見つかるものです。
時間にゆとりを持つこと:茶荘での滞在は、想像以上に時間がかかることがあります。店主(老板)の不在を待ったり、他のお客さんの接客が終わるのを待ったり、単純にお湯が沸くのを待つ時間もあります。特に初回訪問では、店主と「自分自身と自分の好みのお茶」を理解し合うことが、次回以降の時間短縮につながるため、お茶を買いに行く後の予定には、十分に余裕を持っておきましょう。
胃袋にもゆとりを:お茶を飲む際、満腹でも空腹でもお茶の評価がずれてしまうことがあります。空腹な状態で茶を大量に飲むと体調を崩すリスクもあるため、何か軽く口にしておくのが良いでしょう。食事の後にお茶を買いに行く人が多いですが、満腹時は評価が狂いやすいため、ほどほどを心掛けることが大切です。
財布にもゆとりを:お金に余裕がないと、評価が価格に影響されて狂ってしまいます。出来る限り余裕を持っておくことをお勧めします。市街地のお茶屋さんで値切っている観光客を見かけることがありますが、お茶を値切るような行為をする人には「良い茶は絶対回ってこない」と心得てください。値切るくらいなら、買えなかったお茶を「サンプル」として分けてもらう交渉をする方が賢明です。
メンタルにも「ゆとり」を:欲しいお茶が買えなくても「死なない」ことを頭に入れ、気に入ったお茶が手に入らなくても慌てたりしないようにしましょう。また、体調が悪い時はお茶の評価が正確にできないのは当然なので、「是が非でも買わなければならない」という強迫観念を持たないことも大切です。
台湾茶は生産単位が小さく、気候の影響を受けやすく、製茶師の力量に左右されるため、シーズンや場所によって味が大きく異なり、再現性が低いお茶です。そのため、最新の情報が欠かせません。
アンテナを張る情報:「今年誰がコンテストを取ったか?」「今年の各産地の概況は?」「最近注目されている農家、産地は?」といった情報を、本やSNS、口コミで常に収集し、日々アップデートしています。こうした情報が入っていると、お店の人とのコミュニケーションが格段に楽になります。
良いお茶に巡り合うには、店との良好な関係構築が重要です。
自己紹介と準備:まず自己紹介として、どこでも使える定型文を作っておくと便利です。自分が趣味で日本で茶を飲んでいることを理解してもらった方が、その後の話がスムーズに進みます。また、この店をどうやって調べたのかなど、相手が知りたそうなことはあらかじめ想定しておきましょう。
言葉への対処:無理に中国語を話すと、中国語で話し続けられてしまう恐れがあります。「お手数ですが筆談でお願いします(很麻煩,我可以書面形式進行交流)」と書いたメモを見せれば大丈夫です。
話す相手の選択:今後のことを考えると、店員ではなく、なるべく**店長(老板)**と話をした方が、より多くの情報を持っていたり、特別なお茶を出してくれたりするのでお勧めです。日本語の話せる人が出てくる場合もありますが、お茶の評価は店長の方が詳しいのが道理なので、この場合も通訳を通じてなるべく店長に聞いてもらうように依頼しましょう。
話す内容:調べてきた内容を織り交ぜると話が早いです。例えば、「この店は阿里山の農家から直送だとFBで見ました、それを試飲させてください」とか、「今年はコンテストでよい結果を取ったそうですね、おめでとうございます、焙煎の良いお茶を試飲させてください」などと話すとスムーズです。
試飲の最初で何を求めるかを明確に伝えることが、お茶選びの成否を分けます。
お店の得意な商品:万能のお店はほとんどありませんので、そのお店の得意な商品をを出してもらいましょう。
希望の明確化:「買いたい産地」「季節」「価格の目安(4両で○元)」をまずしっかり伝えることが非常に重要です。
試飲の順序:何種類か試飲する場合は、なるべく清香系のものを先に飲んでから、焙煎系や蜜香型に移っていった方が、味覚が狂いにくいです。
淹れ方のリクエスト:鑑賞するわけではないので、できるだけダイレクトにお茶の良い悪いが出てくる淹れ方をお願いするのが良いでしょう(目安:碗泡>鑑定杯>蓋碗>茶壷)。日本でお茶を飲む時にもそれぞれの淹れ方を練習しておくと、実践の場で評価を補正できるのでお勧めです。
お茶を手に取り、香り、味、そして茶殻までを総合的に評価します。
乾いた茶葉の見た目だけで優劣を見極めるのは非常に難しいですが、直感を信じつつも必ず見ておきましょう。お金を払って購入するというシビアな経験は、教室で習うよりもずっと自分の中に蓄積されます。 烏龍茶の場合、茶葉の形にかかわらず、色ツヤが良く、<生きているような感じ>が大切です。 焙煎程度の低い茶(清香系)では、良い茶の色合いは「青枝緑碧」、あるいは「翠緑鮮活」と表現されます。上質な高山茶は葉茎ともに活き活きした色をしており、茎は真新しい畳の色合いに似たかるい緑色を保ち、葉は織部焼きの青緑釉を濃縮したような色に見えます。これは、葉の部分の発酵がうまくいき、渋みや苦み、雑味などを外へ排出できたと想像できます。 また、上質なお茶は、乾燥させた状態でも息吹きのような生命感が感じられます。粒状のお茶の場合、全体的に粒が大きめで、持った時に重みの感じられる**「質感」**が大事です。これを金属製の器の中に落とすと、小石が弾むような高音が響くものもあります。
茶葉に鼻を近づけて3回ほど深く吸い込んでみましょう。しばらく香りが持続していて、吸い込むごとに香りがはっきりと感じられるお茶は良いお茶です。経験を積むと、この時点で焙煎の程度に想像がついたり、水分が多く海苔のような香りのする「走味(劣化)」の状態のお茶も判別できるようになります。
上にも書いたように、お店の人が茶葉の欠点を悟られないよう、淹れ方にもちょっとしたテクニックを使うことがあるので注意が必要です。お茶を淹れるところをよく見ていると、<必要以上に茶葉が多く湯が少ない><湯を注いで出すまでの間が短すぎる>ことがよくあります。この方法で淹れると、そのお茶がもつ本当の味がよくわからず、欠点が分からずに、安価な茶でも何煎でも飲める上等なお茶のように見えてしまうことがあります。
外見を見たり香りを嗅いだときの印象が正しいか、仮設を検証します。イメージと違ったときは、なぜそうなるのか考えてみるのも良いでしょう。最初に香りを評価し、その後3口ぐらいに飲み分けて、舌全体、喉も使って飲んでいきます。 1煎目で性急に判断を下してしまわないことも大事です。出されたお茶をすぐ飲み干すのではなく、ゆったりかまえて4、5煎ぐらいはじっくりと茶水の色、香りや味を確かめていきましょう。味を補足する情報として、色・茶水の重さ・香りも重要になります。 時間が許すなら、完全に冷めたお茶も飲んでみるのも良いでしょう。冷めても美味しい茶なら、良いお茶であると言えます。
試飲で得た情報を整理し、お店の人と共有することで、理解を深めます。
会話の中で情報を広げる:お店で「阿里山の春茶」と言われた時に、そのまま納得するのは「素人」、質問してその答えをメモするのは「中級」、そしてそれをもとに話を広げるのが「上級」です。例えば、「阿里山のどこの産地ですか?」→「瑞峰だよ」→「じゃあ、北峰の梅山だね」といった具体的な会話を重ねることで、情報が「阿里山の春茶」→「瑞峰(1200~1500)の2~3番摘み」まで広がり、どんなお茶か想像できるようになります。
試飲をした内容を交流する:ボディーランゲージや表情でもいいので、感想を表現することはとても大事です。一番良くないのは「美味しい」の一点張りで、これでは相手も「この人は何でも美味しいとしか言わないな…」となってしまいます。ジェスチャー(例:喉を指で指しなら胸まで一気に下げる→「順(smooth)」、喉と口の間で手をくるくる回す→「回甘が強い」)を使うことで、相手がうまく読み取ってくれれば、次からお茶を表現する「語彙」が増えてきます。
飲み終わった後の葉底(茶殻)の確認は必ず行ってください。わからなくても必ず行って手で触り、茶葉の状況を頭に入れる練習を行いましょう。乾燥した状態からはまったく判断できなかったことも、水分を吸収し開いた茶葉を見ればいろいろなことが分かってきます。 一般的な茶舗では晩春の夏茶に近いお茶を春茶として販売しているケースもありますが、葉底の色合いや感触で、ある程度の判断が可能です。数種類のお茶を飲み比べた場合、それぞれの茶がらに触れて、色だけでなく葉の形や厚み、感触を確かめてみましょう。 理想的な烏龍茶の葉底は、全体的に葉肉が厚くやわらかいこと、なおかつ適度に生長した葉が含まれ、葉の縁には発酵時に酸化した褐色の部分がわずかに見られるような茶は、茶葉自体の質がよいうえに製茶加工がうまくいっている証です。茶葉の形はできるだけ摘まれたときの姿を保ち、茎の先に新芽が伸びてその下に2、3枚の若葉をつけているお茶が良いお茶だと考えられます。
意思表示をする:お店の人はそのお茶を買う気があるのかないのかが気になるため、気に入ったら「これ欲しいです」「買います」と意思表示しておくと、「この人冷やかしなんじゃ…」という微妙な空気にならなくて済みます。(この時には量は言わず、後で気に入ったものを比べて量を決めるようにすると良いでしょう。)
次のお茶に進む:最初に飲んだお茶のイメージが見えていれば、次のお茶のチョイスは楽になります。産地を変えてみるか、もう少し焙煎や発酵の強いものを要求するか、香りの強いものを要求するかなど、イメージに基づいて進めましょう。
お茶の注文:最低注文単位(台湾で一般的なパッキングは最低4両/150gか半斤)を確認しましょう。小売店での量り売りの場合、パッキングに意外と時間がかかるため、次の予定がある場合は、パッキングの時間も計算に入れて試飲しましょう。パッキングが終わるまでの間は、茶器や茶菓子を見たり、そのお店のほかの商品を見て過ごすと良いでしょう。注文したお茶が渡されたら、間違いなく入っているかどうかを確認しましょう。問屋などでは同じような袋で区別が付かないことも多いので、マジックなどを持参して、自分で書いてしまうのがおすすめです。
気に入った店にはリピートを:なるべく領収書をもらいましょう(「シュエ ソウヂー」で通じます)。このとき、名前を書いてもらうこと(「日本客戸」などはダメ)、単品の価格を書いてもらうのがおすすめです。なぜなら、お茶屋さんは、一度接客したお客さんを割と覚えていることが多く、購入したお茶の伝票をカルテ代わりにしている店もあります。そうした店では、次回からは好みのお茶を最初から出してくれるようになり、良い関係ができれば、今後もリピート利用がしやすくなります。リピートすることで、「あれ?このお茶こんなに良かったっけ?」あるいは逆に「今回はこのお茶は見送りだな…」という、台湾茶の持つ再現性の低さからくる新たな発見もよくあります。
お茶を淹れた時の豊かな香り、鮮やかな水色、そして奥深い味わい。これらはすべて、茶葉に含まれる茶ポリフェノール、アミノ酸、アルカロイド、色素といった多様な成分のバランスによって成り立っています。
しかし、茶葉が時の流れの中で品質を落とし、風味や色が損なわれる現象、それが陳化変質(ちんかへんしつ)です。この変質は、茶葉が湿度、温度、光線、酸素などの環境要因にさらされることで、内部の成分が連鎖的な化学反応を起こすことで発生します。これらの成分の多くは還元性物質であり、自身または相互に加水分解、酸化、重合(縮合)といった反応を行います。
変質の主なメカニズムは、反応の結果として大きな分子(重合物や不溶性の集合物)が形成され、茶湯に溶け出しにくくなることです。結果として茶湯の抽出成分が減少し、独特の不快な「陳」(ひね)たにおいが発生するのです。
茶葉の品質劣化の主犯格は、最も多く含まれるカテキン類などの茶ポリフェノールです。これは茶葉の湯色と味を決める最も主要な成分です。
カテキン類の自動酸化と褐変 カテキンは化学的に不安定なため、貯蔵中に空気中の酸素や、茶葉に残存する酵素の作用により酸化が進みます(自動酸化)。この酸化により、茶葉は外観の光沢を失い、茶湯は褐色に変化。味は活性や刺激性を失い、まろやかさに乏しい単調なものになってしまいます。さらに、酸化したカテキンはアミノ酸などと結合し、非酵素的褐変反応を起こして茶湯を混濁させる原因にもなります。
テアフラビン(質)の変質 紅茶の主要な色素・味成分であるテアフラビン(茶黄素)も、貯蔵中に酸化・重合が進み、最終的に味を劣化させるテアブラウニン(茶褐素)へと変化していきます。緑茶においては、このポリフェノールのさらなる酸化をいかに防ぐかが品質保持の鍵となります。
促進要因 茶葉が吸湿すると、酵素の活性が増してカテキン類の酸化速度が急激に加速します。また、カテキンは光に敏感で、光にさらされることも化学反応を誘発するため、遮光できない包装は品質劣化を招きやすくなります。
茶葉の貯蔵中には、ポリフェノール以外の主要成分も次々と変化し、全体の品質を低下させます。
アミノ酸とタンパク質の変質は、茶葉のうま味や鮮度を低下させます。特に主要なアミノ酸であるテアニンは、タンパク質と共にフェノール系化合物や可溶性糖と結合し、不溶性の集合物を形成することで、可溶性成分が減少し、茶葉の鮮度が損なわれます。アミノ酸自体も温湿度条件下で酸化・分解し、品質に影響を与えます。
カフェイン(アルカロイド)は、茶湯に心地よい味を与える主要物質ですが、貯蔵が進むにつれて茶ポリフェノールと結合していた高分子から遊離しやすくなります。この遊離により、茶湯はより苦くなり、本来の味を失わせます。
葉緑素の分解は、緑茶などの外観の劣化に直結します。葉緑素は光、熱、酸に非常に弱く、これらの要因に触れるとマグネシウムが脱離し、茶葉の外観の**色沢が変化(退色・変色)**します。
ビタミンCの自動酸化も深刻です。ビタミンCは酸化しやすい物質であり、光や熱で酸化して急速に減少します。その後の酸化物はアミノ酸と反応し、茶湯の褐変や香りの質の低下を招きます。茶葉の含水量が6%以上に増加すると、ビタミンCは急速に減少します。
芳香物質の変化は、不快な異臭の生成につながります。茶葉の香りに重要な役割を果たす脂質化合物(脂肪酸)やカロテノイドなどの脂溶性成分が自動的に酸化することで、アルデヒド、ケトン類といった揮発性成分が生成されます。これらの成分が、茶葉の陳味や油臭さといった異臭の主因となります。特に、細かく砕かれた茶葉ほど脂肪酸が酸化しやすい傾向があります。
陳化変質は、茶葉の命である「還元性物質」が環境要因に負けて酸化・重合していくプロセスであり、一度劣化が始まると元には戻せません。茶葉の品質を長く保つには、これらの化学反応を促進する要因を徹底的に排除することが重要です。
そのため、最良の保管方法は、低温貯蔵(色沢の維持やテアフラビン劣化の予防)、そして無酸素、防湿、遮光を組み合わせた包装を利用することです。これにより、茶葉の色沢と風味をかなり長く維持することが可能となります。
台湾の地方都市と茶の関係を、以下の4つのエリアについて解説します。
台中は、台湾茶の主要産地である埔里(プーリー)や竹山(ヂューシャン)といった中北部のお茶の集積地からほぼ等距離(約1時間)に位置する大都市です。この立地から、自然とお茶の流通経路として重要な役割を担っています。
人・情報・茶が集まる立地: 産地から多くの茶農家や茶業関係者が集まり、梨山系と南投系、両方の茶業関係者が流入するものの、彼らの間での交流は薄く、店を展開するエリアも異なるという興味深い状況があります。
「新しさ」を受け入れる気風: 台中には「新しいもの好き」「おしゃれ好き」という土地柄があり、これが茶芸の一大拠点や巨大茶芸館のブームを生み出しました。目新しいお茶や製法にも敏感で、それらを評価し、消費できる成熟したマーケットがあります。お洒落な茶芸教室的な店でも良質なお茶を扱っていることが少なくありません。
「台中港」の存在: 大型船が出入りできる台中港の存在は、大陸との非公式な茶の輸出入を促しました。このため、港の近くには、輸出入業者を兼ねていた業者により「ヴィンテージのプーアル茶」を扱う店も見られ、多様な要素が混ざり合い、ある意味では台北よりも興味深い茶市場を形成しています。
高雄の茶市場の最大の特徴は、お茶の焙煎が強い傾向にあることです。この文化が根付いた背景には、以下の要因が考えられます。
輸出産業としての茶: 昔、お茶を船で輸出していた時代(日本の明治時代に相当)、真空包装などがなかったため、品質の劣化を防ぐために出荷前に焙煎を強くしてお茶を出荷していました。これは台北の大稲埕(ダーダオチェン)の問屋と同じですが、高雄ではこの文化が強く残りました。
歴史的・地理的要因:
政治的距離: 蒋介石(しょうかいせき)とその側近から物理的に離れていたことが、清香系(軽焙煎)を推奨する流れから距離を置き、焙煎の強いお茶への支持が残った一因かもしれません。
港町の水質: 港町の水は塩分を感じやすく、この水で清香系のお茶を入れるとバランスが取りにくいのに対し、焙煎の強いお茶の方が美味しく淹れられるという環境も影響している可能性があります。
「老舗」を重んじる気風: 高雄や台南といった南部には老舗のステータスが高いという気風があり、古いお茶屋さんと「常連さん」の絆が非常に深いです。問屋からスタートした老舗が多く、街に深く根付いた雑然としたイメージの店が多く、茶農直営系の店は市街地では少ないのが特徴です。
古都・台南は「茶藝(お茶を淹れる文化)」の面では豊かですが、「お茶そのもの(市場)」の面では独特の難しさがあります。
歴史の隔絶: 台南が都だった時代は、台湾でお茶作りが始まるよりもはるか昔であり、現在の台湾茶文化(歴史は約150年と比較的浅い)とは歴史的な繋がりが薄いです。また、輸出のための大きな港がなかったため、「輸出の老舗卸」としてのお茶屋も多くありません。
地元密着型の老舗: 歴史のある古いお茶屋さんは「台湾で一番古い茶缶」や「現存する最古の焙煎窯」など、お茶の歴史を感じるには良い場所ですが、購買力がそれほど高くなかったため、「ガッツリと品質の良いお茶を買う」という目的には難しい面があります。
茶藝文化の拠点: レトロな街でお茶文化を広めたいという芸術家や文化人が多く、大手ドリンクスタンドのオーナーなどもお茶文化の普及に尽力しています。しかし、彼らは良いお茶を持っていますが、販売量が少なく、種類が安定しない、喫茶材料として割高になりがち、試飲やコミュニケーションに時間がかかる、といった理由から、「本格的に茶葉を買い込む」目的の観光客には紹介しにくい側面があります。
台南周辺の都市(新営、永康など)には気合の入ったお茶屋さんがあるため、そちらを紹介することが推奨されます。
ほとんど日本人に知られていないこの街は、その規模に不釣り合いなほど多くのお茶屋が軒を連ね、古い茶荘、ネットショップの倉庫、茶藝関係者とバラエティ豊かです。
潮州系移民の文化: この地域の周辺には、日本統治以前に福建系でも「潮州語」を話す潮州系移民が移り住んでいました。彼らが渡ってきた時期は、潮州式の茶藝(小さな茶壺で飲む文化)が大衆に広がり始めた時期と重なっており、異なる喫茶文化を持ち込んだと考えられます。
国民党軍の移住: 戦後、この地域に流入し「眷村(けんそん)」を形成した国民党軍の部隊は、雲南やミャンマー国境付近の出身でした。彼らは潮州系とはまた違うお茶に親しんでおり、その文化を持ち込みました。
潮州系の移民と雲南・ミャンマー国境付近からの移住者が混在することで、現在の多様性のある茶市場が形成されていると想像されています。
台湾茶を購入する際、多くの人が同じような経験をします。同じ「梨山高山茶」と袋に書かれていても、あるものは1斤(約600g)で2万元(日本円で約9万4千円)近くする一方で、またあるものは3斤で2千元(約9千4百円)という、極端な価格差が存在します。いったい何がこのような高価格とリーズナブルな価格を生み出しているのでしょうか。それを決定づけている要因について詳しく見ていきます。
台湾茶の市場価格は、主に「産地」「季節」「品種」「品質」「その他の特殊原因」の五つの要因によって決まります。このうち、特に海抜の高さを価格の根拠とする産地は、大梨山地区が最も高く、中でも大禹嶺や福寿山農場が最高位に位置し、それに2,000メートル以上の梨山地区、そして1,600メートル程度の翠峰や杉林渓などが追随します。それより海抜の低い阿里山や凍頂などの茶区が続き、これらの茶区では、産地が主な価格基準とされ、品質などの条件は価格に対してわずかな幅の影響しか与えません。この結果、同じ生産区内ではお茶の価格が往々にして「均一価格」となり、品質の優劣による価格差が無視できるほど小さくなってしまうという不合理が生じています。
次に季節ですが、春茶と冬茶が一年で一番高価です。特に冬茶は生産量が少ない上に来年の春茶までの空白期間があるため、価格は春茶よりやや高くなる傾向があります。一方、夏茶と秋茶は春茶の二分の一から三分の二程度で、暑い時期のお茶は春のお茶の半額ほどにしかなりません。ただし、白毫烏龍茶や紅茶のように発酵度の高い茶類は例外的に夏茶が重要視され、特に白毫烏龍茶は白毫の明瞭さや五色の混ざり具合といった外観が品質と緊密に関連し、価格に直結します。
品種については、台湾人は茶樹の品種に対して明らかな好き嫌いを持ち、ほとんどの茶区で青心烏龍が最も商品価値の高い品種とされています。他の品種は青心烏龍として評価される場合を除いて、通常その$1/2$から$2/3$の価格しかありません。高山地区では、青心烏龍以外の品種の栽培はほとんど見られません。
そして最も問題なのが品質です。現在の市場取引状況では、品質に対する要求が次第に最下位になっています。これは、近年の柔らかい茶葉を主流とする摘み取り観念が、先天的に内包物質が不足した茶菁を生み出し、完成品の香りを薄くて弱いものにしていることや、一般の消費者や都市部の茶商が茶の品質に対して深く知らないまま、茶が小さく緊結していることや、緑の程度などの枝葉末節の部分だけで評価してしまうことに起因します。
しかし、この海抜優先の風潮に例外的なエリアがあります。それは文山包種茶区です。当地でも品種による価格差はありますが、坪林地区の茶商は同じ季節、同じ種類のお茶に対して、海抜ではなく、品質の良し悪しで価格を判断します。坪林茶区の海抜は200メートルから800メートルの間で、本来なら海抜の違いから茶の価格の起点を決めることが多いのですが、坪林では800メートルの茶畑の出来の悪いお茶が200メートルの出来の良いお茶より安くなる現象が起きます。これは、台湾内において、同じ品種、季節にとれた茶葉に対して品質が海抜の高さより優先される唯一の地区であり、都市部と近く、できたてのお茶を卸売りする市場が立ち並んだ歴史的な経緯が影響していると推測されます。
この高海抜の茶区における均一価格方式は、茶農が技術上の精進を怠ることを招き、高海抜でとれた茶菁をただ歩留まりのいい毛茶にしさえすれば高値を売ることができるという状態は、台湾茶業の退歩要因となります。逆に低海抜の茶区を見ると、どんなに心を込めて甘くて滑らかな逸品の茶を作っても、海抜の盾に覆われていい値段が売れないのであれば、茶農家は自暴自棄になり、量を優先する方向へと向かってしまいます。台湾の茶業が進歩するには、海抜の高さに関わらず、各茶区が坪林に学び、品質を価格計算の最も主要な基準にすることで、茶農家は更に一心にお茶を製造し、消費者も価格によって品質の相応するお茶を買うことができるようになることが望ましいのです。
次に、市場価格ではなく、茶葉がいくらで製造できるかという側面から原価のカラクリを見ていきます。高山茶業の経営では、茶園の土地は主に原住民の山地保留地を借りるか買い取るか、あるいは国有林の土地を借りることで入手され、茶作りと製茶は、茶園のみ所有、自分の茶園と工場を持つ、茶菁を買って工場を借りる、の三種類に分けられます。高山茶の収穫と製造の人手は、いずれも外地から高給で招聘しなければなりません。
採集人員は、製茶所で食事と宿泊を提供する寮住まいか、専用車で送り迎えする日帰りの形態に分かれ、日帰りの茶摘み工は摘み取った量で計算され、茶園の主人は必ず現金で支払う必要があります。製茶師も茶園の主人自身が指揮を執るか、または製茶グループに委託する形態に分かれます。
高山茶の生産コストは、前期の開墾栽培と後期の生産製茶の二段階で分析されます。一甲(約1ヘクタール)の茶園を開墾・栽培し、収穫が始まるまでの投資費用は約四百万元に上ります。後期生産製茶の費用を見ると、採集費用は1キロにつき50元から70元で、5斤から6斤の茶菁から1斤の毛茶が出来るため、人員の食事や宿泊、保険を加えると、1斤の毛茶を摘むコストは250元から300元の間です。製茶費も同様に1斤の毛茶あたりの製造コストは250元から300元で、もし茶農自身が工場を持たないならば、工場レンタル費用として1斤あたり100元が加算されます。
したがって、1斤の高山茶の最低製造コストは、茶園管理及び土地の租借費用を除いても、少なくとも600元から700元が必要となります。
以上のコスト分析から、市場(とりわけテレビやネットショッピング)で売られている「三斤千元」という破格な高山茶は、台湾の原価構造から見ると製造が不可能であることが分かります。茶業の生産販売網には、茶農の茶樹の生理・生態に対する認識不足、茶摘み工の茶菁の成熟度に対する判断不足、製茶師の工程圧縮、新進の茶荘の専門的素養不足など、多くの「ほころび」が起きており、現在の茶農、茶商、消費者の三者の負の連鎖を断ち切るために、主管するすべての機関が役割を負って整理するべき時が来ています。台湾茶がステージを更に上げるには、海抜の高さに関わらず、品質を価格計算の最も主要な基準とすることで、茶農家が更にお茶の製造に専念する動機付けが必要なのです。