2403 沖縄
2403 沖縄
古宇利大橋
2024年3月。10年ぶり10回目の沖縄だ。
これまでは親を含む家族と一緒か、仕事で他のスタッフと一緒だった(楽天イーグルスのキャンプ取材)。仕事が終わったあとに一人だけ残ってダイビングをしたことはあったが、最初から最後まで一人きりの観光旅行は今回が初めてである。
以下、旅行日記から自転車に関する部分をダイジェストでお送りする。
3月前半の沖縄は旅行シーズン直前だ。気候はいいのに空いているしあれこれ安い。
そうは言っても外国人観光客にも大人気だけに、飛行機や宿は早く予約しないと、高くなったり取れなかったりする。ネットで情報を調べ、早々に4泊5日のスケジュールを組んだ。
「いつかは沖縄を自転車で走りたい」とずっと思っていた。しかし還暦を過ぎると「いつかは」とか「そのうち」なんてものは、もうやって来ないことを痛感する。ここ数年は新型コロナウイルス騒ぎもあっただけに、その思いはひとしおだ。
自転車は持っているが乗るのは月に数回で、時間も30分程度。一方で6年前にはレンタサイクルのクロスバイクで、しまなみ海道を走破した。無茶である。
今回も沖縄のレンタサイクルを探したが意外に苦戦した。しかもスポーツタイプでスピードも楽しみたいのであって、シティサイクル(いわゆるママチャリ)や電動アシストには乗りたくない。狷介(けんかい)である。
結果的にはクロスバイクを借りて、2日間走ることができた。
1日目
家を出たときは雪が降っていて不安だったが、仙台空港で晴れた。左の窓から富士山が見えた。
路線バスで那覇空港から世冨慶へ。2150円。外国人の個人客も乗り込んでくる。「中国語ワカラナイ。日本語ダケ」と、女性の運転手さんが対応に奮戦していた。
最初の3泊は、海に近くシングルルームがある「ホテルルートイン名護」を選んだ。公式サイトで最初に写真を見たときは目を疑ったが、なんと屋上が、ビアガーデンではなく大浴場になっている。とても楽しいが、洗い場ももちろん屋外で、さすがに3月の夜や風の日は寒い(いちおう壁はある)。
https://www.route-inn.co.jp/hotel_list/okinawa/index_hotel_id_86/
徒歩3分もかからずに、東江ビーチに出られる。海水浴場ではないが、砂浜や遊歩道を散策できるのが素晴らしい。
1日目は「ほっともっと名護東江店」でゴーヤー弁当(豚しょうが焼き入りタイプ580円)を買い、部屋で食べて(ビールを飲んで)寝た。
2日目
配達専門のレンタサイクル「ノレジオサイクル」に、前日の朝、家を出る前になって予約を入れた。天気予報がどんどん変わって心配だったからだが、幸い借りられた。クロスバイクが、名護市と今帰仁村なら配達・回収料を含めて基本の3500円で借りられる。個人で営業しているようで、実はちょうど前日までの10日間は休業中だった。ラッキーである。ギアやコースについて、親切にアドバイスしてもらえたのも良かった。
https://www.noleggio-cicli.blue/
朝8時過ぎに出発。天気晴れ。古宇利(こうり)大橋を走りたい、という以外は特に考えていなかったが、結局6時間も乗ってしまった。写真は東江の海。
名護市中心部から屋我地(やがじ)島を経て、古宇利大橋を渡る。眺めが素晴らしいことは言うまでもない。
ノレジオサイクルさんは「橋の上からウミガメが見られるかもしれませんよ」と言っていたが、残念ながら縁がなかった。しかしたびたび自転車を止めて橋から見下ろすと、そのたびに海の透明度に息を飲んだ。じっと見ていると吸い込まれてしまいそうである。自動車は橋の途中で止めることはできないため、これは自転車(か徒歩)ならではの楽しみだ。
古宇利島を一周した。ここまででも結構な高低差があったため、ここで引き返しても十分サイクリングを満喫できたと思う。しかし私は屋我地島で名護市街と逆方向に坂を上り、ワルミ大橋も渡った。
ここで帰途につくのが正解だった(私の体力では)。しかし欲を出して「世界遺産の今帰仁城(なきじんぐすく)跡に行ってみよう」と思ったのが運の尽き。強烈な上り坂だったのである(私にとっては)。途中何度も押して歩こうと思った。しかしムキになって、休みながらもこぎ続けた。何とか登りきったものの、入場料を払ってまで門を入り、さらに上まで歩こうとは思えないほど疲れた。
「ここまで来たら…」と思いがちなのが私の悪い癖だ。よせばいいのに、国道505号から名護湾沿いに国道449号を通って帰ることにした。しかし海沿いの道ながら結構な起伏があり、しかもここにきて強い向かい風に見舞われた。苦しい。昼食の機会を逸し、持っていたアメでやり過ごす。しまいには名護市街地に入ってからも、誤って449号のまま坂を上るというオマケつき。午後2時過ぎに宿に着いた時には、本当にふらふらだった。
結局72km近くも走ってしまい、あぶなくしまなみ海道の走行距離75kmを超えて自己ベストを更新してしまうところだった。部屋でシャワーを浴び、屋上の大浴場に浸かって足をもみ、ベッドに倒れ込んでふと気付けば「あれ、もう暗い…」である。夕日を見には行けなかった。
2日目も「ほっともっと名護東江店」でゴーヤー弁当(ゴーヤーのみタイプ580円)を買い、部屋で食べて(ビールを飲んで)寝た。
3日目
(略)
この日も東江の夕暮れは美しかった。
3日目も「ほっともっと名護東江店」でゴーヤー弁当(鳥の唐揚げ入りタイプ600円)を買い、部屋で食べて(ビールを飲んで)寝た。
4日目
朝4時に宿を出て海岸へと向かう。雲はわずか。街場だし港にも近いので空が暗いとは言えないが、新月の時期だったのはありがたい。なるほど北斗七星も北極星もやや低く、水平線上の西の空には星が多い。久しぶりに流れ星も見ることができ、満足。チェックアウト。
晴天につき、いざ伊江島ツアー。前々日は自転車から、前日はバスの座席から眺めた名護湾を、この日は船上からと山頂からも見る。
やんばる急行バスの昨日と同じ便に乗り、本部(もとぶ)港まで560円。フェリーで30分、割引往復券1390円。伊江島発だと割引往復券が少し安いのは、住民の便益のためだろう。本部、伊江の両港にコンビニなどはないが、船内には売店があるのが面白い。島の滞在は9時半から13時の3時間半だ。
出港前の船の中から伊江島の「TM. Planning」に電話をして尋ねると、レンタサイクルはクロスバイク(というよりはマウンテンバイク)にも空きがあるという。よし。1日1500円。
驚いたのはカギがないことだ。「カギは?」「ありません。この島では自転車は盗まれません。」そ、そうですか…。最初に目指すべき、と教えられた城山の標高は172mで、頂上まで階段で登れるという。島内から見上げるとこんな感じだ。
登山口の駐輪場まで自転車をこぐだけで結構な上りだが、さらに上には駐車場と売店がある。そこから見上げるとこんな感じだ。
山頂からの絶景写真は省く。しかしこの立て札には笑った。「人のやらないことをやる」迷惑な人はどこにでも現れるのだ(私もどちらかというとそうだが)。
あとは基本的に下り坂と平地である。海沿いを走り、ときどき海岸に出て歩く。2日目のサイクリングではギリギリ脇を走るダンプカーに何度も怖い思いをしたが、ここでは自動車そのものをほとんど見なかった。快適である。
リリーフィールド公園に、まだユリは咲いていなかった。しかしこんな看板を見たら、行ってみないではいられない。
村長の警告は、決して大げさではなかった。この日は風もあったからだろうが、間近で人よりも高く波しぶきが上がるのである。
湧出(わじ)の展望台も良かった。岸には近づけないが、ここも本日は波しぶきが見事だった。
草地や畑が広がり、その向こうには水平線が見える。伊江島は船でわずか30分だが、橋が架かっていないし巨大ホテルもないせいか、明るくも落ち着いた雰囲気で、晴れてさえいれば自転車や歩きを楽しむには最高だ。
船内で買ったおにぎりを食べ、本部港に戻った。
(以下略)