四度目のイギリス (3) 実践編-2: Oxford~London
Oxford は,ある意味かって知ったる土地である.たしかに中世の石造りの建物(カレッジと教会)が一杯ならび,日本の古都とは異なる趣を持ってはいるが,私も家内も全く知らない土地ではなかったし,そもそも都会はどこへ行っても同じである.特に London なんか,歴史的建造物やだだっ広い公園を除くと,東京とどこが違うんだ,というくらい町の雰囲気はそっくりで,ありがたがるほどのものでもない.結局,Oxford は,Costswalds の行き帰りに立ち寄って local map を買いに書店(Dillon's) に入ったりレストラン巡りをした程度であった.
Costswalds は鉄道が通らなかったゆえに近代重工業的な発展から取り残された地域だが,それゆえに古い England のたたずまいが残っている,というのが特徴である.最も England らしい所,というのがウリである.こういう所でも,不思議と車を停める所には事欠かない.Oxford でも然りである.この辺が日本の道路行政と全く違う所だと感じた.高速道路(しかもタダ)には煌々と照る街灯は無いが,各町に必ず public parking があり,車で移動して町外れへ停めて,トコトコ歩いて町中に入っていけるようになっている.
Costswalds は蜂蜜色の独特の黄色い石で組み上げられた家が特徴とされている.Oxford からまず目指したのは,Stow-on-the-Wold である.Oxford から車で1時間ほど,西へ向かって走っていく.Round about をいくつも通り過ぎていくと,やがて町が見えてきた.別段,観光客に対して構えているわけでもない,何の変哲も無い町である.ただ,街のたたずまい,郊外の田園風景はまさしく古きよきイギリスを象徴していると感じられた.この町の真中にある広場に面して,数件のみやげ物屋があり,絵葉書と Costswalds のガイドマップを売っていた.私は地図キチガイなので,まずガイドマップを買った.その後,何をするでもなく,何も考えずに町中をポラポラと歩いた.あたまを空っぽにして歩いたり,空を眺めているのは私は大好きである.時折,商店街に差し掛かると,骨董屋や家具屋,絨毯屋などを覗き込んでは,何か掘り出し物はないか,と見て歩いた.
Costswalds 2日目は Lawer Slaughter, Upper Slaughter という物騒な名前のついた村を訪れた.Lawer Slaughter に車を停め,Upper との間に流れている小川に沿って歩いて Upper Slaughter を目指した.大体,村にはその地域を支配していた貴族の屋敷 manor house があり,現在は超高級ホテルになっていたりする.Upper Slaughter の Manor House を訪れた時は残念ながら昼下がりで Tea time でなかったが,私の念願の public foot path を歩いて Lawer Slaughter に戻った時にはそこの manor house で Tea time を取った.幸い天気が良かったので,屋外のテーブルで紅茶とサンドイッチを頂いた.でも,値段は非常に高かった記憶がある.そもそも,その manor house の宿泊料金はツインで 5000 ポンドくらいじゃなかったかなぁ….建物はきれいだし,庭の芝生もきれいだし,確かに手は掛かってましたけど.
Costswalds 3日目は,最も美しい町と言われている Bibury を訪れた.ここには Arlington Row という National Trust の保護建造物になっている古い建物が建っている.この建物は国内外で有名らしく,今回まわった町の中で最も多くの人が遠くから写真を撮ったり,見つめたりしていた建物だった.興味深かったのは,現在も中で普通に人がすんでいることである.窓にはレースのカーテンが掛かっているが,チラッと見えるその中には現代風の置物が飾ってあったりして,普通の家屋として機能していることがわかった.また,この町のはずれを歩いていた時,Costswalds の建物を,外観の石組みをそのままに,中は空調の効いた新しい家のようにリフォームします,という看板を見た.なるほど,これがこの辺りのルールなのか,ということを知った.町並みを重視するために,外観は徹底的に古いままを保ち,内装だけはすむ人にとって快適に直す.そうでなきゃ,確かに町並みは保存できない.ただ,これも家が石造りだから可能なのであって,日本家屋は傷みやすく,維持するだけで相当のエネルギーが必要な事は想像に難くない.でも,これが,例えば日本でいえばある県のある地方へ行くと,どの町・どの村も古いたたずまいのまま,という状態が Costswalds なのである.同じくらい歴史のある国としては残念な気持ちがした.
Bibury では,Swan hotel と鱒の養殖をしている所を見て(一応ポイントは抑えて)帰った.
次の日は午前中に宿を check out して London へ移動.Motorway を南下していくと途中から工事のための大渋滞.普段なら1時間半もあれば着くところが,2時間半近く掛かってしまった.London に到着してから昼食の予定だったが,我慢できず,途中の service area で昼食を取ってしまった.London での宿は Mariott だったが,これがアラブ人街のど真ん中にあって,これは本当にアメリカのホテルか?というのが正直な印象だった.実は Mariott はもう一つあるのだが,こちらは London の高級ホテル(Ritz, Grosvenor House 等)が並ぶエリアにあって,宿泊料金が非常に高い.我々が払える金額の方は,アラブ人街のど真ん中だったのだ.う~ん,これなら Euston 駅そばの Ibis (オランダ系ホテルチェーン) の方が安くて良かったかも.当初は,前回イギリスに来た時に泊まった St.James Park 傍の某ホテルを企んでいたのだが,思ったより値段が高かったのと,予約が取れなかったのとで,純英国ホテルはパスになってしまった.私は渋滞の中でエネルギーを消耗してしまい,ホテルに到着したと同時にベッドに横たわってしまった.家内は市内に見物に出て行き,夕食の時に合流することにした.
London に終日いたのは出国前の1日だけで,観光よりも買い物というモードだったのだが,あいにく日曜日で,閉まっている店が多く,Sherlock Holmes の家の見物から歩いて市内に戻る途中で見かけた銀食器のお店で買ったフォーク・ナイフのセットと,Scotch house の sale で数点買い物をした程度に終わった.この日の夕飯は最後のイギリス料理ということで,ちょっと小粋な街角のレストランで,私は Fish and Chips を食べた.この次の日,Heathrow から San Diego へ向かった.
新婚旅行とはいえ,企画の方にかなり力を入れていたので,日常の消費は庶民的に抑えた.欲を言えば,Scotland にも再訪したかったし,行きたい所は一杯あった.私の昔からの習性だが,またそのうち来られるさ,という楽天的思考のせいか,今回限り,と気合を入れて見たところはあまり無かったかもしれない.でも,非常に印象に残る物の多い旅だった.
この次に英国を訪れたのは2013年の国際会議の時だった.
(part5につづく)