日時:2025年10月17日(金)20時ー21時(日本時間)(日本時間)
テーマ:「人の言語産出はコーパスの代わりになるのか? ― 音象徴語と動詞の共起から考える」
講師:玉岡賀津雄(名古屋大学・名誉教授)
要旨:研究に使われる「コーパス」と,人が実際にしゃべったり書いたりする「生きた言葉」。両者はどこまで似ているのでしょうか?本講演では,日本語のオノマトペ(音象徴語)と動詞の組み合わせを例に,新聞記事コーパスと母語話者の産出データを比較した研究を分かりやすく紹介します。言語研究やコーパス研究に関心のある方はもちろん,日本語の豊かな表現の仕組みに触れてみたい方にも楽しんでいただける内容です。
日時:2025年11月21日(金)20時ー21時(日本時間)
テーマ:「SEMで拓くSSCI論文への道:日本語学習研究の事例から」
要旨:本講演では,国際学術誌(SSCI収録誌)における論文執筆を目指す研究者を対象に,構造方程式モデリング(SEM)の活用について具体的な事例を通して紹介します。言語学習研究におけるSEMの有効性を示すため,二つの実証研究を取り上げます。第一は,中国人日本語学習者を対象に,語彙・文法知識と読解力の間に位置する文間推論能力の媒介的役割を明らかにした研究です。第二は,日本語の音象徴語習得を分析し,擬音語(phonomimes)と擬態語(phenomimes)が並行的に学ばれることを示した研究です。これらの研究は,SEMを用いることで複雑な能力間の因果関係を統計的に可視化し,国際誌における論文発表へとつながった実例となります。本講演では,数式や技術的手続きの詳細に立ち入るのではなく,研究設計や論文執筆におけるSEMの意義を理解できるように解説します。学部生・大学院生から若手研究者,さらには指導的立場にある方々まで,幅広い層に有益な示唆を提供する内容です。