2020年度

2021年1月23日(土)の新音響文化研究会トークイベント: 密集しない音楽実践をめぐって

2021年1月23日(土)に今般のコロナ禍で増えたZoomなどを使った音楽実践(=密集しない音楽実践)について、とくにアヴァンギャルドな音楽とかアンダーグラウンドな音楽について、今の段階で色々と見直してみようというトークイベントを開催しました。

パネリストは、細田成嗣さん(ライター、音楽批評家)、dj sniffさん(音楽家、京都精華大学)、山本佳奈子さん(Offshore主宰)、忠(高橋)聡太さん(近現代文化史研究、福岡女学院大学)です。

←に当日の様子が記録されています。冒頭30分ほどをカット編集したので、視聴回数等が一度リセットされています。

世事に疎い僕(=中川)も、2020年3月頃にはようやく、(とりわけ娘の保育園の様々な行事の中止を通じて)新型コロナウィルスの影響が自分の身の回りで感じるようになり、僕の人生の過半を占める「大学」でも授業のオンライン化が一挙に進み、研究領域として関わる「音楽」のオンライン化も様々なレベルで一挙に進みました。

ライブハウスやコンサートホールが閉じたことで生じた様々な弊害は、この時期も今も――2021年6月18日ようやくこのページを作成し始めました――おそらく数年後も色濃く残り続けるに違いありませんが、できる限り何らかの記録を残すことが研究者としての自分の責務だろうと考えたので、2020年3月頃から12月頃まで、いわゆる音響的アヴァンギャルドの領域で、レコード音楽でもなく生のライヴでもないやり方で、自分の音楽を様々なやり方で届けようとする事例――「密集しない音楽実践」と名付けました――を収集し始めました。領域がかなり狭く特化していたのでこの時期の事例はかなり収集できたはずなので、そのうちデータを整理して公開しておくつもりです。ただしもちろん網羅的で体系的とはいえません。ともあれ、この「密集しない音楽実践」についてものを考えるために、色々と面白そうなことを考えている人に集まって話してもらうことにしました。僕だけならば、こうした「密集しない音楽実践」は〈音楽とは何か〉という既存の考え方を変容する、といったよくある話しかできかったと思いますが、お声がけした皆さんは、それぞれに具体的な実践に基づいてより粘り強くしたたかな音楽実践のモデルについて教えてくれました。トークイベントを企画して良かったです。

今(2021年6月18日)もなお日本では緊急事態宣言下にあり、しかし20日には、政府がオリンピック開催を強行したいために緊急事態宣言も解除されますが、今後の音楽業界の行方はまだよく見えていません。ライブハウスやコンサートホールは実際問題としてどの程度生き残ったのか、このまま「元」のように復調するのか、それとも何か新しいことが始まったりもするのか。何も分かりませんが、何か始まることは確実ですし、今後も年月が経過してくことを楽しみにしていこうと個人的には思っています。その際、ここで企画したトークイベントも、この時期の〈音楽に関する思考の一傾向〉を示す事例として何かの役に立つことを願っています(という文章を、前日夜中の二時に起きてしまったままの夕方1700時に、推敲もなしに2分で書いてみました)。

中川克志 2021年6月18日

学生の感想

イベントのためのフライヤー

2021年1月23日(土)の新音響文化研究会トークイベント: 密集しない音楽実践をめぐって
210123 _中川 _密集しない音楽実践をめぐって

最初の紹介時に中川が使ったファイル