公開セミナー

進化人類学分野の公開セミナーでは、当研究分野と交流のある研究者をお招きし、研究内容をご紹介いただきます。セミナーでは、参加者との意見交換を通して、分野の垣根を超えた議論が盛り上がることを期待しています。

なお「教室セミナー」は、信州大学理学部生物学コースの支援を受けて実施しています。

2023年度

第2回 排泄の自然誌を編む研究会 公開シンポジウム
信州大学理学部教室セミナー

出すことと出たものへのまなざし

日時:20242月10日() 13:00〜
会場信州大学松本キャンパス  理学部 C棟2階 大会議室当日参加可)
オンライン配信:Zoom(要事前申込み,先着150名)
※いずれも参加費無料

基調講演:山内 太郎(北海道大学大学院保健科学研究院 教授)
「排泄人類学とグローバルサニテーション」
特別講演:山極 寿一(総合地球環境学研究所 所長)
「ゴリラのフンコロジー」

> 詳細は特設ページをご覧ください。

教室セミナー

日時:2023年1215日() 16:20〜17:50
場所:信州大学理学部 第8講議室

発表者:中道 正之さん(大阪大学 名誉教授

タイトル:ニホンザルの子育てと子ザルの発達

[ポスターPDF]

2023年度第8回 数理科学談話会(信州数理科学研究センター・生物学コース教室セミナー 共催)

日時:2023年11月10日(金) 13:00〜14:30
場所:数理・自然情報合同研究室(A401)

発表者:石本 健太 氏京都大学数理解析研究所 准教授

タイトル:流体力学で探る生き物の形と動き

[ポスターPDF]

サントリー文化財団研究助成「学問の未来を拓く」2022年度採択課題 公開セミナー
信州大学理学部教室セミナー

排泄の自然誌を編む―人類学・霊長類学・環境工学・国際保健学を跨いだクロストーク―

日時:2023年4月17日(月) 15:00〜
場所:信州大学理学部  C棟2階 大会議室 ※現地開催のみ・事前申込不要・参加費無料

発表者:
 松本 卓也(信州大学理学部)
 『趣旨説明』

 山内 太郎(北海道大学大学院保健科学研究院 人類生態学研究院
 人類生態学フィールドワーク:ライフスタイルと健康を測る

 原田 英典(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
 『し尿の始末とサニテーション:リスクと価値をどう扱うか

 林  耕次(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
 『アフリカ熱帯地域における定住した狩猟採集民の生活とサニテーション』

後援:サントリー文化財団信州大学理学部

2022年度

教室セミナー

日時:2023227日() 14:30〜16:00
場所:信州大学理学部  8番講義室

タイトル:ワイヤレス生体計測とその応用

発表者:
    阪本 卓也  先生 京都大学大学院工学研究科 電気工学専攻 システム創成論分野 教授)
    岩田 俊亮  さん(同分野 修士2年)
    加藤 雅也  さん(同分野 学部2年)

要旨(クリックしてひらく)

今回の教室セミナーでご紹介いただける技術は、ヒト以外の動物にも応用が始まっています。私がこの技術を初めて知った時、「チンパンジーやニホンザルでも心拍・呼吸を計測できたら絶対おもしろい!」と思いました。そして、既に共同研究がスタートしています。もしかしたら、私や阪本先生が全く思い立たなかったような、技術応用の可能性がまだまだ残っているだろうと思います。

また今回の教室セミナーでは、阪本先生からだけでなく、阪本先生の研究室の学生である修士2年の岩田さん、学部4年の加藤さんからもご発表いただきます。信州大学の学生のみなさんにとっては同世代の人の発表ということで、新しい刺激を得る機会になればと願っています。

(セミナー主催:松本 卓也)

教室セミナー

日時2022年1128日(金) 15:10〜17:30
場所信州大学理学部多目的ルーム(A棟1階)

発表者:大谷 洋介 先生大阪大学COデザインセンター 准教授)

タイトル:サルのお尻を追っかける―霊長類研究のフィールドワーク手法とその成果―

要旨(クリックしてひらく)

サル研究というのは、野生動物の研究の中でもいくつかの特殊性があります。例えばサルほど多様な行動レパートリーを持ち、社会構造が複雑な動物はそれほど多くありません。何年もサルを観察していても、たびたび新しい行動に出会うことがあり、これはサル研究の大きな醍醐味だと私は考えています。もうひとつの大きな特殊性は「追いかけて観察できること」です。想像してみると分かるかと思うのですが、鳥やキツネを森の中で長時間追うことはほとんど不可能に近いのです。ヒグマなどであれば研究者は2日と生きていないでしょう。その点、ニホンザルなど何種かの霊長類は移動速度が比較的遅く、また鳴き声を発しながら集団で生活していることから、人間が後ろを追いかけて直接観察することが可能なのです。このことから研究史が始まって以来、野生のサルの研究では詳細な観察記録を取ることが基本となってきました。

もちろん最新の研究ではDNA解析や非破壊検査法、GPS発信器など様々な技術が利用されていますが、やはり多くのサル研究者はサルの顔を一頭ずつ覚え(個体識別)、秒単位で記録をとっていくことを基本としています。

ではそのような細かい記録(X時X分X秒からX時X分X秒までに、この種類の果実をいくつ食べた、というような)を取って一体何が分かるのでしょうか。今回のセミナーではそのような事例をニホンザル、ブタオザルの研究を挙げて紹介したいと思います。

サル研究に限らず生態学研究は、多くの場合非常に地道な作業と記録の積み重ねで成り立っています。一見すると何の役に立つのか分からない記録を延々と取り続けた先に、生き物が作り出すシステムの全体像がおぼろげに見えてきて、さらに自身の研究がその一端を非常にクリアに描き出せたときが、最も研究の楽しさを感じる瞬間かもしれません。当日はそのような研究の楽しさについてもお話しできればと考えています。

発表者:田島 知之 先生大阪大学COデザインセンター 特任講師

タイトル:群れない類人猿オランウータンにおけるオスの繁殖戦略

要旨(クリックしてひらく)

私は卒論から博士課程、ポスドクまで、一貫してオランウータンの研究を続けてきました。オランウータンはヒト科類人猿で、私たちヒトに進化史的に近い動物ではありますが、チンパンジーやゴリラとは違い、群れを作らず単独で暮らす特徴を持ちます。こうした単独性の類人猿にも「社会」と呼べるものはあるのでしょうか?(そもそも「社会」ってどんなものでしょうか?)学部生の頃から私の関心はそこにあり、繁殖戦略や社会行動をテーマに研究をしてきました。

オランウータンのオスには成熟すると大きな頬ヒダが出現します。この頬ヒダの成長は他のオスの存在に影響を受けるという特徴があり、劣位なオスはいつまでもヒダを出さないままで暮らします。そうした劣位で未成熟なオスも繁殖を諦めているわけではなく、優位で顔の大きなオスとは異なる行動パターンを持つことがわかってきました。群れない類人猿オランウータンの不思議な社会性と繁殖戦略について、これまでの研究をもとにお話します。

座談会『いきもの研究悲喜こもごも

日時:2022年11月28日(金) 17:30〜18:00
場所:信州大学理学部多目的ルーム(A棟1階)

企画・コーディネーター:
大谷 洋介(大阪大学COデザインセンター)
田島 知之(大阪大学COデザインセンター)
松本 卓也(信州大学理学部)

概要(クリックしてひらく)

野外であれ室内であれ、生物を対象とした研究は思うようにいかないことが沢山あります。待てど暮らせど現れない対象動物、破壊される自動撮影カメラ、コンタミで増える自分のDNA etc…。このような困難は研究上の苦労にも楽しさにも繋がっているものですが、分野が少しずれていると意外と知らないことも多いのが実情です。

当日は参加いただいた教職員、学生のみなさまと体験談を共有しながら、いきもの研究の楽しさ、難しさ、他の職業とは違う点などについて楽しく意見交換ができればと思います。

教室セミナー

日時:2022年10月20日(木) 16:50〜18:20
場所:信州大学理学部 第8講議室

発表者:菊池 隼人さん(帯広畜産大学 客員研究員)

タイトル:モモンガの群れ行動:その役割と成り立ち

教室セミナー

日時:2022年6月17日(金) 17:00〜18:30
場所:信州大学理学部C棟2階 大会議室

発表者:田村 大也 さん(京都大学大学院理学研究科生物科学専攻 ポスドク研究員)

タイトル:野生ニシローランドゴリラの社会・行動 ―アフリカ,野生霊長類調査への誘い―

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Date: Friday, June 17th, 2022, 17:00–18:30(JST)
Place: Conference room, Building C, 2nd Floor, Faculty of Science, Shinshu Univ.
Speaker: Masaya Tamura (Lab.of Human Evolution Studies, Kyoto Univ.)
Title: "Society and Behavior of Wild Western Lowland Gorillas (Gorilla gorilla gorilla): An Invitation to the Research of African Wild Primate"

要旨(クリックしてひらく)

私は 2014 年度に信州大学理学部生物科学科を卒業後、野生ゴリラの研究を志し、大学院から現所属の人類進化論研究室に移りました。それから早 8 年、大学院で得た研究成果を手土産に、母校・信州大学で研究発表の機会を頂くことができ大変うれしく思います。

ゴリラ、と聞くとどのようなイメージがあるでしょうか? やはり、背中の毛が白く、身体の大きな成熟オス「シルバーバック」はゴリラの代名詞です。群れを率いるシルバーバックが身体の小さな子供達と遊ぶ姿は印象的で、「優しいお父さん」としてテレビ等でもよく紹介されています。一方で、非血縁の乳児を殺す(子殺し)という、シルバーバックの攻撃的な一面も知っているかもしれません。このような一般的「ゴリラ像」は、ゴリラ属の 1 亜種であるマウンテンゴリラの研究に由来しています。私が博士課程で研究対象としてきたのは別亜種のニシローランドゴリラです。ガボン共和国・ムカラバ国立公園での合計 1 年半に渡る調査の結果、ニシローランドゴリラでは、シルバーバックが非血縁の未成熟個体と同じ群れで平和的に共存する一方で、子供達との親和的交渉は全くない、という従来の認識とは異なる新たなゴリラの社会が見えてきました。さらに、ニシローランドゴリラでは採食時に右手を好んで使う個体が多いことも分かりました。これらの研究成果から、我々ヒトの特徴である「父親の存在」や「右利き」の進化的起源に迫りたいと思います。

また、私たちが現地でどのような生活をし、どのように調査を行っているのか、そんな小話を挟むことで、アフリカでの長期フィールドワークの魅力を伝え、少しでも野生霊長類調査に興味を持って頂ける内容にしたいと思います。

2021年度

教室セミナー

日時:2022年1月12日(水) 16:50〜18:20
場所:信州大学理学部 第13番講義室

発表者:横山 拓真 さん(京都大学大学院理学研究科生物科学専攻 博士後期課程)

タイトル:「ヒトの同性愛の生物学的基盤の解明。ボノボが教えてくれること。」

教室セミナー

日時:2021年11月12日(金) 16:50〜18:20
場所:信州大学理学部 第8講義室

発表者:小島康生 先生(中京大学心理学部心理学科 教授)

タイトル:「ヒトを対象としたフィールド観察研究」