言語の誕生

「人間が言葉を喋る構造と、絵を描く構造は同じである。

言語が発生する瞬間の文章の連なりが即完成した言語の構造を持つと同じに、

言葉も喋りながら文法が組み立てられて文章になる。

絵が完成するまで無意識に起承転結をもって描き進められ作品が出来上がる。その一致点を平面制作の根拠にした。」島州一

2005年「武蔵野美術大学研究紀要2004-35」に言語と絵画の構造を同一化させた自らの絵画論

『言語の誕生』を寄稿。

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言語の誕生 F120

tableau F60

カフカの部屋


トレース的描写技法とは、

1980~1981年の文化庁在外研修員の欧米留学を契機に、70年代の自らの行為表現を如何に二次元に置き換え絵画化するかという命題を追求する中で、多重構造のトレース的描写技法を獲得して、島独自の形を発見する。

『話をする時の私は、実は別の私というものが私を通して話をしている、すなわち私に喋らせている。

絵を描く時も、絵を描いているつもりの自分の他に別の自分がいて、本当は自分は絵を描かされている、という相関関係がある。

別の私が私自身をトレースして画面に描く時、私の身体の機構を通して云わば透視図的にトレースし、カンヴァス上に行為が痕跡として

投影され、平面上に形が形成される。』島州一