1) 異なる温度環境に適応したツメガエル種の温度センサー分子の比較

異なる温度条件の地域に分布する4種類のツメガエル

ネッタイツメガエルとミューラーツメガエルは暖かい地域に、アフリカツメガエルと北アフリカツメガエルは涼しい地域に生息しています。

高温センサーの機能の種間差

高温センサーとして働くTRPV1とTRPA1の温度応答特性を4種のツメガエルの間で比較しました。TRPV1は暖かい地域に生息するネッタイツメガエルでは他の3種より反応が遅くなっていました。　一方で、TRPA1は涼しい地域に生息する2種では反応が大きく、暖かい地域に生息する種では反応が小さくなっていました。　涼しい環境に地域に生息する種は、熱さに敏感に反応できるように、高温センサーの反応が高く維持されていると考えられます。

参考文献

  1. 齋藤　茂 ｢脊椎動物の温度感受性TRPチャネルの進化的な変化と環境適応｣ 医学の歩み 270(10): 869-874 (2019)
  2. 齋藤　茂、富永真琴 ｢温度センサーTRPチャネルの生息環境に応じた機能進化とその構造基盤｣ 生物物理 59(1):5-8 (2019)
  3. Saito et al. ｢Elucidating the functional evolution of heat sensors among Xenopus species adapted to different thermal niches by ancestral sequence reconstruction｣ Molecular Ecology 28:3561-3571 (2019)
  4. Saito et al. ｢Evolution of Heat Sensors Drove Shifts in Thermosensation between Xenopus Species Adapted to Different Thermal Niches｣ The Journal of Biological Chemistry 291:11446-11459 (2016)